ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

2019-01-01から1年間の記事一覧

【創作 43】 仲直りの儀式 (ローレシア編)

王子から「すぐに来てくれ」と呼び出されたおれは、急いでローレシアへ来た。 謁見の間で国王になった王子と対面したところ、なんとそこにはガルダーもいた。 最強の剣『はやぶさの破壊の剣』を王子にもらいに来たガルダーに会ったおれは 今までの苦労から怒…

【創作 42】 幻の剣

「殿下、殿下! 起きてくださいまし」 身体を揺り起こされて目を開けると、ティメラウスが立っていた。 昨日は忙しかった。 ザハンからテパの村へ行き、レオンと別れてサマルトリアに戻ってきたら 竜王のひまごがおれを待っていて、デルコンダルに無理やり連…

【創作 41】 友達の友達はみな友達だ

世界各地をまわって用事を済ませ、ようやくサマルトリアまで戻って来たところ 城下町の前で、あらたな珍客『竜王のひまご』がおれの帰りを待っていた。 自分がムーンブルク復興に呼ばれていないことでいじけている竜王のひまごに 「デルコンダルからムーンブ…

【創作 40】 仲間はずれ

レオンをテパの村に送り届けて、おれは1人でサマルトリアへ帰って来た。 最初は、ガルダーを探しにまだ行っていない町をまわる予定だったが ガルダーが町を訪れる可能性が低くなった以上は下手に動いても無駄足になる。 いったん城に帰って、今後の予定をゆ…

【創作 39】 危険なお誘い

ルークをザハンに連れ帰り恋人と会わせて、ザハンへ来た目的の1つは果たした。 あとはドン・モハメの家で預かった「あるもの」を教会へ持って行くだけだ。 再会を果たしたルークと恋人のサマンサが手を取り合って見つめ合うのを横目に おれはレオンに目配せ…

【創作 38】 恋人たち

かつて牢屋の鍵を密売していた男に金を払ってガルダーに関する情報を求めたが ガルダーが次にどこへ向かったかを知ることは出来なかった。 店を出たおれたちは、地下を歩いた。 地上も綺麗に整地されて変わっていたが、地下の様子も大きく様変わりしていた。…

【創作 37】ぼったくり店

翌朝、レオンと一緒にルーラで降り立った地は、以前とは大きく様変わりしていた。 以前、地上は廃墟になっていた。町のいたるところに瓦礫が散乱し、人の姿は見えず 探し回ってようやく見つけた小さな扉を金の鍵で開けて地下にある町に入った。 今は地上も瓦…

【創作 36】 最強の防具

ルーラの呪文でおれはテパの村へ来た。 ここはいつも暑い。前に来たときよりもジャングルがさらに鬱蒼とした気がするぜ。 村に入り、おれは額の汗をぬぐった。 おれの姿を見つけると、派手で奇怪な入れ墨をした奴らがわらわらと集まって来た。 テパの村人た…

【創作 35】 一枚上手

自室のベッドで久しぶりにぐっすり眠ったおれは、翌日すがすがしい朝を迎えた。 思い返せば、これまでずっとテントで寝たり雑魚寝したりの日々だったからな。 久しぶりにぐっすり眠れたのは、ただ寝所の質が上がった影響だけだと思うが もしかしたら「サマル…

【創作 34】 息子への期待

痴話げんかを目撃したことで、くだらない噂話が蔓延していたムーンペタの群衆を おれ様のこの上なく素晴らしい演説で、ムーンブルク再興に向けて一致団結させた。 見事に騒ぎを鎮めたおれとティアは、ルーラでサマルトリアへと戻って来た。 城内に入ったおれ…

【創作 33】心をひとつに

ムーンペタの教会に1泊した翌朝、簡易ベッドで寝ていたおれは叩き起こされた。 「おにいちゃん、おにいちゃんってば。ねえねえ、早く起きてよ~」 「おにいちゃん、起きて起きて。大変な騒ぎになってるのよ!」 「カイン! ねえ、早く起きて。あの人だかり…

【創作 32】ニアミス

誰もいなくなった教会の前で、おれはしばらくそのまま立ち尽くしていた。 ナナとアルファズルは来なくても、おれがずっと教会に入ってこないのを心配した ティアかリーナが、もしかしたらおれの様子を見に外へ出て来るんじゃねえか? と ひそかに淡い期待を…

【創作 31】 そして誰もいなくなった

翌日にはおれもすっかり回復して、おれたちは予定通りムーンペタへ向かった。 双子の塔が見える例の海岸沿いを通った日は、どんよりとした曇り空だった。 「もうっ!『双子の塔を見たら幸せになれる』って聞いて楽しみにしてたのに! どうして今日に限って、…

【創作 30】 兄想い

熱が下がり体力も回復したおれは、汗を拭き着替えをすませて外へ出た。 今日は1日中寝てたらしい。陽は傾きかけて、夕焼けが空を赤く染めていた。 ぐうぅ~と腹がなり、空腹に耐えられなくなったおれは手持ちの食材を確認した。 いいぞ、干し肉がいくつかあ…

【創作 29】 昨夜のツケ

ナナとおれは歩いてテントまで戻った。 歩いている間に、全身にびっしょりとかいていた汗が冷えたようだ。 さっきから背中にゾクゾクと寒気がする。鳥肌が立つような気持ちの悪い震えが 背中だけでおさまらず腕まで広がってた。 ゾクゾク不快な悪寒が止まら…

【創作 28】 涙の理由

大きな満月を眺めながら、おれはこれまでのことを思い返していた。 パズルのピースがはまるように、ナナが今まで泣いていた理由がハッキリわかった。 最初はサマルトリアでの晩餐会か... いや、さらに前の親父に謁見したときか? もしかしたら、ローレシアに…

【創作 27】 約束

「ナナーッ!」 海岸にナナがいるのを見つけたおれは、最後の力を振り絞って走った。 ようやくナナのそばにたどり着いたが、苦しくて息が出来ない。 おれはナナの横でしゃがみ込むと、ぜえぜえと肩で大きく息をした。 ... 苦しい... 息が出来ねえ... 死にそ…

【創作 26】 いやー、さがしましたよ

... テントからナナの姿が消えていた。 おれはティアやリーナを起こさないよう静かにテントを閉めて、あたりを見回した。 落ち着け。ナナはちょっと外の空気を吸いに出ただけかもしれねえんだ。 大丈夫だ。きっとすぐに何食わぬ顔で戻ってくるに決まってる。…

【創作 25】 別れのとき

ローラの門を抜けると、意外な人物がおれたちを待っていた。 「遅かったの、カイン」 「グランログザー師匠!? なぜここに?」 おれを見て穏やかに微笑む師匠の背後には、さらに2人の人影があった。 以前より顔色が良くなった男性と、彼を支えるほっそりと…

【創作 24】 英雄戦士の行方

「うわっ、結構ひでえな!」 おれはみんなより先にローラの門へ足を踏み入れて「レミーラ」の呪文を唱えると 明るくなった洞窟内を見まわして、思わず大きな声を出した。 地面はドラゴンの足跡でボッコボコ、壁はメタルハンターの鉤爪で傷だらけ 付近一帯が…

【創作 23】 王子がリセット

心配そうにおれの顔を見つめながら、おれの手を優しく握るナナの手を振りほどき おれは足早にほこらへと戻った。 さっきナナが触れたおれの額と手は、ほこらに入ってからもずっとジンジンと熱く このまま本当に熱が出て、ぶっ倒れちまうんじゃねえかと思った…

【創作 22】 ナナのぬくもり

一晩ゆっくり休んだことで、翌朝には全員が元気を取り戻していた。 このまま問題なく進むことが出来れば、今日中にローラの門までたどり着けそうだ。 おれはティアを呼び寄せて、今日はサイラスの馬に乗るよう伝えた。 ティアは「まかせといて!」と言って、…

【創作 21】 不自然な演技?

翌朝、おれたちはサイラスに急かされて慌ただしくサマルトリア城を出発した。 出発前には親父のところへ挨拶に行った。 親父は王子とナナに「なにか困ったことがあれば、いつでも頼るがいい」と言い 腰をかがめると「またいつでも帰っておいで」と言ってリー…

【創作 ⑳】 涙

おれは物音を立てないように細心の注意を払いながらゆっくりと後ずさりして 柱の陰でこっそり泣いているナナのそばを離れると、元の場所へ戻った。 あいかわらず、サイラスが王子に言葉遣いの重要性について説教をしている。 サイラスの反対側から、ティアが…

【創作 ⑲】 柱の陰で…

ある日、作業を終えて城に戻ると2人の男がおれたちを待っていた。 「殿下! お待ちしておりました」 おれたちの姿に気づいたサイラスが駆け寄って来て王子の前でひざまずく。 サイラスの後ろにはアルファズルが立っているのが見えた。 「殿下、お遊びはこの…

【創作 ⑱】 ひとときの幸せ

王妃の話でますます混乱したおれは、考えを整理するため城外を歩いていた。 「おにいちゃ~ん!」 「おにいちゃ~ん!」 聞き慣れた声に振り向くと、ティアとリーナが城下町から元気よく走ってくる。 後ろにはナナがいて、2人に続いてこっちに向かって歩い…

【創作 ⑰】 母と息子

後宮は親父以外の男は立ち入り禁止だ。 おれは侍女に「王妃を呼んでくれ」と頼み、入口の近くで待っていた。 入口のそばには、後宮を訪ねてきた人をもてなすために王妃が用意させた 茶器がセットされた小さな丸テーブルと、小さな椅子が置かれていた。 その…

【創作 ⑯】 聞き込み開始!

その夜は、変な時間に深く眠ったせいか、部屋に戻ってもまったく眠れなかった。 寝ようとして目を閉じると、まぶたにはナナの寂しげな顔が浮かんできた。 じりじりした思いで夜が明けるのを待ち、明るくなると早々に部屋を出た。 誰でもいい、昨日なにがあっ…

【創作 ⑮】 晩餐会の夜

おれたちは謁見室を後にした。 夜には王と王妃が主催の晩餐会が予定されていたが、それまでは自由な時間だ。 ナナ・ティア・リーナの3人は城下町を散策してくると言って出掛けた。 まさか、またオーウェンの店に入り浸る気じゃねえだろうなと思ったが 下手…

【創作 ⑭】 それぞれの立場

勇猛果敢な武将・明君としても名高いサマルトリア王が、「2人の娘たち」に 自慢の口ひげをおもちゃにされているのは滑稽だったが、親父は満足そうだった。 「父上、ご相談したいことがあります」 「なんじゃ、言ってみろ」 しゃべるとひげが動くのが面白く…