ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 ⑮】 晩餐会の夜

おれたちは謁見室を後にした。

夜には王と王妃が主催の晩餐会が予定されていたが、それまでは自由な時間だ。

 

ナナ・ティア・リーナの3人は城下町を散策してくると言って出掛けた。

 

まさか、またオーウェンの店に入り浸る気じゃねえだろうなと思ったが

下手に口出しすると「さっきはあんたが無理やり追い出したんでしょ」などと

寄ってたかってギャアギャア文句を言われそうなので、ほっとくことにした。

 

おれと王子は自室へ行き、訪ねてきたティメラウスも交えて話し合いをした。

 

サマルトリアが侵攻されたとき、アルファズルと勝手に旅立ったことを詫び

また、オーウェンの店をつくるために尽力してくれたことへの礼を伝えた。

ティメラウスは笑って首を振った。

「いえいえ、殿下。この歳になって殿下と共に戦い、サマルトリア守ることが

 できただけで大変な名誉! それに、オーウェンの店についても、殿下の代理で

 携わることが出来て充分満足しています。他に望みなどありませんぞ」

 

そして、ムーンブルクを復興させるため、デルコンダルの武闘大会参加予定者を

ムーンブルクに連れてくるというおれの策にも、ティメラウスは大賛成して

統率者の役も快く引き受けてくれ、いつでもおれの力になると約束してくれた。

 


晩餐会の時間になって大広間に行くと、ナナたちは正装しておれたちを待っていた。

 

ナナもティアも、普段はおてんばでうるさくて、しとやかさのかけらもねえが

今、正装して優雅に微笑んでいる2人には王女らしい上品な美しさがあった。

殺風景な広間に美しい花が咲いたように、華やかで優美な雰囲気が漂っていた。

 

ティアが昔よく着ていたドレスを着たリーナも、天使のように愛くるしかった。

 

 

晩餐会の間、親父はずっと上機嫌で、おれたちの活躍を褒めちぎっては

良く食べ、良く飲み、豪快に笑った。

王妃も、おれみたいな息子を持って誇らしいわと言って目を細めた。

 

「父上、母上。ありがとうございます」

両親の言葉に心が和んだ。おれは心からの感謝の気持ちを伝えた。

 

ローレシアから歩いてきたことで疲れもたまっていたのか、ティアとリーナは

食事が進むとトロンとした目になり、早々にこっくりこっくりしだした。

 

そういうおれ自身も、自分では気づかないうちに疲れがたまっていたのか

それとも、無事に自分の城まで帰って来れたことによる安心感があったのか

椅子に身体をあずけて座ったまま、不覚にもぐっすり眠りこんでしまった。

 


「殿下、殿下! 起きてくださいませ」

女中に揺り起こされて目を覚ますと、身体には毛布が掛けられていた。

おれが寝てることに気づいたナナが、給仕に頼んで掛けさせたらしい。

 

食事が終わって、それぞれが部屋に戻る段階になっても起きないおれを見て

「こんなに気持ち良さそうに寝てるんだから、無理に起こさないであげて。

 自然に起きるまで静かに眠らせてあげなさい」と王妃が周囲に言ったらしく

給仕たちは、おれを起こさないよう注意して慎重に後片づけをしていたが

片づけが終わっても、ぐっすり眠り込んでまったく起きる気配がないので

しかたなく起こしましたと女中は申し訳なさそうに言った。

 

「おれの方こそ気を遣わせて悪かったな、お疲れ様。ありがとよ」

おれは立ち上がり、サッとたたんだ毛布を女中に手渡した。

 


寝てしまってぼんやりした頭をすっきりさせるため、おれはバルコニーに出た。

 

ひんやりとした夜風がほおに当たって、だんだん気分がすっきりしてきた。

おれは腕をあげ、大きく身体を伸ばして深呼吸した。

そこで初めて、先客に気づいた。

 

ナナだ。

 

ナナは欄干にもたれて、ぼんやりとしたうつろな目で外の景色を見ていた。

華やかな装いとは裏腹に、今にも泣きそうなひどく寂しそうな顔をしている。

 

いったい、なにがあったんだ?

 

悲しげな表情に言葉が出ず、立ち尽くしていると、ナナがこっちに気づいた。

 

「あらあら、ようやくお目覚めになられたのですか? カイン殿下」

ナナはサッと表情を変えると、笑みを浮かべ、からかうようにおれに近づいてきた。

 

「ふう、ここはちょっと冷えるわね。あたし、そろそろ部屋に戻って休むわ。

 あんたも風邪ひかないように、長居しないで早めに戻った方がいいわよ」

ナナはおれの肩をポンポンと叩くと、足早にバルコニーを出て行った。

 

ナナがおれの姿に動揺して、この場を逃げ出したのは明らかだった。

でも、なにがあったかわからないため、追いかけても何も言えない。

 

くそっ! 肝心なときに、おれはなんでバカみてえに眠っちまったんだ。

おれは残されたバルコニーで、冷たい夜風に吹かれながら1人たたずんでいた。

 

 

私は「りぼん」や「なかよし」などの恋愛少女漫画に夢中になっていた世代です (*´ω`*)

そんな私は、やっぱり物語には恋愛が欲しい ( *´艸`)

王子が主役だと難しいけど (;´∀`)、今回の主役はカインなので恋愛要素を入れちゃうぜ~ヾ(*´∀`*)ノ

 

 

晩餐会が始まる前は優雅に微笑んでいたナナ。さてさて、カインが寝ている間に

何があったんでしょうか (@_@;)?

 

次回より

「名探偵カイン! ナナの悲しみの謎を追う」スタートです!(ウソです (;´∀`))

 

「名探偵カイン」はウソですが、このままでは気になるので捜査開始です!

カインがあちこち奔走して、事件(?)の真相に迫りますよ~ (^_-)-☆

 

普段のカインなら、洞察力と冷静な判断力で「名探偵」になれそうですが

今回はナナに関することなので、「迷探偵」になることでしょう ( *´艸`)

 

恋する迷探偵カインの迷走っぷりをお楽しみくださいね~ (*´ω`*)

 

 

では、次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ