ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 37】ぼったくり店

翌朝、レオンと一緒にルーラで降り立った地は、以前とは大きく様変わりしていた。

 

以前、地上は廃墟になっていた。町のいたるところに瓦礫が散乱し、人の姿は見えず

探し回ってようやく見つけた小さな扉を金の鍵で開けて地下にある町に入った。

 

今は地上も瓦礫が除かれ綺麗に整地されて、新しい家や露店が並び始めていた。

露店は地下から出てきたと思しき人々と、旅行者らしき人々で大変にぎわっていて

よく晴れた暖かな陽射しの下、子どもたちが元気に駆け回っていた。

 

露店にいるおっさんに話を聞くと、地下都市はそのまま残し、地上の町を再建して

地上と地下の両方を発展させ、ペルポイを一大都市にする計画があるのだという。

 

町が発展するのは良いことなんだが、それで人の行動範囲が広がるのは面倒だな。

ここにはガルダーが来ている可能性が非常に高い。今度こそ、逃したくない!

それに「あいつ」は元気でいるだろうか? まだこの町にいるのだろうか?

 

レオンをペルポイにまで連れて来たのは「あいつ」に会うためだった。

だが、ぐずぐずしてるとまたガルダーに会わずじまいになってしまう気がした。

 

「本来の目的の前に、まずはガルダーを探してもいいか?」

 

「あんたの言う本来の目的がなにかわからねえが、おれは別にかまわないぜ」

 

レオンの同意をもらって、おれたちはガルダー探しに武器屋に向かうことにした。

 

以前は地下に【自警団御用達】という武器屋があり、品揃えも良かったはずだ。

無口な店主がもくもくと鍛冶をしている店で、ひそかに牢屋の鍵を密造しており

ラゴスを脱獄させようとしてる連中に先回りして、牢屋の鍵を横取りしてやった。

 

レオンとそのときの思い出話を語りながら地下の入口に向かって歩いていると

付近のパトロールをしていた兵士2人が、人込みをかき分けながら近寄って来た。

 

「やっぱり、あなたたちだ! いや~、お懐かしい。お元気そうで良かった~」

 

「おまえが言ってた『命の恩人』ってこの人たちのことか?」

 

「ああ。実際は他にもまだ何人かいたけどね。でも、この人たちで間違いないよ。

 恩人の顔は一生忘れないさ」

兵士の1人はキラキラした目でおれとレオンを見ていたが、まるで記憶にない。

 

おれたちのキョトンとした顔を見て、そいつは「ああ、そうか」と笑った。

「いやいや、わからなくて当然ですね。私があなた方に助けていただいたときは

 髪も髭も伸び放題で、すごく汚らしかったですからね。いやはや、お恥ずかしい」

 

まだピンとこないおれたちを見て兵士の2人は自己紹介してくれた。

2人は15年以上昔からの親友で「ズンドコ」「ドンドコ」という名前らしい。

 

名前を聞いてようやく思い出した。

1人は地下町から締め出され泣いてた奴で、もう1人は地下扉の前にいた門番だ。

 

あのとき、締め出された方の男は髪も髭もボウボウに伸びて確かに汚らしかったが

目の前に立つ男は髪も髭もスッキリ整えられて、精悍な顔つきをしていた。

 

「あのときは町を案内すると言いながら、久しぶりに友人たちに会えた嬉しさで

 みなさんを置き去りにしてすみませんでした。こうしてお礼が言えて良かった。

 あのときのお詫びに、今度こそ私がこの町をご案内しましょう」

 

おれは人を探していて、そいつはきっと武器・防具屋に立ち寄るはずだと話した。

 

ズンドコとドンドコは「それなら...」と言って地上に新しく出来た店に案内した。

 

「へい! いらっしゃい。ようこそ! ここの武器と防具は世界一の品揃えだよ!」

太って赤ら顔の店主が出迎えてくれる。

 

以前に来たときと同じく、王子が「これは良い剣だ」と言っていた『光の剣』や

ナナが「素敵よね~♡」とため息をついてた『ミンクのコート』も飾られている。

店の場所と店主が変わっただけで、他に以前の店と変わったところはなかった。

 

おれは愛想のいい店主にガルダーの特徴を伝えてここに来ていないか尋ねたが

「客の顔は忘れないんですがね~。そんな男は来てないですわ~」と言われた。

 

ガルダーはペルポイに来ているはずだという予測がはずれたか? いや、待てよ...

 

「以前は地下に店があっただろ? 愛想の悪い店主が延々と鍛冶してた店が」

 

振り向いてズンドコとドンドコに尋ねると、2人は気まずそうに顔を見合わせた。

 

「実は... あの武器屋は、牢屋の鍵を密造したことで廃業になったんです」

 

「なんだって?! あの武器屋が? そりゃ確かに密造は問題だが、あの鍵のおかげで

 おれはラゴスをつかまえられたんだぜ」

 

「ええ。牢屋の鍵を密造して、ラゴスの脱獄に加担しようとした罪は大きいですが

 結果的にラゴス確保という功績につながったわけで。罪と功績のどちらも残した

 武器屋の処分をどうするか、民衆も巻き込んでの大論争に発展したんですよ」

 

「結局、どうなったんだ?」

 

「1人で鍵を密造できるぐらい鍛冶の腕は超一流ですから、武器屋の事業は廃業させ

 地下のあの場所で鍛冶専門員として働かせることにしたんです。場所も場所なので

 人は寄りつかないですが、たまに噂を聞きつけた奴が訪ねていくみたいですね」

 

地上に新しく出来たこの武器屋に顔を出してないとすれば、ガルダーがどこかで

『超一流の鍛冶屋』の情報を得て、地下を訪ねている可能性は高いな。

 

ズンドコとドンドコに礼を言って別れると、おれとレオンは地下へと向かった。

 

 

地下に向かう階段を下りていると、美しい歌声と人々の歓声が響いてきた。

階段を下りた先の広場で「かつて世界の中心はベラヌールだった」と歌っていた

歌姫アンナが今度は明るい曲調の歌を歌っていて、人々が手拍子で盛り上げている。

 

歩きながら耳を傾けると、どうやら今アンナが歌っている曲はラブソングのようだ。

アンナの透き通るような声と明るい曲が心地良く、聴いてると元気が出てくる。

おれたちはアンナの歌声を聴きながら【自警団御用達】のあった場所へ向かった。

 

 

広場のはずれにある店はアンナの明るい歌声とは対照的な薄暗い陰気な場所だった。

小さな明かりを一つ灯しただけの部屋で、男がトンテンと鍛冶をしていた。

 

おれたちが近づいても見向きもしなかったが、おれは構わず男に話しかけた。

男は作業の手を止めないまま、二本の指で輪っかをつくっておれに見せて来た。

情報が欲しければ金を出せということだ。

 

「いくらだ?」

 

「へっ。そちらさんが出す金額によって、こっちが出す情報量も変わるぜ」

 

おれは100ゴールドを出し、ガルダーという男を探していることを話した。

 

「さっき最強の武器と防具を探している男が来た。おまえと同じように金を払い

 情報を買って立ち去った」

 

「その情報って?」

 

男は鍛冶をしていた手を止め、片方の眉毛と口元をつり上げておれの顔を見た。

おれはさらに100ゴールドを渡した。

 

「売り物としてある武器と防具は、ペルポイの町の武器屋にあるものが最強だ。

 ただ、市場には出ていない隠れた名刀ってやつがこの世にはある」

 

男の指が再び輪っかをつくる。

さらに100ゴールドを男に渡す。

 

ロンダルキアの洞窟にひと振りで稲妻を起こせる剣があると聞いたことがある。

 だが、他にも情報が極端に少ない知られざる名刀ってやつが存在するんだぜ」

 

どうやら1つ話すたびに金を要求するらしい。男はおれの方へにじり寄って来た。

レオンがおれの袖を強く引いて首を振った。もうやめておけということだろう。

 

「さっきの男にも同じ話をしたのか?」

 

「さあな、ただでは教えねえぜ。教えて欲しけりゃ、金をもってまた来るんだな」

 

おれに金を払う気がないとわかった途端、男は手のひらを返したように後ろを向き

おれたちを無視してトンテンやり始めた。

 

 

ガルダーがここで話を聞いたことはわかったが、肝心の内容はわからずじまいだ。

金を積んででも情報を得たい気持ちはあったが、こいつが真実を話す保証はない。

レオンが止めるとおり、こんな奴には関わらない方が賢明だ。

 

くそっ! ここで手詰まりか。

 

レオンがおれの肩を叩いて慰めてきた。

おれは悔しさをかみしめながらもレオンの顔を見てうなずき、静かに店を後にした。

 

 

 

カインとレオンが来たのはペルポイ

 

ペルポイは、他の町より名前の知られた登場人物が多いんですよね~ (@_@;)

当初は「あいつ」の話だけを進める予定でしたが、脇役だからって出さないのも

悪いかと思い、この機会にまとめて全員大集合してもらいました~ヾ(*´∀`*)ノ

 

牢屋の鍵を密造する武器屋(ゲームでは道具屋ですよね?記憶が曖昧... (;´∀`))

ラゴスが捕まったことで密造がバレて業務停止 (´;ω;`)(しょうがないけど)

鍛冶屋だけでは食べていけなくて、闇のぼったくり情報屋になっていました。

 

情報1つ(しかも真実かどうかもわからない)で100ゴールドは高すぎ!

カインだけだったら危なかったけど、レオンが止めてくれて良かった (*´ω`*)

 

 

情報を買って立ち去ったという男は、たぶんガルダーで間違いないでしょう。

ガルダーはどこまで情報を得て、どこへ行ったのか (私にもわかりません (;´∀`))

 

そして、カインがレオンと一緒に会いに来た「あいつ」とは...?

 

 

続きもお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ