ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 41】 友達の友達はみな友達だ

世界各地をまわって用事を済ませ、ようやくサマルトリアまで戻って来たところ

城下町の前で、あらたな珍客『竜王のひまご』がおれの帰りを待っていた。

 

自分がムーンブルク復興に呼ばれていないことでいじけている竜王のひまごに

デルコンダルからムーンブルクまで人を運ぶのを手伝わせろ」と押し切られ

おれは竜の背中に無理やり乗せられて、またデルコンダルに連れて来られた。

 

「仲間はずれにされた」といじける竜王のひまごは、ここで仕返しとばかりに

上下左右に激しく旋回しながら飛行を続け、おれの身体はもう限界だった。

 

 

デルコンダルに着いた竜王のひまごは

竜が飛んでくるのに気づいた門番たちが「敵襲! 竜が攻めて来たぞ!」と叫ぶ中

派手に土埃を巻き上げながら、強引に闘技場の上に降り立った。

 

門番たちの叫び声を聞いて、城の中から走って出てきたデルコンダル兵士たちと

ムーンブルクに行くために集まっていた猛者たちとで闘技場は騒然となった。

 

竜王のおっさんが羽を下ろすと、背中の鞍に乗ったおれの姿があらわになった。

 

「おい、あの竜の背中にいるのはサマルトリアの王子じゃないのか?」

 

「そうだ、間違いない。サマルトリアの王子よ、何があったか説明してくれ!」

 

サマルトリアの王子よ、なぜ竜を連れてこんなにすぐに戻って来たのだ?」

 

「まさかおまえ、竜を使ってわがデルコンダルを襲う気じゃないだろうな?」

 

「なんだと?! デルコンダルを襲う気なら、こっちも容赦しないぞ!」

 

「やい! いつまでも黙ってないで、なんとか言ったらどうなんだ?」

 

集まってきた奴らから、次々に罵声のような声が浴びせられる。

 

...... 今、話しかけないでくれ。

 


うえっぷ...。なにか言おうにも、腹の中を胃液がぐるぐる回って声が出ねえ...

 

寄ってたかってギャーギャーうるせえ奴らを鎮めるためにも、とにかくなんとかして

立ち上がって鞍から降りようと思うが、頭がクラクラして身体に力が入らねえ..

 

まだ飛行中みたいに、身体が前後左右にグラグラ激しく揺れているのがわかった。.

 

もう... だめだ...

 

横に大きく体勢が崩れ、おれはそのまま竜王のおっさんの背中から転げ落ちた。

 


「おや、お目覚めになりましたか?」

外を見ていたがっしりした体格の神父が、振り向いておれの顔を覗き込んできた。

 

頭には包帯がぐるぐるに巻かれている。

 

「竜から落ちたときに頭を打ったので、大事をとってこちらに運んだんですが

 顔色もすっかり良くなったし、もう大丈夫ですね。もし、歩けるようでしたら

 お帰りになってもいいですよ」

 

神父にこれまでの状況を尋ねると、竜王のおっさんの背中から落ちたおれは

頭を打ってそのまま動かなくなり、近くにいた武道家たちが教会に運んだらしい。

 

神父がおれの様子を見たところ、特に問題はなくただ気を失っているだけだと

わかったので、かんたんな治療を済ませてベッドで寝かせておいたのだという。

 

竜王のおっさんはどうなったんだ?」

 

「『竜が襲ってきた、サマルトリアの王子が倒れた』と一時は大騒ぎになりました。

 竜は『自分は善良な竜だ、襲う気はない。王子に危害も加えていない』と言って

 門兵たちと言い争ってたんですが、王様が『わしが直々に話をしよう』と現れて

 今は... まぁ、あのような状態です」

 

神父は笑いながら、外に目をやった。

おれはまだ少しふらつく足で立ち上がると、教会の入口から闘技場を見た。

 

闘技場の真ん中には竜王のひまごがいて、デルコンダル王と対峙している。

2人は大声で話していて、声は教会の中まで響いてきていた。


「そうなんじゃよ。あのおちびさんは頭はキレるんじゃが、体力がなくてのお。

 ここまで連れて来ただけでぶっ倒れるとは。こりゃ、先が思いやられるな」

 

「そうそう。サマルトリアの王子は、虚弱体質なのが最大の弱点なんじゃよな。

 その点でいくと、ローレシアの王子は健康で体力もあり強さは申し分ないんだが

 純朴というかおめでたい奴というか、とにかくのんびりした奴だからなあ」

 

ローレシアの王子は力はあるが単純。サマルトリアの王子はキレ者だが虚弱。

 ロトの子孫の中で一番強いのは、実はあの姫様かもしれないな。カッカッカ」

 

「さすが、あの竜王のひまごだけあるな。ロトの子孫のことをよくわかっておる。

 そうなんじゃよ。ローレシアの王子サマルトリアの王子、あの王子たち2人の

 良いところだけをとれば、向かうところ敵なしの最強の戦士になるんじゃがな。

 わしは強い奴が好きじゃが、頭の良さも同じぐらい大事じゃからな」

 

「ほほう、あの2人の良いところをとれば最強の戦士か...。 デルコンダル王よ。

 おまえさんこそ人を見る目があるな。さすが大国を治めているだけあるわい」

 

「ふむ、竜の中の王がわしを褒めるとはな。こりゃ気分が良いぞ。はっはっは」

 

「おぬしもこれでわしが善良な竜だとわかったじゃろ。わっはっはっは」

 

竜王のひまごとデルコンダル王は、すっかり意気投合して笑いながら話している。

 


「ところで、そなたはなぜわがデルコンダルへやって来たのじゃ?」

 

「おちびさんがデルコンダルからムーンブルクへ屈強な猛者を運ぶと聞いてな。

 ならば、わしが運ぶのを手伝ってやろうと思って視察に来たというわけだ。

 わし1人だと警戒されると思ってな、おちびさんにもついて来てもらったんじゃ。

 なんせロトの子孫とわしは、共にハーゴンと戦った仲のいい友達だからな」

 

「わしも友好の証として『不思議な宝石』を贈り、奴らを救ったことがある。

 ロトの子孫とはわしも良い仲間だ。ということは、そなたとわしも仲間だな。

 はっはっは。こりゃめでたいめでたい! よしっ! わが友よ。気に入ったぞ!

 そなたにデルコンダルからムーンブルクへの人々の輸送をまかせよう!

 

「わっはっは、ゆかいゆかい。おぬしならそう言ってくれると思っておったぞ。

 おう、全部わしにまかせとけ!」

 

王様と竜はお互いの肩(?)を叩き合い、大声で話しながら高笑いしている。

 


......おれがここに来る意味あったのか?

 

おれは神父に、もし誰かがおれを訪ねて教会に来たら「ベッドで寝かせておいたら

気がついたらいなくなっていた」と言うように命じて、急いで身支度を整えると

教会の裏口から抜け出した。

 

抜き足差し足で闘技場から離れると、おれはまわりに人がいないのを確かめた。

 

デルコンダル王は、竜王のおっさんが人の輸送を手伝うことを承認していた。

ならば、もうここに用はねえ。

 

おれが起きたのをあいつらに気づかれ、また竜の背中に乗せられるのは勘弁だ。

あいつらに気づかれる前に、こっそりこのままサマルトリアへ帰ることにしよう。

 

おれはもう一度あたりを見回して、人がいないことを確かめると呪文を用意した。

 

「二つの点は一つの点に。星幽界の守護者よ、われをかの場所へと導きたまえ。ルーラ!」

 

 

新たな友情が芽生えました~ヾ(*´∀`*)ノ

 

竜王のひまごとデルコンダル

「強引なところがあるけど、強くて男気のある」この2人は仲良くなれそうだと

カインを介して出会わせてみました。

 

肝心のカインは竜王のひまごのいじわる飛行で酔ってぶっ倒れましたが (´;ω;`)

カインがいなくても、2人は無事に仲良くなれました~ヾ(*´∀`*)ノ

 

おれ、いなくても良かったんじゃ? と気づいたカインは賢いですね ( *´艸`)

また飛んで帰るのはごめんだと、ルーラで逃げ帰ることにしましたよ (;´∀`)

 


竜王のひまごとデルコンダル王の出会いに貢献(?)したカイン。

酔って背中から落ちて頭を打ってと(またしても)散々な目に... (´;ω;`)

ここまで苦難を乗り越えてきたカインに、ご褒美はあるのでしょうか?


続きもお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ