2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧
王妃の話でますます混乱したおれは、考えを整理するため城外を歩いていた。 「おにいちゃ~ん!」 「おにいちゃ~ん!」 聞き慣れた声に振り向くと、ティアとリーナが城下町から元気よく走ってくる。 後ろにはナナがいて、2人に続いてこっちに向かって歩い…
後宮は親父以外の男は立ち入り禁止だ。 おれは侍女に「王妃を呼んでくれ」と頼み、入口の近くで待っていた。 入口のそばには、後宮を訪ねてきた人をもてなすために王妃が用意させた 茶器がセットされた小さな丸テーブルと、小さな椅子が置かれていた。 その…
その夜は、変な時間に深く眠ったせいか、部屋に戻ってもまったく眠れなかった。 寝ようとして目を閉じると、まぶたにはナナの寂しげな顔が浮かんできた。 じりじりした思いで夜が明けるのを待ち、明るくなると早々に部屋を出た。 誰でもいい、昨日なにがあっ…
おれたちは謁見室を後にした。 夜には王と王妃が主催の晩餐会が予定されていたが、それまでは自由な時間だ。 ナナ・ティア・リーナの3人は城下町を散策してくると言って出掛けた。 まさか、またオーウェンの店に入り浸る気じゃねえだろうなと思ったが 下手…