ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 136】 きらきらひかる

『泡美容』という美容液を塗ってから、ナナの顔がまぶしく光輝いて見える件について

おれはオーウェンに尋ねに行った。

 

まさか、そのまま言うわけにいかねえから「王子から相談された」ということにして

話を聞いたのだが、オーウェン「相手が光輝いて見えるのは、本当の気持ちを

隠しているけど、心の中では相手を深く愛している証拠だ」なんてことを言われて

おれは少なからず動揺してしまった。

 

 

平静を装い大股で店を出ようとしたところ、おれはオーウェンに呼び止められた。

 

 

「カイン殿下、1つよろしいでしょうか? 王子様にお伝えいただきたいのですが...」

 

 

ちっ、あと少しなのによ!

 

おれはふ〜っと息を吐いて振り返った。

 

 

「まだ、なにかあるのか?」

 

おれが尋ねると、オーウェンはおれをじっと見つめ穏やかに微笑んでうなずいた。

 

 

「ええ、ひとつだけ。昨日からいろんな方が店に来てお話されましたが、お相手を

 女神様のように美しいと言ったのは、王子様が初めてなんですよ。それほど深く

 愛せる方がいるのはとても幸せなことですと、王子様に是非お伝えください」

 

 

くそっ! 少しおさまっていたというのに、また心臓のヤツが暴れ始めたぜ。

 

「ああ、わかった。伝えるよ」

 

おれは早口で言いながら店をあとにした。

 

 

 

夜になって寝ようとしたが、昼間のオーウェンの言葉を思い出して眠れない。

 

心の中では深く愛してる証拠だと?!

そんなこと言われて、これからどんな顔でナナに会えばいいんだよ。ちくしょう!

 

 

「自分の気持ちに正直になれば、キラキラして見えるのは徐々に改善されますよ」

 

オーウェンの言葉を思い出す。

 

 

自分に正直になれとか簡単に言うけどよ、それって... こ、告白しろってことか?!

おれがナナに?  んなこと、言えるわけねえだろうが!

 

おれは頭を抱え、転がり回った。

 

 

そうやって眠れない夜をすごし、空が明るくなる頃にようやく眠りについた。

 

 

「本当に大丈夫っすか?」

 

「大丈夫よ。あたしが強引にリオスさんにお願いしたって言うから。あなたには

 迷惑かけないようにするわよ」

 

「ねえ、やっぱりあたしが蹴破ろうか?」

 

「ティアちゃん。実力を試したいのはわかるけど、その方がカインは怒るわよ」

 

「そうっす。蹴るのはダメっすよ、おじょうちゃん。確実にその方が怒られます。

 殿下が怒り出してもナナ姫が責任とってくれるなら、じゃあ、やりますね」

 

部屋の外からボソボソと人の声がする。

 

 

おれがぼんやりと目を開けたと同時に、カチャリと音がして扉が開いた。

 

ビックリして飛び起きると、扉の隙間からこちらを覗く3つの顔が見えた。

 

 

「リオス! てめえ、やりやがったな!」

 

目覚めたばかりで頭はまだ覚醒していないが、リオスがカギを開けたことはわかる。

おれは怒鳴り声をあげた。

 

 

「ほうら。あたしの言ったとおり、おにいちゃんはただのお寝坊さんだったでしょ。

 おねえちゃんたら心配しすぎなのよ」

 

ティアは悪びれた様子もなく、扉を大きく開けると笑いながら部屋に入ってきた。

 

 

「カイン! リオスさんを怒らないであげて。あんたがずっと部屋から出て来ないから

 あたしがカギを開けてもらうようにリオスさんにお願いしたのよ」

 

ナナは背後にリオスをかばうようにして、部屋の入口に立ったまま言ってきた。

 

 

リオスの野郎はナナの背後に隠れながら、おれの様子をうかがっている。

 

 

「おい、みんなちょっと待てよ。おれは今起きたばっかりで、頭が働いてねえんだよ。

 おれの部屋のカギを開けるまでに何があったのか、ちゃんと説明してくれよ」

 

おれは目をこすりながら言った。

 

 

いきなり3人でやってきて好き勝手にワーワー言われても、わけがわからねえ。

 

少しバツの悪そうなナナとリオスとは対照的に、なぜか元気いっぱいのティアが

カーテンを次々に開けながら話してくれた。

 

 

話によると、ティアとリオスが例の『修行』とやらをしていると、ナナが訪ねてきた。

おれに用があるとのことだが、しばらく3人で待ってもおれが一向に姿を現さない。

 

ティアは「どうせ寝坊よ」と笑ったが、ナナは「もしかしたら倒れているかも?」

リオスにカギを開けるよう頼んだそうだ。

 

 

「おねえちゃんったら『カインに何かあったのかも』って真っ青な顔してるのよ。

 あたしが『心配いらないって!』と言ってもまったく聞かないんだから」

 

ティアはケラケラ笑い、ナナは恥ずかしそうに顔を赤らめて横を向いた。

 

 

ナナの顔は相変わらずキラキラ光輝いていたが、オーウェンの話を聞いたおかげか

今朝はまぶしくて直視できないほどではなく、普通に見れるようになっていた。

自分の「正直な気持ち」ってヤツを、認められるようになってきたってことか?

 

 

とは言え、おれが部屋から出て来ないのを心配して「真っ青になった」などと聞くと

やっぱり平静ではいられねえ。

 

昨日、オーウェンの話を聞きながらさんざん暴れていた心臓が再び暴れだした。

 

 

「ナナ姫、殿下がなんともなくて良かったじゃないっすか。事情がわかって、殿下も

 あっしのことを怒る気は失せたっしょ。万事解決ってことで、あっしはこのへんで」

 

リオスは真っ赤になって顔をそむけているナナと、おそらく赤いおれの顔を交互に見て

ニヤニヤ笑いながら去っていった。

 

 

「あっ、リオスさん待って! あたしも修行に戻るわ。2人とも、じゃあね!」

 

終始ご機嫌なティアも、リオスを追いかけて弾むように部屋から出て行った。

 

 

 

「...... 本当にただの寝坊なの?」

 

2人きりになったところで、ナナが横目でおれを見ながら言ってくる。

 


「ああ、ゆうべは寝付けなくてな」

 

おれがぐちゃぐちゃになった寝ぐせを手ぐしで整えながら答えると、ナナはひとこと

「そう」とだけ言って、おれの顔を見るとまぶしそうに目を細めた。

 


ナナの表情に胸がドキッとする。

 


ティアがカーテンを開け放って部屋は明るくなったとはいえ、おれは昼近くまで

寝ていたから太陽はすでに高くにあり、日光が室内に差し込んでくることもない。

 

 

おれが立つベッド付近は薄暗いぐらいだぞ。

なのに、こんなまぶしそうな顔をするか?

 


おれはそこでふと思い出した。

 

ナナの誕生パーティーのあと、母ちゃんを家まで送り届けて戻って来たおれをナナは

大聖堂の外で待っていてくれた。

 

 

あのときも、おれの顔を見てナナはまぶしそうに目を細めていたじゃねえか!

 

 

大聖堂から漏れてくる明かりでおれの顔がまぶしく見えたのかと思ったが、あのときは

パーティーも終わり夜も更けたので、大聖堂内の明かりはかなり抑えられていた。

 

オルムたちがいる場所はさすがに明るかったが、それ以外の照明は落とされていた。

 

 

だからこそ、おれは教会の前に人がいることはわかったが、すぐ近くに行くまで

ナナだは気づかなかったんだからな。

 

あの明かりでまぶしく感じるはずがない!

…… と、ということは...。 ま、まさか...?!

 


心臓が早鐘のように激しく鳴り続けている。

おれはごくりとつばを飲み込んだ。

 


ナナは再びおれの顔を見て、まぶしそうにかすかに眉をしかめながら小首をかしげた。

 

「ねえ、カイン。ちょっと聞きたいんだけど。あんた、オーウェンさんにもらった

 美容液を塗ってるわよね?」

 


ナナの質問が核心をついてきたことに動揺しながらも、おれは平静を装って答えた。

 

「ああ。別におれは美肌とか若返りなんかに興味はねえけど、せっかくもらったのに

 使わねえっていうのもオーウェンの野郎に悪いからな。適当に塗ってるぜ」

 


「あんた、適量なんてわかってないでしょ? たぶん塗りすぎだと思うのよ。だって...」

 

ナナはおれの顔を見て再び目を細めた。

 


「へっ、なんだよ。おれ様の顔がキラキラと光輝いて美しく見えるとでも言うのか?」

 

 

ナナから「なに言ってんのよ!」「ふん、馬鹿なこと言わないで!」みたいな返事が

返って来ることを想定しながら、おれは笑みを浮かべからかい口調で尋ねた。

 


予想に反して、ナナは驚きの声を上げた。

 

「どうしてわかるの?」

 


「えっ?!」

 

ナナの答えにおれは小さく飛び上がった。

 

 

「相手が輝いて見えるのは、隠していても心の底では深く愛している証拠ですよ」


オーウェンの言葉が脳裏によみがえり、さらに激しい動悸がして止まらない。

おれは脳裏に浮かんだオーウェンの言葉をかき消すように、首をぶんぶんと振った。

 

 

「ねえ、カイン。あんた、なにか知ってるの? 知ってるのなら隠さないで教えてよ。

 誕生パーティーで美容液を塗ったときから、ちょっと変なのよ。あたし......」

 

ナナは再びおれの顔を見て、顔を紅潮させながらまぶしそうに目を細めた。

 

 

極度の緊張のせいか、口の中がカラカラに乾いてまったく声が出ない。

おれはベッドの横にあるテーブルから水差しを取り、水を汲んで一気に飲み干した。

 

 

オーウェンから聞いたんだ。この『泡美容』とかいう美容液は、肌細胞に出来た傷や

 毒だけじゃなく、心の傷や毒にも効果があるらしい。美容液を塗って見える世界は

 自分の正直な心が本来見ている世界なんだとさ。おれがカッコよく見えるというのは

 おまえは心の中では『カインってなんてカッコイイのかしら』と思ってる証拠さ。

 『カイン様、ステキ』と素直に認めれば、まぶしく見えるのは軽減されるらしいぜ」

 

おれは精いっぱい軽口をたたいた。

 

 

「...... これは正直な心が見ている姿......。自分の素直な気持ちを認める...」

 

ナナは自分に言い聞かせるようにつぶやくと、胸に手を当てて目を閉じた。

 

 

案外、まつげが長いんだな...

 

目を閉じているのをいいことに横顔を見つめていると、ナナはゆっくり目を開けて

再びおれの顔を見てきた。

 

 

紫水晶のような美しい瞳がおれをとらえる。

 

ナナは少しまぶしそうに眉間にしわを寄せたが、目をそらすことはなかった。

おれの話を聞いて、ナナも「自分の気持ち」ってヤツを認められたのか?

 

 

まぶしそうにされても落ち着かねえが、こんな瞳で見つめられるのも落ち着かねえ。

 

 

「と、ところで、今日は何しに来たんだ? おれに用があったんじゃねえのか?」

 

おれは話題を変えることにした。

 

 

「あ、すっかり忘れてたわ。そうなの。あたし、あんたにお願いがあって来たのよ。

 ねえ、付き合って?

 

 

「えっ?!」

 

おれは再び飛び上がった。

 

 

つ、付き合うだと?!

くそっ! さっきから驚きっぱなしだ。寿命がいくつあっても足りねえぜ!

 

 

 

 

 

相手の姿がキラキラまぶしくて直視できないのは、ナナも同じでした~ (*´ω`*)♡

 

ただ、2人とも「まぶしくて相手の顔が見れない!」だと話が進まないので (;´∀`)

お互いに自分の気持ちを素直に認めて、今後は普通に見えるようにしましたよ (^_-)-☆

 

 

「美容液を塗ってから、カインのことが光輝いてまぶしく見えるの」と言うナナ。

 

『相思相愛の確定演出』が出たんだから、ここで「実はおれも...」と言えば、告白の

大チャーンスだったのに~ ( `∀´)ノ

 

カインは軽口をたたいて、最後は話題も替えちゃってチャンスを逃しました~ (+_+)

 

 

まぁ、私がカインの立場でも、動揺して舞い上がっちゃって何も言えないです (;´∀`)

大昔に両想いが確定な人と話せる機会があったのに、私は舞い上がって浮かれポンチで

ただふわふわしていました (;'∀')

 

「大好き」と言いたいけど胸がいっぱいでとても言えず、4文字は無理だから何とか

ガンバって2文字だけ言いました♡(「大」と言ったわけではないですよ ( *´艸`))

 

 

こんな私が書いている話なので、カインも告白までには相当な時間がかかりそう (;'∀')

気長にお待ちください (^_-)-☆

 

と思っていたら、なんとナナから「付き合って」の言葉が Σ(・ω・ノ)ノ!

 

 

しびれを切らしてナナから告白?!

とうとうカップ爆誕か?!

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ