ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 111】まだ未遂だ

ナナの誕生日プレゼントに贈る花のことで、王妃とリオスを対面させたおれは

2人からムーンブルクの発展のためには、あんたの力が必要だ」と力説された。

 

王妃から「ナナだけじゃなく、ムーンブルクも背負う覚悟があるか?」と問われ

おれは肯定の意を込めて、王妃から鉢を取り上げると2人にウインクして見せた。

 

 

おれの覚悟を知った王妃とリオスは「全面的に協力する」と言っていた言葉どおり

それから何日間も、おれがナナに贈る花のために多くの働きを見せてくれた。

 

 

王妃は、花がムーンペタでも順調に生育するように、土を改良したり肥料を工夫したり

主に花本体のことで手を貸してくれたし、リオスはリオスで、鉢をさらに丁寧に彫り

リボンやレースなどで飾るなど、より美しく見えるように力を貸してくれた。

 

 

王妃とリオス、2人のおかげで、おれがナナに贈る花は立派な仕上がりになった。

プレゼントが完成したことには満足したが、おれには1つ気がかりなことがあった。

 

 

ティアとリーナだ!

 

 

おれと王子とリーナがサマルトリアに戻って来た日から、ティアとリーナはほぼ毎日

ティアの自室にずっとこもったままで、ほとんど姿を見せなかった。

 

さらに気になることとして、ガキが2人でプレゼントの準備をしているというのに、

王妃はおれの花の世話にかかりっきりで、ティアたちのことは放ったらかしなのだ。

 

 

おれとナナをくっつけることは、サマルトリアムーンブルクの発展に重要だから。

おれが花のことに無頓着すぎて、自分が手を貸さないといけないと思ったから。

 

王妃がおれに手を貸す理由は考えられたが、それにしてもチビ2人を放置するか?

本来なら、おれよりよっぽど手がかかるはずのガキを放置しているのは解せない。

 

 

ナナに贈る花について、おれたち3人が裏庭であれこれと作業をしているときに

王妃は「ちょっとティアたちの様子を見て来るわ」と言って離れることはあった。

 

だが、王妃は大して長居することなく、すぐにおれとリオスのところに帰ってきた。

 

そして、おれたちのところに歩いてくる王妃は、いつも満足そうな顔をしているのだ!

 

 

なぜだ?

ガキ2人でなにが出来る?

 

おれは考えて、1つの仮説を立てた。

 

もしかしたら、王妃とリオスはおれについているが、ティアとリーナには別の奴が

そばにいて、あれこれとチビたち2人に手を貸しているのかもしれねえ。

 

 

そいつは誰だ?

 

すぐに思いつくのはティメラウスだ。

そう言えばここ数日、おれはティメラウスの姿を見ていない気がする。

 

 

「なぁ、ティメラウスはどうしているんだ? 近ごろ姿が見えねえようだが?」

 

おれは、真剣な表情で鉢にリボンを巻いているリオスに尋ねてみた。

 

 

「あぁ、じいさんっすか? 今、緑の騎士団の主力はムーンブルクに行ってるでしょう。

 それでは城に残っている警備兵は怠けてしまうとか言って、私が稽古をつけてやると

 朝から練兵場に行ってますよ」

 

リオスは作業の手を止めずに答えた。

 

 

「へえ、そうなのか? おれ、ちょっと様子を見てきてもいいか?」

 

こいつらを疑うのは気が引けるが、リオスとティメラウスがおれをだますために

口裏を合わせている可能性もある。

 

 

「どうぞ、行って来てくだせえ。『老いて、なお盛ん』なじいさんが見れますよ」

 

リオスはヒヒヒッと笑った。

 

 

おれが練兵場に向かうと、確かにティメラウスはそこにいて、若い兵士たちを前にして

見事な剣術を披露していた。

 

 『老いて、なお盛ん』 三国志でいうと、黄忠のようなティメラウス☆



額に薄っすら汗を浮かべ、紅潮した顔で剣を振っているティメラウスの姿を見る限り、

今やり始めたことではなさそうだ。

 

ふむ、ティメラウスは違うのか?

 

 

となると、サンチョか?!

 

サンチョは医術に優れ、料理も上手い。手先の器用さで言えばリオスと同格だ。

ティメラウスが違うなら、サンチョがあいつらの手伝いをしている可能性は高い。

 

おれはその足で、練兵場のすぐ近くにある軍医の待機所へ向かった。

 

 

待機所の窓から中を覗くと、サンチョは寝転んで雑誌を読みながら菓子を食っていた。

 

 

 私の中で、サンチョはいつもつまみ食いしているイメージ ( *´艸`)

 

 

視線を感じたのか、ふと顔を上げて、おれに覗かれていることに気づいたサンチョは

動転してあわてて起き上がろうとし、菓子をのどに詰まらせて激しく咳き込んだ。

 

おれは待機所の中に入ると、むせているサンチョの背中をドンドンと叩いてやった。

 

 

「げほっ、げほっ! 坊ちゃん。驚かさないでくださいよ~。はぁ~、苦しかった」

 

ようやく落ち着いたサンチョは、ふぅ~と大きく息を吐いてからおれを見た。

 

 

「けっ、おれのせいにすんなよ。サボっててバチが当たったんだろ」

 

おれは笑いながら、もう1度サンチョの背中をドンと叩いてやった。

 

 

「えへへ、しょうがないじゃないですか~。今はみんなムーンブルクに行っちゃって

 警備兵しか残っていないし、私も朝からなにもすることが無くて暇なんですよ~。

 だからと言って、誰かがケガをしたり何かあったときに軍医が不在では困るから、

 持ち場を離れるわけにもいかないんです。ちょっとぐらい大目に見てくださいよ~」

 

サンチョは頭をかきながら言った。

 

 

「へぇ。となると、おまえは朝からずっとここにいたってわけか。ティメラウスは?

 あいつも朝からずっといるのか?」

 

「ええ。おじょうちゃんの教育があるときは、ずっと来ていなかったんですけどね。

 最近はなんかおじょうちゃんの教育が休みになったとかで、もう毎日ここに来て

 張り切って兵の指導をしていますよ。老兵が、老いてますます元気になりましたな」

 

サンチョはわははと豪快に笑った。

 

 

サンチョは持ち場を離れられない。

ティメラウスも練兵場に来ている。

 

う~ん。ならば、この2人がティアとリーナの手伝いをしているとは考えにくいな。

 

 

王妃とリオスは、毎日おれと一緒にいる。そして、ティメラウスもサンチョも違う。

 

となると、本当にあいつらは2人だけでプレゼントの準備をしているというのか?!

 

ガキ2人だけで?!

あいつらは、いったいなにをナナにあげるつもりだ? 

 

 

 

ナナの誕生日プレゼントについて、おれは何度も1人で考えをめぐらせていた。

 

おれがナナに贈る花は、王妃とリオスの協力もあって、かなり良いものになった。

誕生日当日にはまだ花が咲かないという点だけが残念だが、ナナは確実に喜ぶだろう。

 

 

オルムはどうせ、また雷神丸に関するつまらねえものだろうし、レオンに関しても

自分の趣味に走っただけの、どうでもいいものを用意しているに違いない。

 

 

王子は... 論外だ。

あいつはまたローレシアで人気」とか言って、くだらないものを出してくるだろう。

 

そう言えば『ロトの印のステッカー』は大人気で、改良版が発売されたという。

 

王子が「ステッカーの改良版が出たんだよ!」とウキウキしながら出してくる姿が

目に浮かぶようだぜ。うん、心配いらねえ。あいつは所詮、その程度だ。

 

 

1番の気がかりはオーウェンだ。

「全部の女の子が絶対に喜ぶ」オーウェンが自信満々で言っているからな。

 

あいつが今までのように、女どもの関心を一気にかっさらっていくのは予想できた。

ただ、逆に「全部の女の子が喜ぶ」というところにおれの勝機がある。

 

 

『ナナが』ではなく『全部の女の子が』というところには、まったく特別感がねえ。

おれの花は『ナナが』確実に喜ぶものだ。その点では勝てるかもしれねえ。

 

 

「ナナが確実に喜ぶ」という点で、オーウェンにも勝てると踏んで、おれは今年も

勝利を確信して安心していたが、ここにきて俄然、ティアとリーナが気になってきた。

 

ガキが用意するプレゼントなんて大したことないと思って気にも留めていなかったが、

あいつらが2人だけで準備していること、そして様子を見に行った王妃が、毎回いつも

ニコニコしながら満足そうな顔をして戻ってくることが、なんせ気になる…。

 

 

ええい! 考えていても仕方ねえ!

 

みっともねえ気もするが、おれはティアの部屋を覗きに行くことにした。

 

もし、覗いているところを見つかってあいつらに騒がれたら「部屋にこもりっきりで

心配だったから、ちょっと様子を見に来ただけだ」とでも言えばいい。

 

 

おれはリオスを真似て忍び足でティアの部屋まで行き、こっそり中を覗こうとした。

 

おれが扉の持ち手に手をかけた瞬間、持ち手はおれの手から離れ部屋の扉が開いた!

トイレにでも行こうとしたのか、ティアがおれの目の前に現われた!

 

げっ! こんなタイミングがあるかよ!? くそっ! なんてツイてねえんだ!

 

 

「おにいちゃんっ! こんなところでなにしてるの?」

 

ティアにキャーッと大声を出されて、おれはとっさに言い訳することも出来なかった。

 

 

「ねえ! 今、あたしの部屋を覗こうとしていたでしょ?

 おにいちゃんのエッチ! 女の子の部屋を覗くだなんて

 ひどいわ、最低よっ!」

 

ティアに一方的にまくしたてられた。

 

 

ティアの大声を聞いて、部屋の中からリーナもぴょこっと顔を出した。

 

 

「おにいちゃん、ダメ! なにをあげるのかは内緒なの!

 プレゼントの中身は、当日までのお楽しみなのよ!」

 

 

「当日までのお楽しみ」とは、オーウェンに言われた言葉を覚えているのだろう。

おれはティアだけでなく、リーナにまで怖い顔で詰め寄られた。

 

 

覗きの疑いで、ガキ2人に取り囲まれてガミガミ言われているなんて情けねえ。

 

そうだ、おれはまだ覗いてねえんだ! 覗いた後でゴチャゴチャ言われるならまだしも

これは未遂じゃねえか!

 

 

隙をついて逃げ出そうとしたが、ティアもリーナもおれの腕をがっしりつかんでいる。

 

に、逃げられねえ...。

 

くそっ! 未遂だっていうのに!

とほほ... こりゃ完全に現行犯逮捕だな。

 

 

 

 

2022年最後の投稿がコレ ( *´艸`)

 

前回は、王妃とリオスを前にムーンブルクの未来も背負う覚悟でナナを想う!」

カッコいい姿を見せてくれたカインですが、今回は一転して情けないことに (;´∀`)

 

ずっと部屋にこもりっきりで、幼い女の子2人だけで誕生日プレゼントを用意していて

様子を見に行った王妃は、いつも満足そうな笑顔で帰ってくる... そりゃあ、確かに

気になっちゃう気持ちはわかるんだけど、妹の部屋を覗いちゃダメでしょ ( *´艸`)

 

運悪く(?)覗く前に見つかって「まだ未遂」と逃げようとするのも情けない (;´∀`)

 

 

ナナへの一途な想いを明らかにするカッコいいカインも大好きだけど、今回のように

 

情けないけど可愛い♡

 

そんなカインの姿を書けて、個人的にはとても満足しています ヾ(*´∀`*)ノ

 

 

さて。ティアとリーナ、女の子2人だけで準備しているナナへの誕生日プレゼント☆

 

一方、王妃やリオスの手を借りて(というかほとんど丸投げ状態 ( *´艸`))で完成した

カインからの誕生日プレゼント☆

 

勝つのはどっちなんでしょう?

 

 

さらに、カインは「目下のライバルはオーウェンだけだ」とタカをくくっていますが

カインの眼中にはない、オルム・レオン・王子が用意するナナへの誕生日プレゼントは

いったい何なんでしょう?!

 

カインは、本当に余裕をかましていて大丈夫なんでしょうか ( *´艸`)?!

 

 

いや~、ここにきて大いに盛りあがってきましたね~☆(あれ? 私だけか... (;´∀`)?)

大いに盛りあがったまま、ナナの誕生パーティーの話は来年へとつなげましょう~♪

 

 

今年は2年以上も休止していたブログを再開しましたが、みなさまに読んでいただいて

楽しく更新できました (≧∇≦)

 

本当にありがとうございます♡

 

来年も、週1ぐらいのペースで更新しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

よいお年をお迎えください☆

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ