ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 131】 人だかり

王子が青の騎士団の護衛たち2人と馬に乗って帰るのを見送った後、おれとティアは

ナナとリーナに簡単な挨拶を済ませ、おれはその場でルーラの呪文を唱えた。

 

呪文は一瞬のうちに、おれたちをサマルトリア城下町の入口へと運んだ。

 

 

ティアは片方の手にリーナから手渡された花を持ち、もう片方の手はおれがルーラを

唱える前と同じく、おれの腕をつかんだまま嬉しそうに城下町を歩いている。

 

おれもナナの誕生パーティーが大成功に終わって、晴れやかな気持ちで久しぶりの

故郷の風景を味わっていた。

 

 

城下町を進んでいくと、ある場所に多くの人が集まり、人だかりが出来ていた。

 

 

ここには濃い緑色の屋根に薄い緑色の壁

 

  この看板が目印☆

 

入口にバブルスライムのイラストが描かれた看板を掲げる店があるはずだが、

人がごった返して店は見えなかった。

 

 

オーウェンさんのお店、たくさん人がいるわね。みんな、あの『泡美容』とかいう

 美容液を買いに来たのかしら?」

 

ティアは背伸びして店を見ようとした。

 

 

オーウェンの野郎、サマルトリアでも売りたいって急いで帰ったぐらいだからな。

 昨夜のうちに準備して今朝から大々的に売り出して、今こうなってるんだろうよ」

 

おれも少しだけ首を伸ばしてみたが、ものすごい数の人がいて店の様子はわからない。

 

 

ティアは背伸びでは無理だと思ったらしくその場でピョンピョン飛び跳ねているが、

おれでもまったく見えねえんだから、ティアが何をしたって見えるはずない。

 

 

かと言って、これだけ荷物を持たされてるのに、さらにティアを肩車して店の様子を

見せてやるような余裕はなかった。

 

 

けっ。今ごろ馬に乗ってローラの門を視察している、あの馬鹿力の坊ちゃんなら

軽々とやってのけるかもしれねえけどな。

 

王子のために サイラスを追い払い、王子のために 護衛をそそのかした

 

それなのに、おれたちには「元気で」のひとことだけ掛けて、颯爽と馬にまたがり

悠々と帰っていった王子の姿を思い出して、おれはまただんだん腹が立ってきた。

 

 

ちっ、二日酔いも完全には回復してねえからな。胃がムカムカしてくるぜ。

おれは腹の中をグルグルするムカムカを吐き出すように、ペッとつばを吐いた。

 

 

オーウェンに会いてえんなら、人が少なくなるまで待つか? ただ、この状況だと

 どれだけ待つかわからねえぞ

 

おれはティアに尋ねた。

 

 

「今日会うのは無理かしらね...」

 

ティアはしょんぼりしている。

 

 

とりあえず、店の前は美容液を買い求める奴らが多すぎてどうにもならねえ。

おれたちは少し移動することにした。

 

 

「気をつけて歩けよ」

 

おれはティアが歩きやすいように、人ごみをかき分けながらゆっくりと進んだ。

 

 

店の前を通りすぎ、『泡美容』を買い求める連中から離れたところまで進んで行くと

ようやく人ごみからは解放された。

 

この場所ではすでに美容液を買った奴らがさっそく試していて、お互いの顔を見ながら

キャアキャアはしゃいでいる。

 

 

おれは、はしゃぐ女たちの顔を眺めた。

 

オーウェンの美容液には効果があるようで、肌のくすみが取れたりシワが薄くなったり

使った奴らは確かに綺麗になっている。

 

 

だが… 誰がどんなに綺麗になっても、ナナのように光輝いて見えることはない。

『泡美容』を使ったナナはキラキラと光輝いて、直視するとまぶしいぐらいだ。

 

 

ただおかしいのは、そう感じているのはどうやらおれだけらしいってことだ。

昨夜からの周りの反応を見ても、おれ以外の奴らには特に変わった様子はない。

 

誕生パーティーのときはナナの美しさを讃えていた奴らも、パーティーが終われば

いつもどおり平然とナナに接している。

 

 

もし、おれが見ているようにナナが光輝いて見えるなら、誰かが何か言うはずだ。

 

王子の馬鹿が、隣にミリアがいるのに「ナナ、すごくキラキラしてるね」などと言って

その場の空気を凍りつかせるとか。

 

オルムやレオンが「姫様、本当に綺麗になったよな~」みたいに大げさにはやし立てて

「なによ、あたしが今まで汚かったってこと?」とナナに睨まれるとか。

 

そうだ。誰かが声をあげてもおかしくない。

 

 

まず何より、1番うるさいティアとリーナが何も言わないなんてありえねえ!

 

 

ということは、ナナがキラキラと光輝いて見えているのは、おれだけだということだ。

そして、原因はおそらくオーウェンのこの『泡美容』とかいう美容液のせいだろう。

 

 

『泡美容』を塗ってからというもの、おれは自分自身に確かな異変を感じている。

 

なぜ、おれだけに異変が起きている?

美容液の成分に問題はないのか?

 

 

今すぐにでもオーウェンを問いただしたい気分になり、おれは振り返った。

 

振り返った先は相変わらず人がごった返していて、店の様子はまったく見えない。

おれと一緒に振り返ったティアが、隣で大きくため息をついた。

 

 

...... しかたねえ、日を改めよう。

 

おれとティアはオーウェンに会うのを諦め、城へと帰ることにした。

 

 

先に進むと、いつものように落ち着いてのどかなサマルトリアの風景が戻って来る。

 

おれたちは「魔法を売る店」「ハンマー&スチール」などの店をひやかしながら

サマルトリア城に入った。

 

 

入城してから真っ直ぐティアの部屋まで行き、持っていたバスケットと肩にかけた袋を

部屋の絨毯の上に置くと、おれはようやくホッとひと息ついた。

 

これぞ「肩の荷が下りる」だな。

 

 

ティアは空いている花瓶に水を入れ、リーナからもらった花をその花瓶に生けると

「ありがとう、おにいちゃん」とにっこり笑っておれに礼を言ってきた。

 

 

「あたし、これからお母様のところに行ってくるわ。話を聞かせてって言われてるの」

 

王妃に会えるのがよっぽど嬉しいのか、ティアはおれの返事も聞かず、弾むように

そのまま部屋を飛び出していった。

 

 

くそっ! おれも王妃に礼を言いに行きたかったのに、妹に先を越されるなんてな!

 

挨拶が遅いだのグダグダ言われる前に、王妃に礼を言ってさっさと終わらせたかったが

ティアが先に行っちまった以上、しばらくは会いに行けそうもねえ。

 

今から母娘2人して、くだらない話でキャアキャア騒ぐのは目に見えてるからな。

あの2人のつまらねえ無駄話に巻き込まれるのはごめんだぜ。

 

 

じゃあどうしようかと思っているうちに、いきなりどっと疲れが襲ってきた。

 

まぁ、無理もない。

昨夜は酔いつぶれるまでオルムとレオンに飲まされた挙句、寝不足と二日酔いのままで

大聖堂の片づけをおこない、王子のためにサイラスを追っ払ってやって、王子のために

護衛たちをそそのかしてやった。

 

しかも道中はずっとティアに大荷物を持たされて、ようやく帰って来たんだからな。

さすがのおれ様でも疲れが出て当然だ。

 

 

王妃以外にリオスとサンチョにも礼を言うべきところだが、とにかく今は疲れた。

 

あいつらはすぐに挨拶しなくても文句は言わねえだろうし、ひと休みしている間に

王妃とティアのくだらねえ無駄話も終わるかもしれねえしな。

 

 

おれはティアの部屋を出て自室に向かうと、そのままベッドに倒れ込んだ。

 

 

...... ふと目を覚ますと、窓から夕陽が差し込んでくるのが目に入った。

ほんの少しだけ寝るつもりが、どうやらかなり長い時間寝てしまったようだ。

 

おれは起き上がり、大きく伸びをした。

ぐっすり眠れたことで疲れはすっかり取れ、二日酔いも消えて身体は回復していた。

 

 

だが、寝すぎちまったな。

今から王妃に会うのは難しいぞ。

 

王妃は、日中は王宮に来たり庭を散策したりしているが、特に王宮で用事のない日は

陽が暮れる前に後宮に帰っちまう。

 

おそらく今頃はもう後宮に戻っているか、戻ろうとしている最中だろう。

 

後宮は親父以外の男子禁制だから、おれは入口で王妃を呼び出さなければならない。

侍女に頼んで呼び出してもらえば会えるが、そこまでしてもらうのは気が引けた。

 

 

寝ちまったもんはしょうがねえ。今日はもう諦めて、王妃に会うのは明日にしよう。

他に会うとしたら、リオスかサンチョだな。

 

 

リオスはティメラウスの部屋にいるだろうか? あいつはどうも神出鬼没でつかめない。

ティメラウスの部屋にいれば良いが、いなかったら今から探すのはめんどくせえな。

 

サンチョは、今日もサマルトリア緑の騎士団の軍医待機所で何か食ってるに違いない。

会いやすさから言えばサンチョか?

 

 

待てよ、そうだ!

 

今日からローレシア青の騎士団がムーンブルク再興の当番になったってことは

緑の騎士団は、おそらく明日のうちにはサマルトリアに帰って来るだろう。

 

モルディウスが帰って来たら、サンチョも今までみたいにのんびり出来ねえだろうし

おれがサンチョに会いに行ったら、モルディウスにまたゴチャゴチャ言われるだろう。

 

となると、サンチョに会うのは今日がベストってことだな。

 

 

「よし、決まりだ!」

 

おれは気合を入れて勢いよく立ち上がると、緑の騎士団の軍医待機所に向かった。

 

 

 

 

後半はずっとカインの独り言 (;'∀')

ようやくサマルトリアに帰って来ましたが、相変わらず話は進みませんね~ (;´∀`)

 

 

オーウェンがプレゼントした『泡美容』という美容液を塗ってから、とにかくナナが

キラキラ輝いてとても可愛く見えて、調子が狂いっぱなしのカイン ( *´艸`)

 

「ヤバい変な成分でも入ってるんじゃねえか?」とクレームを言いたいところですが

オーウェンの店は『泡美容』を買い求めるお客さんで大盛況ヾ(*´∀`*)ノ

 

店に入るどころか、人が集まりすぎて店の外観も見えない状況です (;´Д`)

今日は無理だとクレームを言うのは諦めて、カインはティアと一緒に城へ帰ることに。

 

 

ようやく帰って来れたけど、カインは寝不足&二日酔い&荷物持ちでヘロヘロ (;´Д`)

(回復呪文を唱えたけど「ベホイミ」じゃ回復量は少ないからね~ ( *´艸`))

 

 

ちょっとだけ寝るつもりが、つい夕方まで寝てしまい王妃に会うのも断念 _| ̄|○

 

明日、サマルトリア緑の騎士団が帰って、モルディウスにゴチャゴチャ言われる前に

サンチョにお礼を言いに行きますよ☆

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ