ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 45】絵になる美女

ムーンブルク王の遺骨を無事に西のほこらに安置してもらって

ついでに故郷に帰っていたという(?)リオスを復興の味方に加えることが出来た。

 

おれは充分な成果にすっかり満足して、ムーンペタの町に向けて馬を走らせていた。

 

 

町に近づいていくと、門扉にもたれかかるようにして空を眺めている女の姿が見えた。

 

遠目でハッキリとした容姿は見えないが、遠くからでも女はかなり美しいとわかる。

暮れかけた空と、少し寂しげにたたずむ美女の姿は、絵になる美しさだ。

 

風景ごと切り取って、部屋に飾って眺めたい… そんなバカみてえなことを考えながら

まるで吸い寄せられるように女に近づいていったおれは、女の姿を見てギョッとした。

 

 

ナ、ナナじゃねえか!

 

慌てて思わず手綱を強く引いたところ、馬が抵抗してヒヒーンと声をあげた。

 

そのいななきを聞いてナナがこっちを見る。

ナナのところからも、きっとおれの姿はギリギリわかるぐらいだ。

 

これだけ離れていれば、おれだとまだ気づいていない可能性もある。

それに、これだけ距離があれば引き返してもナナは追いつけないだろう。

 

やべえ! どうする? 引き返すか?

他人の振りをして急いで通りすぎるか?

 

すぐ決断できないでいるうちに、ナナは驚いた顔でおれのところに駆け寄ってきた。

走ってくるナナを前に、おれは身動きがとれなくなった。

 

 

顔が見えるところまで近づいて、やっぱりおれだと確認したナナは大きな声をあげた。

 

「カ、カイン?! えっ、本当にカインなの?

 あなた、なんでこんなところにいるのよ?」

 

馬上にいるおれを見上げるナナの目は、赤く充血して潤んでいるように見える。

 

 

おれがここにいる理由をどう言い訳しようかと、頭の中はずっとフル回転していたが

ナナの沈んだ表情を見たとたん、おれは一瞬にして思考停止状態になった。

 

… 寂しげに見えたのは、泣いていたのか?

 

悲しげな表情が気になったおれは、すぐに馬から降りてナナと正面から向き合った。

やっぱりナナの目は赤く充血していて、うるうると涙を貯めている…。

 

 

「おまえこそ、こんなところでなにやってんだよ? … なんかあったのか?」

 

「あたしが先に質問してるんでしょ!」と普段のナナなら言い返してくるところだが

おれの質問にナナは暗い顔で目を伏せた。

 

「なんだよ、なにがあったんだよ?」

 

畳み掛けるように問うと、ナナは顔をあげておれの顔を黙ってじっと見つめてきた。

 

 

しばらく重苦しい沈黙が続いたが、ナナが話し出すのを根気強く待っていると

ふぅ、と小さなため息をついて、ナナはようやく重い口を開いた。

 

「不思議よね…。カインがいてくれたら良いなって思っていたら現れるんだもの」

 

 

質問の答えにはなっていなかったが、ナナの言葉で一気に心拍数が上がった。

 

おれがいてくれたら良いなって思っていた... だと?

なにがあったのかは全然わからねえが、おれを頼りにしてくれたってことか。

 

やべえ。このままじゃ心臓がどうにかなっちまいそうだぜ。

おれの胸はナナに聞こえるんじゃねえかと思うぐらい激しく動悸を打っていた。

 

 

「… なにが、あったんだよ?」

声が上ずらないように気をつけながら、おれはもう一度、ナナに同じ質問をした。

 

ナナは表情を曇らせたままつぶやいた。

 

「あたしからはとても話せないわ。良かったら、一緒に来てくれない?」

 

ナナの口からは話せないようなこととなると、余程つらいことがあったのだろう。

 

おれはうなずき、馬の手綱を引きながらナナと一緒に町の中に入った。

 

 

宿屋に礼を言って馬を返し、ナナに促されるままおれは教会へと向かった。

 

ナナはずっと押し黙ったまま、うつむき加減でとぼとぼと歩いている。

かける言葉が見つからなくて、おれも黙ったままナナの後をついていった。

 

 

教会の奥にある小部屋に入ると、神妙な顔で座るアルファズルが目に入った。

 

そして、アルファズルの向かいには、意外な人物がうなだれて座っていた。

 

f:id:john0910:20171207061755j:plain ローレシア青の騎士団長サイラス

 

 

「カ、カイン殿下、どうしてこちらへ?」

 

サイラスは小部屋に入ってきたおれを見て、目を見開き驚いた顔を見せたが

おれはサイラスの顔に驚いた。

 

目の下には黒いクマが出来ており、顔は青白く、頬は痩せこけていた。

 

 

サイラスがこんなにやつれるなんて…

まさか、王子の身になにかあったのか?

 

 

 

 

一難去ってまた一難… でしょうか?

もう40話以上になるというのに、ちっとも話が進みませんね… (;´∀`)

 

ムーンペタの入り口で空を見上げながら1人でたたずむ美女。

「絵になる美しい女だな~」とカインがうっとりしながら近づいてみたら

カインが見惚れたその美女は『ナナ』だったというオチ… ( *´艸`)

 

最初は、町内で偶然バッタリ会う設定を考えていましたが、どうせなら

カインがナナだと気づかずに見惚れる方がおもしろいよな~と思って ( *´艸`)

このような展開にしました!

 

ナナが「カインがいてくれたら良いなって思っていた」と言ったのは

カイン × ナナのラブラブ展開を期待する読者様へのサービスのつもりです ( *´艸`)

(嘘です。本当は私がただ書きたかっただけです (;´∀`))

 

 

うつむいて涙を浮かべているナナ…

げっそりとやつれたサイラス…

神妙な顔をしているアルファズル…

 

一体、なにがあったんでしょうか?

 

 

次回もお楽しみに~ヽ(*´∀`*)ノ