ロトの印のステッカーを胸に、ナナと「おれたちの心は1つ」と誓いを立てた。
この誓いが、おれの考えた策にどう影響するかはわからねえが、おれの真剣な想いは
ナナにも伝わったはずだ。
おれは「なるようになるさ」と開き直って、あとは当日を待つことにした。
ムーンブルク再建の日。
その日は朝から晴れ渡っていた。
雲1つない青空がどこまでも広がり、爽やかな風がそよそよと吹いている。
おれは、朝からずっとそわそわして落ち着かないティアを急き立てた。
「ったく! なにも持って行かなくて良いんだよ。なにをバタバタしてんだよ!」
「おにいちゃんはわかってないのよ! 女の子はいろいろと大変なんだからね!」
「あんまりモタモタしてると置いてくぞ」
おれたちが言い争っていると、ティメラウスがおれを呼びに来た。
ブライではなく、カインの剣の師匠ティメラウスです
バブルスライムハンターのオーウェンが城門前に来ているとティメラウスは言った。
「ティア、もう行くぞ!」
おれはティアを置き去りにして、ティメラウスと一緒に城門前へと向かった。
「えっ、ちょっと! ねえ、2人とも、待ってよ! あたしを置いてかないでってば!」
ティアは慌てて追いかけてきた。
おれはオーウェン、ティメラウス、ティアと共にムーンブルクへと降り立った。
ムーンブルク周辺は圧巻の光景だった。
近くの海岸には何隻もの船が停泊し、たくさんの男たちが船から降りてきていた。
「おう、元気だったか?」
頭上からの声に見上げると、ルプガナ船団長が船からおれを見下ろしていた。
「ルプガナ船団長! あんたも元気だったか? いやぁ、すげえな。この船の数」
「ははっ、我が船団の力を見せつけようと思ってな。こうして見ると圧巻だろ!
それよりぼうず、あっちを見てみろよ、どうだ? 懐かしいだろ?」
船団長が指を差した先に目を向けると、そこには『雷神丸』が停泊していた。
「おぉ、あれは『雷神丸』じゃねえか! ってことは、オルムも来てるのか?」
「ああ、来てるよ。あいつは先にムーンブルク城の方へ向かっていると思うぜ」
「へぇ。じゃあ、おれたちも城へ向かうよ。あとであんたも来るんだろ?」
「あぁ、この荷物をおろしたらすぐに向かうさ。じゃあ、またあとでな」
今日の集合場所は、ムーンブルク城のすぐそばにある、だだっ広い草原だ。
そこにはすでに人だかりが出来ていた。
人ごみの中をうろうろしていると、レオンとオルムが談笑しているのが目に入った。
「よおっ、カインじゃねえか!」
このブログでのレオン(笑)
私は棚橋選手のファンです (*´ω`*)♡
おれを見つけたレオンが笑顔で近づいてきた。後ろからオルムも笑顔でやって来る。
「あんたたちも元気そうだな! レオンには、事前に今日のことを話してあったけど
まさか、オルムも来てくれるなんて思ってなかったぜ。ありがとよ」
おれの言葉にオルムはニッと歯を見せた。
「船団長に誘われてな。おれもあんたたちに会えるのは嬉しいし、最近は雷神丸も
めっきり動かしてなかったからよ。いい機会だと思って一緒に来たんだよ」
「おれも少しだけど、あんたたちと一緒に旅をしたからな。なんだか懐かしいぜ」
レオンとオルムと旅の思い出を振り返っていたところ、おれを呼ぶ声が聞こえた。
「カイン、カインよ! 探したぞ。そなた、こんなところにおったのか」
声に振り向くと、グランログザー師匠が手を振りながら近づいてくるのが見えた。
「グランログザー師匠!」
すぐに師匠のもとに駆け寄ると、師匠はおれを見上げてニッコリと微笑んだ。
「いやあ、頼もしくなったのお」
まぶしそうにおれを見上げる師匠を見て、おれは軽口をたたいた。
「なんだよ、また1番弟子のダクダクバンボに似てきたとでも言うつもりか?」
おれと師匠は顔を見合わせ大笑いした。
「おおっと、こんな話をしている場合じゃないんだ。カインよ、デルコンダルには
まだ30人ほどの男たちが迎えを待っているようじゃ。一緒に迎えに行くぞ」
おれはうなずき、師匠のルーラで一緒にデルコンダルへと向かった。
グランログザー師匠の言う通り、デルコンダル闘技場には30人ほどの男たちがいた。
その中に意外な男が混じっている。
「ガルダー?! てめえ、なんでこんなところにいるんだよ?」
体格の良い男たちとなにやら熱く語り合っている男を見て、おれは声をあげた。
「おお、ぼうずか。ここに来れば、どうせ誰かが迎えに来るだろうと思ってよ。
王子に最強の武器はもらったが、まだ最強の防具は手に入れていないからな。
最強の防具を探す旅をしつつ、今日に合わせてここに来たってわけだ」
「それで、最強の防具は見つかったのか?」
「いや、まだだ。いろいろ見てまわっても、コレというものが見つからなくってよ」
「おまえも訪ねていたみてえだが、やっぱり最強の防具はテパのドン・モハメが織った
『みずのはごろも』だろ。おまえもあのじいさんに頼んで、織ってもらったらどうだ?
そして、ナナとおそろいで着るがいいさ」
この屈強なガルダーが、キラキラ輝く『みずのはごろも』を身にまとう姿を想像して、
おれは思わず吹き出した。
「てっめえ、おれをからかってんのか!」
ガルダーは笑いながらおれをなぐるマネをした。おれも笑いながら逃げるふりをする。
「カッカッカッ、おちびさんたちよ! 待たせたな!」
頭上から轟くような大声がした。
見上げると、竜王のひまごがおれたちを見て、炎を吐きながら降りてくるのが見えた。
やれやれ、またうるさい奴がやって来たな。
「デルコンダルからムーンブルクまで人を運ぶのは、このわしにまかせておけ!
わしのこの雄大な翼を使えば、あんなところまではピューッとひとっ飛びじゃ!」
竜王のひまごは翼を左右にめいっぱい広げて、大きく胸(?)を張った。
実際のところ、このおっさんの背中に乗れるのは、せいぜいが3~4人程度だ。
空を飛んで移動できるとはいえ、輸送の観点で言えばルーラの方がよっぽど早い。
運べる人数は少ないし、時間もかかる。おっさんのやり方は、かなり効率が悪い…
だが、そんなことを言ったら、このおっさんはまたいじけるだろうからな。
「よおっ、おっさん。よろしく頼むぜ! まずはこいつを連れてってくれよ」
おれは、にこやかにひまごの元へ近寄ると、ガルダーをあごでしゃくった。
「よしよし、わしにまかせとけ! そこの男、わしの背中に乗るがいいぞ」
「え? おれがかよ?」
「そうじゃ。この王の中の王、竜王のひまごの背中に乗れるなんて名誉なことじゃろ?
乗りたくてたまらんじゃろ? ん? ん?」
ガルダーは戸惑った顔をしながらも、竜王のひまごからくる圧力に諦めたらしい。
近くにいた数人の男たちを手招きして、一緒に竜王の背中に乗った。
へへっ、竜王のおっさんよ。ガルダーを思う存分、きりきり舞いさせてやるがいいぜ!
ガルダーたちを乗せた竜王のひまごは、上空に炎を吐き出すと飛び立って行った。
おれは竜を見送った後、まだ闘技場に残っている連中を集めて、呪文を用意した。
「二つの点は一つの点に。星幽界の守護者よ、われをかの場所へと導きたまえ。ルーラ!」
旅で出会ったいろんな仲間たちを、みんなまとめて大集合させてみました ( *´艸`)
登場人物全員のセリフを色分けしたら、カラフルで目がチカチカしますね (;´∀`)
世界中から「ナナのために!」と、これだけの人たちが一気に大集結するんだから
ナナは女冥利につきますね (*´ω`*)
神出鬼没で、集合場所にただ真面目にやって来るとは到底思えないガルダーと、
ただ静かにやって来るだけでは、イマイチおもしろくない竜王のひまご ( *´艸`)
どう登場させようかと悩んだんですが、考えるのもめんどくさくなって、 2人まとめて
飛ばしちゃうことにしました ( *´艸`)♪
さて、役者は揃いましたね (≧∇≦)
いよいよサプライズ決行です☆
次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ