ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作番外編 ⑦】 ティアの大冒険 ~お宝?~

サマルトリアを出発してから、かれこれ何日ぐらい経ったのかしら?

何日も歩き続けて、あたしたちはようやく「勇者の泉」の入口にたどり着いたのよ。

 

 

やっと洞窟の入口が見えて嬉しくなって駆け出したあたしの前に、ブクブクと泡立つ

流動体が流れてきたの。

 

    あ~そ~ぼ♪

 

バブルスライムだわ。

 

 

遠目で見てる分には可愛いけど、実際に目の前に立ちはだかれるとムカつくわね。

しかも、こっちはあたしとクリフトの2人で戦うのに、向こうは4匹もいるのよ。

 

ずるいわよね、不公平だわ!

 

 

さらにおバカなクリフトが調子に乗ってお粗末な攻撃するもんだから、倒し損ねた

バブルスライムに余計な攻撃をされて、2人とも毒を受けちゃったのよ。

 

もうっ! クリフトのバカ!

 

 

毒のせいで足は腫れるし、息苦しくて大変だったけど、クリフトが汚名返上で何とか

最後の1匹をやっつけて、あたしたちはようやく勝つことが出来たの。

 

 

その後、あたしもクリフトも、リオスさんとティメラウスの治療で回復したんだけど

洞窟の中はジメジメぬるぬるして汚くて、休憩する場所を探すだけでもひと苦労だわ。

 

あたしたちは洞窟の前で火をおこして、ひと晩休んでから洞窟に入ることにしたの。

 

 

翌日、リオスさんがたいまつに火をつけて、あたしたちは洞窟に入ったわ。

 

コケが生えてカビ臭い匂いが鼻につく。

 

 

しばらく歩いていると、リオスさんは「じいさん、まかせた!」とティメラウスに

火のついているたいまつを手渡し、別のたいまつに火をつけて脇道に向かったの。

 

 

リオスさんについて行った方が良いのかわからなくて、あたしたちが待っていると

少し経って戻ってきたリオスさんは「クリフト!」と声をかけて手招きしてきたわ。

 

クリフトが近づいていくと、リオスさんはクリフトの持っていた袋を取りあげて

中に何かをポンっと放り込んだの。

 

 

「宝が眠ってそうなニオイを感じたんっすけどね。しけた薬草しか無かったっすわ~」

 

リオスさんは苦笑いしている。

 

 

なぁんだ。ただの薬草か。

そうよね。こんな薄暗くて汚いところにそんな素晴らしいお宝があるわけないわよね。

 

あたしたちは気を取り直してバプテスマというおじいさんがいる泉を目指したの。

 

 

すると、リオスさんが「あっ!」と声をあげて、また脇にそれて行ったわ。

 

さっきの小道とは違ってほら穴みたいなところに向かったリオスさんは、身をかがめて

ほら穴の中に入っていき、なにか袋のようなものを手にして戻ってきたわ。

 

そして、穴から出て来るとあたしたちを見てニヤリと笑ったの。

 

 

リオスさんはニヤニヤしながら弾むような足取りであたしたちの前に歩いてくると、

手にした袋を振ってみせたのよ。

 

巾着袋がじゃらじゃら音を立てる。

 

 

「へへっ、大した金額じゃなさそうだけどな。まぁ、無いよりはマシってところか」

 

リオスさんはふふんと鼻で笑った。

 

 

「まぁ! すごいじゃない。お宝って言ったってどうせろくなものないと思っていたけど

 お金が落ちていることもあるのね!」

 

あたしは俄然やる気が出たわよ!

 

 

薬草や毒消し草に興味はないわ。

だっておにいちゃんからもらったのが、まだまだ山ほど残ってるんだもの。

 

薬草や毒消し草しかないなら、こんなぬるぬるした場所で転んじゃう危険もあるのに

お宝探しなんてごめんだわと思ってたの。

 

 

でも、お金があるなら話は別よ!

 

ナナおねえちゃんも言ってたもの。

「ティアちゃん、お金は大事よ」って!

 

 

あたしは周りを見回した。

 

洞窟の壁に目を向けると、リオスさんがお金を拾ったほら穴よりもひと回り小さな穴が

開いているのが見えたのよ!

 

 

いかにも秘密の場所って感じ。あの穴にはきっと、もっとスゴいものが入っているわ!

 

 

「ねえ、この穴にもお宝ありそうよ!」

 

あたしは近くに走って行くと、穴の中に腕をぐいっと入れた。

 

 

「あっ、そこは!」

「姫さま、あぶない!」

 

リオスさんとクリフトが同時に叫ぶ。

 

 

穴の中をゴソゴソ探っていたあたしの指先に、なにかが触れるのを感じたの。

 

 

次の瞬間!

 

ぷすっと指先になにかが刺さる感触がして、全身の血の気が一気に引いたわ。

 

 

 

「きゃあああぁ!」

 

大声で叫んで穴から腕を引き抜くと、あたしの指に噛みついている蛇が一緒になって

ぶら〜んと垂れ下がって出てきたの。

 

 



「姫さまっ!」

 

クリフトが鞘から剣を抜きながら走って来て、垂れ下がる蛇を途中で斬り落としたわ。

 

その後、クリフトは蛇の頭の部分をつかみ、あたしの指から引き離してくれたの。

 

 

バブルスライムに毒をもらって、もう慣れたもんだわと思ってたけど全然違うのね。

 

毒蛇の毒はバブルスライムよりはるかに強烈で、身体がガタガタと震えてくるの。

 

寒いのか暑いのかわからないわ。

身体中に鳥肌が立って震えてるというのに、額からは脂汗がにじんでくるのよ。

 

そして、ズキンズキンと頭が痛むの。

 

 

「姫さま、大丈夫ですか?」

 

クリフトが心配そうにあたしの顔を覗き込んで聞いてきたんだけど、クリフトの声が

頭の中でグワングワンとこだまして、頭が激しくズキンズキンと痛むわ。

 

 

「ひっ! うわぁぁっ!」

 

クリフトの叫ぶ声が聞こえてくる。

 

 

一瞬あたしは痛いのを忘れて、ハッとなってクリフトが叫んだ先を見たのよ。

 

 

いやあああぁ!

穴から毒蛇がうじゃうじゃ出てくるじゃないの!

 

 

あたしが穴を引っかき回したせい? それともあたしの血の匂いに誘われたの?

とびっきりのお宝が眠る穴だと思っていたのに、まさか毒蛇の巣穴だったとはね!

 

 

 

「姫さま、早く! 早くお逃げくださいっ!」

 

クリフトはあたしを後方に押しやり、出て来るキングコブラに剣を振るった。

 

 

でも… あたしが振り返るとそこには...

 

あたしとクリフトの叫び声が何度も洞窟内に響き渡った影響かしら?

それとも、クリフトが斬った蛇の血の匂いを嗅いで敵討ちにやって来たのかしら?

 

穴の中だけじゃなく、洞窟のいたるところから蛇がどんどんわいて出てくるわ!

 

 

「姫さまのことはまかせろ! おまえはまず、少しでも蛇の数を減らすのじゃ!」

 

いつの間にか隣にティメラウスがいて、あたしの腕を取り蛇の攻撃からかばいながら

もう片方の手に持った槍で蛇を貫く。

 

 

 毒蛇に囲まれ大ピンチの状況に、見かねて助けに来たティメラウス

 

 

 

「はいっ! 姫さまは命をかけて守り抜いてみせます!」

 

クリフトは大声で答えると、剣を握り直して、穴から出てくる蛇たちに向かっていく。

 

 

 

「じいさん、こっちだ!」

 

リオスさんはたいまつの火を近づけて蛇を追い払い、逃げ場をつくっているみたい。

 

 

「姫さま、あっちへ行きますぞ」

 

ティメラウスがあたしの腕を引き、リオスさんが開けてくれた場所へと連れて行くのを

あたしはされるがままついていったわ。

 

 

「姫さまの治療は頼んだぞ」

 

ティメラウスはあたしをリオスさんに預けると、さらに毒蛇が近寄ってこないように

あたしたちの少し前に立って、槍を大きく振るいながら毒蛇を串刺しにしていく。

 

ティメラウスのさらに前にはクリフトがいて、銅の剣を振り回して蛇を斬っている。

 

 

あたしは激しい頭痛と震えでもうろうとしながら、2人の戦いをぼんやり見ていたの。

 

 

リオスさんにつかまれた指先にピリッと痛みが走って「痛い」と思った次の瞬間には

あんなに酷かった頭痛も震えもおさまって、意識がスッキリと晴れ渡ってきたわ。

 

 

「へへっ、もう大丈夫そうだな」

 

リオスさんがあたしを見下ろして笑う。

 

 

「ありがとう、リオスさん」

 

酷い頭痛と震えで動けずに座り込んでいたあたしは、リオスさんに手を貸してもらって

その場でゆっくりと立ち上がったの。

 

 

 

目の前には修羅場が広がっていたわ。

 

ティメラウスは串刺しにした毒蛇を穂先から抜き、また新たな蛇を串刺しにしていく。

 

素早い動きに合わせて、ティメラウスの脇には毒蛇の死骸が山積みになっていく。

 

 

あたし、ティメラウスの戦うところを見るのは初めてだけど、さすがおにいちゃんが

「ティメラウスがいれば大丈夫!」と太鼓判を押すだけあるわね。

 

 

ティメラウスの前にいるクリフトも、ティメラウスほどではないけどがんばってるわ。

穴からうじゃうじゃ這い出てきたキングコブラたちが、クリフトの銅の剣で斬られて

真っ二つになっていくのよ。

 

 

すごいわ、クリフト!

 

さすがに無傷とはいかないみたいで、クリフトの服にはいくつか血がにじんでいたけど

クリフトは多少の傷なんてものともせずに、必死で剣を振り続けているの。

 

 

2人の活躍で、あんなにたくさんいた毒蛇の数も少なくなっていったわ。

 

ガンバって、あと少しよ!

 

 

穴から出て来た最後の毒蛇をようやく斬り捨てたクリフトは、ひざに手を置いて

うつむきながら「はーっ、はーっ」と肩で大きく息をしている。

 

ティメラウスもさすがに疲れ切ったようで、その場にドカッと座り込んだわ。

 

見ていたあたしとリオスさんも、長かった戦いの終わりにホッと胸をなでおろしたの。

 

 

 

呼吸を落ち着けたクリフトがハッとなり「そうだ、姫さまは?!」と言いながら

 

こちらに振り向いた瞬間!

 

 

暗闇からいきなり大きな毒蛇が現れ、クリフトの喉元に飛び掛かってきた!

 

 

一瞬のうちに喉元を毒蛇に嚙みつかれたクリフトが、その場にガクーンと倒れこむ。

 

 

「むっ、いかん!」

 

座り込んでいたティメラウスは慌てて立ち上がり、バタリと倒れたクリフトの手から

銅の剣をつかみ取ると、大きな毒蛇を一太刀で真っ二つに斬った。

 

 

「クリフトッ!」

「クリフトッ!」

 

あたしとリオスさんもティメラウスに続き、急いでクリフトのもとに駆け寄ったわ。

 

 

クリフトは生気のない真っ青な顔で、コケだらけの土の上にだらりと横たわっている...

 

 

 

 

リオスがお金を拾ったのを見て、あたしも! と張り切ってお宝探しに乗り出したティア

そうとは知らず、毒蛇の巣穴に手を突っ込んで引っかき回してしまいます (;´∀`)

 

当然のように指先を蛇に噛まれたティアは、また毒を喰らってしまい… (>_<)

 

 

そんなティアの叫び声?

噛まれたティアの指先から流れた血?

クリフトが斬り捨てた毒蛇の血?

助けに来たクリフトの叫ぶ声?

 

何に反応したのかわかりませんが、巣穴の中だけじゃなく、洞窟のいたるところから

毒蛇がうじゃうじゃとわいて出てきて、あっという間にその場は大惨事に Σ(゚д゚lll)

 

 

見るに見かねて助けに入ったティメラウスと、今度こそ姫さまを守り切ると誓った

クリフトの大活躍で毒蛇を撃退!

 

 

ちなみに、余談ですが

ゲームブックでカインはナナに「おれの剣術は『突き』なんだ!」と言っていました。

カインの剣の師匠・ティメラウスは何でも使いこなせる達人ですが、中でも1番の

得意戦法は「突き」ということにして、この旅では槍を持たせることにしました☆

 

カインの得意な剣術は『ティメラウス師匠譲り』ということで (^_-)-☆

 

 

ティメラウスに救われリオスの治療を受けて復活したティアは、戦うティメラウスと

クリフトの勇姿にうっとり (*´ω`*)♡

 

大量の毒蛇をようやく倒しきったと安心してその場にいた全員が気を緩めたところで

 

なんと!

クリフトが暗闇にまぎれていた毒蛇に喉元を噛まれて卒倒しちゃいました 。゚(゚´Д`゚)゚。

 

 

毒蛇はすぐにティメラウスがやっつけたものの、だらりと横たわったままのクリフト...

さて、クリフトの運命は?!

 

 

 

次回をお楽しみに〜 ヾ(*´∀`*)ノ