ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作番外編 ⑥】 ティアの大冒険 ~邪魔~

ようやく勇者の泉に着きそうだわ。

あたしたちは勇者の泉につながる大きな橋を渡った先の草原でひと休みしたの。

 

ティメラウスとリオスさんは草の上で寝転んでお昼寝し始めたから、あたしは木陰で

クリフトとのんびりすごしていたの。

 

 

クリフトったら「この付近は飢えたねずみが食料を求めてうろつく」なんて言うのよ。

 

あたしはねずみなんて冗談じゃないわと思ったけど、クリフトが予言(?)したとおり

3匹のねずみがやって来たわ。

 

 

ねずみはおにいちゃんがくれた袋をかじって、薬草や毒消し草を食べようとしたのよ!

 

 

おにいちゃんからもらった大事な草を、ねずみなんかに食べられるなんて許せないわ!

 

 

あたしは怖い気持ちを抑えて、親分みたいな大きなねずみを蹴飛ばしてやったの。

あたしに続いてクリフトが2番目に大きなねずみの顔を剣のひらで殴りつけたわ。

 

 

親分は蹴られたお腹を、2番手は叩かれた鼻を押さえながらさっさと逃げ出したわよ。

 

ふんっ、いい気味ね!

 

 

最後に残ったチビは親分と兄貴分が逃げちゃったもんだから「ごめんなさい」って顔で

すたこらさっさと去っていったわ。

 

 

あたしは見事に弱点を克服してねずみをやっつけたのよ! すごいでしょ?

 

あぁ~、おにいちゃんに自慢したいわね。

 

 

勇者の泉まであと少しだけど、ねずみと戦って疲れただろうってことで、その日は

そのまま草原で休むことにしたの。

 

次の日、草原を抜けて林の中を進んでいくと、とうとう泉の洞窟が見えてきたわ!

 

 

あたしは嬉しくて洞窟の入口に向けて走り出したんだけど、沼地からぶくぶく泡立つ

流動体がこっちに向けて流れてきたの。

 

 

流動体はあたしから少し離れたところで止まると、中からまんまるのお目目が2つ

あたしをじっと見つめてきたわ。

 

目の下にはニューっと裂け目ができて、にんやり笑った口になったの。

 

 

 

バブルスライムね。

 

 

うん、可愛いわ。

確かに可愛いけど、今は邪魔よ!

さっさと道を開けなさい!

 

 

バブルスライム 4体 HP16 攻撃力8 守備力3

 

 

ねずみと戦ったときにティメラウスから「しっかりしろ」と叱られたからかしら?

それとも、あたしに「本当にあたしを守れるの?」と笑われたから?

 

クリフトが真っ先に、渾身の力でバブルスライムに剣を振り下ろしたの。

 

 

剣で斬られた1体のバブルスライムは、ぶくぶくと音を立てて蒸発していったわ。

 

 

「やったぁ!」

 

クリフトが歓喜の声をあげる。

 

 

たしか王子やおにいちゃんとこのへんに来たときもバブルスライムに襲われたのよね。

 

ただ、あのときはバブルスライムってかっわいい!」と思ったのと、戦いの後で

颯爽と現れたバブルスライムハンターのオーウェンさんが、とにかくカッコ良くて!

 

おにいちゃんと王子の2人がバブルスライムとどんな風に戦ってたかなんて今はもう

まったく覚えていないわね。

 

 

平和になった今でも、ローレシア周辺でスライムの姿は見かけるのよ。

ローレシアでスライムたちはのんきに草原をぴょんぴょん飛び跳ねて遊んでいるの。

 

その印象が強かったのね。

あたしはバブルスライムも飛び跳ねて攻撃してくると思って身構えていたわ。

 

でも、こいつらは流動体だもの。

スライムみたいに飛んだりしないのね。

 

 

バブルスライムはぬるぬると地面をすべるように近づいてきて、あたしのくるぶしに

体当たりしてきたの。

 

上半身を守ってたのに、足を攻撃されるのは予想外で油断しちゃったのね。

 

「あっ!」と思っている隙に、隣のバブルスライムも同じところにぶつかってきたの。

 

 

「痛っ!」

 

相手は毒を持ってるでしょ。

1体だけなら赤くただれる程度だったんだけど、同じ箇所にまたぶつかられたことで

ただれたところから毒が入ったみたい。

 

あたしのくるぶしは紫色に変色してみるみるうちに腫れてきたわ。

 

 

利き足なのに、こんなに腫れちゃったらいつもの力は出せそうにないわね。

 

それに毒の影響かしら?

なんだか身体が重くて息苦しいわ。

 

 

あたしは仕方なく、もう一方の足で最初にぶつかってきた奴を踏んづけたんだけど

やっぱり威力が足りなかったみたい。

 

バブルスライムは踏まれて1度はつぶれたけど、またぶくぶくと元通りになったわ。

 

 

「姫さま! 危ないっ!」

 

最後のバブルスライムも同じようにあたしの足をねらってきたんだけど、クリフトが

間に入ってかばってくれたわ。

 

スライムはクリフトの足にぶつかってきたけど、大したダメージじゃなさそうね。

 

 

「姫さまによくもっ!」

 

バブルスライムからの攻撃をものともせず、クリフトは銅の剣をしっかり握り直すと

あたしが踏んづけた奴ではなく、隣のバブルスライム に剣を振り下ろした。

 

 

クリフトに斬られたバブルスライムはいったん2つに割れたものの、またすぐに

ぶくぶくと泡立ちながら復活したの。

 

 

「バカ、クリフト! どうしてそっちに攻撃するのよ。あんたはあたしが踏んづけた奴に

 とどめを刺すべきでしょうが!」

 

 

「...... す、すみません、姫さま。先ほどは一撃で倒せたので今回もいけるかと...」

 

 

「バカッ! さっきのはただの偶然よ。会心の一撃が出ただけじゃない。あんたが一撃で

 倒せるわけないでしょ!」

 

 

「す、すみません!」

 

 

本当にバカよね! 1体はやっつけたけど、まだあいつら3体も残ってるのよ!

確実に数を減らさないでどうするのよ!

 

 

あたしが踏んづけたスライムは、あたしたちの言い争いをにやけた顔で笑いながら

またぬるぬると同じ場所をねらってきたわ。

 

ふん、同じ手には乗らないわ!

 

 

あたしは軽やかにかわした... つもりだったんだけど、毒を受けて腫れた脚は重たくて

充分によけきれなかったのね。

 

毒を受けてじんじん痛むところに再び体当たりされて、鋭い痛みが走る。

 

 

この足はもう使い物にならないわ

それに苦しい、息が出来ない...

 

 

あたしがふーふーと荒い呼吸をしながら痛がってる隙に、さっきクリフトに斬られた

バブルスライムが反撃してきたの。

 

 

「... つっ!」

 

クリフトがしゃがんで足を押さえた。

押さえた足首がどんどん腫れてくる。

 

 

まぁ、なんてこと! どうやらクリフトまでもが毒を受けちゃったみたい...

 

 

そして....

しゃがんで足首を押さえるクリフトに、もう1体のバブルスライムが襲いかかる!

 

 

「ぐあっ!」

 

足首を押さえていた右手を攻撃されて、クリフトがうめき声をあげた。

痛みのあまり、銅の剣が手から離れる。

 

 

「もう、なんなのよ!!」

 

やられっぱなしの状況に腹が立って、あたしはさっきと同じように無事な方の足で

バブルスライムを踏んづけてやったの。

 

あたしに踏まれたバブルスライムはぶくぶくと音を立てながら蒸発していったわ。

 

 

もう! クリフトがこいつにとどめを刺していれば、無駄な攻撃は受けなかったのに!

 

 

あたしはムカムカと猛烈な怒りが湧いて、その勢いのまま近くにいたバブルスライム

蹴飛ばしてやったわ!

 

 

「えっ?! 姫さま。こいつではなく、そっちを攻撃するんですか?!」

 

クリフトが戸惑いの声をあげる。

 

 

あたしはクリフトが斬りつけたバブルスライムにとどめを刺すのではなく、隣にいた

無傷の奴を蹴っちゃったみたい。

 

 

「なによ、文句ある?」

 

あんたの下手な攻撃にムカついて思わず蹴っちゃったのよ、しょうがないじゃない。

あたしはクリフトをにらみつけた。

 

 

「い、いえ。姫さまに文句だなんて、いっさいございません!」

 

クリフトは慌てた様子で剣を握り直し、先ほど斬りつけた奴にとどめを刺した。

 

 

残った1体はクリフトを攻撃してきたの。

でも、もう情けない姿はごめんだと思ったのかクリフトはサッとかわしたわ。

 

そして、そのまま攻撃を終えて逃げて行くバブルスライムに剣を振り下ろしたの。

 

 

最後のバブルスライムもぶくぶくと泡を立てながら蒸発していったわ。

 

 

「はぁ、やっと終わったわね…」

 

あたしはその場に座り込んだ。

毒を受けたくるぶしはパンパンに腫れて、少し動くだけでもズキンと痛むのよ。

 

 

「私の拙い攻撃で、姫さまに余分なお怪我をさせてしまい本当に申し訳ございません」

 

クリフトはしょんぼりとうなだれた。

 

 

そういうクリフトも、足首と右手がパンパンに腫れてかなり痛そうだわ。

 

 

 

「なるべく動くなよ、おじょうちゃん。下手に動くと身体に毒が回るからな」

 

 

リオスさんが走ってきて、袋の中の毒消し草をちぎってあたしの足に当ててくる。

紫色に変色して腫れていた足は、腫れが引いてやがて元の血色に戻ってきた。

 

続けてティメラウスがそばに来て、傷口に薬草を使ってくれる。

 

幽霊に襲われて腰が抜けたときみたいに、ちぎった残りの薬草を食べるように促され

あたしは仕方なく薬草を食べたわ。

 

2人のおかげで足の痛みはすっかり引いて、息苦しさもなくなっていったの。

 

 

あたしの治療を終えると、リオスさんとティメラウスはクリフトのもとに向かう。

 

 

「い、いえ。私は大丈夫です」

 

クリフトはあたしが座り込んだ後も、我慢してその場に立ったままでいたけど

足首が腫れあがって動けないし、右手も上がらないのは一目瞭然だったの。

 

 

「バカ野郎! そんな手と足で姫さまを守れるのか? つべこべ言うな!」

 

やせ我慢してるのをティメラウスに一喝されて、クリフトは気まずそうに押し黙った。

 

 

リオスさんが腫れあがった足首と右手に毒消し草を塗り込んで解毒していく。

 

続けてティメラウスが薬草を細かくちぎって足首と右手にすり込むと、残った薬草を

クリフトの口に強引に押し込んだ。

 

 

「みなさま、申し訳ありませんでした」

 

顔をしかめて苦い薬草を飲み込んだクリフトが、あたしたちにぺこりと頭を下げる。

 

 

「クリフトが初手から思いきっていったのは評価できるが、上手く一撃で倒せたことで

 自分は一撃で倒せると調子に乗ったのは良くなかったぞ。姫さまが怒ったように

 敵が多いのだからあの場面はとどめを刺して、少しでも数を減らすべきだったな」

 

ティメラウスがクリフトに諭すように言うと、クリフトは神妙な顔でうなずいた。

 

 

「とはいえ、姫さまが集中攻撃されるのをかばった点は良かったし、なにより2人とも

 毒を受けながらよくがんばったな。敵の数が多いときにどう攻撃していけばいいかも

 わかったし、いい勉強になったろ」

 

ティメラウスはニッコリ微笑んだ。

 

 

「あっしもそう思いますぜ。おじょうちゃんが毒の影響で、いつもの動きが出来ない中

 あんたもそれなりにフォロー出来てたんじゃねえか。おじょうちゃんだけだったら

 今回の戦いは厳しかった。あんたも素早く動けていたし1戦1戦で力はついてるぜ」

 

リオスさんがクリフトの肩をポンポンとたたいて労をねぎらった。

 

 

「お2人とも、ありがとうございます。まだまだ姫さまを守り切れていませんが

 次こそはガンバります!」

 

クリフトは力強く宣言した。

 

 

 

 

前回、山ねずみとの戦いでティアに先手を取られて情けなかったクリフト... (~_~;)

覚醒する回になるはずが、今回も(なぜか)微妙な戦いになりました (;´∀`)

 

 

まだまだレベルの低い2人には強敵なバブルスライム4体との戦い。

 

(初めての)数の多い敵との戦闘は、ゲームに準じてターン制を採用しました。

ターン制でガンバって考えたのでゲームの戦闘風に記録しておきますね (^_-)-☆

(ダメージを数字で出すと計算するのがかなりめんどくさいので省略します ( *´艸`))

 

 

1ターンめ

・ クリフトのこうげき → かいしんのいちげきバブルスライムAをやっつけた!

バブルスライムBのこうげき → ティアはダメージをうけた

バブルスライムCのこうげき → ティアはどくにおかされた

・ ティアのこうげき → バブルスライムBにダメージをあたえた

バブルスライムDのこうげき → (ティアをかばって)クリフトはダメージをうけた

 

 

2ターンめ

・ クリフトのこうげき → バブルスライムCにダメージを与えた

バブルスライムBのこうげき → ティアはダメージをうけた

バブルスライムCのこうげき → クリフトはどくにおかされた

バブルスライムDのこうげき → クリフトはダメージをうけた

・ ティアのこうげき → バブルスライムBにダメージ → バブルBをやっつけた!

 

 

3ターンめ

・ ティアのこうげき → バブルスライムDにダメージをあたえた

・ クリフトのこうげき → バブルスライムCにダメージ → バブルCをやっつけた!

バブルスライムDのこうげき → クリフトはひらりとかわした

 

 

4ターンめ

・ クリフトのこうげき → バブルスライムDにダメージ → バブルDをやっつけた!

 

 

注目すべきは太字の箇所(1番ダメなやつは文字も大きくしてやったぜ ( `∀´)ノ)

 

「ここはとどめ刺せよ!」ってところで隣の奴を攻撃するのはゲームあるある (;´∀`)

 

最近のドラクエでは「このグループのこいつを攻撃」と指定できるようになったけど

昔のドラクエ(特にファミコン版)では攻撃対象を指定できないから... (´;ω;`)

 

同じ奴をねらえば1~2体は数を減らせるのに、全員がバラバラに違う奴を攻撃して

敵が全部生き残って、フルボッコにされるなんてこともありましたよね~ ( ノД`)

 

 

そんなゲームのときのもどかしさを思い出しながら戦った結果、今回のクリフトも

微妙な終わり方になっちゃった(クリフトは私の推しメンなのにね... (;´∀`))

 

 

ただ、最後にリオスが慰めたように、少しずつ力をつけてきているクリフト (*´ω`*)

次回からの勇者の泉では、ティアをきっちりと守れることでしょう (≧∇≦)♡

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ