ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 146】 面談

3日ぶりにサマルトリアに帰って来たおれは、忽然と姿を消した城の奴らを探し回り

ようやく見つけたリオスに案内されて、かつて『ロトの盾』を保管していた場所、

秘密の隠し部屋へとやって来た。

 

隠し部屋には、王妃・ティア・ティメラウス・リオスの他にもう1人の若い男がいた。

 

 

ティアの稽古相手をしている男。

かつて、ティアの部屋の見張り役を買って出た「クリフト」という男だ。

 

 

  姫さまのことは私が命をかけてお守りします!

 

クリフトはザラキ厨だけど、実はドラクエシリーズではかなり好きです (*´ω`*)♡

満を持して登場~ヾ(*´∀`*)ノ



 

ティアに聞いた話によると、クリフトは最近16歳になりサマルトリア緑の騎士団の

騎士に叙任され、近々「勇者の泉」に行って身を清めてくるのだという。

 

そして、クリフトが勇者の泉へ向かう旅にはティアも同行するつもりなんだとか?!

 

 

もっと詳しく話を聞かせろ!

 

おれと王妃は適当な理由でティアを追い払い、クリフトのそばへにじり寄っていった。

 

 

 

「まぁ、座ってゆっくり話しましょ」

 

王妃がテーブルを指して優雅に微笑む。

 

 

へっ、この穏やかで優雅な笑顔が、クリフトには逆に恐ろしく感じるんだろうな。

 

おれは含み笑いしながら座った。

 

 

王妃が全員分の茶を淹れ直して配った。

全員が美味そうに茶を飲み始めたが、クリフトだけはガチガチに硬直している。

 

 

「さぁ、クリフトも飲んで」

 

王妃に勧められてクリフトは「あっ、ハイ!」と慌ててカップに手を伸ばしたが

慌てすぎたせいで手を滑らせ、そのまま派手にカップをひっくり返した。

 

 

「あぁ! す、すいませんっ!」

 

クリフトは慌てたが、王妃は何食わぬ顔でテーブルを拭き、倒れたカップを回収して

新しいカップに茶を淹れ直した。

 

 

王妃の行動をクリフトは恐縮しながら見守り、王妃から新しいカップが渡されると

ペコペコと何度も何度も頭を下げた。

 

 

「へへっ、そんなに怖がるなよ。おれたち、誰も取って食ったりしねえからよ」

 

おれは木の実をボリボリ食いながら、なだめるようにクリフトの背中を撫でた。

 

 

「ふふっ。緊張をほぐしてあげるなんて、あんたも優しいところあるじゃない。あ、

 そうそう。ティアから聞いたんだけど、クリフトはカインに憧れてるんだって?」

 

王妃が尋ねると、クリフトはおれをチラッと見て照れたような笑みを浮かべた。

 

 

「ふふっ。モノ好きもいるもんねぇ。3人の勇者の中で言ったら、男の子はみんな

 力強い王子に憧れるもんじゃないの? こんな弱っちいカインに憧れるだなんて

 相当な変わり者なんじゃない?」

 

 

「おいっ、おれをゲテモノみたいに言うなよ。そりゃ力まかせに敵をなぎ倒す王子に

 憧れるってのもわかるけど、突きを主体にしたおれの剣術も捨てたもんじゃねえし

 おれには魔法だってあるからな。おれも魔戦士としてかなりの活躍をしたんだぜ」

 

おれに憧れる奴はおかしいみたいな言い方をされて、おれは王妃に抗議した。

 

 

「そのとおりです。カイン様は、剣術にも魔法にも精通していて素敵だと思います。

 王子様のように腕力があるのも素晴らしいと思いますが、魔法の持つ絶大な威力は

 本当に素晴らしいものですからね!」

 

クリフトは目を輝かせている。

 

 

「おまえ、魔法に興味があるのか?」

 

おれは思わず身を乗り出して尋ねた。

 

魔法について話すときのクリフトの熱量は今までの口調と大きく異なっているぞ!

 

 

「あ... はい。私もカイン様のように、剣術も魔法も優れた存在になるのが夢なんです。

 身の程知らずの夢なんですが、将来は『神官』になりたいと思っています!」

 

クリフトは少し恥ずかしそうにしながらも、真剣な口調で宣言した。

 

 

「神官だと?! じゃあ、なんで緑の騎士団の叙任を? 騎士になってどうすんだよ?

 神官になりたいんなら、ムーンペタでアルファズルの弟子になった方が良いだろ?」

 

おまえ、馬鹿じゃねえのか? と思ったおれはクリフトに矢継ぎ早に疑問をぶつけたが

次の瞬間、王妃に頭をはたかれた。

 

 

「ばっかねぇ。あんた、いろんなことに頭が回る方だと思ってたけど、恋愛に関しては

 本当にサッパリなんだから。だからナナともいつまで経っても進展しないのよ」

 

王妃は小馬鹿にしたように笑う。

 

 

「うるせーな。今はクリフトの話してんだろ? おれのことはどうでもいい! それに

 関係ねえ奴の名前出すんじゃねえよ!」

 

おれは叩かれた頭をなでながら反論した。

 

 

「あら? 関係ない奴ってナナのこと? なに言ってんの、大いに関係あるわよ。将来は

 みんな親戚になるかもしれないんだもの」

 

王妃はニヤニヤしながらおれとクリフトの顔を交互に見た。

 

 

「あん? どういうことだ?」

 

 

「はぁ~、ホント鈍いわね。あんたとナナが結婚して、クリフトとティアが結婚したら

 あんたたちみんな親戚になるでしょ?」

 

 

「け、結婚?! いえ。わ、私は姫さまに対して、そんな

 大それた身分不相応な願いは決して抱いてはおらず...」

 

 

「結婚だと?!」と言い返そうとしたおれより早く、赤い顔したクリフトが

手を大きく振り、うろたえながら言った。

 

 

なんだよこいつ、急に大声だして…

ん? 待てよ...?

 

 

「おまえ、まさかティアが好きなのか?」

 

おれが尋ねると、クリフトはますます顔を真っ赤にして首をブンブンと横に振った。

 

 

「私はまだまだ未熟者ですし、己の身の程はわきまえています。私はただ家臣として

 姫さまをお守りしたいだけで...」

 

 

「うふふ。ティアを守りたいからってだけで、この子は緑の騎士団に入ったのよ。

 自分の夢も大事だけど、ティアのそばを離れたくないってことよね! まったく

 そんなこともわからないなんて、あんたも先が思いやられるわねぇ~」

 

王妃はおれを見てため息をついた。

 

 

 

「ティアのことが好きだと?! へんっ。それこそ、すげえモノ好きがいたもんだな。

 あんなクソ生意気でうるせえガキ、いったいどこが良いんだよ?」

 

 

「ティア姫さまの良いところですか? 姫さまは... 元気で明るくとても素直で... そして

 いつも何事にも一生懸命で...」

 

クリフトは考える仕草を見せつつ、何もない空間を見つめながら薄っすら笑みを浮かべ

ぽーっとした表情でつぶやいている。

 

 

マジか...…

こいつ、本当にティアのこと...

 

まさに「恋する少年」の表情を見せるクリフトを呆然と眺めていると

「ね、あんたにもわかったでしょ!」と王妃がおれに笑いかけてきた。

 

 

「モノ好きだけど、あんたに憧れてティアに好意を寄せてくれるイイ子だと思うわ。

 ティアと上手くいくように、神官になれるように何とか協力してあげたいわね」

 

王妃がおれに言ってくる。

 

 

「う〜ん。実際はそんな簡単な話じゃねえぞ。ティアとのことは... まぁ置いとくとして

 サマルトリアにいて、さらに緑の騎士団にまで叙任されてんのに神官になるのは

 かなり大変だと思うぜ。まず、ここは魔法が大嫌いな王様がいる国なんだぞ。

 緑の騎士団長のモルディウスも親父の考えに大賛成だからな。もしおまえが魔法に

 興味を持っているとバレたら、おまえはきっとあいつからいじめられるぜ」

 

おれが脅しをかけると、空を見つめてぼんやりしていたクリフトもハッとなった。

 

 

「そ、そうですよね。サマルトリアにいるのに魔法を学ぶのは難しいですよね...」

 

クリフトはしょんぼりとうなだれる。

 

 

「ああ。本当に神官になりてえんなら、ムーンペタに行くことも考えた方が良いぜ」

 

おれが忠告すると、クリフトは「う~ん…」とうなって黙り込んでしまった。

 

 

「ひとつ、よろしいですか? 殿下も先ほど稽古を見ていてわかったかと思いますが、

 クリフトは剣術の筋もかなり良いんですよ。ここよりもムーンペタに行った方が

 魔法を学びやすいというカイン殿下の意見も一理ありますが、緑の騎士団としては、

 失くすのは非常に惜しい人材ですな」

 

ティメラウスが横から口を挟んでくる。

 

 

「うーん、なるほど。サマルトリアの将来的な戦力を考えるとクリフトはこのまま城に

 残した方が良いってことか。でも、おまえはやっぱり魔法を学びたいんだろ?

 となると、緑の騎士団にいたままで魔法の修行も出来れば1番良いってことだよな。

 う〜ん、どうすれば…」

 

おれは首をひねった。

 

 

「そうだわ! あんたの師匠に頼んで、この子も弟子にしてもらえば良いんじゃない?」

 

王妃がパンッと手を叩いた。

 

 

「グランログザー師匠にか?」

 

 

「勇者の泉に行った帰りに、師匠のところまでご挨拶に行けば良いわ。ねえ、あんた

 クリフトを弟子にしてもらえるよう、師匠に手紙でも書いて持たせてあげなさいよ」

 

王妃はすっかりその気だ。

 

 

「おまえを弟子にするかはグランログザー師匠が決めることだけどな。しょうがねえ

 一筆書いてやってもいいぜ」

 

書かねえとこのババアはうるせえからな。

おれは師匠に手紙を書くことを了承した。

 

 

おれたちの話を黙って聞いていたリオスは、王妃と目配せをしてスッと席を立つと

素早い動きで部屋を出ていった。

 

 

紙とペンでも取ってくるつもりか?

 

ついでに他のものを盗まれるというのは難点だが、これだけ迅速に動いてくれたら

王妃がリオスを気に入ってるというのもわかるような気がするな。

 

 

おれたちが茶を飲んだり木の実を食ったりして待っていると、リオスが戻って来た。

 

リオスは白い便箋と羽ペンを手渡してくる。

 

 

おれはさらさらと書きあげた。

 

『グランログザー師匠へ

 クリフトはおれに憧れている有能で善良な男だ。おれのことを弟子にしたように、

 どうかクリフトも弟子にしてやって欲しい。師匠もおれが弟子で鼻が高いだろ?

 クリフトはあんたの鼻をもっと高くしてくれる奴だと思うぜ!  カインより』

 

 

 

「きったない字ねぇ。それにそんなふざけたこと書いて。手紙を見たら師匠は怒って

 追い返されちゃうんじゃないの?」

 

王妃が横から覗き込んで文句を言う。

 

 

「ばーか。ここでおれが馬鹿丁寧な言葉遣いで書いたら、逆に怪しまれるだろうが!

 こんな手紙を書く奴はおれしかいねえし、これを見て偽物だと疑われることもない。

 これを読んだグランログザー師匠は、おれが書いた本心だと信じてくれるはずさ」

 

おれは手紙を封筒に入れクリフトに渡した。

 

 

「おれは出来る限りのことはやったぜ。弟子になれるかどうか、あとはおまえ次第だ」

 

おれから手紙を受け取り、両手で大事そうに抱えてクリフトは力強くうなずいた。

 

 

「ほっほっほ。これで旅のルートは決まりましたな。ここから勇者の泉に向かい

 身を清めてからローレシア南のほこらでお師匠様に会ってくるという流れですな」

 

ティメラウスが確認するようにつぶやいた。

 

 

「ははっ。奇しくも以前、おれと王子とティアで辿ったのと同じルートになったな。

 まぁ、それも良いか。同じルートを辿ることで前回からの成長がわかると言えば

 ティアも納得するだろうしな」

 

 

「ふふっ、それで決まりね」

 

 

「はい。よろしくお願いします」

 

クリフトはテーブルをぐるっと見まわすと、全員に向けてぺこりと頭を下げた。

 

 

 

 

この創作物語の「クリフト」は、あの「クリフト」とは別人なんですが... (;´∀`)

将来は立派な神官になりたいという夢は、どちらのクリフトも持っているようです☆

(キャラ設定の手抜きか...(;'∀')?)

 

 

ただ、サマルトリアのクリフトが神官になるのは前途多難ですよね~ (。-_-。)

 

魔法が大嫌いなサマルトリア王、そして王様に忠実な緑の騎士団長モルディウス (*_*;

 

「ティアを守りたい」一心で緑の騎士団で騎士になったは良いものの、ここでさらに

魔法も学んで神官に... というのは(上司が上司だけに ( *´艸`))厳しいでしょうね... 

 

 

助け舟として、カインはグランログザー師匠にクリフトの弟子入りをお願いしますが

果たして、グランログザー師匠はクリフトの弟子入りを認めてくれるでしょうか?!

 

ティアの大冒険で明らかになりますよ☆

(でも、いつになることやら... (;'∀'))

 

 

 

とりあえず

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ