ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作番外編 ⑮】 ティアの大冒険 ~返事~

長い道のりだったけど、ようやくローレシア南のほこらに到着したあたしたち。

 

グランログザー師匠はほこら近くの浜辺で流木を拾ってたけど、あたしたちに気づいて

「めずらしいお客さんたちが来たな」と言いつつ、ゆっくりとこっちに歩いて来たわ。

 

 

ティメラウスとリオスさんはサマルトリアハーゴン軍に包囲されちゃったときに

お師匠さまに会っているのよね。

 

あのときの思い出を話しながら、3人はしばらくにこやかに笑い合っていたの。

 

 

3人が談笑している間に、あたしは戦況を記録でしか読んだことのないクリフトに

実際の状況はどうだったのか、詳しく話して聞かせてあげたのよ。

 

 

「ここにいるみなさんが力を合わせて、サマルトリアは無事に守られたのですね」

 

あたしの話を聞いたクリフトは、感動した様子でお師匠さまたちを見つめていたの。

 

 

クリフトの視線を感じたグランログザー師匠があたしたちのそばにやって来たのよ。

 

そこであたしはクリフトを紹介して、お弟子さんにしてあげてとお願いしてみたわ。

 

 

あたしは知らなかったんだけど、クリフトはおにいちゃんからお師匠さま宛の手紙を

もらっていたらしいの。

 

クリフトが緊張しながら手紙を渡すと、中身を読んだグランログザー師匠は苦笑いして

「カインは手紙の礼儀を知らん困った奴じゃが、まぁ今はいいだろう。そなた、わしの

 弟子になりたいと申すのであれば、当然のことながらわしの大事な一番弟子である

 ダクダクバンボのことは知っておるよな?」とクリフトに尋ねてきたの。

 

 

前に王子やおにいちゃんと一緒にこのほこらを訪ねて来たときも、お師匠さまは

おにいちゃんを見て「ダクダクバンボに似てきた」と言ってたような気がするのよ。

 

 

でも、グランログザー師匠とおにいちゃんがそのときどんな話をしたのか、あたしは

このほこらまでたくさん歩いてきて疲れてたから、まったく覚えてないのよね。

 

グランログザー師匠がなにか言って、おにいちゃんがムッとしてた気がするんだけど

あたしの気のせいかしら?

 

 

困り果てた顔を見る限り、クリフトは「ダクダクバンボ」なんて人のこと、きっと

聞いたこともないんでしょうね。

 

助けを求めるようにあたしをチラッと見てきたけど、あたしもダクダクバンボなんて

知らないから助けようがないわ。

 

 

あたしが助けられないと小さく首を横に振ったのを見て、クリフトは観念した様子で

「知らない」と答えようとしたんだけど、グランログザー師匠は怒り出しちゃったの。

 

 

「わしにそなたを弟子入りさせてくれと頼んできたくせに、ダクダクバンボのことを

 いっさい教えてないなんて、カインはけしからん奴じゃ! 懲らしめねばならん」

 

 

   事な一番弟子のことを話してないなんて! カインめ、許さんぞ!!

 

 

お師匠さまが「何も教えていないおにいちゃんが悪い!」と怒り出したのを聞いて

クリフトはどんどん青ざめていったわ。

 

 

そりゃあ、そうよね。

だって自分が「知らない」と言ったら、おにいちゃんが罰を受けちゃうんだもん。

 

 

もし、罰を受けることになったらおにいちゃんは絶対に怒るだろうし、クリフトのこと

許してくれないかもしれないわ。

 

おにいちゃんに嫌われちゃったら、今後サマルトリアで生きていくのは大変よ!

 

 

それにあたしだって、おにいちゃんとクリフトとどっちの味方するんだと聞かれても

選べなくて困っちゃうわよ。

 

あたし、2人の板挟みにあうなんて絶対に嫌よ!

 

 

あたしはゆっくりクリフトに近づいたわ。

お師匠さまが目を離した隙を狙って、クリフトに耳打ちしようと思うの。

 

「おにいちゃんを敵に回すような真似はやめて、知ってると嘘つきなさいよ!」って。

 

 

だって、そうでしょ?

「知ってる」と言えば誰も怒られないわ。

 

「カインはきちんと教えたんだな」ってお師匠さまはおにいちゃんを褒めるわよ。

そしたら、クリフトだっておにいちゃんに「よくやった!」と褒められるでしょ?

 

2人が仲良くなればあたしも嬉しいし、みんなが幸せになれるじゃないの!

 

 

それに、お師匠さまも「一番弟子を知ってる」と言えば喜んで弟子にしてくれるわよ。

 

今も怒ってるのに「一番弟子を知らない」なんて言ったら、もっともっと怒ってすぐに

ここから追い出されちゃうかも!?

 

 

そうよ! ここは嘘つくべきだわ!

 

 

あたしがクリフトのそばに行って、クリフトの腕をひじで突こうとした瞬間!

クリフトは勢いよくひざまずいたの。

 

 

「申し訳ありません! 一番弟子のダクダクバンボ様、不勉強ゆえ存じあげません。

 ただ、これは私の不徳のいたすところ。カイン殿下にはまったく非はありません!」

 

クリフトは深々と頭を下げたの。

それから顔をあげて、お師匠さまを真剣な目で見つめながら話を続けたのよ。

 

 

「カイン殿下は手紙を書いてくださったとき『弟子入り出来るかはおまえ次第だ』

 おっしゃっていました。あの言葉にはきっと『おまえが本気で弟子になりたいのなら

 グランログザー師匠のことをよく知ろうとする心意気が大事だぞ!』という意味が

 込められていたんだろうと思います。私がカイン殿下の言葉に込められた想いを

 真剣にとらえず、手紙を受け取っただけで満足してしまったのが1番の問題であり、

 今回のすべての非は私にあります。どうかカイン殿下を罰することなきよう。

 すべての罰は私1人が受けます!」

 

クリフトはそこまでひと息で一気に話すと、再び深々と頭を下げたの。

 

 

その場はしーんと静まりかえったわ。

 

 

「ほほう。カインは『弟子入り出来るかはおまえ次第だ』とだけ言ったのだな?

 ダクダクバンボについては、何も言ってなかったというわけじゃな?」

 

グランログザー師匠はクリフトの謝罪を聞いて、少しは怒りもおさまったのかしら?

静かな声でクリフトに尋ねたの。

 

 

「はい、申し訳ございません。私がカイン殿下の意図を汲み、お師匠さまについて

 もっと詳しく教えて欲しいと頼むべきだったと今になって猛省しております!」

 

クリフトは頭を下げたまま答えた。

 

 

「ふふん、そうか。カインはダクダクバンボについては何も言わなかった。わしに

 ダクダクバンボなんて名前の弟子はおらず、適当に

 でっち上げた名前だ ということもカインは言わなかったわけじゃな?」

 

 

「はい、もうしわ.... えっ?!

 

クリフトは驚いて顔をあげたわ。

 

 

もちろん、あたしもビックリよ!

 

「え? ダクダクバンボって本当はいないの? お師匠様が

 嘘をついて、あたしたちをだましたってこと?!」

 

あたし、思わず叫んじゃったわよ。

 

 

だって、あたしはクリフトに「ここは穏便に済ませるため嘘ついちゃいなさいよ」と

言うつもりだったのに、嘘ついてたのはお師匠さまの方だったなんて! ひどいわ!

 

 

「ほっほっほ。前にカインをだましたときのように、今回も同じ手でだましてやろうと

 思ったんじゃがのう。おじょうちゃんが『聞き覚えがある』なんて言い出すから

 すっかり焦っちまったわい。焦りをごまかすため、カインを怒るフリまでしてのう。

 ふふっ、慣れんことをして疲れたわい。さぁさぁ、もうわかったじゃろ? いつまでも

 ひざまずいてないで立ちなさい」

 

グランログザー師匠はニッコリ笑うと、クリフトに手を貸して立たせたの。

 

 

クリフトはポカンとしながらも、お師匠さまの手をとってその場に立ち上がったわ。

 

 

「声を荒げて悪かったのう。そなたが知らないことを素直に『知らない』と言える

 正直者なのか確かめたいという気持ちもあったし、カインがどんな話をしたのか

 確かめたい気持ちもあった。あいつのことだから『師匠はだましてくるぞ!』

 そなたに悪知恵を入れてるかと思ったが、何も言わずにそなたに委ねたのじゃな。

 ふふっ、あいつも大人になったわい」

 

お師匠さまは満足そうにうなずくと、クリフトを見上げて目を細めたの。

 

 

「ふむふむ、カインの手紙に書いてあったとおりじゃ。クリフトよ、そなたという奴は

 誠に善良な人間のようじゃな。弟子入りを果たすため、カインの顔を立てるため

 そなたは『知ってる』と嘘をつくことも出来たし、わしが怒ったことに同調して

『教えなかったカインが悪い』と言うことも出来た。だが、そなたはどちらもせずに

『知ろうとしなかった自分がすべて悪い!』と全面的に非を認めたんじゃからのう。

 こんな善良な若者を弟子にもせずに追い返したりしたら、わしが周囲に非難されるか

 あのじじいは頭がもうろくしたに違いないと噂されるじゃろうな。さぁさぁ、

 みなさんもこっちへいらっしゃい」

 

グランログザー師匠はあたしたちをほこらの中へと案内してくれたの。

 

 

ここまでずっと歩きっぱなしだったからありがたいわね。あたしたちはお師匠さまの

厚意に甘えて、今夜はほこらでゆっくり休ませてもらうことにしたのよ。

 

 

リオスさんは好奇心いっぱいの目でほこらの中をキョロキョロ見回しているわ。

ふふっ、盗賊だものね。きっとお宝があるかどうか気になってしょうがないのね。

 

 

ティメラウスは疲れてたみたい。

ソファに座るとうたた寝を始めたの。

 

 

グランログザー師匠は、クリフトをあたしたちから少し離れたところへ連れて行くと

向かい合わせになって座り、あらためてクリフトの様子をじっくり観察したのよ。

 

 

「クリフトよ、そなたの善良さの褒美として呪文を授けてやろうかと思っていたが

 もともとの魔力が低いようじゃな。これでは新しく呪文を覚えても使い物にならん。

 まずは基本的な魔力をあげねばな」

 

何も話してないのに見ただけでお師匠さまに魔力の低さをズバリと言い当てられて

クリフトは驚いて目を見開いた後、恥ずかしそうに顔を伏せたの。

 

 

「ええ、まったくお恥ずかしい限りです。勇者の泉でバプテスマ様に癒しの魔法を

 授けていただきましたが、1回詠唱しただけで魔力が無くなってしまいました…」

 

クリフトはガックリうなだれながら、小さな声でつぶやくように答えたわ。

 

 

「ほっほっほ。今回は特別じゃぞ。今からそなたの魔力を高めてやろう。このことは

 絶対にカインには言うんじゃないぞ。以前あいつが『師匠、おれに手っ取り早く

 強力な魔力と強力な魔法を授けてくれ』と言ってきたとき、バカなこと言うな! と

 怒ったのはこのわしじゃからな」

 

グランログザー師匠はカラカラと楽しそうに笑うと、クリフトの額に手を添えたの。

 

 

ここから見てても何が起きてるのかわかんないんだけど、クリフトは目を閉じたまま

ぴくりとも動かないのよ。

 

何が起きてるのか確かめたくて、あたしは2人のそばに近づこうとしたんだけど

まるで金縛りにあったみたいに、あたしの身体も固まって少しも動かないじゃないの!

 

 

身動きが取れないまま待っていると、お師匠さまはクリフトの額に置いた手を

ゆっくりと下ろしていったの。

 

お師匠さまの手の動きに合わせて、あたしの身体のこわばりもほぐれていったわ。

 

 

「… クリフト。そなたに新しい力が宿った。どうじゃ? そなたにもわかるな」

 

グランログザー師匠が静かな声でクリフトに尋ねると、ゆっくり目を開けたクリフトは

「はい!」と力強く答えた。

 

 

 

クリフトはレベルがあがった。

さいだいMPが 8ポイント ふえた

 

 

 

グランログザー師匠との面会はサクッと終えて、さっさとサマルトリアに帰るはずが

「ダクダクバンボ」のくだりでグダグダと長くなっちゃいました... (;´∀`)

(まぁ、無駄に話が長くなっちゃうのは私にとっては平常運転ですけどね (;'∀'))

 

 

「ダクダクバンボのことを何も教えてないカインが悪い!」と怒る師匠に対して

「カイン殿下は悪くない。師匠について教えて欲しいと言わなかった自分が悪い」

全面的に非を認めたクリフト (*´ω`*)

 

 

ちょっと気になるのは、クリフトがひざまずく前にティアから「嘘ついちゃいな!」

耳打ちされていたら、師匠への返事は変わっていたのでしょうか ( *´艸`)?

 

クリフトのことだから、ティアの意見を優先していたかもしれないですよね~ (~_~;)

(あぶないところだった〜 (;'∀'))

 

 

ティアに突かれるより先にひざまずいて謝罪できたことで「そなたは善良な少年だ」

グランログザー師匠に弟子入りを許され、魔力も高めてもらえました (^_-)-☆

(これでホイミは3回(上手くいけば4回)唱えられますよヾ(*´∀`*)ノ)

 

 

「勇者の泉に行って身を清め、グランログザー師匠に弟子入りをお願いしてくる」

旅の目的はすべて果たしました☆

 

あとはサマルトリアに帰るだけなんですが、なんせこのメンバーですからね ( *´艸`)

すんなり旅は終わるのでしょうか?!

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ