ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 101】計画どおり

ナナの誕生パーティーにミリアも呼びたいと思いながら、なかなか言い出せない王子を

おれはここぞとばかりにからかい、おれたちはしばらく小突き合ったり叩き合ったり

ふざけ合っていたが、そのうち疲れてそれぞれのベッドの上で大の字になった。

 

 

「明日、ぼくもムーンペタに行くよ」

 

王子が寝転んだまま言った。

 

 

おれが驚いて王子の方に首を向けると、王子は自信ありげな表情でおれを見た。

 

「いつも、きみが率先して動いてくれているけど、たまにはぼくも動かなきゃね!

 やっぱりナナの誕生パーティーは、ムーンペタの教会で出来た方が良いと思うんだ。

 アルファズルはパーティーなんてくだらないと嫌がるかもしれないけど、ぼくも

 アルファズルの説得には力を貸すよ。ぼくたち2人で説得すれば、きっと大丈夫さ」

 

 

確かにおれが1人で話すよりも、王子と一緒の方がアルファズルも耳を傾けるだろう。

王子が一緒に来てくれるのはありがてえ。

 

ただ、王子が自ら率先して動こうとしているのは、少し奇妙な感じがした。

 

本来のこいつは、受け身で慎重な奴だからな。それが自ら説得に当たるだなんて。

王子にはアルファズルを説得できる特別な策があるということか?

 

 

「へ~。すげえ自信じゃねえか」

 

おれがベッドから上体を起こしながら言うと、王子は照れ臭そうにはにかんだ。

 

 

「自信ってわけじゃないけど、ぼくの気持ちがアルファズルにきちんと伝われば

 反対はされないと思うんだよ」

 

 

「おまえの気持ちって?」

 

 

「アルファズルが誕生パーティーの開催を渋るとしたら、理由はきっとこれだと思う。

 パーティーは、誕生日の本来の意味を忘れてただ騒ぐだけだから。でも、ぼくたちは

 別にナナの誕生日にかこつけて騒ぎたいわけじゃないだろう? ぼくは、ナナが今

 こうして元気に生きていることが嬉しいし、ナナが元気で18歳の誕生日を無事に

 迎えられたことを、心から純粋に祝いたいと思う。ぼくのこの気持ちが伝われば、

 ただ騒ぎたいわけじゃないんだって、アルファズルもきっとわかってくれるよ」

 

王子はベッドの上で大の字になったまま天井を見つめ、キラキラした目で話した。

 

 

「パーティーで浮かれたいんじゃなく、ただ純粋にナナの誕生日を祝いたいだけ... か。

 アルファズルの情に訴えるってやつだな。うん、それなら上手くいくかもしれねえ。

 へへっ。そんなこと考えるだなんて、おまえもなかなかやるじゃねえか。明日は、

 ローレシア王の華麗な手腕をたっぷり見せてもらうぜ!」

 

おれの言葉に王子は力強くうなずいた。

 

 

その後、おれたちはベッドに寝転んだまま、明日の予定を細かく立てることにした。

なんせ明日は、ナナに怪しまれないように、気づかれないように、おれたちは2人で

うまく行動しなければならないからな。

 

おれたちは、ナナの反応によって、どう臨機応変に行動するかを綿密に話し合い

そのまま眠りについた。

 

 

 

翌朝、おれたち3人はルプガナ船団長親子に礼を言って、ミリアの家を出た。

 

ミリア親子は、家の外までおれたちを見送りに出て来てくれた。

家の前では真ん中にミリアが立ち、両親と3人並んでおれたちに手を振っている。

 

 

「ミリア。昨日はすっごく楽しかったわ! 衣装のこと... ううん、それ以外のことでも

 またいろいろとお話しましょ!」

 

ナナがミリアに明るく声をかけると、ミリアも嬉しそうに笑ってうなずいた。

楽しそうに笑っている2人の少女を見て、ミリアの両親も微笑んだ。

 

 

ミリアはその後、視線をナナから王子に移すと、まぶしそうな瞳で王子を見つめた。

王子もミリアを優しい目で見つめ返すと、2人は微笑み無言でうなずき合った。

 

 

「けっ、なんだよ。愛しあう2人には、もはや言葉もいらねえってことか?」

 

からかい口調で言いながら隣にいる王子をひじで突くと、王子は照れ臭そうに笑い、

ミリアは顔を赤らめてうつむいた。

 

 

ミリアのおふくろは穏やかに微笑みながら、恥ずかしそうにうつむいた娘の背中を

ポンポンと優しく叩き、船団長は太く大きな腕をまわして、妻と娘をつつみ込むように

自分の方へと引き寄せた。

 

寄り添った親子3人はそのまま見つめあい、幸せそうに笑っている。

 

 

幸せそうな親子の時間を邪魔するのも野暮だからな。早々に引き上げることにしよう。

親子の様子を見たおれと王子とナナは、目線を合わせて無言でうなずき合った。

 

 

「昨夜は泊めていただき、ありがとうございました。じゃあ、ぼくたちはこれで」

 

代表して王子に口火を切ってもらった。

 

 

「また、いつでも来いよな!」

 

「ええ。また来てよね。あなたたちならいつだって大歓迎よ! 別に3人揃ってじゃなく

 1人でもどんどん遊びに来てちょうだいよ。ね、お姫様!」

 

ペコリと頭を下げたおれたち3人に、船団長夫婦が声をかけてきた。

 

 

「おばさま、ありがとうございます。遠慮なく、またミリアに会いに来ますね!」

 

ハキハキしたナナの言葉に、ミリアのおふくろは満面の笑みでうなずいた。

 

 

「みなさん、どうぞお元気で。また、みなさんに会えるのを楽しみにしています」

 

ミリアがおれたちの顔を順々に見ながら、笑顔で声をかけてきた。

 

 

ははっ。ミリアの奴、今までは「王子様」しか見えていなかったのにな。

今回の件でナナとも仲良くなって、ミリアも少しは視野が広がったってことかよ。

 

 

おれたちは笑顔で再会を誓い合い、手を振ってミリアの家をあとにした。

 

 

 

ルプガナの町の入口まで歩いてくると、おれは昨夜、王子と打ち合わせした通りに

「先にナナを送っていくよ」と告げた。

 

 

「あら、そう? あたしは別に、王子が先でも構わないわよ」

 

ナナはそう言ったが、自分が先に帰ることに特に反対する様子は見せなかった。

 

 

昨夜の王子との話し合いで、ここでもし、ナナが「王子を先に送ってあげて」

主張してきた場合には、とりあえず王子をローレシアに残し、ナナをムーンペタ

送ったあとで、再びローレシアに戻って王子を迎えに行くという段取りになっていた。

 

ナナにバレないように行動するためには、そうするしかなかったが、そうなった場合は

大幅な時間のロスになるし、何度も移動呪文を唱えるおれ自身の消耗も心配だった。

 

ナナが先に帰ることに合意してくれて、おれはホッとしながら呪文を用意した。

 

「二つの点は一つの点に。星幽界の守護者よ、われをかの場所へと導きたまえ。ルーラ!」

 

 

おれたちはムーンペタの地に降り立った。

町に入ったおれたちは、ぶらぶらと歩きながら教会の前までやって来た。

 

 

教会に着いてからのナナの行動は、おれたちの中で2通り想定されていた。

 

1つ目は「ありがとう」と言って、ナナがあっさり部屋へと入っていくパターンだ。

その場合は、おれたちはすぐに大聖堂へ向かい、アルファズルと話をするつもりだ。

 

もう1つは、ナナがおれたちが帰るのを見届けてから部屋に入るというパターンだ。

その場合は、おれたちはいったん帰るフリをしてムーンペタを離れなければならない。

 

 

教会の前で立ち止まったナナはおれと王子を見て微笑むと「送ってくれてありがとう。

あなたたちも気をつけて帰ってね」と言って、教会の前から動こうとしなかった。

どうやら、ここでおれたちが帰るのを見送るつもりらしい。

 

おれと王子は、ナナに見つからないようにそっと目配せをした。

 

 

「じゃあね、ナナ。またいつでもローレシアにも遊びに来てくれよ!」

 

王子はローレシアに帰るような体裁を装って、にこやかにナナに話しかけた。

 

 

「ええ。リーナちゃんもあなたに会いたがっていたし、また近いうちに会いに行くわ。

 あなたも忙しいだろうけど、身体に気をつけて王様のお仕事もガンバってね!」

 

「ああ。ナナも元気でね」

 

 

王子を見て微笑みながらうなずいたナナが、おれの顔をチラッと見た。

 

 

「へっ、おれたちはどうせまたすぐに会うだろ。サマルトリアにはティアもいるしな。

 どうせ帰ったら『おねえちゃんに会いたい、リーナちゃんに会いたい』と言って

 ギャアギャア騒ぐだろう。だからまた近いうちに、ティアを連れて会いに来るさ。

 おまえも、会いたくなったら... コホン。まぁ、いつでも会いに来いよ」

 

「会いたくなる」のは、おれか? ティアか?

不意にそんな馬鹿なことを考えて、一瞬だけど言葉が詰まってしまった。

 

やべえ、変に思われたか?

 

 

「ふふふ。そうね。あたし、近いうちに ティアちゃんに 会いに行くわ」

 

ナナはいたずらっぽく笑って言った。

 

 

帰る前の挨拶としてはこんなもんか。

おれは王子と目を合わせてうなずいた。

 

 

「ナナ、またね」

 

王子はナナに向かって手を振った。

 

 

「また会いましょうね」

 

ナナも微笑んでおれたちに手を振った。

 

 

おれは再び呪文を唱えた。

 

「二つの点は一つの点に。星幽界の守護者よ、われをかの場所へと導きたまえ。ルーラ!」

 

 

 

この一連の流れで、ナナはおれたちがローレシアに向かった」と思っただろう。

実際におれたちが着いたのは別の場所だ。

 

 

虹色の光が薄れるにつれて、野太い男たちの声がガヤガヤと響いてきた。

 

 

 

「オルムとレオンに会って、ナナの誕生日が近いことを知らせる」

「アルファズルに会って、ムーンペタの教会でパーティーがしたいと伝える」

 

カインには2つのミッションが課せられていましたが、1人でやりきるのではなく

王子も動いてくれますよヾ(*´∀`*)ノ

 

 

王子には(無意味な)忖度をして、特別扱いをしているアルファズル ( *´艸`)

 

その話はコチラ ↓↓

大賢者アルファズルの(無意味な ( *´艸`))忖度 - ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

 

そんなアルファズルの説得に、王子が参戦してくれるのはありがたいですね (^_-)-☆

 

 

ただ、アルファズルに会って話をするためには、またナナを撒く必要が... (◎_◎;)

 

2人で動くことをナナに気づかれないように、入念に対策を練った王子とカインは

ナナを撒くために、ローレシアへ向かったふりをしてある場所へと向かいました。

 

さて、2人はどこへ向かったのでしょう?(簡単すぎてクイズにならないわ (;'∀'))

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ