ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 102】カインならともかく

近々やってくるナナの誕生パーティーに向けて、秘密裏に動いているおれと王子は

ムーンペタの教会にナナを送り届けた後、ローレシアに帰ったふりを装いながら、

ルーラで別の場所へとやって来た。

 

 

おれたちがナナの目をごまかして降り立った場所... それはムーンブルクだ。

 

ムーンブルクでは、ペルポイから地下設備に詳しい多くの専門家を招かれ、いよいよ

地下を掘り進める作業が開始されたようだ。

 

 

体格のいい男たちが地下を掘り進める作業に当たる傍らで、レオンは専門家の男と

設計図のようなものを手にしながら、難しい顔をして話し合っていた。

 

レオンの隣にはオルムがいて、同じく難しい顔で作業する男たちを眺めていた。

 

 

「レオンは統率者だからいいんだけどよ、なんでオルムの野郎まで責任者ヅラして

 あんなところに立ってんだ?」

 

おれが首をかしげると王子は笑った。

 

 

「しょうがないよ。オルムは船長だからさ、つい全体の流れが気になっちゃうんだよ」

 

「だからってよ、統率者でもねえのに、あんな偉そうな顔されたら周りも迷惑だよな」

 

「あはは。まぁまぁ、いいじゃないか。そのぐらいは大目に見てあげなよ」

 

おれたちがそんな会話をしていると、当のオルムがおれたちに気づいた。

 

 

オルムは満面の笑みでおれたちを見ると、隣にいるレオンの肩をつついた。

 

レオンもおれたちを見つけて嬉しそうに笑うと、専門家の男にひと声かけてから

2人でおれたちの方へと歩いてきた。

 

 

「よお! 2人とも元気そうじゃねえか。王子がムーンブルクに来るのはめずらしいな」

 

レオンは明るい笑顔で王子の肩を叩いた。

 

 お久しぶりのレオン棚橋さん♡

 

 

 

「なあ。おまえは統率者でもねえのに、なんでそんなに偉そうにしてんだよ」

 

おれは早速、レオンと一緒にこちらにやって来たオルムをからかってやった。

 

 

「おい、なんだと? 言ってくれたな! てめえ、ぼうずのくせに生意気だぞ」

 

オルムは笑いながら、おれの髪をぐしゃぐしゃに搔きまわしてきた。

 

王子とレオンはおれたちを見て笑っている。

 

 

「おれは雷神丸の船長だぜ。他の場所でもついつい船長らしさが出てしまうんだよ」

 

オルムはふんっと胸を張った。

 

 

「へっ、船団長に聞いたぜ。その雷神丸の操縦は他の奴に譲ったんだろうが」

 

「ん? なんだと?」

 

 

なんでそれを知っているんだとでも言いたそうに怪訝な顔をしたオルムに、王子が

おれに代わってこれまでの経緯を話した。

 

オルムの行方を探しに、昨日はルプガナに行って船団長に会ってきたこと。

オルムだけじゃなく、レオンの行方もわかって大喜びしたこと。

2人がムーンブルクにいると聞いて、今日すぐにこうして会いに来たこと。

 

 

「おれを探していた? なんでだ?」

 

「えっ? オルムだけじゃなく、おれのことも探していたってか?」

 

オルムとレオンはますますわからないという表情でおれと王子の顔を見ている。

 

 

おれと王子はニヤリと笑った。

 

「へへっ。わかんねえようだから、おまえたちを探していた理由を教えてやるよ」

 

おれは人差し指をちょいちょいと動かして、オルムとレオンを呼び寄せた。

 

 

なんだなんだと顔を近づけてきた2人に、おれは小声で言ってやった。

 

「もうすぐナナの誕生日だぜ」

 

 

「そうか! もうあれから1年になるのか!」

「そうか! もうあれから1年になるのか!」

 

オルムとレオンは、王子と同じ言葉を発しながらパッと顔を輝かせた。

 

 

「今年もまた、昨年と同じくおれたちで盛大に祝ってやろうぜ!」

 

おれが2人にウインクすると、オルムとレオンもこくこくとうなずいた。

 

 

「あとは、ここにガルダーの野郎がいれば、呼んでもいいかと思っていたんだけどな。

 今は担当が違うようだな」

 

おれは作業中の男たちに目を走らせた。

レオンのチームの他にいるのは、よりにもよってサマルトリア緑の騎士団だ。

 

おれたちから少し離れたところには、統率者であるモルディウスの姿も見えた。

あいつに見つかって、面倒なことにならねえうちにさっさと退散したいところだ。

 

 

「残念だな。ガルダーはおれと交代で帰っちまったんだよ。帰り際、少し話をしたら

『最強の防具がまだ見つかっていないから探す』みてえなこと言っていたな」

 

「ちっ! あの野郎、まだそんなこと言ってんのかよ。おれは何度も言ったんだぜ。

 最強の防具はナナが着ていた『水の羽衣』だ、そんなに最強の防具が欲しいのなら

 てめえもドン・モハメに織ってもらって、ナナとおそろいで着るがいいってな」

 

オルムとレオンは吹き出した。

 

 

「案外、似合うんじゃねえか」

 

あのガルダーが『水の羽衣』を身にまとう姿を想像してよっぽど面白かったのか

オルムは腹を抱えて笑っている。

 

 

「... ということは、ガルダーの行方は、今はわからないということですね」

 

王子が尋ねると、レオンは「ああ、残念だけどな」と言ってうなずいた。

 

 

王子はおれを見て、小さく肩をすくめた。おれも王子を見て同じ動きで答えた。

 

これからガルダーを探し出すには、さすがに時間が足りねえ。ナナの誕生パーティー

ガルダーを呼ぶのは諦めるしかねえな。

 

 

 

「それでよ、今年はいったいどこで姫様の誕生パーティーをするんだ?」

 

レオンが身を乗り出し、ガキのようにわくわくした様子で聞いてきた。

 

 

「ああ... 出来ればムーンペタでやりてえんだけどさ、教会でパーティーをするなんて

 アルファズルが何と言うかと思ってな。そこが今の悩みどころなんだよ」

 

 

「ああ... あの賢者様か...」

 

レオンはウーンと腕組みした。

 

 

「でも、もしアルファズルが反対してムーンペタでの開催が難しくなったとしても

 代替案として、ルプガナでやろうと思っています。まだ話はしていないんですが

 いざというときは、ルプガナ船団長ご夫妻が協力してくれそうなんです!」

 

 

「ゲッ、マジかよ…」

 

嬉しそうに代替案を話す王子の言葉とは対照的に、オルムは絶句した。

 

 

「なんだ? 船団長の家では反対か?」

 

 

「いや、別に反対ってわけじゃねえよ。おかしらもおかみさんも良い人だしな。ただ、

 おかしらの家ってなると、おれとしてはやっぱり緊張するぜ。他に場所がないなら

 受け入れるけどよ、本音を言えば出来れば『おかしらの家』は避けたいところだな」

 

 

「ははっ。まあ、気持ちはわかるぜ。おれとしてもやっぱりムーンペタでやりてえ。

 その点に関しては、まかせとけよ! どうやら、王子にはアルファズルを説得する

 秘策があるみてえだからよ」

 

 

「なに!?」

「ホントかよ!」

 

 

オルムとレオンの視線が一気に王子に集中して、王子はまごついた。

 

「えっ。いや、秘策というか... ただ、ぼくの正直な想いが伝われば、アルファズルも

 必ずうんと言ってくれるだろうって思っているだけなんだけど...」

 

 

「カインならともかく、王子が強気の発言をするなんて、めずらしいよな」

「ああ、確かにな。こいつならともかく、ぼうずがここまで言うなんてな」

 

オルムとレオンは期待に目を輝かせて、うんうんとうなずいている。

 

 

「おい、おまえら! そろいもそろって『カインならともかく』ってなんだよ!」

 

おれは抗議の声をあげたが、オルムもレオンもまったく聞いちゃいなかった。

 

 

「カインならともかく、王子にそれだけの自信があるなら、おれたちも期待できるぜ」

「ああ、おれもぼうずには期待してるぜ。頼むよ、おかしらの家は回避してくれ」

 

オルムとレオンは、おれの顔は見向きもせずキラキラした目で王子の手を握っていた。

 

 

 

ナナを上手く撒いて ( *´艸`)、ムーンブルクへとやってきた王子とカイン。

 

オルムもレオンも相変わらずで、和気あいあいの楽しい会話が交わされました。

やっぱりオルムとレオンがいると場が明るくなって面白いですよねヾ(*´∀`*)ノ

 

 

ここにガルダーがいれば最高だったんですが、(いくら創作話だとはいえ) そこまで

何もかも上手くはいかないよね~ (;'∀')

 

ガルダーとはまた「すれ違い」 (-_-;)

きっと、ガルダーが最強の防具である『水の羽衣』をナナとおそろいで着るまで、

すれ違いは続くんでしょう ( *´艸`)

 

 

そしてナナのパーティー問題。

一応、代替案としてルプガナ船団長の家も候補にあるとはいえ、やっぱりパーティー

ムーンペタでやりたいのが共通認識。

 

ムーンペタでの開催のため、アルファズルを説得できるのか心配なオルムとレオン。

 

いつになく堂々として自信ありげな王子の姿を見て「カインならともかく、王子が

ここまで強気なのは、すげえ期待できるぜ!」とオルムやレオンも大興奮ヾ(*´∀`*)ノ

 

盛りあがったまま次回に続きます (*´ω`*)

 

 

次回は、王子がアルファズルの情に訴えかけますよ~♪

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ