ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 124】 テパの村 VS. ローレシア?!

ナナの誕生日の翌朝、おれが目を覚ますと、いつの間にか布団に寝かされていた。

 

二日酔いなのか、頭がガンガン痛む。

 

おれの隣では、オルムとレオンが布団の上で大きないびきをかきながら寝ていた。

 

 

「おはよう、カイン」

 

おれが起きたのを見て、王子が爽やかな笑顔で声をかけてくる。

 

 

「昨日、どうなったんだ?」

 

おれはガンガン痛む頭を押さえながら、軽く首を振って王子に尋ねた。

 

 

レオンが「カインはマンドリルに踏まれたんじゃねえか?」と言っておれをからかい

オルムがそれを笑ったことに腹を立て、2人を追いかけまわしたことは覚えている。

 

だが、その後の記憶がなかった。

 

 

王子の話によると、おれは走ってバテたオルムとレオンを捕まえることに成功したが

2人から逆に羽交い絞めにされ「まぁまぁ」と言いくるめられて飲まされたらしい。

 

おれとオルム、レオンが酔いつぶれて3人同時に突っ伏したのを見て、王子たちも

「そろそろ寝よう」となったんだという。

 

 

おれたちをどうやって寝かそうかと、王子が大聖堂内を隅々までくまなく見渡すと、

今日のためにアルファズルが事前に用意してくれていたのか、災害発生時に避難民を

泊めるために常備しているのか、布団がいくつか積み上げられていたそうだ。

 

 

その布団を王子とナナとミリアで敷き、王子がおれたち3人を布団に運んだらしい。

 

そしてナナとミリアはナナの部屋で休み、王子はおれたちと一緒にここで寝たそうだ。

 

 

「そうか。おまえがおれたちを布団まで運んでくれたのか。なんか悪かったな」

 

酔っぱらってだらしなく寝ちまった大の男3人を運ぶなんて、さぞ大変だっただろうと

おれは王子に謝った。

 

 

「ぼく? ぼくは全然平気だよ。暴れたりされると困るけど、3人ともおとなしく

 グッスリ寝ていたからね」

 

 

さすがだな。王子にとっては男3人を抱えて運ぶぐらいはどうってことないようだ。

 

 

記憶を失くしてグッスリ眠り込んじまうなんて、おれはよほど飲まされたみてえだな。

どうりで頭が痛てえはずだ。

 

 

おれはベホイミを唱えた。

二日酔いにはあまり効果がねえだろうが、それでもかなり気分が良くなった。

 

 

回復したおれは、ガーガーいびきをかいて寝るオルムとレオンを叩いて起こした。

 

「あ~、飲みすぎたな~」

「うう~、頭いてえ~」

 

オルムもレオンも顔をしかめて起き上がったが、おれは自業自得だと放っておいた。

 

 

王子が水を汲んで2人に渡してやる。

 

 

「なぁ。おまえら2人、今日の掃除が終わったら、その後はどうするんだ?」

 

おれは、頭を押さえながら水を飲んでいるオルムとレオンに声をかけた。

 

 

ムーンブルクの当番も終わったからな、しばらくはテパの村に戻るよ」

 

 

「おれもレオンを送ってから、ルプガナに戻るぜ。おじょうさんも一緒の船でな」

 

オルムとレオンとミリアで船に乗り、テパの村経由でルプガナに戻るということか。

 

 

「なあ、おまえたち知ってるか? 今、テパの村の往来がすごく盛んになったんだぜ」

 

レオンは誇らしげに二ッと笑った。

 

 

レオンがラゴスから水門の鍵を取り戻し、干上がっていた川に水が戻ったことで、

村への行き来も格段に楽になった。

 

今は海岸の近くに新しい波止場が出来て、テパの村に行きたい奴はその波止場から

小舟に乗り換えて、川を北上して村に行けるようになったのだそうだ。

 

 

テパの村の奴らも、小舟で川を下って海岸近くまで行き、波止場で大型客船に乗り換え

世界中に行けるようになったらしい。

 

 

「へぇ? そりゃ、知らなかったぜ。移動が楽になって良かったじゃねえか」

 

 

テパの村も人の往来が盛んになって、これからますます発展しそうですね!」

 

 

おれと王子が声をかけると、レオンは嬉しそうに満面の笑みでうなずいた。

 

 

「おい、おまえ。テパの村はこれまで未開の地だったけどよ、人の行き来が増えたら

 ローレシアより発展するんじゃねえか? なんせローレシアも辺境の地だからな」

 

おれが笑いながら王子を突くと、王子はムッとした顔になった。

 

 

「はははっ。そのとおり! 我がテパの村が、ローレシアを超す日も近いだろうな!」

 

レオンも笑いながらおれに同調して、王子は頬を膨らませるとふんっと顔をそむけた。

 

 

「おいおい、おまえら。王子は一国の立派な王様なんだぜ。あまりいじめてやるなよ」

 

オルムが笑いながら仲裁に入った。

 

 

「ところで、そういう王子はこれからどうするんだ? おまえも国に帰るのか?」

 

拗ねている王子の背中をポンポンと叩きながら、オルムが優しく声をかけた。

 

 

「そろそろ帰らねえと、サイラスがまたギャーギャーうるせえんじゃねえか?」

 

おれがからかい口調で声をかけると、オルムのおかげで少し機嫌が直ったのか、

王子も微かに笑顔を見せた。

 

 

「それがさ、逆なんだよ」

 

 

「逆って?」

 

 

「うん。レオンたちと入れ替わりで、青の騎士団がムーンブルクの当番になるんだ。

 サイラスが城を不在にするから、ぼくには帰って来て欲しいって言ってきたよ」

 

 

  「私が所用で城を出ますので、国王にはすぐにご帰還いただきたい」

 

 

 

「ははっ。自分が出掛けるからって、ぼうずには早く帰って来いと命令するだなんて

 まるでサイラスが王様みてえだな」

 

 

「確かにな。おまえ、いい加減に帰って王様の威厳ってヤツを示しておかねえと

 サイラスに乗っ取られて、ローレシアの新国王はサイラス王になっちまうぜ」

 

 

「あはは。そうならないよう気をつけるよ」

 

忠誠心の高いサイラスが城を乗っ取るなんてありえねえ話だ。王子は軽やかに笑った。

 

 

 

「楽しそうじゃない、なんの話?」

 

大聖堂の入口からナナが声をかけてきた。

ナナの後ろからミリア、続けてティアとリーナも大聖堂に入ってくる。

 

 

オルムとレオンが今の話を繰り返した。

 

 

「やだぁ~。サイラスなんかが王様になっちゃったら、規則だらけで窮屈で堅苦しくて

 あたし、ローレシアに行くのが嫌になっちゃうじゃないの。そうならないように、

 王様としてがんばりなさいよ、王子!」

 

どうやらティアには冗談だと通じなかったみてえだ。ティアはオルムとレオンの話に

ぷーっと頬を膨らませると、気合を入れようと後ろから王子の背中をドンと叩いた。

 

 

王子は不意打ちに「ぐえっ」と変な声を出しながら、それ以上の攻撃を避けたいのか

ティアを見て素直に「はい」とうなずいた。

 

そんな王子とティアの様子を見て、その場にいた全員が大笑いした。

 

 

「あらあら、朝から元気だこと」

 

後ろから声がして振り返ると、おば... いや、母ちゃんとムーンペタの町の奴らが

笑いながら大聖堂に入ってきた。

 

 

大聖堂内も一気に賑やかになる。

 

みんなで片づけと掃除をしようと声をかけて朝から集まってもらったが、昨日の夜に

ある程度の片づけは済ませてあったし、町人たちもテキパキと効率よく動いたことで

大聖堂内はあっという間に綺麗になった。

 

 

王子がみんなを代表して、アルファズルに礼を言ってくると伝えてきた。

 

「レオン、おれたちも行こうぜ!」

 

「ああ、そうだな。王子1人だけに任せるのは可哀想だからな!」

 

ここでなぜか、オルムとレオンが『大人代表』として王子について行くと主張した。

 

 

「じゃあ、おれも行くか?」

 

おれが声をかけると、オルムとレオンは強い調子で「おまえはいい!」と止めてくる。

 

なんだか不審に思えたが、王子が「ぼくたち3人で行ってくるよ」と笑顔を見せたので

おれはそのまま引き下がった。

 

 

 

王子たちの帰りを待つ間、母ちゃんがおれのそばに来て耳打ちしてきた。

 

トンヌラとマリアも来る予定だったんだけど、赤ちゃんが熱を出しちゃったみたいで

 今日は来れないんだよ。あんたに挨拶させたかったんだけどごめんなさいね」

 

 

「ああ、そんなこと別に気にしねえよ。そんなことより赤ん坊は大丈夫なのか?」

 

おれが尋ねると母ちゃんは微笑んだ。

 

 

「赤ちゃんは、しょっちゅう熱を出したりお腹を壊したりするものさ。大丈夫だよ。

 熱があるのに元気いっぱいでね、逆に元気すぎて困ってるみたいだよ」

 

 

「そうか、なら良かったな」

 

おれたちが笑っていると、その様子を見てナナが駆け寄って来た。

 

 

「カインから聞いたわ。昨日の可愛い赤ちゃん、おばさんのお孫さんなんですってね」

 

ナナが愛想よく笑顔で声をかけると、母ちゃんも嬉しそうに微笑んだ。

 

 

「ふふ、そうなのよ。可愛いでしょ? 昨夜はカインとも話していたんだけど、姫様にも

 あらためて息子たち家族を紹介したいわ。あたしはいつでも構わないから、今度ぜひ

 2人で 遊びに来てよ」

 

母ちゃんの誘いを受け、ナナはおれを見てほんのり顔を赤らめると「ええ、行くわ」

にこやかにうなずいた。

 

 

 

そのとき突然、和やかな雰囲気の大聖堂に、ピリッとした緊張感のある空気が流れた。

 

「なんだ?」と思って振り返ると、アルファズルが大聖堂の入口に立っている。

 

 

  なんだか険しい目つきのアルファズル... (;´Д`)

 

 

ん? アルファズルはやたらと険しい目でおれを見据えている気がするな。

 

いったい、なにがあったんだ?!

 

 

 

 

 

前回は、カインが怒ってオルムとレオンを追いかけるところで話が終わったので

その後、どうなったのかを王子の口から説明してもらいました~ (*´ω`*)

 

酔いつぶれて寝ちゃった男たち3人を、平気な顔で軽々と布団へと運ぶ怪力王子☆

(ミリアはまたうっとりですね ( *´艸`))

 

 

水門の鍵が戻り、世界も平和になったことで、人々の行き来が活発になったテパの村

カインとレオンが言うように、テパの村が「辺境の地・ローレシア」を超える日が

来るのも近いかもしれません ( *´艸`)

 

 

テパの村 VS. ローレシア」「王子 VS. サイラス」の話題で盛り上がる男たち (≧∇≦)♪

そこにナナたちも加わり、さらにムーンペタの住人もやってきて和やかムード (*´ω`*)

 

 

そんな中、アルファズルに挨拶に行くという王子と、お供するというオルムとレオン。

カインの同行を頑なに断り、3人だけでアルファズルのもとへ向かいます (゜-゜)

 

そして、王子たち3人に呼ばれて大聖堂に現われたアルファズルは、なぜかカインを

険しい表情で見つめています。

 

 

さて、王子たちはなぜ「3人で」アルファズルに会いに行くと言ったのでしょう?

アルファズルの険しい表情の理由は?!

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ