ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 64】自分の力で

同盟締結に『ロトの印のステッカー』を渡され、怒りをあらわにしたデルコンダル王は

ナナの熱い想いに心を動かされて、ローレシアとの同盟締結に合意してくれた。

 

一見、おれの計画は成功したように見えた。だが聴衆の視線は、王様を説得したナナと

同盟締結を宣言したデルコンダル王に注がれていて、誰も王子を見ちゃいねえ!

 

なにやってんだ、王子!

主役の座をこいつらに奪われてるぞ!

 

 

くそっ! 今のこんな状態から、人々の注目を再び王子に集めるにはどうすれば良い?

 

考えを巡らせながらあたりを見まわしていると、当の本人である王子と目が合った。

王子はおれを見てハッとした。

 

「カイン!」

 

大きな声でおれに呼び掛けてくる王子の声に、人々の視線が集まった。

 

「あとできみにもあげるよ!このロトの印のステッカー。

 カインも、ぼくの大切な『仲間』だからさ!」

 

 

ったく! 今はそれどころじゃねえだろうが!

主役の座を奪われたっていうのに、無邪気に話しかけてくる王子におれはイラついた。

 

「あぁ、ありがとよ」と受け流すか「もう持ってるからいらねえよ」と突っぱねるか

王子にどう返答するか判断に迷ったおれは、もう1つ、別の答えをひらめいた。

 

 

「ありがとな、王子。でもよ、どうせならそれ、おれじゃなくて親父に渡してくれよ。

 我がサマルトリアとも、あらためて心を1つにして平和維持に努めるってことでよ」

 

「えっ。でも、これは『仲間の証』なんだろう? ぼくとカインが仲間なのに、そのうえ

 カインのお父上にまで、ぼくの仲間になってくれっていうのは、なんだか照れ臭いし

 なんかちょっと… 気が引けるよね」

 

王子は少し困惑した表情を見せた。

 

 

「んん~? なんじゃあ? そなた、わしには簡単に『仲間になれ!』と言ったくせに、

 サマルトリア王に言うのは気が引けると申すのか? やっぱり、我がデルコンダル

 下に見ておるのではあるまいな?」

 

デルコンダル王は唇の端を吊り上げて、からかうような目で王子の顔を覗き込む。

 

い、いえ! 決してそのようなことは。、わかりました!

 サマルトリア王にもステッカーを渡し、ぼくの『仲間』になってもらいます!」

 

王子の焦った物言いが面白かったのか、おれの親父を仲間にすると言うのが面白いのか

一部の男たちの間で笑いが起こる。

 

 

「あら、王子。それなら、ラダトーム王にもぜひお渡ししなくちゃいけないわね」

 

ナナが笑いながら王子に言った。

 

「そうだな。おまえ、あのじいさんにも『仲間』になってもらえよ!」

 

おれもナナに乗っかった。

 

「あっ、うん。ラダトームは勇者ロトの聖地だもんね。仲間はずれには出来ないよね。

 この機会に、ラダトーム王にもぜひ、ぼくの『仲間』になってもらおう!」

 

 

「あははー」

「いいぞー!」

「やれやれー!」

 

男たちからヤジが飛び、笑いが起きる。

聴衆の視線が王子に移り、あちこちで笑いも起きて雰囲気も和やかになってきた。

 

 

いいぞ、この調子だ。

あともうひと押し、なにかがあれば...

 

そのときおれは、仲間になりたそうにこちらを見ている奴に気づいた!

 

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「おお~い! 竜王のおっさんよ。あんたはどうだい?

 あんたも、ステッカーをもらって仲間になるかい?」

 

おれが大声で呼びかけると、竜王のおっさんは顔をパッと輝かせた。

 

 

「おおっ、わしにもステッカーをくれるというのか?

 わしにもくれると言うのなら、喜んで仲間になるぞ!」

 

 

「はいっ。もちろんです! あなたにもお渡しします!

 あなたはもうすでに、ぼくの大切な『仲間』です!」

 

 

「イエーイ!」

「やったあ!」

「良かったじゃねえか、竜王!」

 

男たちは歓声を上げ、口笛を鳴らし、竜王のひまごをはやしたてた。

 

竜王のひまごが空に向かって勢いよく炎を吐き、喜びの舞(?)を踊ると

聴衆はさらに大いに盛り上がった。

 

 

「なぁ、王子。各国の王すべてに渡すっていうんならよ、

 おれにも、その『ロトの印のステッカー』くれねえか?

 おれだって一応は、ルプガナ代表みたいなものだしよ」

 

ミリアの親父、ルプガナ船団長が聴衆の中から王子に声をかけてきた。

 

「あ、はい! もちろんです」

 

 

「おい、ぼうずよ。船団長にやるって言うんなら、おれにだってくれねえか?

 おれは船団長みたいに偉くねえけどよ、一応は雷神丸の船長だし、あんたたちとも

 長く一緒に旅をしてきた『仲間』でもあるんだからさ」

 

ルプガナ船団長の隣から、オルムが負けじと大きな声で王子に話しかけた。

 

「ああ、そうだね。オルム。確かにあなたも、ぼくの大切な『仲間』だよ」

 

王子はオルムに笑顔でうなずいた。

 

 

「おいおい、ぼうず。オルムにやるんならよ、おれだってもらえるはずだぜ。

 おれも一緒に旅をして、一緒にラゴスを捕まえた『仲間』なんだからよ!

 おれにもくれよ! そうだな… おれはテパの村代表』ってことでさ!」

 

レオンまで声を上げだした。

 

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「ああ、もちろんだよ。レオン!」

王子はにこやかに笑って応じた。

 

 

「なぁ、おれはペルポイの生まれなんだよ。ここは『ペルポイ代表』ってことでよ

 おれにもそのステッカーくれねえか?」

「じゃあ、おれは『リリザの町代表』だ!」

「おれはベラヌールから来た。『ベラヌール代表』で、おれにもくれよ!」

「なんだと? おれもベラヌール出身だ。こいつにやるぐらいなら、おれにもくれ!」

 

男たちから次々に手が上がる。

 

 

王子はサイラスと顔を見合わせた。サイラスは顔をほころばせてうなずいた。

 

「わかりました、 みなさん! 今は全員の分を用意できていませんが、あとで必ず

 みなさんにも、この『ロトの印のステッカー』をお渡しします。約束します。

 ここにいるみなさん全員、ぼくの大切な仲間ですから

 

割れんばかりの大歓声が起きた。

 

 

やるな、王子! さすがはおれ様を差しおいて、長く主役の座を務めてきただけあるぜ。

自力で主役の座を取り戻しやがった。

 

 

 

カインやデルコンダル王、ナナ、竜王のひまご、オルム達のアシストはあったものの

王子は自分の力で、主役の座を見事に取り戻しました~ヾ(*´∀`*)ノ

 

『ロトの印のステッカー』は「大切な仲間へ送るアイテム」となりましたよ☆

呪いのアイテムのように感じておびえていたサイラスも、これで一安心ですね ( *´艸`)

 

『破壊神を破壊した男』として、到着からずっと色眼鏡で見られていた王子ですが

持ち前の人の良さで、ムーンブルクに集まったみんなを仲間にすることが出来ました☆

 

デルコンダルとも無事に同盟が結べたし、こうしてたくさんの仲間を手に入れた王子♪

今日の出来事が世界に広まれば、悪名も払しょく出来るでしょうヾ(*´∀`*)ノ

 

 

個人的には「なかまに なりたそうに こちらをみている!」だった竜王のひまごを

仲間にしてあげられて嬉しいです (≧∀≦)

 

 

財政難に見えるローレシアの、しかもろくなものを売っていない小さな売店に、

ここにいる男たち全員に配れるほどの『ロトの印のステッカー』があるのか (;´∀`)?

また、増版は出来るのか?

 

少し疑問は残りますが、サイラスが笑顔でうなずいていたのでなんとかなるでしょう!

多少難しくても、王子のためならサイラスがなんとかしてくれますよね (^_-)-☆

 

 

さて、長く引っ張りましたが『破壊神を破壊した男』問題はとりあえず一件落着です☆

ムーンブルク再建の初日、長い1日が終わろうとしていますよ。

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ