ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 48】キーパーソンは3人

王子についた『不名誉な異名』を取り去るべく、奇策を思いついたおれは

いったんサマルトリアに帰って、今思いついた策を熟考し直すことにした。

 

おれが帰ると言ったのを受けて、サイラスもローレシアに帰ると言い出した。

どうせ帰るなら、ルーラで送っていってやろうかと提案したが、サイラスは

「カイン殿下にこれ以上のお手数はおかけいたしません。自分で帰りますので」

頑なに断ってきた。

 

まぁ、サイラスの気持ちもわかる。こいつは相当な堅物ヤローだからな。

これ以上、おれに借りを作りたくないということなんだろう。

 

「自分で帰るというのなら送らねえよ。ただ、サイラスよ。ローレシアに戻ったら

 ちゃんとメシ食って、しっかり寝て、まずはそのひでえ顔をなんとかしろよな。

 そんな顔で王子に会ったら、いくら鈍感な王子だって心配するだろうからよ」

 

「はっ。かしこまりました。まずは自分の不摂生を反省し、改善いたします」

 

サイラスはおれにぺこりと一礼したあと、ナナとアルファズルの方に向き直った。

 

「ナナ様、アルファズル殿。この度はお騒がせしてしまい申し訳ございませんでした」

 

サイラスが深々と頭を下げると、ナナはあわててサイラスに駆け寄り肩に手をかけた。

 

「謝ることないわよ、サイラス。カインの言うとおり、早く元気になってちょうだい」

 

「サイラス殿。カインやナナの言うとおりだ。今は国難だが、こんなときこそ

 そなたは心を強く持って、王子をしっかり支えてやるのじゃぞ」

 

サイラスはナナに促されて顔を上げると、2人を見てしっかりとうなずいた。

 

「私はこれで失礼いたします。カイン殿下、なにかあれば、いつでもご連絡ください」

 

サイラスはおれたちを見回して再び頭を下げると、足早に小部屋をあとにした。

 

ナナの視線がおれに移る。

 

「カイン。アルファズルも言っていたけど、1人で無理しないでよね。

 あなたにはいつだってあたしたちがついていることを忘れないでね」

 

「ああ、ありがとよ。王子のことはおれがなんとかするさ。全部おれにまかせて

 おまえもメソメソ1人で泣いたりするんじゃねえぞ」

 

「… いやね。わかってるわよ」

 

おれの言葉に、ナナはなぜか顔を赤らめて照れくさそうに目を背けた。

 

「良策を思いついたようだが、行き詰まることがあればいつでも訪ねてくるがいい。

 多少なりとも相談ぐらいは乗ってやれるだろうからな」

 

「ああ。頼りにしてるぜ」

 

ナナとアルファズルにあいさつを終えたおれは、呪文を用意した。

 

「二つの点は一つの点に。星幽界の守護者よ、われをかの場所へと導きたまえ。ルーラ!」

 

 

サマルトリア城に帰ってきて自室に入ると、急に睡魔が襲ってきた。

 

まぁ、疲れるのも無理もないだろう。ムーンペタからムーンブルクまで馬を走らせて

ムーンブルク王の遺骨を西の修道院まで運び、再び戻ったところでリオスと会って

ムーンペタではサイラスから王子の話を聞いてやっと帰って来たんだからな。

 

1週間後に、ムーンブルクの再建をスタートさせて、そこで王子の名誉も回復させる。

なかなか厄介な話だが、なあに、あと1週間もあるんだ。なんとかなる。

 

おれは着替えもせずにベッドに倒れ込んで、そのまま寝てしまった。

 

 

翌朝。

たっぷり眠ったおれはスッキリと目覚めた。早速、昨日の策を思い返してみる。

 

おれの作戦のキーパーソンは3人。

 

王子・デルコンダル王・ナナ だ。

 

ナナはまず大丈夫だ。

あいつはおれが王子の名誉回復のために策を練っていることは知っているからな。

おれからの依頼には、どんなことでも 100% すんなり応じてくれるだろう。

 

王子に関しても問題ない。

あいつは人を疑うことを知らないし、たとえあいつがなにか疑問を感じたとしても、

サイラスに協力してもらって一緒に説得すれば、間違いなく上手くいくだろう。

 

となると…

やっぱり問題はあのタヌキ親父だな…

 

 

だが、おれがこの策を思いついたそもそものきっかけは、デルコンダル王の言葉だ。

 

あのおっさんが言ったんだ。

サマルトリアの王子は、頭はキレるが虚弱体質。ローレシアの王子は、屈強だが

 純朴でおめでたい性格。2人の良いところだけを取れば、向かうところ敵なしの

 最強の戦士になるのに…」と。

 

おれは竜王のおっさんに無理やり背中に乗せられ、デルコンダルへ連れて行かれたとき

デルコンダル王と竜王のおっさんが話していた会話を再び思い出してみた。

 

 

あのとき、2人は「おれと王子にはそれぞれ欠点があるため、ロトの子孫ではナナが

1番強い」と言って笑いあっていた。(ナナが最強という説にはおれも異論はない)

 

デルコンダル王の発言の真意は「王子の純朴でおめでたい性格、おれの虚弱体質が

アダとなって、おれたちはどちらも中途半端な存在だ」ということだ。

 

「王子がキレ者でない以上、いくら桁外れの力があろうと王子は脅威にならない」

このことを、デルコンダル王なら確実に証明してくれるはずだ。

 

 

ただ、あの癖の強いおっさんがおれの策に素直に応じてくれるだろうか?

もともと、長く敵対関係にあったローレシアデルコンダルだからな。王子に

汚名が着せられていると知っても、デルコンダル王は内心ほくそ笑むだけで

動いてくれないかもしれない。

 

いや、それでもやるしかねえ。

おれはデルコンダルへ向かうことにした。

 

 

 

カインの奇策については、こんな感じで少しずつ明かしていきますよ~ ( *´艸`)

 

とりあえず、キーパーソンは3人。

王子・デルコンダル王・ナナです。

 

王子は『破壊神を破壊した男』という汚名を着せられた当事者、

デルコンダル王は「王子は脅威にならない」と証明できる人物です。

 

では、3人目のキーパーソンであるナナにはどんな役割があるのでしょう?

 

いろいろ想像してくださいね (^_-)-☆

 

 

ちなみに、カインの言葉でナナが顔を赤らめたのは、カインに背中を貸してもらって

泣いたことを思い出したからです (*´ω`*)

 

カインは気づいていないですが… (´∀`;)

 

作者の強い希望もあって、ナナがカインを意識して動揺したり照れたりするシーンは

今後もどんどん入れていきます ( *´艸`)♡

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ