ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作番外編 ⑬】 ティアの大冒険 ~再会~

ローレシア南のほこらへ向かう途中、あたしたちは旅の扉を使ってデルコンダルから

お魚を売りにやって来たという商人・トルネコさんに出会ったの。

 

 

  この世界のトルネコデルコンダルの魚屋さん ( *´艸`)

 

 

以前、旅の扉をくぐって来たときは時空の変化で弱っちゃったお魚がローレシア城に

たどり着くまでにすべて死んじゃったらしいんだけど、トルネコさんから話を聞いた

グランログザー師匠が冷凍系の魔法を唱えてお魚を凍らせてくれたんですって。

 

 

冷凍魔法のおかげで新鮮なままお魚を運べるようになったと喜ぶトルネコさんから

あたしたちはまるまるとした綺麗な色のお魚を買うことにしたのよ。

 

その後、あたしがサマルトリアの王女と知ったトルネコさんは「以後ごひいきに」

おまけで細長いお魚を5匹もくれたの。

 

 

ふふふ、王女さまって得よね!

 

ローレシア城へ向かうトルネコさんを見送って、あたしたちはさっそくお魚を料理して

食べることにしたのよ。

 

 

トルネコさんに教わったとおり、細長いお魚は串刺しにして火から少し離れたところで

氷が溶けるまで待って、氷が溶けたら塩をふって火の近くであぶり焼きにしたの。

 

別のところにもう1つ火をおこして、そこでは凍ったままのお魚を煮ているのよ。

トルネコさんおすすめの甘辛い味つけをした煮つけもとってもいいにおいがしてる。

 

 

「姫さま、このあたりの魚はもうそろそろ焼きあがったようですよ」

 

クリフトが嬉しそうに焼けたお魚の串を両手に持って高く掲げて笑っているわ。

 

 

「さっそく食べましょうよ!」

 

あたしも笑いながらクリフトのそばに近寄ろうとしたとき、上空からパタパタと

音を立てて『なにか』が降りてきたの!

 

 

「うわっ!」

 

目の前を『なにか』に横切られたクリフトが、とっさに自分の頭をかばっている。

 

 

「キィキィ。よしよし、いいぞいいぞ。その調子で、そいつの魚を奪うんだキィ」

 

頭の上から甲高い声が聞こえる。

 

 

見上げると、羽根をパタパタさせた1匹のドラキーがどうやら手下らしい2匹の

ドラキーに指示を出しているわ。

 

  今日の獲物だキィ。おまえら、そいつの魚を奪ってくるんだキィ。

 

 

「ぐわっ!」

 

2匹のドラキーに両側から攻められたクリフトは、思わず串を1つ落としちゃった。

 

 

まぁ、なんてこと!

せっかくトルネコさんにもらったお魚なのに… 地面に落ちて泥がついちゃった...

 

 

「許せないわ!」

 

あたしは近くにあった石を拾って、クリフトの周りを飛ぶドラキーに投げつけたの。

 

 

「ウギャ!」

 

あたしが思いっきりぶん投げた石は見事に1匹のドラキーに命中したわ!

石がぶつかったドラキーはひらひらと地上に落ちてきてそのまま伸びちゃったわよ!

 

 

「おのれ、よくも姫さまに差し上げる魚を台無しにしたな!」

 

あたしと同じぐらい怒ったクリフトが、串を落としたことで空いた手で拳を握り

もう1匹のドラキーを殴りつけたの。

 

 

「ギャフン!」

 

ふんっ、ざまあみろね! クリフトに殴られた1匹も地面に落ちて伸びちゃったわよ。

 

 

「げっ! おまえたち、弱すぎだキィ。せっかく魚を地面に落としたっていうのに

 なにやってるんだキィ...」

 

上空にいるドラキーはあっさり伸びてしまった仲間たちを見ておろおろしている。

 

 

このまま1人で逃げるか、仲間を助けに行くか、それとも落ちた魚を取りに行くか

ボスドラキーは迷ってるみたいね。

 

 

ふんっ、肝心なときに動揺して優柔不断になる奴なんてボスの器じゃないわよ!

 

あたしは、迷って方向が定まらないままフラフラと降りてきたドラキーのしっぽを

思いっきり引っつかんでやったわ!

 

 

「な、なにするキィ。放すんだキィ!」

 

しっぽをつかまれたドラキーは羽根をパタパタさせて暴れながらあたしを見たの。

 

 

「お、おまえはあのときの小娘?!」

 

あたしを見たドラキーが目を丸くする。

 

 

「姫さま、お知り合いですか?」

 

クリフトがとぼけた声で聞いてくる。

 

 

「なに言ってんのよ。あたしにドラキーの知り合いなんているわけないでしょ!」

 

あたしはドラキーのしっぽを引っつかんだまま、振り返ってクリフトに返事したわ。

 

 

「… あはは、そうそう。勘違いだったキィ。会うのは今日が初めてだキィ。それに

 食べ物を奪おうとしたのも今日が初めてなんだキィ。初犯だから見逃してくれキィ」

 

ドラキーはあたしから顔をそむけながら、必死にこの場から逃げ出そうとしてるわ。

 

 

「初犯とか関係ないわよ。あたしから食べ物を奪おうだなんて、いい根性じゃない」

 

あたしは再びしっぽを強く握ってグッとこっちに引き寄せてドラキーの顔を見たの。

 

 

横にぶっちゃけたようなにやけた口、ヘラヘラした顔… なんか見覚えあるわね…

 

 

「あー、思い出したわ! あんた、あたしのサンドイッチを取ったドラキーじゃない!」

 

あたしが叫ぶと、ドラキーはひきつった笑みを浮かべてブンブンと首を振った。

 

 

「… ド、ドラキー違いだキィ。我々は... は、初めましてだキィ。前に会ったのは別人。

 おそらく他人の空似だキィ...」

 

 

「そんなわけないでしょ! あんただってさっきあたしのこと『あのときの小娘』って

 言ってたじゃないのよ!」

 

 

「… そ、そんなこと言った覚えないキィ」

 

 

「嘘おっしゃい! 見え透いた嘘であたしから逃げようったってそうはいかないわよ!

 あんた、もういい歳なのにまだこんなことやってんの? みっともないわね! 今回は

 手下まで引き連れて偉そうに! たかがドラキーのくせに生意気なのよ!」

 

 

「ひ、ひどいキィ… 我々ドラキーにだって仲間はいるし、上下関係だって…」

 

 

「うるさいわね! あたしに文句でも言うつもり? あんた、弱っちいくせに偉そうに

 手下へ命令してんじゃないわよ。あんたなんて、前にサンドイッチを取ったときは

 王子にあっさり負けたし、あたしにはこうして2回も捕まってんじゃないのよ!

 そんな 最弱 の奴に偉そうに命令されるなんて、たまったもんじゃないわね。

 こいつたちも哀れなものよ」

 

あたしは地面に落ちた手下のドラキーたちに目を向けながら言ってやったの。

 

 

地面の2匹のドラキーはすでに目を覚ましていて、おどおどして微かに震えながら

あたしたちのやりとりを見守っている。

 

 

「さ、最弱とはあまりにひどいキィ。こっちにも仲間内での立場というものがあるキィ

 これじゃあ威厳を保てないキィ…」

 

 

「ふんっ! あんたの威厳なんて知ったこっちゃないわよ。元はと言えば弱っちいのに

 あたしたちのお魚を奪おうとしてきたあんたたちが悪いんでしょ。前にも言ったけど

 あんたみたいな奴があたしからなにかを奪い取ろうだなんて100万年早いのよ!

 弱っちいくせに、いっちょまえに飾りものみたいな羽根パタパタさせちゃってさ。

 目障りだしうるさいのよ。コウモリなんだから夜に活動しなさいよね! 昼間っから

 パタパタされちゃいい迷惑なのよ!」

 

ふんっ! 焼きあがったばかりのお魚を地面に落とされた恨みは恐ろしいのよ。

あたしはめいっぱい文句を言ってやったわ。

 

 

「...キィ...... キィ...」

 

ドラキーは涙目になり「助けてくれ」という顔で、クリフトや少し離れたところにいる

ティメラウスたちを見つめている。

 

 

「姫さま、もう許してもいいのではないですか。地面に落ちた魚はもう食べられないし

 こいつらにあげて、もう2度としないと誓わせればいいのではないでしょうか?」

 

 

ドラキーなんかに同情したのかしら?

クリフトが助け舟を出してきたわ。

 

クリフトの言葉に、しっぽをつかまれたドラキー「うんうん」と大きくうなずいた。

 

地面に落ちた2匹のドラキーは並んでこっちに向かってペコペコと頭を下げている。

 

 

「お〜い! おじょうちゃ〜ん、クリフト〜。魚が煮えたぞ。遊ぶのはそのへんにして

 そろそろこっちに来いよー!」

 

リオスさんが呼んでくる。

隣ではティメラウスが手招きしているわ。

 

 

あの2人もドラキーに同情して救いの手を差し伸べようっていうつもりかしら?

食べ物を取ろうとするのは2回目なんだから、うんと懲らしめてやりたいのに。

もう、みんな甘いわよね。

 

でも、リオスさんの言うとおり、煮えたお魚からは甘辛いイイ匂いが漂ってくるの。

確かに、煮魚が出来たというのにこんなドラキーなんかの相手してる暇はないわよね。

 

 

「しょうがないわね、許してあげるわよ。落ちた魚を拾ってさっさと巣に戻りなさい!

 2度とこんなことするんじゃないわよ。次にあったら許さないんだからね!」

 

心優しいあたしはしっぽを放してやったの。

 

 

「はい、かしこまりましたキィ。おい、おまえたち! ちゃんとお礼を言うんだキィ」

 

解放されたドラキーが仲間のドラキーに声をかけると、地面の2匹はあたしの方を見て

「キィ」「キィ」と鳴きながらペコペコと何度も頭を下げてきたの。

 

 

そして3匹のドラキーはクリフトが落とした魚の串を拾い上げると、逃げるように

羽根をパタパタさせて去っていったわ。

 

 

「はぁ、あいつらのせいで1匹ダメになっちゃったのは残念ね。でも、他の4匹は

 無事に焼きあがったし、煮魚も出来たんだもの。気を取り直して食事にしましょう」

 

あたしは飛んで行く3匹のドラキーたちをぼんやり見送ると、クリフトに声をかけて

リオスさんたちのそばに向かったの。

 

 

「私の不注意で落としてしまったのは申し訳ありません。でも、残りの4匹はなんとか

 こうやって守り通しましたので、1人1匹ずつ食べることにしましょう!」

 

クリフトが後からついて来て、4本の串を1本ずつあたしたちに配った。

 

 

とんでもない邪魔が入っちゃったけど、その後あたしたちはトルネコさんからもらった

お魚を心ゆくまで堪能したのよ。

 

あぁ、お腹いっぱい♡

 

 

 

 

ティアと言えばドラキー ( *´艸`)

 

ゲームブックではお手製のサンドイッチをドラキーと山ねずみに取られたティア。

王子がやっつけた後、逃げようとするドラキーのしっぽを引っつかんで説教する

ティアの勇姿が忘れられず ( *´艸`)、どこかで再会させようと決めていました☆

 

 

初戦とかだと、まだティアとクリフトのレベルが低くてドラキー戦は苦戦しそうですが

(私がゲームで初死亡したのはドラキー3体との死闘の末でしたから (;´∀`))

 

今やバブルスライムやキングコブラも倒せる2人にとってドラキーなんてザコ ( *´艸`)

ドラキーは再びティアにつかまってコンコンとお説教される羽目になりました~☆

 

前回と違って、ドラキーも手下が出来るぐらい偉くなったというのに「最弱」と罵られ

手下の前で恥をかかされ... ( *´艸`)

 

これに懲りて、ドラキーもしばらくは昼間の活動を控えることでしょう ( *´艸`)

 

 

さて、トルネコにもらったお魚も堪能して大満足のティアたち一行 (*´ω`*)

もうすぐ南のほこらに到着ですよ (^_-)-☆

 

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ