ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 144】 行方不明

おれはナナと一緒にムーンペタで3泊し、久しぶりにサマルトリアへ帰ってきた。

 

 

にぎやかな城下町を歩き城に入ると、城内がやけに静かなことに気づいた。

 

いつもなら自室の前にある少し開けた場所で、ティメラウスやリオスをつかまえて

わーわー言っているティアの姿がない。

 

ティアの部屋を覗くと、今まで見たことないぐらい綺麗に整理整頓されていた。

 

 

「あいつ、どこ行ったんだ?」

 

おれは近くの女中や門番に尋ねてみたが、みんな口をそろえて「知らない」と言う。

 

門番たちも別に意地悪で隠している感じはなく、本当に知らないようだ。

 

 

おれは次にティメラウスの部屋に行ってみたが、部屋には鍵が掛けられているし

ノックをしても何の返答もない。

 

 

「ティメラウスもいねえのか...?」

 

ティメラウスの部屋を自分の部屋のように使っているリオスも部屋にはいないようだ。

 

 

ティア・ティメラウス・リオスの3人でどこかに行ってるのか?

家臣たちは誰も行き先を知らねえのに?

 

 

王妃なら3人の行方を知ってるんじゃねえかと、おれは今度は裏庭に行ってみた。

 

 

裏庭には王妃の姿はない。

 

ただ、庭の草木には隅々まで水が撒かれ、伸びた枝は丁寧に剪定されている。

 

 

サマルトリアで誰よりも花に詳しい王妃を差し置いて花の世話をする奴はいない。

水を撒いて剪定したのは王妃本人か、王妃から指示を受けた誰かだろう。

 

葉には水滴がつきキラキラと輝いている。

水が撒かれてから、まだそんなに時間が経っていない証拠だ。

 

 

「くそっ、みんなどこ行った?」

 

おれは1人つぶやき、裏庭を出てサマルトリア緑の騎士団の練兵場へ向かった。

城でなにか異変が起きていれば、緑の騎士団は慌ただしく動いているはずだ。

 

 

練兵場に近づくと、兵士たちが掛け声をあげながら剣を振るっているのが目に入る。

 

モルディウスに見つかると面倒だ。

おれは少し離れたところから様子をうかがったが、いつもどおりの訓練と変わりない。

 

 

ティアや王妃はいないとしても、どこかにティメラウスがいるんじゃねえかと思い

遠くまで見渡していると、軍医待機所の前で兵士たちをぼんやり見ていたサンチョが

おれに気づいてこっそり手を振ってきた。

 

 

 「おーい、坊ちゃ~ん!」 いつもと変わらない様子のサンチョ

 

 

う〜む。サンチョの陽気な様子を見る限り、特に問題が起きたようには見えねえな。

そして、どうやらティメラウスは練兵場には来ていないようだ。

 

おれはモルディウスに見つからないように、サンチョに向けて軽く手を挙げると

静かに練兵場をあとにした。

 

 

あと考えられるのはどこだ?

 

王妃とティアだけいないなら後宮も考えられるが、ティメラウスたちもいないからな。

おそらく後宮にもいないのだろう。

 

それでもなにか手がかりでもあればと、おれは後宮の入口で女官に尋ねてみたが

王妃は「庭の花に水やりしてからティアに会ってくるわ」と言って後宮を出たらしい。

 

 

もしかしたら王妃とティアは、親父に呼ばれてどこかへ行ったのか?

 

おれはとりあえず謁見の間に向かってみたが、誰かが訪ねてきている気配はなかった。

近くにいる門番に尋ねても「こちらには誰もいらっしゃっていません」と言われた。

 

おそらく親父は自室にいるのだろうが、さすがに親父を呼び出して聞く勇気はねえ。

 

 

くそっ! 手詰まりか...

 

全員が忽然と姿を消すなんてな。

さらに、全員がいなくなったのを誰も問題視してねえというのも意味がわからない。

 

 

神隠しかよ、くそっ」おれは狐につままれたような気持ちで、城内を歩き回った。

 

 

そして、すべてをまわり厨房の前を通りかかったとき、ようやく突破口を見つけた!

厨房から袋を抱えたリオスが出てきたのだ!

 

 

おれは駆け寄りリオスの肩をつかんだ。

 

 

「ひっ! ... なんだぁ、殿下ですか。帰ってきたんですね、驚かさないでくださいよ」

 

リオスは悪びれた様子もなく言った。

 

 

「なぁ、みんなどこ行ったんだ? さっきから誰の姿も見えねえんだが…」

 

おれが尋ねるとリオスはひひっと笑った。

 

 

「心配いらねえっす。みなさん元気っすよ。王妃様もおじょうちゃんもじいさんもね。

 まぁ、他にあと1人いるけどな…」

 

リオスは含み笑いをしている。

 

 

「あと1人? なんのことだ? みんな一緒にいるのか? 城ん中、すべて探したけど

 誰もいなかったぞ。どこにいるんだ?」

 

 

「まあまあ。そんなに慌てなくても今から案内しますって! でも、その前に…」

 

リオスはニヤリと笑って歩き出した。

 

 

とりあえず後をついていくと、リオスはティメラウスの部屋の前で立ち止まった。

 

ティメラウスの部屋は施錠されていたはずだが、リオスはあっという間に開錠する。

 

リオスは扉を開けると、手にしていた袋のうち1つだけを残して、残りの袋は

奥のベッドの上にポーンと放り投げた。

 

 

「さて、行きますか」

 

リオスは笑って振り向いてきたが、気になったおれは「その袋はなんだ?」と尋ねた。

 

 

「王妃様からこの袋を持ってくるように言われて、厨房に取りに来たんっすよ」

 

リオスは手にした袋を振りながら言った。

 

 

袋の中身がガサガサと音を立てる。

どうやら木の実のようだ。

 

 

「あっちに投げたのはなんだ?」

 

おれはベッドを指差して言った。

 

 

「あれは... まぁ、あっしの報酬っす」

 

リオスはえへへと頭をかいた。

 

 

「盗んだってことか?」

 

おれはリオスをにらみつけた。

 

 

「へへっ、怖いなぁ~。おっかない顔でにらまないでくださいよ。盗賊たるもの

 報酬なしには動きませんし、王妃様もあっしに頼んだ時点でこれぐらいは想定内。

 だから殿下もあまりカリカリしないで。王妃様も黙認してくれてるんっすから」

 

リオスがおれにすり寄ってくる。

 

 

確かにリオスに用事を頼んだ時点で何をされても文句は言えねえ。それでも王妃は

リオスに頼んだんだから、おれがとやかく言うのもおかしいか。

 

「ちっ、ほどほどにしろよ」

 

おれはシッシッとリオスを追い払った。

 

 

「じゃあ、許してくれたお礼にみなさんのところへ案内しますよ。こっちっす」

 

王妃に頼まれた木の実が入った袋を振り、大きな音を立てながらリオスは歩き始めた。

おれは黙ってついていった。

 

 

リオスは壁の前で立ち止まると、振り返っておれを見つめニヤリと笑った。

 

 

「ここ、見えますか?」

 

リオスは真っ白な壁を指差す。

 

 

「あ? 何が見えるって言うんだ?」

 

ただ一面の白い壁に見えたが、目を凝らしてみると黒い線が入っているのがわかった。

線は扉を型取るように四角く入っている。

 

 

この線はなんだ?

 

おれが扉のような黒い線を指でなぞっていると、リオスは懐から小刀を取り出した。

 

 

「危ないっすから、離れててください」

 

リオスはおれを後ろに追いやると、小刀の先端をその黒い線に押し込んだ。

ぐるっと壁が半回転する。

 

 

「んなっ!!」

 

おれは思わず絶句した。

 

この城に住んで17年以上になるが、こんな隠し扉があるなんて知らなかったぞ!

 

 

「へへっ。殿下、中へどうぞ」

 

リオスに言われて半回転した壁の隙間をすり抜けると、目の前に重厚な扉が見えた。

 

 

おそらく、かつては鍵をかけ厳重に封印されていたはずの扉をリオスは軽く開けると

さらに先へと進むよう促してくる。

 

壁の先には細い通路が続いていた。

 

 

「あんたの親父さんが、昔この先の部屋に『ロトの盾』を保管してたらしいっす」

 

通路を歩きながらリオスが言ってきた。

 

 

「おれの親父が? ロトの盾を?」

 

 

「ええ。大事なものっすからね。ここの場所は王様しか知らなかったらしいっすよ。

 この誰も知らない場所で盾は厳重に封印され保管されてたんですが、ロトの盾は

 その後、サマルトリアハーゴン軍との決戦前夜に王様から殿下に渡されたとか?」

 

リオスはチラッとおれを見てくる。

 

 

「ああ、確かにそうだ。おれは決戦前夜に親父に呼ばれて、ロトの盾を渡された。

 でも、あの盾はおれには重すぎるからな。あとで王子に渡したよ」

 

 

ハーゴン軍との決戦前夜。

親父はおれがロトの血を引いていることを伝え「おまえには持つ資格がある」と言って

盾を渡してくれたことを思い出す。

 

 

「ロトの盾は無事ローレシア王に渡り、この部屋を封印する必要はなくなったんす。

 王様からその話を聞いた王妃様が興味津々な様子を見せていたら、王様は笑いながら

『そんなに興味があるなら、おまえの好きに使っていいぞ』と言って、この隠し部屋を

 案内してくれたらしいっすよ」

 

 

歩いていく通路の先にさらに扉が見えた。

入口とは違う扉だ。ロトの盾があった頃は、この扉も厳重に施錠されていたのだろう。

 

 

「さあ、どうぞ。殿下がお探しの人たちは、ここに勢ぞろいしていますよ」

 

リオスが扉を開けると、想像していたより広々とした景色が目に飛び込んできた。

 

 

部屋の隅に王妃が座っている。

 

親父から「好きに使っていい」と言われた後、人を使って持ち込んだと思われる

真新しいテーブルで優雅に茶を飲んでいた。

 

 

王妃から少し離れたところにティメラウスが立っていて、部屋の中心を見つめている。

 

 

ティメラウスが視線を向ける部屋の中心では、ティアが若い男と対峙していた。

 

 

 

ん? こいつ、誰だ?

 

 

 

 

 

サマルトリアで起きた異変は「全員が姿を消す」というものでした〜 ( *´艸`)

インパクトは弱いですね… (;´∀`))

 

 

そして、サマルトリア城にはカインの知らない秘密の小部屋がありました Σ(・ω・ノ)ノ!

 

ゲームでは金の鍵で扉を開けて堀で囲まれた部屋へ行き、じいさんが監視している

ロトの盾をもらいますが、カインとリオスが歩く道はあの場所を想定しました (^_-)-☆

 

 

そして、たどり着いた秘密の小部屋でティアと向かい合っている謎の若い男…

 

ティアの大冒険に関わる重要人物 (≧∇≦)♡

 

 

この男の名前をどうしようか悩みました (;'∀')

「姫さまに付き従う青年」ってことですぐに浮かんできた名前はあるんだけど

姫さまの名前が違うしなぁ〜 (~_~;)

 

 

「カイナナ」ほどじゃないけど、ドラクエシリーズで「クリアリ」はお気に入りだし

他の姫さまとのカップリングは見たくないなぁという気持ちもある... (´・ω・`)

 

でも、姫さまに付き従う青年といったら、あの名前以外しっくりこないし (´ε`;)ウーン…

 

 

いろいろ悩んだ結果、決めました♪

私が決めたのはコレ (・∀・)ノ ↓↓

 

「姫さまに付き従う青年」は、代々[あの名前を名乗る]です☆

 

ということで「クリティア」誕生~♡

 

 

 

次回もお楽しみに〜 ヾ(*´∀`*)ノ