ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 107】長い1日の終わりに

おれと王子とリーナは、サマルトリア城に向かう途中で、バブルスライムハンターの

オーウェンの店に立ち寄り、ナナの誕生パーティーに参加しないかと話を持ち掛けた。

 

オーウェンはおれの申し出を快諾し、当日は「全部の女の子が喜ぶ」プレゼントを

用意するとリーナに約束した。

 

会った当初は、恥ずかしがってスライムのぬいぐるみで顔を隠していたリーナは

オーウェンの言葉にすっかり心を許して、満面の笑みで指切りげんまんを交わした。

 

リーナが腰を浮かせたことで膝から滑り落ち、床に転がったスライムのぬいぐるみ。

おれと王子はなんとも言えない気持ちで、スライムのにやけた顔を見つめていた。

 

 

「ナナの誕生日には店まで迎えにくるよ、おれたちと一緒にムーンペタまで行こうぜ。

 あんたが一緒に行くとなれば、ティアもリーナも喜ぶだろうからさ」

 

王子と目配せして帰る様子を見せながら、おれはオーウェンに向かって言った。

 

 

おれの言葉に、リーナも「うんうん」と笑顔でオーウェンの顔を見つめている。

 

 

「よろしいのですか? では、お言葉に甘えて。また会おうね、リーナちゃん」

 

オーウェンは緑色の手を振りながら、にっこりとリーナに微笑みかけた。

 

 

「リーナ、もう帰るぞ」

 

おれがリーナに声をかけると、リーナは名残惜しそうな顔でオーウェンを見たが

素直におれと王子のそばにやって来て、スライムのぬいぐるみを抱きしめた。

 

そして、おれたちはオーウェンに見送られながら店を出て、城に向けて歩き始めた。

 

 

外はもうすっかり日暮れだ。

長い1日だったぜ。

 

 

「少し薄暗くなってきたな。リーナ。はぐれないように、ぼくたちの近くにいてね」

 

王子が声をかけると、リーナは胸に抱えているスライムのぬいぐるみを王子に預け

そのまま王子に手を差し出した。王子が手をつなぐと、リーナはニッコリと微笑んだ。

 

リーナはおれの方を見て、今度は反対の手をおれに向けて手を差し出してきた。

おれも手を握ってやると、リーナは喜んで楽しそうに両方の腕をブンブンと振った。

 

おれたち3人はリーナを真ん中に、手をつないでサマルトリア城に入った。

 

 

 

リーナとティアを会わせるためティアの部屋に向かうと、部屋の前にある開けた場所で

ティメラウスとティアが並んで立ち、奇妙な体勢をしたまま固まっていた。

 

 ティアと一緒になにかの修行中? のティメラウス (*´ω`*)

 

少し離れたところにはリオスがいて、ティメラウスとティアの様子を見つめている。

 

 

「なぁ。あいつら、なにやってんだ?」

 

リオスに近づいて声をかけると、リオスは振り返っておれたちに小さく会釈した。

 

 

「カイン殿下! 帰って来たんですかい。2人ですか? おじょうちゃんが、じいさんに

 剣術を習いたいと言ったんですがね、じいさんは剣を振るう前にまずは体力づくりが

 大事だとか言って、なんか一緒に身体を鍛えているらしいっすよ、あれで」

 

 

「へっ。おれたちが城を出るときは、お勉強をがんばるとか言って張り切ってたくせに

 もう勉強に飽きたのか」

 

おれが小さく笑うと、声に気づいたティアがおれを見て「おにいちゃん!」と言った。

 

 

さらに、ティアはおれの隣にリーナがいることに気づくと「リーナちゃん!」と叫んで

おれたちのところへ駆け寄ってきた。

 

「ティアちゃん!」

 

リーナもおれたちから手を離すと、嬉しそうにティアに駆け寄った。

対峙した2人は両手を合わせると、その場で何度もぴょんぴょんと飛び跳ねた。

 

 

「リーナちゃん、久しぶりね! ティアに会いに来てくれたの?」

 

「うん、えっとね…」

 

 

リーナは振り返り「あたしがティアちゃんに話してもいいの?」と尋ねてきた。

「もちろん。いいぜ」と指を立てて答えると、リーナは目を輝かせてティアを見た。

 

 

「あのね、ティアちゃん。もうすぐナナおねえちゃんのお誕生日なのよ!」

 

リーナの言葉に、ティアの表情はさらにパッと明るく輝いた。

 

 

「まぁ、そうなの!?」

 

「うん! それでね、アルファズルのおじちゃ... ううん、先生が、ナナおねえちゃんの

 お誕生日プレゼントについてティアちゃんと相談しなさいって言ってくれて。それで

 おにいちゃんと一緒に来たの」

 

「誕生日プレゼント! そうね、リーナちゃん。おねえちゃんになにをあげたらいいか、

 早速2人で相談しましょうよ」

 

ティアはリーナの腕をつかむと、わき目もふらず自分の部屋に向かって駆け出した。

 

 

「おーい! リーナ、忘れものだよ」

 

王子がスライムのぬいぐるみを差し出すと、リーナはいったんこっちに戻って来て

スライムのぬいぐるみを抱きしめると、再び走ってティアを追いかけた。

 

 

「あら? リーナちゃんもそのぬいぐるみ持っているの? まぁ、偶然ねえ。あたしも

 まったく同じものを持ってるのよ」

 

部屋の扉の前でリーナを待っていたティアは、リーナが抱えてきたぬいぐるみを見て

驚いたように目を丸くした。

 

 

「あのね、さっきここに来る途中で、おにいちゃんたちに買ってもらったの」

 

リーナは振り返っておれと王子を見ると、一瞬だけ意味ありげな含み笑いを見せたが

それ以上はなにも言わなかった。

 

 

「へえ~、そうだったのね。もう、そんなことより! さあ、早く相談しましょうよ」

 

今はナナの誕生日プレゼントのことで頭がいっぱいなのか、ティアはぬいぐるみには

大した興味も示さず、リーナの手を握ってそのまま自室へと入っていった。

 

 

 

「ははっ、ティアの奴。スライムのぬいぐるみをおまえに買ってもらったことは

 すっかり忘れてるみてえだな」

 

「そうみたいだね。でも、ぼくはそんな小さなことは、もう気にしなくなったよ」

 

「ふっ、強くなったな。おまえ」

 

おれは笑って王子の肩に腕を回した。

 

 

「じいさん。この様子だと、あっしらはしばらく休みになりそうっすね」

 

リオスは、勢いよくバタンと閉じられたティアの部屋の扉を見つめながら、隣にいる

ティメラウスにつぶやいた。

 

 

「... まぁ、そのようだな」

 

ティメラウスは苦笑して言った。

 

 

「なぁ、おまえたちはどうする? ムーンペタでナナの誕生パーティーするんだけどよ、

 良かったら来ないか?」

 

おれは、ぼんやりと部屋の扉を眺めているティメラウスとリオスに声をかけた。

 

 

「いやいや。そういったことは若い人たちで楽しんでくだされ。私のような年寄りは

 賑やかな場所に行くよりも、この城で留守番をする方が性に合ってますから」

 

ティメラウスは即座に断ってきた。

 

 

「あっしも遠慮しときます。あっしはムーンブルクの生まれですが、正直なところ

 ナナ姫に会ったのはつい先日。殿下たちとここで会ったのが初めてなんっすよ。

 そんな姫のパーティーに行ったところで、向こうもきっと困るでしょうからね。

 あっしも、じいさんと一緒にここで留守番をしてますよ」

 

リオスはそう言うと、おれの真似をしてティメラウスの肩に腕を回した。

 

 

「そうか? 別にパーティーの参加は強要しねえけどよ。もし、あとで気が変わって

 行きたくなったら、そのときはいつでも遠慮なく言ってくれよな」

 

おれの言葉に、ティメラウスとリオスは「はい、その際は」と言ってうなずいた。

 

 

「ところで、おまえ。今日寝るのはおれの部屋でいいか? 別の部屋を用意するか?」

 

おれは肩を組んだ王子に話しかけた。

 

 

「わざわざ部屋を用意してもらうなんて申し訳ないし、きみの部屋でいいよ」

 

「そうか? じゃあ、そろそろ部屋に行こうぜ。今日もいろいろあって疲れたしよ。

 ティメラウス、リオス。ティアがあの様子だとしばらくは勉強も稽古もねえから、

 おまえたちもゆっくり休めよな」

 

おれはティメラウスとリオスに声をかけ、近くにいた女中に適当な食事と酒を部屋に

運んでもらうよう伝えると、王子と肩を組んだまま自室へと向かった。

 

 

 

「おまえさ、明日は朝のうちにルプガナに向かうつもりなのか?」

 

部屋に運ばれてきた酒をぐいっと飲みながら、おれは王子に尋ねた。

 

 

「うん。さっきも言ったけど、もうナナの誕生日が目前にせまってきているからね

 ミリアにも早く伝えておかないと悪いだろう? ミリアにも都合があるし...」

 

料理に箸をつけていた王子は、口をもぐもぐさせながら答えた。

 

 

「へへっ。ミリアなら他にどんな都合があっても、おまえと会うことを優先するだろ」

 

「だからこそ、少しでも早く伝えておかないと悪いじゃないか」

 

「けっ、そこは否定しねえのかよ」

 

おれは王子をひじで突いてやった。

 

 

「カイーン! もう。そうやって、すぐにぼくをからかうのは止めてくれよ~」

 

王子は笑いながらおれを突きかえしてきたが、ハッとなって部屋の入口に目を向けた。

 

リーナのこともあって、王子はまた誰かに聞かれるのを警戒しているのだろう。

おれも王子にならって神経を尖らせたが、扉の前には誰もおらず人の気配もない。

 

 

「今は大丈夫そうだな。王子、ごめんな。あのときは悪かったよ。つい調子に乗って

 リーナがそばにいるのを忘れて、ベラベラしゃべっちまってよ」

 

「リーナが一緒にいることはぼくも忘れていたし、それはしょうがないよ。それに

 さっきの様子だと、リーナはぼくたちとの約束を守って黙っていてくれそうだから。

 ぼくはもう気にしてないよ」

 

「まあな。その点、リーナはやっぱり素直ないい子だよな。安心できるぜ」

 

 

おれはオーウェンの店から城に歩いてくるまでのリーナを思い返していた。

 

「はぐれないように」と言った王子の言葉に、おれたちと手をつないで歩いたリーナ。

あの純真さがあれば、おれと王子が困るようなことは絶対にしないはずだ。

 

 

「あ、そうだ。パーティームーンペタで開催できるってこと、オルムとレオンに

 伝えておかなくても大丈夫かな?」

 

王子は思い出したように尋ねてきた。

 

 

「別に知らせなくていいだろ」

 

おれは近くの皿にあった味付き肉をつまむと、口の中にポイッと放り込んだ。

 

 

「えっ、どうして?」

 

「へへっ。あいつらはおまえの実力を信じているからさ。おまえならやってくれるって

 疑いの気持ちすら持ってねえよ」

 

おれが肉の入った口をもぐもぐさせながら答えると、王子は嬉しそうに笑った。

 

 

「今日もいろいろあったけど、1番の収穫はアルファズルの許可がおりたことだよね。

 ムーンペタでパーティーが出来るようになったことだし、他の細かいことは忘れて

 ぼくたちは、ナナの誕生パーティーの成功のためにがんばろうよ!」

 

王子はおれに手を差し出してきた。

 

おれは大きくうなずくと、了解の意味を込めて王子の手を力強く握った。

 

 

 

前回までダラダラしていたのに、今回は急に話を巻きましたよ (;´∀`)

(それに合わせてタイトルもかなり手抜き感がありますが、ご了承ください m(_ _)m)

 

 

サマルトリアに帰って来てからの話を書く際に、前提として決めていたのは

 

オーウェンをパーティーに誘うことオーウェンは喜んで参加 (*´ω`*))

・ 一応、ティメラウスとリオスにも声をかけること(2人は留守番を選択)

 

この2点でした☆

 

 

1点目は前回のうちに終わったので、今回は2点目を書くことにしたんですが

特に広がる感じでもなかったので、逆にグイグイと話を巻いてみました ( *´艸`)

 

 

なので、ティアも今回はおとなしく(?)リーナとキャッキャするだけに留めました。

ちょっと物足りない気もしますが、まぁティアはまた楽しませてくれますから ( *´艸`)

 

 

リーナちゃんが王子とカインにぬいぐるみを買わせたり、そのぬいぐるみを放置したり

ここ数回は「イメージが違う (・´з`・)」という感じになっちゃっていたので... (;´∀`)

可愛いリーナちゃんを復活させました☆

 

オーウェンのもとから走ってきて、スライムのぬいぐるみを抱っこするリーナちゃん♡

はぐれないように王子とカインと手をつないで、にこにこ・ルンルンのリーナちゃん♡

 

リーナちゃんはやっぱり可愛いイイ子だと印象づけられたので良かったです (*´ω`*)

 

 

さて。ナナの誕生パーティー成功に向けて、王子とがっちり握手を交わしたカイン。

 

パーティー成功のためには、絶対にはずせないものがありますよね (^_-)-☆

そう、誕生日プレゼント☆

 

昨年はキラキラと光輝く美しい貝殻の詰め合わせ(?)をプレゼントしたカイン。

今年のプレゼントは!?

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ