ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 83】ローレシア1択の理由 ②

ローレシアは魔法への関心が低いため、巻物を保管するのに最適だというおれの意見に

ナナはサマルトリアはどうなのか?」と疑問を投げかけてきた。

 

 

サマルトリアではダメな理由の1つ目は、おれの親父の存在だ。魔法を嫌う親父が

巻物を大切に保管してくれるとは思えない。

 

だが、保管場所がサマルトリアではダメな理由はもう1つある。

おれがそう言うと、王子とナナは早く言えとばかりに身を乗り出してきた。

 

 

ここからは重い話になるからな。おれは懐から地図を取り出すと、2人の前に広げた。

 

「2つ目の理由は『立地』だよ。もし、この世界に再びハーゴンみたいな奴が現れて

 危機が訪れるとしたら、そいつらはどこを拠点にすると思う?」

 

おれからの唐突な質問に、王子とナナは虚を突かれた表情を見せた。

 

 

「おれはやっぱり、ロンダルキアを拠点にする可能性が高いと思うんだ。あの場所は

 人の脚では絶対に登れない山々に囲まれた難攻不落な天然の要塞だからな。そして、

 おれの想定する通り、邪悪な奴らが再びロンダルキアを拠点にして攻撃するなら

 1番に狙われるのは今度も『ムーンブルク』になるだろう。残念な話だけどな...」

 

おれの言葉にナナの表情が曇った。

 

 

「敵の動きは、今回のハーゴン軍と同じになるだろう。まずはムーンブルクが攻められ

 ムーンブルクが落ちた後は、奴らは今回と同じように北上してムーンペタを落とし

 その後はローラの門をくぐり、サマルトリアローレシアの順に攻められるだろう。

 だから、立地面ではサマルトリアよりローレシアの方がまだ安全だと言えるんだ」

 

2人は神妙な面持ちでおれの話にうなずく。

 

 

「ここでもう1つの可能性を考えよう。もう1つの可能性は竜王の城』での反乱だ」

 

「えっ、竜王の城? それは絶対にないでしょう! だって、竜王のひまごはあたしたち

 3人の命の恩人じゃないの!」

 

ナナが強い口調で反論してきた。

 

 

おれは手をあげてナナを制した。

 

「もちろん、今の竜王のひまごなら問題ねえさ。でもよ、これから代が変わったら

 どうなるかはわからねえだろ? 『先祖の仇!』とか考える馬鹿が未来永劫ずっと

 出てこねえとは言えねえよ」

 

ナナは唇を噛んで黙り込む。

 

 

「そんなことあって欲しくねえけどよ、もし『竜王の城』で反乱が起きたときは

 おれたちのご先祖様のときのように、真っ先にラダトーム城が狙われるだろうな」

 

おれは地図上のアレフガルド地方を指差しながら話を続けた。

 

「そして、仮にラダトームが落ちた場合、次はルプガナや周辺の町が狙われるだろう。

 その後、奴らは海を渡って次に狙われるのは... おそらく『サマルトリアだ」

 

おれが地図のアレフガルドからサマルトリアまでを指でなぞると、王子とナナは

ハッとした顔でおれを見た。

 

 

「なるほど…。ロンダルキアでも竜王の城でも、世界のどこかで反乱が起きたとき

 2番目に狙われる国は、いつもサマルトリアになる可能性が高いということか…」

 

「あまり気にしてなかったけど、サマルトリアって実は狙われやすい場所にあるのね。

 あなたがサマルトリアは厄介だと言ったのにはそういう理由があったのね」

 

王子とナナがぽつりとつぶやいた。

 

 

「そうなんだ。最初に攻められる可能性は低いけど、2番目に攻め込まれる可能性は

 サマルトリアがすこぶる高いんだよ。そして、ローレシアが攻め込まれるのは

 いずれの場合も、サマルトリアが落ちた後になる可能性が高いんだ。だから、

 最後の砦として、巻物はローレシアに保管して不測の事態に備えるべきだと思うぜ」

 

 

「あなたの言いたいことはよくわかったわ。でも、本当に必ずそうなるのかしら?

 ローレシアサマルトリアよりも先に攻め込まれる可能性はないの?」

 

「よく見てみろよ」おれはナナが見やすいように地図を動かした。

 

 

ローレシアサマルトリアより先に攻め込まれるとしたら、ここしかねえな」

 

おれはデルコンダルを指差した。

 

 

デルコンダルで反乱が起きねえとは言わない。元々、ローレシアとは敵国だからな。

 今は同盟関係を結んだけど、いつまで続くかわからない。だから、デルコンダル

 攻めてくる可能性は高いかもしれない。けどよ、これを見てみろよ。デルコンダル

 陸の孤島の小さな島国だ。周辺に城塞となる多少の岩山はあるけど、ロンダルキア

 比べたら防御はガラ空きだぜ。もし、ローレシアが攻め込まれたとしても、その間に

 他の国が全軍をあげて近海を包囲すれば、奴らは簡単に退路を失うってわけだ」

 

おれの言葉に安心したのか、王子がふーっと大きく息を吐いた。

 

 

「つまり、デルコンダル以外で反乱が起きれば、ローレシアが攻め込まれるのは

 サマルトリアの後になり、デルコンダルで反乱が起きても制圧するのは容易。

 だからサマルトリアではなく、ローレシアで巻物を保管しようってことか」

 

「そういうことだ」

 

王子の言葉におれがうなずくと、2人は納得した表情を見せた。

 

 

「… となると、紋章もローレシアで保管するのがいいのかな?」

 

「いや。いくら狙われにくい場所にあるとはいえ、呪文も紋章も、重要なものすべてを

 ローレシアで保管するとなるとさすがに危険だと思うぜ。陸や海を基準に考えれば

 確かにローレシアは辺境の地だけど、空を飛んでくるとなれば、立地なんてまったく

 関係ねえからな。紋章に関してはもっと慎重になった方がいい。ロト3国にとっても

 ローレシアが真っ先に落ちるのだけは、絶対に避けたいところだからよ」

 

おれの言葉に王子は押し黙った。

 

 

「じゃあ、紋章は以前のようにムーンブルクかしら? でも、ムーンブルクにすると

 またハーゴンの二の舞になっちゃうわよね。かと言ってサマルトリアも危険だし…」

 

ナナが重苦しい顔で深いため息をつく。

 

 

「呪文については簡単に思いついたけどよ、紋章については正直おれもわからねえ。

 紋章はルビス様の力が宿る大切なものだし、そんなに簡単には決められねえよな」

 

おれもつられてため息をついた。

 

 

「ねえ、それなら今からみんなで大司教様に相談しに行こう。呪文を書いた巻物を

 ローレシアで保管することについても話したいし、紋章についても大司教様なら

 きっといい考えを出してくれるよ」

 

暗くなりかけた雰囲気を変えたかったのか、王子が明るい声を出した。

 

 

そうだな。こんなところで3人とも暗い顔してウジウジ悩んでいても仕方ねえ。

 

おれたちは王子の提案を受けて、大司教様のもとを訪ねることにした。

 

 

 

2つ目の理由は重い話 (´;ω;`)

後世で再び邪悪な奴が登場した場合、どの順番で侵略されるかという話でした (T_T)

 

 

灯台を落としてすぐに今後の方針について話したとき(ゲームブック下巻の序盤)

王子はデルコンダルの蛮族がローレシアの村を襲いに来て困るとボヤいていました。

(リーナとミリアが退出せずに部屋に残っていると、この話をする前にリーナが

「伝説の北回り航路図」を見せてくれる流れになっちゃいますが… (;´∀`))

 

そのときにカインが「サマルトリアも昔はルプガナの海賊に悩まされた」と言っていて

『海を渡れば、ルプガナラダトームサマルトリアって近いんだな』と思ったのが

今回の話のきっかけになりました。

 

 

ロンダルキアから敵が襲ってきたら、サマルトリアムーンブルクの次に攻撃される。

竜王の城から敵が襲ってきたら、サマルトリアラダトームの次に攻撃される。

 

サマルトリアって実は危険な場所だったのねってことで、重要アイテムの保管場所には

適さないという話にしました。

 

 

呪文の巻物はローレシアで保管することに決まりましたが、紋章はどうすればいいか?

 

紋章がバラバラにされてルビス様の力が弱まり、邪教がはびこったという苦い経験から

巻物とは違い、紋章の保管については簡単には決められない問題ですね。

 

 

さらに、さっきからずっと「どこの国が襲われやすいか」という話を続けているうちに

3人の気持ちも沈んできました (T_T)

 

若者だけで悩まず、ここは気分を変えて大司教様に相談してみましょう (^_-)-☆

 

 

ゲームでは、まったく役に立たないローレシア城の神父様ですが ( *´艸`)

(行く先々の教会を訪ねなさいと言うだけで蘇生してくれないんですよね (;´∀`))

ゲームブック(の創作物語)では活躍してもらいましょうヾ(*´∀`*)ノ

 

 

さて。紋章の保管について、大司教様のアドバイスやいかに!?

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ