ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 82】ローレシア1択の理由 ①

ローレシアの子どもたちのおかげで、王様(王子)に面会できた」

子どもたちにそんな達成感を持ってもらうために初対面を演じたおれたちだったが、

上手く演じられたのはおれ様ぐらいのもので、王子とナナの演技は酷いもんだった。

 

それでも何とかごまかしきって、子どもたちが帰っていくのを見届けたおれたちは

子どもたちが去った謁見の間で、それまでこらえていた分、思いっきり笑った。

 

 

「てめえの演技が下手すぎんだよ」

おれが笑いながら王子の尻を叩くと、王子も笑いながら顔を赤らめて照れ臭そうに

「ぼくだって、王様らしくしなきゃって必死にガンバったんだけどな」と言ってきた。

 

「王子の演技は確かにひどかったわよね。笑いをこらえるのがつらくてつらくて...」

ナナは涙をぬぐいながら笑っている。

 

 

「おれたちは笑いをこらえるのに必死なのによ、子どもたちは『早くお礼を言え』と

 急かしてくるし、本当に大変だったよな」

 

「カインはズルいわよ。嫌な役を全部あたしに押し付けるんだもの!」

 

ナナの言葉を聞いて、あの素っ頓狂な声を思い出したおれは思わず吹き出した。

 

 

バシッ

次の瞬間、背中に激しい痛みが走った。

 

「痛ってーな。叩くことねえだろ」

 

「なによ、人に押し付けたくせに失敗したからって笑い者にするなんて失礼よっ!」

 

ナナは真っ赤な顔でぷーっとふくれている。

 

 

「まあまあ、機嫌直せよ。おまえのおかげで疑われることなく、子どもたちも満足して

 帰っていったんだからよ。おまえにはホント感謝してるぜ、ありがとな」

 

「ふん、ホント調子いいんだから」

 

まだツンツンしながらも、ナナは唇の端を吊り上げてフフッと笑みを浮かべた。

おれのフォローで機嫌は少し直ったようだ。

 

 

「ところで、きみたちはなんでローレシアに来たの? 相談があるって本当かい?」

 

3人でひとしきり笑った後、王子がおれたちに尋ねてきた。

 

「ああ。本当におまえに相談があるんだよ」

 

おれは王子に、おれとナナがここへ来ることになった経緯を話して聞かせた。

 

 

呪文と紋章を今後どのように保管していくか、おれたち3人でよく話し合うようにと

アルファズルに言われたんだと告げると、王子はまじめな顔つきになった。

 

 

「それでカインがね、呪文を書いた巻物を保管するならローレシアがいいって言うの」

 

おれの話を受けてナナが言った。

 

 

「ええっ? ローレシアだって?! いったいなんでだよ?

 ローレシア呪文とはまったく関係ない場所なのに」

 

王子はナナと同じ反応を見せた。

 

 

「王子もそう思うわよね。カイン、ちゃんと説明してよ。なぜ、ローレシアなの?」

 

興味津々な2人の目がおれに向けられたところで、満を持しておれは話し始めた。

 

 

「呪文を書いた巻物を保管するのはローレシアがいいと思う理由は2つあるんだ。

 1つ目はさっきからおまえらが言っているローレシアは魔法と縁がないこと』さ」

 

2人はキョトンとした顔でおれを見ている。

 

へへっ、まったくピンと来ていない奴らに話をするのは気分が良いもんだぜ。

おれは鼻の下をこすって話を続けた。

 

 

「呪文に関しては、魔物よりもそこらへんにいる奴らの方が恐ろしいと思わねえか?

 ハーゴンの手下と戦ってわかっただろ? あいつらはおれたちの魔法を盗まなくても

 自分たちで破壊神だか何だかの力を借りて魔力を使うことが出来るんだよ。つまり

 邪悪な考えの奴らにとっては、おれたちの魔法はたいした価値がないってことだ」

 

 

「つまり、魔族ではなく普通の人たちがあたしたちの呪文を使いたがるってことね」

 

「その通り! 邪教には属していないけど、魔法の持つ高い能力は理解している。

 そんな奴らが多いほど、おれたちの魔法が狙われる可能性は高まるってことだ」

 

「その点で、魔法への関心が低いローレシアがいいってことだね。わかる気がするな」

 

王子とナナは、おれの言葉を受けてうんうんとうなずいている。

 

 

「魔法への関心が高いという点で、ムーンブルクはまず候補から外れるよな。もともと

 ムーンブルクは魔法文化の発展した国だしよ、近くには大賢者アルファズルもいる。

 アルファズルの弟子になって厳しい修行を受けるよりも、巻物を盗んで手っ取り早く

 強力な魔力を手に入れたいと思う意地汚ねえ奴らはたくさんいるからな」

 

「確かにそうね。じゃあ、サマルトリアはどうなの? 魔法の国じゃないでしょう?」

 

 

「ああ。サマルトリアは騎士の国だからな。魔法に精通しているのはおれぐらいで

 他の奴らはローレシアに近いよな。それなら、サマルトリアでもいいんじゃねえかと

 思うかもしれねえけどよ、サマルトリアには厄介な点が2つあるんだよ」

 

「厄介な点が2つ?」

王子は首をかしげている。

 

 

「まず第1に、おれの親父が魔法を毛嫌いしているってことだ。ハーゴン軍の奴らに

 サマルトリアが攻められたときも、おやじは魔法の力を借りることをギリギリまで

 渋っていたからな。おれの説得がなければ、国の存続も危なかったかもしれねえ。

 その親父が呪文の書かれた重要な巻物を大事に保管してくれるとは到底思えねえな。

 親父なら、こんなものは燃やしつくせとすべて燃やしちまうかもしれねえぞ」

 

 

「お父様のお気持ちもあるから、確かに今は難しいかもしれないわね。でも、今後

 あなたが国を治めるようになれば、サマルトリアでの保管も可能じゃないの?」

 

ナナが当然の疑問を口にした。

 

 

「へへっ。それが2つ目の厄介なことにつながるんだ。そして、それは呪文の保管は

 ローレシアが1番良いといった理由の2つ目でもあるんだよ。1つ目の理由よりも

 たぶんこっちの方が重要だな」

 

おれの言葉を聞くと、王子とナナは好奇心いっぱいで身を乗り出してきた。

 

 

 

 

... もったいぶってみました (;´∀`)

2つ目の理由まで書くと長くなってしまうので、良いところで切ってやったぜ ( *´艸`)

 

 

1つ目の理由は、普通に想像できますね。

あの城にはすごい魔法の書があるらしいとなったら、みんな見たくなりますよね。

特に魔法の効力を知っていれば、見て自分でも使いたいと思うのは当然のこと。

 

厳しい修行を受けないと手に入らないものが、盗めば簡単に手に入るとなれば

当然、狙われちゃいますよね~ (>_<)

 

 

人間には欲がある以上、どこで保管しても狙う奴はいるだろうなと思ったんですが

ゲームブック内で王子は、カインやナナが巻物を見つけて読んでいても、誰かに

呪文を教えてもらっていても、まったく興味を示さずボーッとしてました ( *´艸`)

 

自分も見てみたいとか、使えるようになってみたいという欲が皆無だった王子 ( *´艸`)

 

王子に同行したサイラスも、アルファズルの強力な魔法を目にして「すごいですな」と

感心する様子はみせたけれども、別に大して興味もなさそうだったし ( *´艸`)

 

ローレシアの人たちは強力な魔法を前にしても「すごいね~!」で終わる ( *´艸`)

こんなのんきな国民性は、まさに保管場所として最適ですよねヾ(*´∀`*)ノ

 

 

では、サマルトリアは?

 

緑の騎士団長モルディウスは、カインが魔法に夢中だからと騎士叙任に反対したぐらい

サマルトリアは厳格な騎士の国。

 

国の方針に逆らってまで魔法を学ぼうとする人はいないだろうし、理由は違えど

ローレシアと同等に魔法を狙う人は少ないような気がしますよね。

 

魔法嫌いのパパの時代が終われば、サマルトリアでの保管も出来そうな気がします。

 

 

では、カインが言う「2つ目の厄介ごと」とはいったいなんなんでしょう?

想像しながらお待ちください m(_ _)m

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ