ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 66】宴のとき

ムーンブルクの再建は、焦らずじっくり時間をかけて取り組むことになった。

 

統率者のもとに部隊を編成し、各部隊が交代で作業にあたることで話がまとまり

最初の当番にはローレシア青の騎士団、サマルトリア緑の騎士団が選ばれた。

 

 

「ところでよ、みんなは今夜どこで寝泊まりするんだい?」

 

ルプガナ船団長が声をかけてきた。

 

ムーンブルク城近くの海岸には、ルプガナから到着した多くの船が停泊しており、

各船にはいくつかの船室があって、そこで休息できるようになっていた。

船団長はおれたちが船室で休むことを考慮して、事前に部屋を押さえているらしい。

 

 

城の再建に集まる男たちの休む場所については、当初から考えられてきたことだ。

 

当日、ムーンブルクに集まる多くの船の船室を宿泊施設として利用することはもちろん

近隣のムーンペタリリザの宿屋を開放すること、さらには自由に野営が出来るように

テントなどの準備も整えられていた。

 

そのうえ、帰宅を希望する者のために、世界中から『キメラの翼』も提供されていた。

夜は家に戻って休み、明朝にまたムーンブルクへ戻ってくることも可能になっていた。

 

このように、休める場所については事前にきちんと準備されていたこともあって

苦情が出ることもなく、海岸へ向かって歩いていく者、草原にテントを設営する者、

移動するためキメラの翼を使う者、各々が自由気ままに選択しているようだった。

 

 

「せっかくお部屋をご用意いただいたというのに大変恐縮なのですが、私たちは

 ムーンペタの宿屋に宿泊するんです」

 

サイラスが申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「いやいや、そんなに恐縮しないでくださいよ。おれも仮に押さえておいただけですし

 用意した部屋は、他の奴らに使ってもらえば良いだけですからね」

 

船団長は笑ってサイラスを制した。

 

 

おれは今夜のことはなにも考えていなかった。流れでどこかに泊まるのも良いし

泊まる場所がなければ、ルーラでサマルトリアに帰っても良いと思っていたからだ。

 

船団長の申し出はありがてえんだが、たとえ停泊しているとはいえ、船に乗ることには

ためらいがあった。海上に出てどうしようもない場合なら我慢するが、揺れる船室で

寝るのなんて勘弁して欲しいぜ。

 

 

「カイン、きみはどうするんだい? サマルトリアに帰るのかい? 帰るっていうのなら

 止めないけど、ぼくの部屋にはベッドが2つあるみたいなんだ。きみさえ良ければ

 ぼくと一緒に泊まらないか?」

 

王子がおれに声をかけてきた。

 

王子からの誘いに、おれの心は弾んだ。

船に乗らなくて済む安堵もあったが、久しぶりに王子とすごすのが嬉しくもあった。

 

旅をしていた頃、ナナを助け出すまでは王子と一緒に宿屋に泊まったりもしたが

ナナと合流して以降、王子と2人だけでどこかに泊まるなんてことはなかった。

 

旅を終えてそれぞれの城に戻って、さらに王子は王様にまでなっちまったからな。

この先、王子と2人で夜通しすごすなんてことはめったにないだろう。

 

「久しぶりにおまえと2人ですごすってのも、良いかもしれねえな」

 

おれがそう答えると、王子は「じゃあ、決まりだね」と嬉しそうに笑った。

 

 

結局、アルファズル・ナナ・ティア・リーナは、ムーンペタの教会に帰る。

おれと王子とローレシア青の騎士団の奴らは、ムーンペタの宿屋に泊まる。

それ以外の残った奴らは、ルプガナ船団長の用意した船室で休むことになった。

 

 

話し合いを終えてなんとなく解散になったところで、男たちが王子に声をかけてきた。

その男たちは、王子たちがムーンブルクに向かって来ていたときにおれの背後にいて

「おれたちも王子に破壊されるぞ」なんて話しながら笑っていた奴らだった。

 

男たちはキラキラした好奇心旺盛な目で王子に近づくと、筋肉を触らせてくれだの、

戦いの思い出を話してくれだの、王子に口々に話しかけていた。

 

王子が男たちの要求に対してにこやかに応じると、いちいち歓声をあげて喜んでいる。

その様子を見て、さらに男たちが集まり、王子の周りにはすぐに人だかりができた。

 

へっ、さっきまであんなひでえこと言ってたくせによ。調子のいい奴らだぜ。

 

おれは思わず心の中で毒づいたが、王子が人々に囲まれているのは素直に嬉しかった。

おれの隣にいるナナも、嬉しそうな顔で王子たちの様子を見つめていた。

 

 

おれたちの前にアルファズルがやって来た。

アルファズルは、ティアやリーナを連れて先にムーンペタに帰ると言う。

 

朝から動き回って疲れたのだろう。

話し合いの最中から、ティアもリーナも目をこすり何度もあくびをしていた。

 

「おまえは? 一緒に帰らなくていいのか?」おれは隣にいるナナに尋ねた。

 

「あたしは… もう少し残るわ。あとで、あなたたちもムーンペタに行くんでしょ?

 そのときに、あたしもあなたたちと一緒に帰ることにするわ」

 

ナナの言葉にアルファズルはうなずくと、リーナたちを連れて先に帰っていった。

 

 

他の奴らは、すでに飲み始めている男どもに交じって酒盛りを始めた。

 

2人になったおれとナナも、とりあえず軽くなにか食うことにした。

おれは酔っ払いたちを避け、草原で座りやすそうな場所を見つけてナナを座らせた。

 

酒樽が入っていたらしい木箱を拾って、適当な食料と共にナナのところに運ぶ。

さらにナナでも飲めそうな甘い酒を見つくろって、ナナのところへ持っていった。

 

 

木箱の上に簡単な食事と酒を用意して、おれたちは乾杯のまねごとをした。

 

「今日は朝からいろいろあっただろ? 疲れてねえか?」

 

酒をひと口飲んでナナに声をかけると、ナナは笑顔で首を振った。

 

「ううん、ちっとも。本当にいろんなことがあったけど、最高の1日だったわ。

 今日のこと、あたし一生忘れない!」

 

ナナがキラキラした笑顔でおれを見つめてきた。おれは照れ臭くなって酒をあおった。

 

酒を飲みながらあたりを見まわすと、王子も男たちに囲まれながら酒を飲んでいた。

 

旅のときはどんなものを食っていたのか? どこの町の料理が1番美味かったのか?

男たちの質問は尽きず、王子も率直に応じ、にぎやかな談笑が続いていた。

 

 

「王子さま!」

 

男たちの豪快な笑い声が轟く中、鈴のような甲高い声があたりに響いた。

 

 

 

今さらですが… 話が進まないですよね (;´∀`)

自分で書いていながら、まだ1日が終わらないのかよ! って思いますもん。

根気強く読んでくださるみなさま、本当にありがとうございます (*´ω`*)

 

話は全然進まないですが、私自身はすご~く楽しんで書いています (^_-)-☆

 

 

今回のお気に入りは、カインと王子が今でも仲良しなところですね!

 

王子はラダトームで「カインのことも好きだぜ」と告白しているけど ( *´艸`)

カインも「王子のことも好きだぜ」というのを書きたかったんですよね~。

「2人で宿屋に泊まろう」と誘われて喜ぶカインを書けて、個人的に満足です☆

(読む人によってはBLを連想しちゃうような内容ですけどね (;´∀`))

 

 

「ナナのこと好きだけど、カインのことも好きだぜ」な王子と同じように

「王子のこと好きだけど、ナナのことはもっと好きだぜ」なカインのために

カインとナナがイチャイチャするシーンもちょっとだけ入れてみましたよ ( *´艸`)

 

話し合いが終わってから、さりげな~くカインの隣に行くナナ (*´ω`*)♡

ナナがアルファズルたちと一緒に帰らずに「あたしはもう少し残るわ」と言ったのも

『カインともっと一緒にいたいから♡』という乙女心の表れですよ (*´ω`*)

 

この乙女心は、残念ながらカインにはあまり伝わっていないみたいですけどね (>_<)

 

ただ、カインの「疲れてねえか?」は女子のポイント高いですよね~ (≧∇≦)♡

自分の体調とか気にかけてくれるのって女子は最高に嬉しいですよね~ (≧∇≦)♡

(「女子」と言ったら怒られそうな40代が書いていますが、なにか?)

 

カインがおこなったサプライズを「最高の1日」「一生忘れない」と笑顔で言うナナと

そのキラキラした笑顔と言葉に照れて、ついつい飲みすぎちゃうカイン ( *´艸`)

可愛い2人を書けたな~と喜んでいます♡(恒例の自画自賛でございます m(_ _)m)

 

 

さて、仲間になった男たちと楽しく談笑している王子のところに誰かが来ましたよ。

(誰かはもうバレバレですけどね (;´∀`))

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ