ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 65】青と緑の相乗効果

王子が全員に「仲間の証」として『ロトの印のステッカー』を渡すことを約束し、

「みなさんはぼくの仲間です!」と宣言して、ムーンブルク城は大いに盛りあがった。

 

王子とデルコンダル王が、あらためて同盟締結を示す固い握手を交わしたころには

すっかり日も落ちて、ムーンブルク城のあたりも薄暗くなってきていた。

 

 

「皆の者! 本日はご苦労であった。簡単なものではあるが、酒と食事を用意したので

 みんな大いに食べ、大いに飲み、今日1日の疲れを癒してくれ!」

 

同盟締結の握手を交わした後、デルコンダル王の高らかな一声を合図にして、現場には

たくさんの酒や食料が運ばれてきた。

 

同時に、城の周辺にはたいまつが焚かれ、あたたかな炎があたりを照らした。

 

王子の「仲間」発言に湧いていた男たちは、運ばれてくるたくさんの酒や食料を前に

さらに大いに盛りあがって、その場はすぐに騒々しい宴会状態になった。

 

へっ、さすがはデルコンダル王だな。

最後に1番イイところを持っていくため、事前にすべて準備をしていたってことか。

 

 

にぎやかな喧騒から離れようとしたおれは、誰かに背後から肩をむんずとつかまれた。

振り返ると、デルコンダル王だった。

 

王はおれにぐっと顔を近づけると、「そなた、知っておったな」と言ってきた。

 

「なんのことだよ?」ととぼけるか迷ったが、デルコンダル王からの鋭い視線を受け

おれはすぐに諦めて頭をかいた。

 

王子に忌まわしい異名がつけられていることを知り、それを払しょくするために

デルコンダルと同盟を結ぶことを思いついたのだと、おれは王様に素直に白状した。

 

 

ローレシア王の汚名返上のために、このわしが利用されたというのは癪に障るが、

 まぁ、いいだろう。今日ここに来たおかげで、竜王のひまごに簡単にだまされて

 慌てふためくそなたを見ることも出来たわけじゃからな。カッカッカッカ」

 

デルコンダル王はおれを見て高笑いした。

ちっ! あんなくだらねえこと、まだ覚えていやがったか。おれは小さく舌打ちした。

 

「まぁまぁ。わしはそなたに利用されて、そなたはわしの前で恥をかいた。お互いに

 痛み分けってことにしようではないか。わしらは『仲間』なんだからな」

 

デルコンダル王は楽しげに笑うと、おれの肩をポンポンと叩いて去って行った。

 

まぁ、このおっさんが『仲間』になってくれたおかげで上手くいったわけだからな。

おれはその場で胸に手を当て一礼して、デルコンダル王を見送った。

 

 

おっと、ぼやぼやしている場合じゃねえ。

 

おれは仲間たちの姿を探した。

あいつらが酔っぱらっちまう前に集まって、今後のことを話しておかねえとな。

 

おれは酒を飲んで大騒ぎする男たちのもとをまわり、1人1人に声をかけた。

 

 

王子、サイラス、ティメラウス、ガルダー、レオン、ナナ、アルファズル、オーウェン

そこにティア、リーナ、オルム、リオス、ルプガナ船団長もついて来た。

 

骨付き肉にかぶりつきながら歩いてくるガルダーを見て、サイラスは眉をひそめた。

やれやれ。また王子の教育に良くないとでもいうつもりかよ? 王子も大変だな。

 

だが、サイラスは眉をひそめただけで、なにも言わなかった。国王になったことで

王子の教育はもう終了したってことか? まぁ、そんなことはどうでもいい。

 

 

みんなを集め、おれは進捗状況を確認した。

 

毒の沼地にはすべて無毒化の粉が撒かれ、たくさんの人手が必要になる大きながれきは

ほぼ大部分が撤去されていた。初日としてはすこぶる順調に作業が進んでいる。

 

今後、このペースでどんどん作業を進めていくのが良いか、それとも今後はゆっくり

時間をかけて作業を進めていくのが良いか、みんなの意見を聞いておきたかったのだ。

 

 

「ひとつよろしいですか?」バブルスライムハンターのオーウェンが口を開いた。

 

「毒の沼地の無毒化は簡単に出来ますが、さらに花を咲かせる土へと変えていくには

 相当な長い時間を要します。土壌改良と城の再建を同時進行で進めるのであれば、

 城の再建にも、じっくり時間をかけて取り組むのが良いのではないかと思いますが」

 

オーウェンの意見にナナも賛成した。

 

「みんなには無理をして欲しくないのよ。今日みたいに、みんなで楽しく作業できれば

 良いんだけど、みんなが疲れた中で嫌々やるようになるのは、あたしは望まないわ。

 お城の再建がすぐに出来るとは思ってないし、時間はいくらかかっても良いの」

 

城主であるナナが時間をかけて良いというのなら、他の奴に異論はないだろう。

 

とりあえず、あと3日ほどはこのまま全員で特に人手が必要な大きな作業に取り組み、

その後はそれぞれの統率者ごとに部隊を分け、2部隊が当番制で作業にあたることで

大まかな話はまとまった。

 

 

「なあ、ティメラウスよ。モルディウスはなにやってんだ? 今日は来てねえよな?」

 

「ええ。なにやら騎士団の編成に、2~3日ほど欲しいと申しておりましたが…」

 

ティメラウスは少し恐縮して答えた。

 

「ったく! 今日が初日だって事前に言ってあったのによ。しょうがねえな、あいつは。

 こうなったら、最初の当番はあいつら緑の騎士団にやってもらうしかねえな」

 

 

「王様。恐れながら、我ら青の騎士団も本日の作業には参加できておりません。

 最初の当番は是非とも、私ども青の騎士団に務めさせていただきたいのですが…」

 

おれとティメラウスが話している横で、サイラスが王子に向かって言った。

 

f:id:john0910:20171207061755j:plain  ローレシア青の騎士団長サイラス



 

「青の騎士団と緑の騎士団が同時に作業だと? なんだか嫌な予感しかしねえな」

 

おれが不安を口にすると、アルファズルが反対意見を出してきた。

 

「いや。逆に、ライバル同士を同時にやらせるのは効果的かもしれぬぞ。お互いに

 負けたくない気持ちがあるから、切磋琢磨して作業がはかどるのではないだろうか」

 

確かに。アルファズルの意見も一理あるな。

 

 

「おれも賛成だぜ。下手に仲が良いと、甘えも出るからな。どっちが有能な騎士団か

 張り合わせるのも良いかもしれねえぞ」

 

ガルダーもアルファズルに賛成する。

 

 

「殿下は、両騎士団の対立を心配されているようですが、青の騎士団と緑の騎士団が

 ムーンブルクで対立し、いらぬもめ事を起こしたとなれば、それこそロト3国の恥。

 サイラス殿もその点は充分にご理解しておられるでしょうし、モルディウスだって

 そこはわかっているでしょう。それに、緑の騎士団が参加するとなれば、私だって

 一緒にいて監視の目を光らせますよ。殿下、どうぞご安心ください」

 

ティメラウスがもっともな意見を言う。

 

「そうだな。じゃあ、最初の当番は青と緑、両騎士団に頼むことにしよう」

 

 

 

デルコンダル王とカインが腹の内を明かして和解する&今後の作業方針を話し合う

今回はそんな流れになりました (*´ω`*)

 

初日の参加メンバーにサマルトリア緑の騎士団長モルディウスを書き忘れていたので

緑の騎士団と青の騎士団が、共に最初の当番にあたることになりました。

 

対立が心配される両騎士団ですが、ティメラウスの言うとおり、ここで問題を起こせば

ムーンブルクも含めたロト3国の恥になりますからね。上手くやってくれるでしょう。

 

ライバル同士が共に作業することで、良い相乗効果が生まれることに期待! ですね☆

 

さて。ムーンブルク城再建の初日も、いよいよ終わろうとしています (*´ω`*)

(この言葉、前回も書いた気が… (;´∀`)。 まぁ、細かいことは気にするな ♪)

 

初日の夜はもう少し続きますよ☆

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ