ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 47】 汚名返上の奇策

「破壊神を破壊した男」

王子につけられた異名のせいで、ローレシアから人々が逃げ出す事態が起きている。

 

ローレシア青の騎士団長サイラスから話を聞いたおれたちは、ローレシアの人口が

今よりも減少しないように、人口流出を食い止める策を考えることにした。

 

 

「アルファズル。さっきから、ずっと考えていただろ? 良い案はねえのかよ」

おれはアルファズルに問いかけた。

 

おれの問いに、渋々といった様子でアルファズルは険しい表情のまま話し出した。

 

「悪評が立った場合、一般的には慈善活動をおこなうのが良いとされている。

 身を粉にして懸命に働く姿を人々に見せることで、人々の印象は変わるからな。

 ただ... 今回の場合は…」

 

「… むしろ、そうすると逆効果になるかもしれねえってことだよな」

 

アルファズルの言葉を受けて発言すると、アルファズルはあいかわらず固い表情のまま

ひとこと「うむ」とうなずいた。

 

怪訝そうな顔を見せたナナとサイラスに、おれから意味を説明することにした。

 

「他者のために無心で働く姿を見ると、人々は感動を覚えてその人物を見直す。

 アルファズルの言うように、たとえ悪評がついた人物がいても、そいつが熱心に

 慈善活動を続けていくことで、いずれ人々の心象は変えられるだろう」

 

おれはここで一度ひと息ついて、少し語気を強めて話を続けた。

 

「ただ、同じように王子が働いたらどうなると思う? 無尽蔵のあり余る体力と

 人並外れた怪力っぷりを人々に見せつけたらどうなるよ? わかるだろ?

 これだけの力があれば、破壊神を倒せたのもうなずけると思われるだろうよ。

『破壊神を破壊した男』の異名は間違いないと人々は思うことになるんだ。

 わかるか? 王子が汗水たらして働けば働くほど、その一方で王子の姿に

 恐怖で震え上がる奴らはどんどん増えていくってわけだよ」

 

おれの説明を真剣に聞いていたナナとサイラスは、それぞれ深いため息をついた。

その場にいる全員が押し黙り、重苦しい沈黙が再び小部屋を包んだ。

 

 

くそっ! どうすりゃいいんだ?

あいつは確かに力は強ええが、ただ力まかせに敵をなぎ倒すだけの奴だぞ?

恐れたり怖がったりする必要なんてまったくねえんだよ、ちくしょう!

力にものを言わせて人々を支配するとか、力を使って世界征服するとか

そんな発想があいつにあるわけねえだろ! あいつはただ体力の続く限り

敵をなぎ倒すのだけが取り柄の、おめでたい奴なんだからよ!

 

頭の中で毒づいていたおれは、自分の言葉に引っ掛かるものを感じた。

 

まてよ… おめでたい奴…?

おめでたい奴… おめでたい奴…

 

 

「この手があったかっ!」

 

おれはそう叫ぶと勢いよく立ち上がった。

 

他の3人はビクッと身を震わせ、驚いた表情でおれをいっせいに見た。

おれは自分から出てきたアイデアに夢中で、3人に構う余裕はなかった。

 

 

自分の中で考えがまとまってくるにつれて、どんどん気分が良くなってきた。

 

そうだ。この計画が上手くいけば、王子の異名なんて簡単に書き換わる。

王子は力はあるが、恐れるような奴じゃないとみんな理解するだろう。

 

絶望的な状況から明るい展望が開けて、おれは自然と笑い出していた。

ナナ、サイラス、アルファズルは不思議そうな顔でおれを見上げている。

 

この計画を確実に実行するためには、ほかに誰の協力が必要になる?

計画を実行するのはいつだ? やっぱり人が集まる1週間後が最適だろう。

あぁ、そうと決まれば、こんなところでのんびりしてらんねえ。

 

 

「おれ、帰ってもいいか?」

 

「えっ? 帰るの?」

ナナが驚いた声をあげる。

 

 

無理もないだろう。いきなり叫んで立ち上がったかと思えば、にやにやと笑い出し

挙句の果てに帰ると言い出すんだからな。自分でもどうかしてると思うぜ。

 

だが、今のおれは頭に浮かんだ計画をさらに煮詰めることしか考えられなかった。

 

「あぁ。悪いんだけど、1人でじっくり考えてえんだよ。

 この計画が上手くいけば、くだらねえ王子の異名なんて

 今後は誰も口にしなくなるさ。おれにまかせてくれ!」

 

おれは自分の胸をポンと叩いた。

 

 

3人は狐につままれたような顔をしていたが、さっきまでの暗い表情から一転して

明るく自信満々なおれの顔を見て、少しは期待してくれたらしい。

 

「なんだかよくわからないけど、あなたがそう言うんなら信じるわ。

 あたしに出来ることがあったら、なんでも言ってちょうだい」

 

「我がローレシアの問題なのに、カイン殿下に頼ってしまい申し訳ございません。

 どのような計画なのかは存じませんが、何卒よろしくお願いいたします。

 人手が必要であれば、いくらでも協力しますので何なりとお申し付けください」

 

「1人で抱え込むなよ、カイン。おまえにはわしらがいることを忘れるなよ」

 

f:id:john0910:20171209035214j:plain アルファズルの言葉は心強いですね (*´ω`*)

 

 

きちんとまとまっていないこともあって、計画についてはこの場では話せなかった。

だが、なにも話してないというのに、おれを信頼してくれる3人の言葉があたたかい。

 

「へへっ、ありがとよ」

おれは照れ隠しに鼻の下をこすった。

 

 

 

奇策は書かんのか~い ヽ(`Д´)ノ

読者のみなさまのツッコミが聞こえる気がしますが… ( *´艸`)

 

カインが考えた奇策は、まだ発展途上の段階なので熟考の余地ありです。

今後、カインの考えがまとまるにつれて、明るみになってくるでしょう☆

 

作者がまだ奇策を思いついていないんじゃ… という節もありますが ( *´艸`)

たぶんそれは気のせいです (;´∀`)

 

さて、王子の汚名を返上するためには、よくある対策では難しいみたいです。

確かに、王子がモリモリのスタミナを駆使して、力まかせにバリバリ働く姿を見たら

「この人、やっぱりヤバいかも...」ってなっちゃいますよね (´;ω;`)

 

カインの考えた策は「王子は恐れるような人柄ではないことを知らしめる」策。

その策のヒントは、物語でも出てきた「おめでたい奴」です ( *´艸`)

 

どこかで聞いた言葉ですよね (^_-)-☆

 

カインの考えた策がどんなものなのか、想像しながら続きをお待ちくださいね♪

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ