ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 141】 問題提起

おれは約束していた通り、ナナと一緒にムーンペタの母ちゃんの家へ遊びに行った。

 

母ちゃんはトンヌラとマリアを呼び、おれたちはお互いのことをいろいろ教え合った。

 

マリアの提案でナナが赤ん坊にミルクをやっている間に、おれはトンヌラと話し合い

そこにマリアも加わって「ナナに好きって言っちゃえ!」と2人にそそのかされた。

 

そんなこと、こんなところで言えるか! とためらうおれを見て、マリアはナナに

「カインがなにを言うのか、そのうちわかるときが来るわ」と助け船を出してくれた。

 

 

  マリアはしっかり者で頼りになるお姉さんキャラですね (*´ω`*)



 

夕方には母ちゃんの家を出て、教会までナナを送って帰るつもりだったが、母ちゃんは

「夕食を食べていきな、そして今夜はうちに泊まっていきなよ」と熱心に誘ってきた。

 

せっかくこんなに熱心に誘ってくれるのにむげに断るのも悪いかと思い、おれとナナは

誘いに乗って、今晩は2人で母ちゃんの家に泊めてもらうことにした。

 

 

トンヌラとマリアも同席した夕食の席で、おれは昨日アルファズルやナナと話した

慰霊地についての話題をあげた。

 

 

「いずれアルファズルから正式に話があると思うけど、ムーンブルク戦没者の慰霊地に

 ふさわしい場所を見つけたんだ。立地も広さも問題ねえんだが、ムーンペタから

 その丘に登る道が少し険しくてよ。ムーンペタにいる奴らに、坂を登りやすくする

 整地をやってもらおうと思ってるんだ」

 

おれの話を母ちゃんだけじゃなくトンヌラもマリアも興味深そうに聞いている。

 

 

「慰霊地にふさわしい... 丘? この近くにそんなところがあるのかい?」

 

母ちゃんが尋ねてくる。

 

 

ムーンペタから南下して、橋を渡って森を抜けてさらに南に向かったらあるわよ」

 

ナナの説明に3人は首を傾げた。

 

 

「う~ん。ムーンブルクに行くとき通ってるんだろうけど、まったくピンと来ないな」

 

 

「丘なんてあったかしら?」

 

 

おれはテーブルに指で地図を書いて場所を示してやったが、まだわからないようだ。

 

 

「ねえ。だったら、明日みんなでその丘に行ってみない? どれだけ整地が必要なのか

 実際に見てみましょうよ!」

 

マリアの提案に、母ちゃんとトンヌラも目を輝かせて大きくうなずいた。

 

 

「ハイキングを兼ねて、この子を連れて出かけるのもいいよな。カインの地図で見ても

 そんなに遠くなさそうだし」

 

トンヌラはゆりかごでスヤスヤ眠る赤ん坊の頬を優しくなでながら言った。

 

 

「いいわね。じゃあ朝からお弁当を作るから、それを持ってみんなで行きましょう!」

 

母ちゃんが腕まくりしながら言う。

 

 

「ねえ、カイン。それならいったん教会に戻って、リーナちゃんも誘いましょうよ。

 リーナちゃんも、たまにはあたしたちと外に出かけたいでしょうし」

 

ナナがおれの袖を引っ張ってくる。

 

 

「そうだな。母ちゃんたちが出かける準備をしている間に、おれたちは教会に戻って

 リーナを誘うことにするか」

 

 

「明日はそれで決まりだね!」

 

母ちゃんは嬉しそうに笑った。

 

 

夕食を終えると、トンヌラとマリアは「明日の朝また来るね」と言って自宅に戻った。

 

 

 

翌朝ーー

おれたちは朝から早起きして、母ちゃんが弁当を作るのを手伝ってやった。

 

あとは具材を弁当箱に詰めるだけの状態にすると「リーナを連れてくる」と言って

おれとナナは母ちゃんの家を出た。

 

 

教会に戻りアルファズルとリーナに昨夜の話をして、リーナを連れ出そうとすると

アルファズルがいきなり「それならわしも同行しよう」と言い出した。

 

 「わしもハイキングに行きたい!」と思ったのかは不明です ( *´艸`)

 

 

「え、あんたも行くのか?」

 

 

「どんな意見が出るのかを直接聞きたいからな。なんだ、わしがいたら迷惑か?」

 

アルファズルはギロリとおれを見た。

 

 

「そんなこと思ってても言えねえよ」

 

おれが笑いながら言うと、アルファズルも苦笑いしておれの頭を小突いてきた。

 

 

「そうと決まればさっそく行きましょう。おばさんの家でみんなが待ってるわ」

 

ナナに促され、おれたちは教会を出発した。

 

 

その後、母ちゃんたちと合流した。

 

母ちゃんたち3人は、おれたちだけじゃなくアルファズルまでもが一緒に来たことに

驚き戸惑うような表情を見せた。

 

そこで、おれが「丘を実際に見て、率直な意見を聞かせて欲しいらしいぜ」と言うと

3人は素直にうなずいて、アルファズルが同行するのを快く承諾してくれた。

 

 

トンヌラとマリアは赤ん坊の世話があるし、母ちゃんも手伝うことが多いだろう。

ナナはリーナと一緒に歩くから、弁当の入ったカゴはおれが持ってやった。

 

 

町を出て南へ向かう。

ムーンペタの森はこもれびがキラキラと輝き、そよ風が吹いて木々を揺らしている。

 

 

「こんな風に出かけるのは久しぶりだよ。天気も良くて気持ちいいわね~」

 

母ちゃんはご機嫌だ。

 

 

機嫌が良いのは母ちゃんだけではない。

 

赤ん坊を抱いたトンヌラトンヌラと腕を組み赤ん坊に微笑みかけながら歩くマリア

ナナとつないだ手を大きく振りながら歩くリーナも、楽しそうに笑っていた。

 

 

ムーンペタの森を抜けて草原に出ると、スーッと爽やかな風が吹き抜けていった。

 

先日は昼すぎに出発したせいで、ここを通るときは西日が照りつけて暑かったが

今はまだ涼しく心地よかった。

 

 

「ああ、あの丘のことか~」

 

トンヌラが前方の丘を指差した。

 

 

「ええ。あの丘を登ったところが、水平で広々とした平地になっているのよ」

 

ナナがトンヌラとマリアに説明する。

 

 

丘の手前まで来ると、母ちゃんはその場でピタリと立ち止まり目の前を見上げた。

 

 

「ええっ。ここを登るのかい?」

 

母ちゃんは勾配を見て青ざめている。

 

 

「やっぱり急だと感じるか?」

 

おれが尋ねると、母ちゃんはうなずく。

 

 

「あたしが運動不足で太ってるからいけないんだけどさ。この丘を登るとしたら

 誰かが一緒にいて手を引いてくれるならいいけど、1人だとちょっと怖いわね。

 1人で登るしかないんなら、せめてどこかにつかまるものが欲しいところだわ」

 

アルファズルは懐から紙と羽ペンを取り出し、母ちゃんの言葉を書き留めている。

 

 

「子どもを抱いたまま登るのも怖いわね。登っているうちに転んじゃいそうよ」

 

トンヌラと交代して赤ん坊を抱いていたマリアも、斜面を見て不安そうにつぶやいた。

 

 

「登るのはまだいいよ、注意して登れるからね。問題はこの坂を下りるときだと思う。

 下りているうちに足が止まらなくなって、思いっきり転んじゃいそうだよね」

 

トンヌラの発言を聞いて、ナナがギロリとこっちをにらんでくるのを横目で感じたが

おれは無視してやった。

 

 

「赤ちゃんを抱いて転んだりしたら大変だよ。大ケガになっちゃうかも... 怖いわね~」

 

母ちゃんはブルッと身震いした。

 

 

「ここに階段をつくるのはどう思う?」

 

おれが尋ねると、母ちゃんが言った。

 

 

「階段はもちろんあったら嬉しいけど、やっぱり手すりというか、何かつかまるものが

 あった方がありがたいわね。何も持つものがないのに登り下りは大変だからさ」

 

 

「へえ、そうか。階段よりはまず手すりのようなつかめるものが必須ってことだな」

 

 

これは聞いてみねえとわからねえことだ。

実際に来てみて良かったな。

 

 

「手すりも大事だけど、やっぱり緩やかな階段があった方が登り下りしやすいよね。

 幅を広くとった階段をつくりたいな」

 

トンヌラが段差を指で描きながら言う。

 

 

アルファズルはこれらの言葉を1つ1つを素早く紙に書き留めていた。

 

 

 

「... うふふ、楽しそうだわ」

 

リーナが坂を見てポツリとつぶやいた。

 

 

「えっ? 楽しそう? それってどういうことなの、リーナちゃん?」

 

ナナに尋ねられ、リーナは少し恥ずかしそうに顔を赤らめながら話し始めた。

 

 

「あのね。あたしがまだガライの町にいたとき、家の近くに住む男の子に連れられて

 小さい山の上みたいなところに行ったの。そして山の上から薄い木の板みたいなのを

 お尻に敷いて滑って遊んだことがあるの。そのときはあたし、目が見えなかったから

 よくわかんないけど、たぶんこの丘と似たような感じだったと思う。あたし、最初は

 怖かったけど思いきって滑ったら、風がビューンと吹いてとっても楽しかったわ」

 

リーナは楽しそうにナナに話していたが、アルファズルの顔を見てハッとなった。

 

 

「ごめんなさい先生。坂を歩きやすくするお話とは関係なかったですね」

 

ぺこりと頭を下げたリーナをアルファズルは首を横に振り片手をあげて制した。

 

 

「いや、なかなか興味深い話だ。ただ歩きやすく整備するだけではなく、子どもたちが

 気軽に遊べる場所にすることで、ここはさらに良い場所になるだろう」

 

アルファズルの言葉にナナもうなずく。

 

 

「そうよね。慰霊地をつくっても、人が寄りつかない場所になったら悲しいものね。

 子どもたちが遊びに来たり、たくさんの人が訪れて賑やかな場所になった方が

 亡くなった人たちも嬉しいはずよ」

 

遺族でもあるナナの言葉に、その場にいた大人たちはしみじみとうなずいた。

 

 

「えっと…。ねえねえ、おねえちゃん。あたし、別に変なこと言ってないんだよね?

 いれいち… っていうのが出来たら、ここで滑って遊んでもいいの?」

 

リーナが少し不安げにナナに問いかけた。

 

 

「ええ、もちろんよ。この傾斜を滑り下りて、子どもたちが本当にケガをしないのか

 調べる必要はあると思うけど、大丈夫ならみんなでワイワイ遊んでいいわよ」

 

ナナがリーナの頭を優しくなでると、リーナは「うん!」と元気よく返事した。

 

 

「とても有意義な話を聞けた。感謝する。今日の話をもとに、これからどうやって

 整地していくか話し合っていこう」

 

アルファズルが話をまとめた。

 

 

「ねえ、カイン。丘には登らないの?」

 

トンヌラがソワソワしながら聞いてきた。

 

 

「ああ? 話し合いは終わったし登る必要もねえけど、登りたいなら登ってもいいぜ」

 

おれが答えると、トンヌラは目を輝かせて「やったぁ!」と大喜びした。

 

 

「さっき、リーナちゃんの話を聞いて思い出したんだよ。ぼくも子どもの頃はよく

 こんな坂を転がっていたってね!」

 

それだけ言うと、トンヌラは坂道を駆け登って頂上まで行き、横向きに寝転んで

ぐるぐる回りながら転がり下りてきた。

 

 

「きゃー、楽しそうっ!」

 

ゴロゴロ転がってくるトンヌラを見て、リーナがはしゃいだ声をあげた。

 

 

「あはは~。すっごく楽しいよ! 今度は一緒に行こうよ、リーナちゃん!」

 

トンヌラは嬉しそうにリーナの手を取り、今度は2人で一緒に坂道を登った。

 

 

頂上に着くと、2人は並んで寝転ぶ。

そのまま2人はきゃあきゃあ言いながら、坂道をゴロゴロと転がり下りて来た。

 

 

 

「ふふっ。まったく、困ったものね。うちには赤ちゃんより子どもがいるんだから」

 

マリアは自分のもとへゴロゴロ転がってくる夫を見ながら、呆れた顔で笑っていた。

 

 

 

 

(ネタバレすると)

カインがサマルトリアに帰った後は、別の話(「ティアの…」「勇者の泉の…」という

例のアレ( *´艸`))がスタート予定☆

 

 

でも、そのためにはちょっと時間稼ぎもいるよな~と思い、今はカインをムーンペタ

引き留めている状態 ( *´艸`)

 

 

カインをムーンペタに引き留めるためのネタとして、急きょハイキングすることに♪

 

最初は丘の様子をみんなで見に行って、アレコレ意見を出し合うだけの予定でしたが

オチをどうしようかと考えたときに、トンヌラが勝手に遊び始めました ( *´艸`)

 

「芝生の坂道を段ボールを敷いて滑る」みたいな経験はみなさまもあると思いますが

段ボールなんてなくても、横向きに寝転んでゴロゴロ転がったら楽しいよ (≧∇≦)

少年のようなトンヌラ君 ( *´艸`)

 

 

同じような緑の服を着たトンヌラとカインですが、カインはスカしてるというか

ちょっと斜に構えているところがある反面、トンヌラは素直に遊びそうなイメージ◎

誰よりも童心にかえって、大はしゃぎするようなタイプですよね~ヾ(*´∀`*)ノ

 

リーナと一緒にキャッキャと遊んでいるし、きっと自分の子どもが大きくなったら

やっぱり一緒になって、なんなら子どもよりはしゃいでキャッキャと遊ぶんでしょう♪

(そして、きっとマリアはそんなトンヌラが大好きなんでしょうね (*´ω`*)♡)

 

 

慰霊地の坂の整備についてはさまざまな貴重な意見も聞けたし、楽しく遊べたし

(楽しんでるのは若干2名だけど ( *´艸`))素敵なハイキングになりました♪

 

(時間稼ぎも済んだので)そろそろカインはサマルトリアに帰りましょうか ( *´艸`)

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ