ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 62】両国の同盟

竜王のおっさんが「今こそ世界を闇に変えてやる」と脅したのは、デルコンダル王との

単なる悪ふざけだった。

 

おれは「ふざけるのもいい加減にしろよ」とおっさんを絞め上げようとしたのだが、

ナナがガツンとおっさんを叱ったので、しょうがないから許してやることにした。

 

そこへローレシア王の到着が告げられた。

 

本日の主役の登場だぜ!

いよいよ、おれの作戦が始まる!

 

 

ローレシア王がこっちに向かってくるという話に、ムーンブルク城にいる男たちは

ざわざわと落ち着かない様子を見せた。

 

「あの若造がローレシア王なのか?」

「いや、ただの若造じゃねえぞ。あいつは『破壊神を破壊した男』なんだからよ」

「バカ! そんなこと、デカい声で言うなよ。誰かに聞かれたらどうするんだ」

「そうだそうだ。もしバレたら、おれたちなんてほんの一瞬で消されちまうぜ」

「なんせ相手は『破壊神を破壊してる』んだからな。おれたちも破壊されるぞ」

「だからデカい声で言うなって!」

 

おれの後ろにいる男たちは、ひそひそと小声で話しながらどこか面白がっている。

 

 

『破壊神を破壊した男』

王子につけられた不名誉な異名は、やっぱり世間に広く広まっているみたいだ。

こんな風にいたるところで、王子は面白おかしく噂話のネタにされているのだろう。

 

 

おれは、振り返って男たちの胸ぐらをつかみたくなるのを必死でこらえた。

 

青の騎士団から退団者が続出し、ローレシアから大量の人口が流出していったとき、

サイラスも同じ気持ちだっただろう。

 

王子を悪く言う奴は許せねえし、厳しく罰してやりたいとあいつも思ったはずだ。

でも、騎士団長であるサイラスがそれをしてしまうと、ますます状況が悪化する。

 

王子は従わない奴は許さない暴君として扱われ、ローレシア独裁国家とみなされ

ますます人心は離れてしまい、王子は人々から忌み嫌われることになる。

 

だから、サイラスは心労であんなにボロボロになりながらもこらえていたのだ。

退団者の続出と人口流出に心を痛めながらも、あいつは必死で耐えてきたのだ。

そんなサイラスの努力を、おれが無駄にするわけにはいかねえ。

 

 

ざわざわした不穏な空気が漂う中、王子たちは馬から降りてゆっくり歩いてきた。

一団は王子を先頭にして、すぐ脇にサイラスが控えていた。サイラスの後方には

ローレシア青の騎士団の鎧を身に着けた3人の兵士たちが護衛として続いている。

 

 

おれは一礼して2人の王を迎えた。

 

デルコンダル王、ローレシア王、遠路はるばるようこそおいでくださいました。

 お2人に来ていただいたのは、他でもない。本日この場で両国の同盟関係を締結し

 これからも世界平和に向けて強固に連携していただきたいという想いからです」

 

おれの言葉に王子は力強くうなずくと、デルコンダル王の方を向いた。

 

 

デルコンダル王。ハーゴン討伐の際には私どもに『不思議な宝石』をくださいまして

 本当にありがとうございました。デルコンダル王のご尽力のおかげで破壊神を倒し

 今の平和を手に入れることが出来ました。我がローレシアとしましては、今後とも

 デルコンダルとは協力して世界平和に努めたいと願っております。かくなるうえは

 本日、我が国と同盟を締結してくださいますよう、お願い申し上げます」

 

王子は直立して真正面からデルコンダル王と対峙しているが、対するデルコンダル王は

身体を聴衆の方に向けてふんぞり返っていた。自身のあごにある豊かなひげを触りつつ

横目で王子の様子をうかがっている。

 

王子を警戒しているのか? それとも男たちに自分の方が上だと威厳を示しているのか?

どちらにしろ、他国の王に対する態度としては、かなり無礼で傲慢だ。

 

 

だが、王子はデルコンダル王の態度をまったく気にすることなく話を続ける。

 

「両国の同盟の証として、こちらをお持ちいたしました。どうぞお納めください」

 

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王子は『ロトの印のステッカー』を取り出して、デルコンダル王に差し出した。

 

ふんぞり返ったまま王子が差し出したものを横目でちらっと見たデルコンダル王は、

驚いたように目を大きく見開いて、王子の差し出したものを凝視した。

 

「な、なんじゃ? これは…」

 

デルコンダル王は王子が持つ『ロトの印のステッカー』を見つめたまま絶句している。

 

 

「おい、なんだ? あれは」

「『ロトの印のステッカー』だよな」

ローレシア売店で売ってる安物だぜ」

ローレシアでは人気のお土産だけど、なんで一国の王があんなもの持ってるんだ?」

「しかも、なんの変哲もないステッカーが『同盟の証』ってどういうことだ?」

「あんなものをデルコンダル王に渡すって、ローレシア王はどういうつもりなんだ?」

デルコンダル王が驚くのもわかるぜ」

 

2人の王様のやりとりを見守っている男たちからも、どよめきの声が上がる。

 

 

「これが同盟の証とはいったいどういうことじゃ?

 そなた、わしをなんだと思っておるのじゃ!」

 

デルコンダル王が声を荒らげた。

重臣のじいさんと一緒にやって来たデルコンダル兵たちが剣の柄に手をかける。

デルコンダル王のひと声があれば、すぐにでも王子に切りかかろうという状態だ。

 

臨戦態勢のデルコンダルに対し、ローレシアの一団は特別な動きは見せていないが、

サイラスは不審に思われないように、ごく自然な様子で片方の手を後ろにまわした。

 

サイラスの後ろにいる3人の護衛たちも、今は直立したままで平静を装っているが、

有事の際には、騎士団長の指示ですぐに動き出すのだろう。

 

一気にピリピリとした緊張状態になった。

 

 

一触即発の極限状態の中、

 

「『志を同じくする仲間』ですわ、デルコンダル王」

 

張りつめた空気を打ち破るように、ナナがゆっくりとデルコンダル王の前に現われた。

 

 

 

ローレシア王とデルコンダル王が揃って、両国の同盟関係を結ぶ場面になりましたが

やっぱり危険な状態に... (>_<)

 

ローレシア王が来たときから、現場の空気はずっとおかしかったですからね (´;ω;`)

『破壊神を破壊した男』の登場で、ざわざわとした不穏な空気が流れていました。

 

カインは噂話で面白がる男たちに制裁をくわえたくなるのをぐっとこらえました。

王子のため、サイラスのため、ローレシアのため、自分の怒りよりも他者を優先する☆

カインも成長しましたね (^_-)-☆

 

ただでさえ『破壊神を破壊した男』の登場でざわついている状況で、ここでさらに

みんなをざわつかせるあのアイテム『ロトの印のステッカー』が登場 ( *´艸`)♪

 

「なんじゃ、これは! わしをなんだと思っているんだ」と大声で怒りをあらわにする

デルコンダル王を前に、現場は一触即発の極限状態です (◎_◎;)

 

そんな男たちのピリピリした空気の中で、最後に優雅に登場したナナ (*´ω`*)

はたしてナナは、この緊張状態を解消することが出来るのでしょうか?

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ