ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 257】 王妃の野望

おれは親父からいきなり「国王と同等の格がある」という見事な王冠を渡された。

 

親父は「1年前にサマルトリアを守り抜いた褒美」と言っているが、褒美として

豪華な王冠を渡すなんて聞いたことねえ!

 

 

なんで急に王冠を?

 

さらに不思議なことに、渡された王冠にはどの王冠にも彫り込まれているはずの

サマルトリアの国章がなかった。

 

サマルトリアの国章の代わりに『ロトの紋章』が彫り込まれている。

 

 

いったい、なぜ?

 

考えられる可能性はひとつ。

 

 

おれが「サマルトリアを継がない未来もあり得る」と親父が知ってるからだ!

 

 

ナナが応じてくれるなら、おれはムーンブルクへ行ってナナの補佐をしてやりたい。

落城して壊滅的な被害を受けた国を、ナナ1人で発展させていくのは大変だ。

おれがそばで力になりたい!

 

 

だが、おれのこんな気持ちを親父がすでに知ってるとは、どうにも考えにくい。

 

同じ城に暮らしていても、政務で忙しくめったに顔を合わせることのない親父が

おれの秘めた気持ちに気づくだなんて、親父が魔法使いでない限りありえねえ!

 

 

でも… 親父のそばには王妃がいる。

あのババアはおれの気持ちを知ってて、事あるごとにおれをからかってくるよな?

 

王妃のババアが「カインはナナが好きで、ナナを助けてあげるためムーンブルクに

行こうとしてるのよ」なんて親父に吹き込んでる可能性はゼロじゃねえ!

 

 

おせっかいババアめ!

余計なことすんなよ!

 

 

おれはあのくそババアを問い詰めてやろうと、急いで後宮へ向かった。

 

 

おれが後宮に着くと、いつも出入口で王妃との取り次ぎをしてくれる女が「王妃様は

中年の兵士 と一緒にどこかへ行っちゃいました」などと言ってくる!

 

 

中年の兵士?!

ババアの男か?

 

あいつ、いつのまにか親父やおれたちに隠れて他に男をつくってたのかよ?!

 

 

サマルトリア城内は「カイン殿下が竜王に連れ去られた」とモルディウスが騒ぎ

大混乱におちいっていたと聞く。

 

この混乱に乗じて、中年の兵士と駆け落ちしたんじゃねえだろうな?!

 

 

出入口にいる女の言葉を聞いたときはおれも焦ったが、よくよく考えてみるとあの

王妃にロマンスなんてあるわけねえ。

 

あいつは親父にメロメロだからな!

 

 

王妃の侍女が説明してくれて、おれはようやくこれまでの経緯を把握できた。

 

 

王妃が一緒に出かけたという中年の兵士とは、ライアン のことらしい。

 

ティアが「ティメラウス卿を護衛につけて、部屋から抜け出した」とクリフトに聞き

「あたしも強い兵士を護衛につけたら、自由に出歩いてもいいわよね?」と考えて

適任としてライアンが選ばれたようだ。

 

 

  王族の護衛をするには実力も充分の中隊長・ライアン (*´ω`*) 

 

 

 

なんだ、そんなことか…

 

おれはホッと胸をなでおろす。

 

 

ライアンの剣の腕前は、サマルトリアでも群を抜いているし、人格も問題ない。

 

王妃の護衛になったからにはライアンは王妃を守り、危険が及ばないよう全力を

尽くすだろうし、あの2人なら「間違い」が起きることもないだろう。

 

 

王妃が勝手に後宮からいなくなったとはいえ、今の状況なら別に焦る必要もねえな。

王妃の気が済んで帰ってくるまで、おれたちはこのまま放っといて良さそうだ。

 

 

ったく!

人騒がせなババアだぜ!

 

 

「カイン殿下、今からどうなさいますか? こちらで王妃様をお待ちになりますか?

 それとも、いったんお部屋に戻りますか? お部屋に戻るのでしたら、王妃様が

 お帰りになった際に、殿下のお部屋まで使いの者を送りますが?」

 

おれにこれまでの状況を説明してくれた、王妃の侍女が尋ねてくる。

 

 

「ババアがライアンと一緒に出かけてから、どのくらい時間が経った?」

 

おれは王妃の侍女に尋ねる。

 

 

「そうですね… 王妃様がお出かけになる直前、えっと... クリフトさん… でしたっけ?

 あの若い兵士が『カイン殿下が戻ったというのに会わないんですか?』と王妃様に

 尋ねていたので、王妃様がお出かけになったのはカイン殿下がお帰りになった

 時間帯とほぼ変わりないかと。それから... う〜ん、どれぐらい経ちましたかねぇ?

 王妃様のお出かけがあまりにも急で、時間の感覚がわからなくなりました」

 

女中は困惑しながら言った。

 

 

ライアンは最初おれと一緒に城に向かっていた気がするが、途中から記憶がない。

 

おれが道中でティアやティメラウス、リオスと合流したのを見届けて、おそらく

あいつは城下町に留まったのだろう。

 

 

城下町では、あいつの部下の兵士たちが竜王のおっさんが襲ってくるのに備えて

警備にあたっていたからな。

 

撤兵するのか、しばらく待機するのか、ライアンは中隊長として自身の部下たちに

命令を出す必要があるんだもんな。

 

 

そこに、後宮近くの門から外へ出たクリフトがライアンを探しに来たのだろう。

 

「王妃様がお呼びです」とクリフトに言われて、2人で一緒に後宮へ走ったのなら

おれが城門に着いた頃、入れ替わるようにして王妃とライアンが外出したというのも

時間的にはピッタリだな。

 

 

… となると、2時間ぐらい経つか?

 

 

城門に着いてから、親父とティアと一緒にモルディウスを懲らしめてやった。

 

その後、親父の自室に呼ばれてモルディウスの話を延々と聞かされたんだよな?

 

そして親父に王冠を渡されて、部屋に戻ってからここに来るまでの時間を考えたら

うん、2時間ぐらいになるな…

 

 

「当初『晴れて自由の身になれた』とはしゃいでた王妃も、2時間も経てばさすがに

 飽きてくるだろう。もうババアだしな。そろそろ『疲れたから帰る』とか言って

 戻って来るんじゃねえか?」

 

 

おれが侍女にそう話していると...

 

 

「あぁ~、たくさん歩いて疲れちゃったわね」

 

聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

王妃がふうふう言いながら歩いてくる。

そんな王妃の後ろには、両腕に大量の荷物を抱えたライアンがついてきていた。

 

 

「な、おれの言ったとおりだろ?」

 

おれは侍女にウインクする。

 

 

「さすがですわ、カイン様」

 

侍女はクスクス笑って言った。

 

 

「あら、誰がいるのかと思えば 人騒がせな坊ちゃん じゃないの」

 

おれを見つけた王妃が言ってくる。

 

 

「けっ! 人騒がせはどっちだよ? 勝手に後宮を抜け出しやがってよ!」

 

おれは王妃に言い返してやった。

 

 

「別にイイでしょ? だって、ティアも護衛のティメラウスと部屋を出たんだからね

 やってることはあたしと一緒じゃない」

 

王妃は平然と言ってくる。

 

 

「へん! ティアはきちんと親父に許可をもらってから出たって言ってたぜ?」

 

おれは王妃を追い詰めてやる。

 

 

「ふふんだ。ティアが許されるのなら、あたしだって許されるに決まってるでしょ?

 王様なら絶対そうするわ! 王様は人によって態度を変えるような方じゃないもの」

 

王妃はうっとりした表情を浮かべた。

 

 

ちっ!

 

返す言葉を失ったおれは黙りこむ。

 

 

言い争うおれたちの隣では、ライアンが大量の荷物を女中たちに手渡していた。

 

 

「私たちは先に戻ってます。お荷物は全部お部屋に運んでおきますね。カイン殿下

 王妃様とごゆっくりお話しください」

 

ライアンから荷物を受け取った侍女たちが、ゆっくりと後宮の奥へ歩いて行く。

 

 

 

「ありがとう、ライアン。今日は素晴らしい護衛だったわ。またお願いね!」

 

王妃はすべての荷物を渡し終え、腕をぐるぐる回しているライアンに声をかけた。

 

 

「はっ! いつでも呼んでください」

 

王妃に声を掛けられるとライアンは腕をほぐすのをやめ、胸に手を当て一礼する。

 

 

「あんたは優れた騎士なんだからよ、ババアの雑用係なんて他の奴にやらせろよ」

 

おれは王妃に良いように利用されているライアンを見てぼやいた。

 

 

「いえ! 騎士たるもの、困っている方を助けるのが務めですから!」

 

ライアンは直立不動で宣言する。

 

 

「何かあれば、あなたを1番の頼りにするわ。また、あたしを助けてちょうだい」

 

王妃が甘えるように言うと、ライアン「何なりと申しつけてください」と答えて

再び一礼して去って行った。

 

 

「はぁ…。ライアンはサマルトリアでも1、2を争うすげえ優秀な武将なんだぞ?

 都合よく『護衛』なんて言いつつ、単にてめえの荷物持ちをさせただけじゃねえか。

 荷物持ちをさせたいのなら、ライアンじゃなくクリフトでも呼んでおけよ」

 

おれは大きくため息をついた。

 

 

「あら、それも良いわね。クリフトは『未来の息子』になるかもしれないんだもの。

 今から一緒にお出かけする機会をつくって仲良くしておいて損はないわ。それで?

 人騒がせな坊ちゃんは、なにしに来たの? 『未来の娘』の話でもしに来たの?」

 

王妃は少しも反省する素振りもなく、ニヤニヤしながら言ってくる。

 

 

「あぁ、そうだった。人騒がせなババアのせいでうっかり忘れてたぜ。あんたに

 聞きたいことがあるんだ」

 

おれは鋭い視線で王妃を見つめた。

 

 

「なあに? ナナのことかしら? ナナの気持ちが気になるんでしょ?女心だったら

 あたしにまかせてちょうだい!」

 

王妃は自信満々に胸をポンっと叩いた。

 

 

「そんなのんきな話じゃねえよ! あんた、親父に余計なこと言っただろ?」

 

おれは王妃をにらみ、普段より声を低くして脅しをかけたが王妃は動じない。

 

 

「余計なことってなによ?」

 

不思議そうな顔で尋ねてくる。

 

 

「おれがサマルトリアを継ぐとか継がないとか、そんな話をしたんじゃねえか?」

 

王妃のペースには付き合いきれねえ。

おれはズバリ核心を突いてやったが、当の王妃は目を丸くしてきょとんとする。

 

 

「え? まさかあんた、あたしが王様に『カインはナナのことが好きなのよ』とか

『将来は一緒になりたいみたいよ』とか、アレコレ話してるって疑ってるの?」

 

王妃は信じられないと言う顔で聞いてくる。

 

 

 

「あんたなら言いそうだろ? 親父とは、おれやティアの話をすることも多いだろうし

 話の流れで、おれの将来のこととか親父に吹き込んでるんじゃねえのか?」

 

こんなこと話すの王妃以外ありえねえだろ?

 

 

「あたしがあんたのお父様に、あんたがナナをずっと好きなこととか、あんたが将来

 どこに行くつもりかなんて言うわけないわ。だって、あたしには夢があるんだから」

 

おれが脅しをかけてることや、王妃を鋭くにらんでることなんて気にすることなく

王妃は目をキラキラさせている。

 

 

「あんたの夢? いったいなんだよ?」

 

予想外の反応におれは困惑する。

 

 

王妃は親父になにも言ってない?

本当かよ?

 

狐につままれたような気持ちだったが、王妃の夢とやらを聞いてやることにした。

 

 

「もし、将来あんたが本当にナナと一緒にムーンブルクに行くと決まったら、2人で

 お父様に挨拶するでしょ?きっと、王様はそのときに初めてあんたの気持ちとか

 あんたたちがそんな仲だと知って驚くはずよ。そして、あんたがサマルトリアを

 離れると知ってショックを受ける王様に、あたしが優しくこう言ってあげるの。

『カインがムーンブルクに行っちゃうのは寂しいけれど、若い2人の今後の未来を

 応援しましょう。あたしはこれからもずっと王様のおそばにいますから』ってね。

 王様はきっとあたしの言葉に感激して『そうだな。大人になれば子ども達は自由に

 羽ばたいていくものだからな。子ども達がそれぞれの道を歩み始めた後も、おまえは

 わしのずっとそばにいてくれ。わしにはおまえがいてくれればいい』と優しい顔で

 言ってくれると思うのよ。素敵でしょ? 想像しただけでキュンキュンしちゃうわ!

 王様に優しく『わしには、おまえがいてくれればいい』と言われる日が来るのを

 あたしはずーーっと夢見てるのよ」

 

王妃は頬を紅く染め、うっとりした表情で少女のようにはにかんでいる。

 

 

「… けっ、気色悪いこと妄想してんじゃねえ。あの親父がそんなこと言うかよ?」

 

おれは思わず毒づいたが、どうやら親父は王妃には優しいみたいだからな。

 

 

2人で話すときには、親父が王妃に甘い言葉をささやくこともあるかもしれねえ。

親父と王妃が寄り添って見つめ合う姿を想像して、おれはブルっと身震いした。

 

 

う〜む。

王妃のババアがこんな子どもじみた妄想をしてるんだとしたら、王妃がわざわざ

おれがムーンブルクに行く可能性があることを親父に言うわけねえよな?

 

王妃の夢を叶えるためには、おれたちの話を聞いて驚きショックを受けた親父を

慰める必要があるんだからな。

 

 

… となると、王冠の意味がわからねえ

王妃がなにも言ってねえのなら、なぜ親父がおれの気持ちを知ってるんだ?

 

いや、親父がおれの気持ちを知ってると考えることがそもそも間違っているのか?

 

 

 

「なんでそんなこと聞くの? 王様からなにか言われたの? ねぇ、あたしに教えてよ」

 

おれの質問が親父に関する話だったせいか、王妃が興味津々で聞いてくる。

 

 

ちっ、1人でゆっくり考えてえのに…

うっとおしいババアだな。

 

 

「あ? なんでもねえよ。この歳になると、親がなにしてるかなんてよく知らねえだろ?

 おれの知らないところで親父たちがどんな話をしてるか聞いてみたかっただけだ」

 

おれは適当にごまかして、さっさと王妃との話を終わらせようとした。

 

 

「え? あたしたちの会話が気になるの? 普段はどんな様子か聞きたい?」

 

 

くそっ! 話を終わらせるつもりが、王妃はデレデレと照れ笑いして聞いてくる。

 

 

「いや。ちょっと興味があって聞いてみたんだけど、あんたと親父がイチャつくの

 想像しただけで気持ち悪いことがわかったから、もういいよ。じゃあな!」

 

王妃が長話を始めないうちに、おれはとっとと逃げ出すことにした。

 

 

「え、ちょっと待ってよ。せっかくだから聞いてちょうだいな。両親が仲良しだと

 あんたも嬉しいでしょ? ナナとの将来の参考にもなるわよ!」

 

王妃は「話したくてたまらない」と言った顔でおれを引き留めてきたが、おれは

「また今度な!」と言って退散した。

 

 

もちろん王妃はしつこく引き留めてきたが、おれはなんとか逃げることが出来た。

 

ハーゴン討伐の旅の最中、しつこく絡んでくる敵から何度も何度も逃げ出してきた。

あのときの経験が活きたな!

 

 

「えー、待ってよ。ちょっとぐらい聞いてよぉ~!」

 

背中で王妃の訴えを聞きながら、おれは急ぎ足で後宮をあとにした。

 

 

 

 

王妃とライアンはどこに行ったのか?

正解は「城下町で大量のショッピング」でしたヾ(*´∀`*)ノ

 

まぁ、特に問題も起きず無事だったようだし、自由にたくさんお買い物できた王妃も

王妃の護衛(?)の務めを果たせたライアンも満足そうなので、めでたしめでたし♪

(実力者のライアンをただの荷物持ちにしたことでカインはご立腹でしたが ( *´艸`))

 

 

さて、王妃が帰ってきたのでカインはさっそく質問をぶつけてみましたよ (・∀・)ノ

(話が脱線しすぎて、なにしに後宮へ来たのか私はちょっと忘れかけてたよ (;'∀'))

 

 

なんと! 王様にカインのことをあれこれ話してると思ってたのに、王妃の答えは

まさかの「あたしがそんなこと言うわけないじゃない」でした (゚Д゚;)

 

 

おしゃべりな王妃がパパには話してない理由は、いかにも王妃らしいよね ( *´艸`)

 

「カインがサマルトリアを去って、ナナとムーンブルクへ行っちゃうのか (;_;)」

ショックを受ける王様を優しく慰め「わしにはおまえがいれば良い」と言われたい!

 

王妃なら本気で思ってそう ( *´艸`)

 

 

ということで、カインの王冠問題は振り出しに戻っちゃいましたね (;´∀`)

 

 

謎のままで終わってしまってはモヤモヤするので、次回はサマルトリア王のことを

よく知る人物に登場してもらって『王冠の謎』を解き明かしますよ (^_-)-☆

 

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ