ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 ⑨】 カインの敗北

(タイトルで思いっきりネタバレしちゃってますが... (;´∀`))

 

サマルトリアまで歩いて行きたいというナナとティアを強引にねじ伏せ

可哀想だと抗議してきた王子を封じ込めて、おれは勝利を確信していた。

 

うるさい女どもに背を向け、腕を組みそっぽを向いていたおれは

背後で服の裾が引っ張られているのを感じて振り返った。

 

「おにいちゃん」リーナがおれの服の裾を引っ張っている。

 

「ん?どうした、リーナ?」

 

「あのね、おにいちゃん。

 おにいちゃんたちがお父さんから、あたしの目を治す薬をもらってきてくれるまで

 あたし、目が見えなくて危ないからってお外に出ることはほとんどなかったの。

 お母さんは早くに死んじゃったし、お父さんは船に乗っていなかったから

 あたしはいつもおうちで1人ぼっちでお留守番していたの。

 目が見えるようになってからも、外は魔物がいて危ないからダメって言われて

 またおねえちゃんに会える日を夢見て、ずっとガライの町で待っていたわ。

 アルファズルのおじちゃんが『平和な世界になったから、もう大丈夫だよ』って

 迎えに来てくれて、ようやくこうして自由にお外へ出られるようになったの」

 

碧色の透き通った綺麗な瞳がまっすぐおれを見上げていた。

 

「昨日ね、おねえちゃんが『みんなでおでかけしよう』って言ってくれて

 すごくすごく嬉しかったの。みんなでおでかけするなんて生まれて初めてだから。

 あたし、おにいちゃんにもおねえちゃんにも迷惑かけないようにちゃんと歩くよ。

 ティアちゃんが疲れたら、あたしがティアちゃんの荷物を持ってあげるよ。

 あたし、がんばるよ! ねえ、おにいちゃん。それでもやっぱりダメかなあ?」

 

リーナの瞳にまっすぐ見つめられてうろたえたおれは、あたりに視線を移した。

 

ナナが険しい目でおれを見ている。

「あんた、まさか断るつもりじゃないでしょうね!」とその目は言っていた。

 

「なあ、カイン。ここはリーナの気持ちも考えてあげようよ。

 ぼくも1人ずつならおんぶするし、他にもいろいろと助けることは出来るからさ。

 それに、きみが嫌だって言うなら、野営の準備だってぼく1人でやってもいいよ」

リーナに感化された単純王子がダメ押しをしてくる。

 

「わかった、わかったよ! みんなで歩いて行きゃいいんだろ!」

 

「やったあ!」

「リーナちゃん、偉いわ! ありがとう!」

ナナとティアはリーナに抱きついた。

 

強敵のナナとティアをねじ伏せたと思っていたのに、思わぬ伏兵がいたもんだ。

ちくしょう! このおれがまさか言いくるめられるなんて!

 

はしゃぐ女どもを横目に唇をかみしめていると、王子がそばに寄ってきて

おれの肩をポンポンと叩いた。こいつはこれでおれを慰めているつもりなんだろう。

くそっ! どいつもこいつも!まったくなめられたもんだぜ。

 

こうして歩いて行くことになったのだが、いざ出発しようとすると

「準備するから待ってて」と女3人は部屋を出ていき、いつまでも帰って来ねえ。

 

寝不足だったおれと王子がウトウトしていると、3人がようやく戻ってきた。

そして懸念していたとおり、バスケットだの着替えを入れたバッグだの

やたらとバカでかい、わけのわからねえものを山ほど持たされる羽目になった。

くそっ! だから嫌だって言ったんだよ。


「ただサマルトリアに行くだけなのに、なんでバカみてえに荷物があるんだよ」

 

「うるさいわね。男にはわかんないだろうけど、女の子にはいろいろあるのよ」

 

「そうよ。おにいちゃん、女の子には大事なものがたくさんあるの!」

 

「そんな大事なものなら、自分たちで持てよな。なんでおれたちに持たせんだよ」

 

「王子は黙って持ってるじゃない。あんたもちょっとは王子を見習いなさいよね」

 

「こいつを見習え? こいつの良いところはただ馬鹿力ってことだけじゃねえかよ」

 

おれたちの話を無視して、なにを持てば効率が良いか思案していた王子は

いきなり両手に持ち切れないほどの荷物を持って部屋の外へとずんずん歩きだした。

 

「......どうせ、ぼくは力だけしかとりえがないですよ」

 

「おい、いじけんなって。ほんの冗談だろ。待てよ、ローレシア国王陛下様!」

1人で出ていこうとする王子を、おれはあわてて追いかけた。

 

王子の後を追って部屋を出てすぐ、おれは王子の背中にぶつかった。

部屋の前に1人の少女が立っていたのだ。

 

「......王子さま」

 

 

 

お詫びですが「はてなブログ」は使える文字の色が少ないです (´;ω;`)

特にピンク系が少なくて...。

 

誰のセリフかわかりやすいように何となくセリフに色づけしていますが

色が足りないのよ~ (´;ω;`)(特に女子)

 

もともと、リーナは濃いピンクを使っていたんですが、ティアとかぶる...。

今回限りはオレンジにしようと思ったら、ラストにミリアが出てくるし (´;ω;`)

ってことで、苦肉の策でリーナは薄いピンクを選びました。

さらに、薄いピンクで普通の文字だとかなり見にくいので、太字にしました。

それでもまだちょっと読みづらいですが、ご了承ください m(_ _)m

 

思わぬ伏兵、リーナちゃんの純粋さにあっけなく負けたカイン ( *´艸`)

 

序盤はカインが優勢だけど、まだしゃべってないリーナちゃんの発言でひっくり返るのでは?

読者様からこんなコメントをいただきました (;´∀`)

さすが、私のことをよくわかってらっしゃる (;´∀`)

 

出発前からすでに大騒ぎですが、さらにミリアがあらわれて波乱の予感...?

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ