ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 43】 仲直りの儀式 (ローレシア編)

王子から「すぐに来てくれ」と呼び出されたおれは、急いでローレシアへ来た。

謁見の間で国王になった王子と対面したところ、なんとそこにはガルダーもいた。

 

最強の剣『はやぶさの破壊の剣』を王子にもらいに来たガルダーに会ったおれは

今までの苦労から怒りをぶつけたが、ガルダーに軽くかわされてしまった。

 

ガルダーの頭には『はやぶさの破壊の剣』を譲り受けることしかないらしい。

怒りをぶつけているおれの攻撃を巧みにかわしながら尋ねてきた。

 

「なあ、ぼうず。この剣をおれが貰ってもいいんだろ? もし許可してくれるんなら

 おれもおまえの話をちゃんと聞いてやるよ。だから、な、いいだろ?」

 

「ふんっ。そんな剣、てめえにくれてやるよ。だから真面目におれの話を聞け!」

 

おれはガルダーを探して、デルコンダルテパの村ペルポイザハンなど

世界各地を飛び回ったのに、いつもあと一歩のところで逃してきたことを伝えた。

 

欲しかった剣を手に入れ上機嫌のガルダーは、おれの怒りなど意に介さない様子で

おれの話に茶々を入れて来た。

 

「ああ、武闘大会をあてにしてデルコンダルに行ったのに中止だと言われたな。

 あの国は武闘大会しか価値がないからな、とっとと退散してやったぜ。へへっ」

 

「最強の防具があるという情報を得て、喜んでわざわざテパの村に行ったのに

 姫の着てた羽衣が最強の防具として出て来たときはまいったよな~、ハハハ」

 

ペルポイの奴に最初から100ゴールド渡すなんて、あんたも坊ちゃんだな。

 駆け引きして出し惜しみしつつ聞きだせば、もっと少額で情報を得られたのによ。

 あんな奴に300ゴールドも取られるなんて、めでてえ奴だな。ハハハッ」

 

ザハン? あんな何もない漁村に行くわけないだろ。あんなとこ行ったところで

 せいぜい魚がよく獲れる網ぐらいしか手に入らねえんじゃねえか?ガッハッハ」

 

 

「てめえ! おれの苦労も知らねえで、ヘラヘラ笑ってんじゃねえぞ!」

 

ガルダーは「ふんっ」と鼻で笑い

「おれは普通に移動してただけで、別にぼうずから逃げてたわけじゃないからな。

 ことごとくおれを取り逃がしたのは、ぼうずの運が悪いだけだろ」と言い放った。

 

なんだと! この野郎!

腹の奥から怒りがこみ上げる。

 

だが、ここで直接ガルダーに向かったところで、どうせまたかわされるだけだ。

怒りの矛先を向ける場所がないおれは、ダンッと床を踏みならした。

 

オロオロしておれたちを見てた王子は、おれの足音にビクッと身体を震わせた。

この状況を何とかしようと思ってるのだろう。王子はしばらく考え込んでいたが

「名案が浮かんだ!」とでも言いたげに表情を輝かせておれたちの方を見た。

 

「とにかくカインもガルダーも、せっかくこうして元気に再会できたんだからさ

 みんなで一緒に食事でもどうだい? イライラした気分も、美味しいもの食べて

 お腹がふくれたらきっと落ち着くよ。ね、そうしようよ。ガルダー、カイン」

おれとガルダーを交互に見ながら、王子はおれたちを会食に誘った。

 

腹は減ってないが、ローレシア国王のお誘いをむげに断るわけにもいかねえ。

王子を中央の上座に据えて、おれとガルダーが向かい合う形で席に着いた。

 

ガルダーは旺盛な食欲で、ナイフやフォークは使わずに肉にかぶりついている。

 

おれは出された料理に適当に手をつけながらも、実際は酒ばかり飲んでいた。

 

一応はおれに気を遣っているのか、王子は「これは○○でつくられたんだよ」とか

「カイン、この肉は柔らかくておいしいよ。食べてみて」などと話しかけてくる。

 

今まで気遣いとは無縁で生きてきた王子に、いつまでも気を遣わせてるのも悪いし

ようやく会えたガルダーと、このままケンカ別れするわけにもいかねえ。

 

ガルダーの食事がある程度終わったタイミングで、おれはガルダーに話し始めた。

 

ムーンブルク復興のために、デルコンダルから戦士たちを連れて来ること

その戦士たちのまとめ役として、ガルダーには統率者になって欲しいこと

 

おれの発言に、ガルダーは小さくため息をつき面倒臭そうな表情を浮かべた。

 

「お姫様を助けてやれって言うなら協力はするけどよ、なんか間違ってないか?

 統率者? おれに一番似合わねえな。おれは他人が何をしてようと興味はねえ。

 おれ自身も好き勝手やらしてもらう。他に適任を探した方が良いと思うぜ」

 

「あんたに細かい指示を出せとか、作業を見守れとか言ってるわけじゃねえよ。

 そういうことは、この城にいるカタブツ騎士団長にまかせておけばいいんだ」

 

「くっくっく、確かにな。その点じゃサイラスほどの適任者はいねえだろうな。

 それじゃあ、ぼうずはおれにいったい何をやらせようとしてるんだ?」

 

「長く作業を続けてると、文句を言いだす奴が出てくるだろ? やる気のねえ発言で

 全体の士気を下げる輩がよ。あんたには、そんな奴を叩きのめして欲しいんだ。

 誰よりも強いあんたにピッタリの仕事じゃねえか? せっかく手に入れたその剣も

 ただのお飾りにしちゃもったいねえ。思う存分、使ってこそ生きる剣だろ?」

 

ガルダーは腰に差した『はやぶさの破壊の剣』に目を向けるとニヤリと笑った。

 

サマルトリアの殿下公認で暴れてもいいんだったら、大歓迎だぜ。さっきから

 この剣をふるいたくてウズウズしてたんだ。よし、その役目は引き受けたぜ!」

 

「暴れるのは自由だが、死者は出すなよ。それこそ士気が下がっちまうからよ」

 

「ふんっ、おれは生粋の戦士だからな。戦士たるもの、無駄な殺生はしねえぜ」

 

おれとガルダーは互いに顔を見合わせて、フフっと笑った。

 

 

「やっぱり、2人を食事に誘って良かったよ。無事に仲直りできたみたいだね。

 カインが何だかわからないけどすごく怒ってるからさ、心配してたんだよ。

 あっ、そうだ! 仲直りできたなら、2人で握手しようよ。仲直りのあかしにさ」

おれたちの様子を見た王子は、無邪気な顔でとんでもない提案をしてきた。

 

「なんだと?」

「あ、握手?」

おれとガルダーは同時に声を上げた。

 

おいおい、仲直りのあかしとして握手しろだと? おれとこのおっさんとがか?

こいつ、いきなりなに言い出すんだ?

 

テパの村で、村のリーダーと鼻の頭をなめ合う仲直りを経験したおれ様でも

今さら互いにかしこまってガルダーと仲直りの握手するなんて抵抗があった。

 

ガルダーも困惑した表情をしている。

 

王子は戸惑うおれたちを見て、きょとんとした表情を浮かべて言った。

「だって仲直りといえば、握手だろ? ぼく、なにか変なこと言ったかな?」

 

 

「...... いや、王様の意見は正しい」

ガルダーはおれに手を差し出してきた。

 

...... おいおい、マジかよ。

 

ガルダーと握手するなんて気恥ずかしさしかなかったが、ここはローレシアだ。

ローレシアにいる以上は、国王の意見に従うのが筋というものだろう。

 

おっさんの鼻の頭をなめたこともあるおれだ、握手なんてどうってことねえ。

 

 

おれは手を伸ばしガルダーの手を握った。

ガルダーの手は汗でベッタベタだった...。

 

 

今回、更新が遅くなってごめんなさい。

さんざん焦らした挙げ句に、こんな内容かよ! という内容ですね... (;´∀`)

 

久しぶりの王子(ローレシア新国王)の登場でテンションが上がる私 (;´∀`)

今回は、(ぶっちゃけると)ただ王子にボケてもらいたかっただけの回 ( *´艸`)

 

「いや~、さがしましたよ」からずっとイライラの止まらないカイン。

ガルダーは探されてることすら知らないから、しょうがないだろと知らんぷり。

 

ちょっと険悪な雰囲気なのに

「お腹がいっぱいになったら、きっと機嫌も直るよね!」という王子 ( *´艸`)

 

会いたかった目的を話し、お互いにムーンブルク復興に向けて合意して

一致団結できたことをかすかな微笑みで確認し合うガルダーとカイン (*´ω`*)

 

そこで「仲直り出来たなら、あかしに握手しよう!」と提案する王子 ( *´艸`)

17歳男子と、20代後半~30代前半の屈強な戦士が仲直りの握手 ( *´艸`)

 

郷に入っては郷に従え。ローレシアに入ったら、ローレシア王に従え。

それがたとえ「はぁ~?」と思うようなとんでもない提案であっても (;´∀`)

提案した相手は、ローレシアの国王様ですからね。逆らってはいけません!

 

カインもガルダーも

お互いにヘンな汗でビッチョビチョの手で握手を交わしましたとさ ( *´艸`)

 

 

ちょっとふざけた回でしたが、復興に向けて団結できたガルダーとカイン。

役者がそろって、いよいよムーンブルクへ向かいましょうかヾ(*´∀`*)ノ

 

続きもお楽しみに~ (≧▽≦)