ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 51】ロトの印のステッカー

おれは自分が考えた作戦の全貌をサイラスに話し、渋るサイラスを強引に引っ張って

謁見の間へとやって来た。

 

「やあ、カイン。久しぶりだね! 元気そうじゃないか。

 ん? いったいどうしたんだい、サイラス?」

 

王子は嬉しそうにおれを出迎えると、おれに引きずられているサイラスに目を向けた。

 

「な、なんでもございません!」

サイラスはおれから逃れると、ビシッと姿勢を正して部屋の脇に控えた。

 

おれは釘を刺すようにサイラスに鋭い視線を向けてから、王子と向き合った。

 

 

「おまえの方も、なかなか元気そうじゃねえか。ローラの門は順調か?」

 

「ああ。おかげさまで修復はすごく順調に進んでいるよ。それより、カインも

 いよいよムーンブルクの再建がはじまるよね、5日後からだっけ?

 当日は可能であれば、ぼくもムーンブルクに行こうと思ってるんだけど」

 

「へぇ。そりゃあ、話が早いな」

 

おれは早速、当日はデルコンダル王もムーンブルクに来る予定だと伝えた。

そこで、ローレシアデルコンダルで同盟関係を締結しないかと持ち掛けると

王子はあっさり了承した。

 

デルコンダル王には、以前『不思議な宝石』をもらって、お世話になったからね。

 ローレシアと同盟を結ぶことが恩返しになるのかわからないけど、それによって

 デルコンダルとロト3国の間に連携が出来れば、ラダトームともつながりが出来るし

 同盟を結ぶことで、少しは恩返し出来るんじゃないかと思うんだよ」

 

 

王子も国王になって、国同士のことまで考えられるようになったんだな。

こりゃあいいぞ! 国王として、なかなかサマになって来たじゃねえか!

 

即位してからの王子の成長を嬉しく思いながら、おれは話を続けた。

 

「おまえの言う通り、デルコンダルにとっても、この同盟は利点になるだろう。

 ただ、その同盟のためだけに、はるばるムーンブルクまで来させておきながら

 手ぶらで返すわけにもいかねえと思わないか? わざわざ来てもらった以上は、

 なにかおまえからデルコンダル王に渡した方が良いんじゃねえかと思うんだよ。

『お土産』になるものをさ」

 

おれはデルコンダル王に渡すものについて、あえて「お土産」という言葉を使った。

なんせ『あれ』は、ローレシアの「お土産人気ナンバーワン」だからな。

 

おれの言葉を聞きながら、サイラスの身体に緊張が走ったのがわかった。

サイラスは目立たないようにこっそりと、額に浮いた汗をぬぐっている。

 

「お土産ねぇ…。う~ん、ローレシアで1番の有名なお土産って言ったら

 ぼくはやっぱり『ロトの印のステッカー』になると思うんだけど」

 

 

「ロトの印のステッカー」という言葉にサイラスがビクッと身を震わせる。

 

 

f:id:john0910:20220118063344j:plain サイラスには、呪いのアイテムのような「ロトの印のステッカー」

 

 

脇に控えるサイラスの反応がおもしろくて、おれは思わず吹き出しそうになったが

なんとかこらえて話を続けた。

 

「あぁ。たしかおまえ、ナナにも誕生日にプレゼントしてたよな」

 

「あのとき、カインは『そんなもの喜ぶか?』って言ってたよね」

 

「女の子にやるもんじゃねえだろって言っただけさ。特に相手はナナだからな。

 いろいろ口うるさいからよ、あの女は」

 

「ナナは喜んでくれたのかな?」

 

『全部のプレゼントが嬉しい』って言ってたじゃねえか。喜んでいるだろうよ」

 

「でも、デルコンダル王にプレゼントするのはどうなんだろう?」

 

「良いんじゃねえか? いかにも『ローレシア』って感じのものだしよ」

 

デルコンダル王にも、ナナみたいに喜んでもらえるかな? それに、ステッカーなんて

 ぼくたちよりはるかに年長の国王に、そんな気軽に渡して良いものなのかな?

 ねえ! サイラス! きみはどう思う?」

 

 

いきなり王子に呼ばれて、サイラスは電気で撃たれたようにビクンッと身震いした。

 

「 は、はい。あの、えっと... そ、それは… カ、カイン殿下の言う通り、ひ、非常に

 ロ、ローレシアらしい... もので... あると… 言えると… 思います

 

サイラスはしどろもどろで、最後は消え入りそうな声になっていた。

 

おれはサイラスをにらみつけた。

おれの視線を感じたサイラスは、身を縮めて何度も額の汗をぬぐっている。

 

「じゃあ、デルコンダル王にお土産として渡すことについてはどう思う?」

 

王子は、再びサイラスに尋ねた。

 

 

サイラスは、おどおどした視線をおれに向けてくる。行け!という意味を込めて

おれはあごをしゃくった。

 

サイラスは目を閉じてふうぅ~と息を吐き出すと、ハッキリした口調で言った。

 

「お土産としてではなく、国同士の友好の証としてお渡ししてはどうでしょう?

 お話を伺ったところ、国王は、以前にナナ様にもお渡ししているとのこと。

 それは、国王とナナ様の友情の証でもあり、ローレシアムーンブルク

 国家間での友好関係の証とも言えるのではないでしょうか。同じように

 ローレシアデルコンダルの友好の証として、お渡しして良いと思います!」

 

サイラスはひと息で言い切った。

 

良いぞ、サイラス! よくやった! よくぞ言い切った!

 

おれは心の中で拍手した。

 

「なるほど。確かにきみの言う通り、国同士の友好の証として使えるかもしれないね。

 うん、いいね。そうしよう! 5日後に、ぼくたちがムーンブルクへ行くときは

 デルコンダル王に渡すため『ロトの印のステッカー』を持って行くよ!」

 

王子はおれに満面の笑みを向けてきた。

おれも負けじと王子に笑顔を返した。

 

おれたちの背後では、王子に気づかれないように静かにひざに手を当て、

ガックリうなだれるサイラスの姿があった。

 

 

サイラスとしては、自国の王である王子に「ロトの印のステッカー」を持たせるなんて

認めたくないんですよね ( *´艸`)

 

「国家間の友好の証になる」だなんて、普段のサイラスなら絶対に言えないんですが

王子の異名で自身が苦しんでいるときに、助け舟を出してくれたのはカインだし

王子の汚名を返上するためなら「どんなことでもする!」とカインに約束したので、

男気を見せました ( *´艸`)

 

読んでくださるみなさまも

「サイラスの男気」を、感じてもらえたなら嬉しいです (*´ω`*)

 

王子は相変わらずですが ( *´艸`)、恩義を感じるデルコンダル王のために

国としてなにが出来るかを考えるなど、少し成長した姿も見せました (^_-)-☆

 

実は、物語を再開するにあたり、最初から読み直してみて気づいたんです。

王子の扱いが酷いな… と ( *´艸`)

 

あまりにも天然のおバカちゃんにしちゃっていたので (;´∀`)、ここでフォローのため

王様として成長した姿を見せました!

 

王子の汚名返上が創作物語のテーマになりますが、ついでに、このブログでの

「名誉回復」も合わせてやっていこうと思います! 今までごめんね、王子 (;´∀`)

 

ローレシアでの作戦も無事に(?)成功したので、最後は第3のキーパーソンである

ナナに会いに行きますよ~ (*´ω`*)

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ