ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 151】 通訳を探せ!

旅に出るティアたち一行を見送っておれが自室に向かうと、部屋の前には王妃がいて

おれが戻ってくるのを待っていた。

 

ティアが旅に出て寂しがる王妃を慰めるため、親父が「気晴らしに旅行へ行こう」

王妃を誘ったんだそうだ。

 

親父たちが旅行に出ている間は、おれが城に残り王様代行を務めて欲しいんだという。

 

 

それぐらいなら構わないと了承したが、どこに行くかを尋ねておれはぶったまげた。

 

 

なんだと?!

テパの村」に行きたい??

 

 

 

「テ、テパの村だと?!」

 

おれが驚いて声をあげると、王妃はなぜそんなに驚くのかという表情で首をかしげた。

 

 

「他にもイイ場所はいろいろあるじゃねえか。たとえば... ベラヌールなんてどうだ?

 大きな港があって、たくさんの商人や戦士が闊歩するすごく活気のある町だぜ?

 あとは.... ペルポイも良い。ハーゴンの攻撃を恐れて地下に巨大都市をつくった町だ。

 ハーゴンがいなくなった今は、地下都市はそのまま残しながら地上部も再建して

 賑わいのある大きな町になっている。どうだ? どちらも一見の価値ありだぜ!」

 

おれは今まで旅してきた町を思い出しながら、王妃の考えを改めさせようとした。

 

 

ベラヌールペルポイも良い町だと思うけど、ちょっとありきたりな気がするのよ。

 テパの村はいかにも秘境って感じじゃない! 今までは村に行く川が干上がっていて

 容易に近づくことも出来なかったんでしょ? 盗賊から水門の鍵を取り戻してから

 やっと川を遡上して村にも行けるようになったんだって聞いたわよ」

 

 

「へへん、水門の鍵を奪った盗っ人のラゴスはおれたちが捕まえてやったんだぜ!」

 

盗っ人ラゴスの話題が出たので、おれはえへんと胸を張って自慢した。

 

 

「じゃあ、テパの村はあんたとも縁の深い特別な場所ってことじゃない! いいわねぇ、

 ますます行きたくなったわ」

 

王妃は目を輝かせている。

 

 

しまった!

テパの村に行かせないようにするつもりが、ついうっかり自慢しちまったぜ。

 

 

「ちっ! 軽く考えてんじゃねえ。あんたはあの村がどんな村かまったく知らねえだろ?

 今まで簡単に行けなかった場所が、最近になって行けるようになった聞いたから

 行ってみたいって言ってるだけだろうが。そんな適当に行き先を決めるなよ!」

 

おれは声を荒げて言った。

 

 

「ねえ、さっきからやたらと『旅行に行くなら他の町にしろ』って言ってくるけどさ

 あんたはどうしてそんなにテパの村に反対なのよ。村には怖い人がいるとか?」

 

おれが必死に止めてるのを気にすることなく、王妃はきょとんとした顔で尋ねてくる。

 

 

テパの村の奴らは明るくて陽気だけどよ、とにかく文化や風習が違いすぎるんだ。

 村の奴らは身体中に派手な色の変な刺青してるし、言葉だって全然通じねえんだぜ。

 おれたちがテパの村人に初めて会ったときなんて、怪物か魔物が出たと勘違いして

 戦おうとしたぐらいだからな。せっかく初めての夫婦水入らずの旅行だっていうのに

 文化も違うしまともに言葉も通じねえようなとこ行ってどうすんだよ?」

 

おれはテパの村人を思い浮かべた。

 

 

初めて見たときは本当に怪物だと思った。

多少の知識があって見たとしても、あの派手で奇怪な模様の刺青には驚くだろう。

 

 

ハーゴンが倒されてからテパの村はすごく活気づいてるって聞いてるわ。今は海岸に

 新しい波止場が出来て、そこで小舟に乗り換えて川を遡上して行けるらしいのよ。

 それだけ人々の往来が増えているなら、通訳や案内人もきっと増えてるんじゃない?

 まぁとりあえず行ってみて、現地で通訳を探してみても良いんじゃないかと思うわ。

 せっかくの旅なんだもん。めったに行けないような場所に行ってみたいのよ!」

 

くそっ! 王妃は頑としてテパの村に行くのをやめる気はなさそうだ。

 

 

平和を取り戻してからテパの村が栄えている話は、おれもレオンに聞いたことがある。

 

ベラヌールペルポイを結んでいる海路の途中に新しい波止場が出来て、その波止場で

小舟に乗り換え、テパの村まで行ける定期便が1日に何本も運航しているという話も

レオンが言っていたから間違いない。

 

 

人の往来は確かに増えているし、テパの村に関する悪い評判も今のところ聞いてない。

 

他の奴らが「通訳はまだ見つけてないけど、とりあえず行ってみたい」と言うのなら

おれも「勝手にいけよ」と思うだろう。

 

 

だが、行こうとしているのはただの町人じゃなく、サマルトリア王と王妃なんだぜ?

 

通訳も見つけてないのに、言葉も通じねえし風習もまるで違う場所に行こうとするのを

「勝手に行けよ」とは言えねえ。

 

 

 

「ちっ、しょうがねえな。わかった。どうしてもテパの村に行きてえって言うんなら、

 おれが通訳を探してやる。だから旅に出るのはおれが通訳を見つけてからにしろよ」

 

ったく、世話の焼ける奴らだぜ!

 

 

「そう? あたしは王様と2人で通訳を探してまわるのも楽しそうって思ったけど、

 あんたがそう言うならまかせるわ」

 

王妃はのんきにうなずいた。

 

 

... ということで「旅行に出るのは、おれが通訳を見つけて戻って来てからにしろ!」

再度、王妃に言い聞かせて(親父にも言うよう伝えて)おれはテパの村に向かった。

 

 

 

レオンがいてくれると助かるな。

 

たしか「しばらくはテパの村にいるつもり」とナナの誕生パーティーが終わったときに

レオンは言っていたはずだ。

 

あの言葉に期待しよう。

 

 

もし、レオンが不在だったときはおれたちが初めてテパの村へ行くときに雇った

あの通訳が見つかると良いんだが...

 

とにかく、出来れば親父と王妃のことは気心が知れた奴に託したいところだぜ。

 

 

そんなことを考えながらテパの村に入ると、入口で立ちつくす若い男女の姿が見えた。

 

 

おそらく王妃のように「とりあえず行ってみよう!」と勢いで来た奴らなんだろう。

奇怪な刺青の男女がウロウロしている村の様子をおびえた目で見つめている。

 

親父たちも何の考えなしに来ていたら、きっと同じ目で村の中を眺めていただろうな。

 

 

近くで子どもの泣き声が聞こえてくる。

 

声のする方に目を向けると、刺青姿の男におびえた子どもが母親にしがみついて

ギャアギャア泣きわめいている。

 

刺青の男は子どもをあやそうとしているのか、奇妙な声で歌のようなものを歌ったり

手をばたつかせて踊ったりしている。

 

 

男の振る舞いは子どもには逆効果だった。

さらに子どもを怖がらせているし、子どもの両親も歌や踊りのせいで子どもが余計に

怖がっていると伝えたいのに、言葉が通じず困惑しているようだ。

 

 

おれは小さくため息をついた。

 

王妃のババアめ! どうしてわざわざこんなめんどくさい場所に来たいと言い張るのか。

素直にベラヌールペルポイに行きゃあ、何の苦労もねえのによ!

 

 

そのとき、くいっくいっと服を引っ張られる感覚がして、おれは振り返った。

 

この村で何度か顔を合わせたことがある男がおれを見つけて近寄って来たらしい。

 

 

おれは身振り手振りを使って、レオンを探していることを伝えてみた。

 

伝わったのかどうかわからないが、男はおれの腕をつかみ弾むように走り出した。

 

 

わけもわからず引っ張られていくと、村の中心にある開けた場所に到着した。

 

そこでは男たちが円になって座り、円の中央でレオンが石板に文字を書いていた。

 

 

「おう、ありがとな」

 

どうやらさっきのおれの適当な身振り手振りの説明で通じたらしいな。

おれは連れて来てくれた男に礼を言った。

 

 

「おおっ、そこにいるのはカインじゃねえか! なんだよ、びっくりさせるなよな!」

 

文字を書き終え、石板から顔を上げたレオンはおれの顔を見て驚き目を見開いている。

 

 

  お久しぶりの登場♪ レオン棚橋様 (*´ω`*)♡

 

 

レオンは驚いた顔の後、ハッと何かを思いついたような表情になりニヤリと笑った。

 

そして、自分の周りを取り囲む男たちに現地の言葉で熱心になにか言っている。

 

 

レオンの話を聞き終えた男たちは振り返ると、いっせいに「コニチハー!」

おれに向けて大声で言ってきた。

 

おれの反応を確かめようとするキラキラしたいくつもの目がおれの顔をとらえている。

 

 

「... あ?... ああ、こんにちは」

 

おれが返事をすると、男たちは次々にわけのわからない奇声を上げ始めた。

 

 

どうやら喜んでいるらしい。

 

男たちの後ろでレオンが吹き出しそうになっているのが見えた。

 

 

このやり取りから想像すると、レオンが講師になって村の奴らに外の世界の言葉を

教えているといったところか。

 

 

男たちは再びレオンの方に向き直り、レオンから何か聞くとうなずいて立ち上がった。

 

「マタノェ」

「サヨヌラ」

 

男たちはおれに手を振って帰っていく。

 

 

「おう、またな」「さよなら」

 

おれも男たちに返事してやった。

 

 

「久しぶりだな。見てのとおり、テパの村には観光客がすっげえ増えてよ。とりあえず

 村の奴らに客の服や持ち物に勝手に触るなってだけは教えたんだけどな、やっぱり

 言葉が通じないといろいろ大変だろ? だから村の奴らを集めて簡単な挨拶ぐらい

 言えるように教えてたんだよ。おまえは? どうしてここに来たんだ?」

 

レオンが石板を片づけながら聞いてきた。

 

 

おれはサマルトリア王と王妃がテパの村に来たがっていることを伝えた。

 

 

「へえ?! あんたの親父さんたちがこの村に来たいとはね、なんか誇らしいぜ!」

 

レオンは嬉しそうに笑った。

 

 

「それでよ、あんたに親父たちの通訳を頼めねえかと思ってお願いに来たんだ」

 

おれが言うと、レオンはニッと笑って自分の引き締まった胸をこぶしで叩いた。

 

 

「おれで良ければ、もちろんやらせてもらうぜ。王様と王妃様の通訳が出来るなんて

 カッコいいし、カインにはいろいろと世話になってるからな!」

 

レオンはおれに手を差し出してきた。

おれはレオンの手をしっかりと握った。

 

 

「ついでにまだ頼みがあるんだけどよ、村の入口で若い男女が村人の刺青にビビって

 立ちすくんでるからなんとかしてやって欲しいのと、そのすぐ近くで小さなガキが

 村人におびえて泣きわめいてるから、それも一緒になんとかしてやってくれ」

 

おれの言葉が終わるか終わらないかでレオンは「行ってくる!」と言って駆け出した。

 

 

レオンが通訳ならひと安心だぜ!

 

おれは村の入口へと走って行くレオンの後ろ姿を見て心から安堵していた。

 

 

 

 

ドラクエⅡの世界で旅行に行くとしたらどこに行くかな~と考えながら書きました♪

 

私はテパの村は選びませんね ( *´艸`)

 

行くまでの道がとにかく大変だし、テパの村の周辺で出る敵もめっちゃ強いし (;´Д`)

(首狩り族にどれだけ首を狩られたことか... 特に後ろの2人は何度も何度も (T_T))

 

テパの村の住民たちって、きっと『首狩り族』みたいな人たちですよね (;´∀`)

陽気な良い人たちなんだろうけど、首を狩られた忌まわしい記憶がよみがえるわ (~_~;)

 

それに平和になってヤバい敵が出なくなったとしても、あのうねうねした川を進むのは

船酔いしちゃいそうで嫌ですね~ (;´∀`)

 

 

ちなみに私が行くとしたら、カインがおすすめであげた「ペルポイ」かなぁ?

封印された地下に賑やかで大きな都市があるとか見てみたいですね~(^_-)-☆

 

私ならまず選ばない「テパの村」ですが、そんな行きづらい場所にあるからこそ

めったに行けない旅行先として選ばれる可能性も高そうですよね (・∀・)ノ

 

「未開の地」とか「秘境」とか「非日常を味わう」とか旅行のパンフレットで見ると

なんか魅力的ですもんね ( *´艸`)

 

 

ということでテパの村にどうしても行ってみたいの!」と言い張る王妃のために

通訳を探しにやってきたカイン☆

 

上手くレオンが見つかり、通訳をお願いすることが出来ました~ヾ(*´∀`*)ノ

 

 

さて、レオンが通訳をしてくれて王妃たちは無事に旅行を楽しめるのでしょうか?

 

そして、お留守番のカインは何をする?

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ