ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 123】おれたちも結婚?!

おばさんの息子トンヌラと幼なじみのマリアは結婚して、赤ん坊にも恵まれていた。

 

2人が結婚できたのは、マリアに理想的な婚約者が現れるという土壇場で、トンヌラ

自分の想いを素直にマリアに伝えたからだ。

 

親切にしてくれたおばさん... 「ムーンペタの母ちゃん」から話を聞かされたおれは

母ちゃんを家まで送り届け、教会へ戻った。

 

 

 

教会に戻ると、大聖堂の前に人影が見えた。

大聖堂の入口からもれてくる明かりを背に、腕を組んであたりの様子を見回している。

 

「誰だ?」と思って近づくと、ナナだった。

 

明かりを背にしていて、顔は暗くてよく見えねえはずなのに、ナナの顔は相変わらず

キラキラと光輝いて見える。

 

 

くそっ! どうなってんだよ?!

 

おれは軽く首を振って、ナナに近寄った。

 

 

ナナはおれとは逆に、大聖堂の明かりに照らされたおれの顔がまぶしく見えたのか

おれに気づくと微かに目を細めた。

 

 

「カイン! 遅かったわね」

 

ナナが声をかけてくる。

 

おれはナナの顔を直視しないように目をそらしながら、おばさんの家が宿屋の近くで

往復に時間がかかったことを告げた。

 

 

「おまえは? こんなところでなにしてるんだよ? それにドレスは着替えたのか?」

 

ナナはドレスを脱いで、いつもよく着ているゆったりしたローブに着替えていた。

 

 

「ええ。こっちもいろいろあったのよ。まずは、オーウェンさんが帰っちゃったの」

 

 

「はぁ? オーウェンが帰った?」

 

 

ナナはうなずいて話し出した。

 

話によると、プレゼントの『泡美容』がムーンペタの住民に大好評だったことを受け

サマルトリアでもすぐに販売したいから、準備に戻る」と言って、オーウェン

おれとおばさんが大聖堂を出た後、キメラの翼を使って帰って行ったのだという。

 

 

オーウェンさんが帰っちゃって寂しくなったのと、今までの疲れが出ちゃったのか

 ティアちゃんとリーナちゃんが眠そうにしだしたからね、あたしが2人を部屋まで

 連れて行って寝かせてあげて、そのついでに着替えもすませてきたのよ」

 

 

「そこまではわかった。それで? おまえはなんでこんなところにいるんだ?」

 

おれが尋ねると、ナナは頬を膨らませた。

 

 

オーウェンさんが帰って、そのあとティアちゃんとリーナちゃんを寝かしつけて

 さらに着替えまでしてきたというのに、誰かさんがずっと戻って来ないんだもの。

 いつまでも帰って来ないだなんて、何かあったんじゃないかって心配にもなるわよ」

 

ナナはふんっと横を向き、顔を赤らめてツンツンしながら言ってきた。

 

 

おれが戻って来ないのを心配して、外に出て1人で待っててくれたのか?

 

胸の奥がきゅうっとなった。

 

 

ナナはふんっと顔をそむけたままだ。

 

そんな拗ねた顔も可愛いと思ってしまう...

くそっ! 今日のおれはどうかしてるぜ!

 

 

「ああ。悪かったな。道中でおばさんといろいろと話していてよ」

 

おれは2人の馴れ初めは伏せながら、トンヌラはおばさんの息子で、幼なじみの

マリアと結婚して、最近になって赤ん坊も生まれたという話をナナに伝えた。

 

 

「今日のパーティーにいた2人よね? 仲が良くて素敵な2人だな~と思ってたのよ。

 そうなのね。幸せな結婚をして、赤ちゃんにも恵まれただなんて羨ましいわ」

 

ナナはうっとりした。

 

 

「おまえ、早く結婚したいのか?」

 

おれは、ずっとナナに聞いてみたかったことを思いきって尋ねてみた。

 

 

「う~ん、別に早く結婚したいとは思ってないけど。でも、王子も結婚するでしょう?

 同じ歳の仲間が結婚するとなると、いろいろ意識しちゃうこともあるわよね」

 

 

「まぁ、そうだな。おれたちも結婚を意識するような歳になったってことか」

 

 

「えっ、おれたちも結婚?」

 

「えっ?!」

 

 

おれたちは思わず顔を見合わせて、2人同時にあわてて目をそらした。

心臓がどくどくと音を立てる。

 

 

おれはただ「結婚を意識するような年齢になったんだな」と言っただけだ。

でも、ナナは「おれたちが結婚する」という風に聞き取ったらしい。

 

 

おれとナナが結婚?!

そう聞き違えて、ナナはどう感じたのだろう? 今、何を考えているのだろう?

 

ナナは「おれとの結婚を意識したことがあるからこそ、聞き違えた」とするのは

さすがに都合が良すぎか?

 

 

心臓がおかしいぐらい高鳴っていた。

 

 

「ところで他の奴らは何してるんだ?」

 

このままナナと2人でいるのが気恥ずかしくなって、おれは大聖堂に入ろうとした。

 

 

「あっ、今はダメよ」

 

ナナが袖を掴んで引き留めてくる。

 

 

不審に思いながら大聖堂の様子をうかがうと、オルムとレオンが腕相撲をしていた。

 

 

「くっ! おれは海の男だぜ。おまえみてえな若造に負けるかよ!」

 

「おれもジジイには負けねーよ!」

 

「なんだとっ!」

 

「くそっ! くたばれ、ジジイ!」

 

 

勝負は互角のようだ。

2人は一歩も引かず、汗だくになりながら大声で罵り合っている。

 

 

「あの2人、すっかり酔っぱらって王子に腕相撲の勝負を挑んだんだけど、2人とも

 あっさり負けちゃったのよ。それで今は、お互いのどちらが強いのかを決めようって

 ああやって張り合っているの」

 

ナナが苦笑いしながら教えてくれた。

 

 

オルムとレオンのそばには王子がいて、涼しい顔をしながら腕をさすっていた。

 

ははっ。あの様子だと、おっさん2人との勝負も、王子には屁でもなかったみてえだ。

 

王子の隣にはミリアがいて、たくましい王子の腕にとろけそうな目で見惚れていた。

 

 

「オルムとレオンね、長くあの膠着状態が続いてるのよ。今そこにあんたが行ったら、

 どうなるかわかるでしょ?」

 

ナナがおれを見て聞いてくる。

 

 

「おれが新たな餌食になるってわけか」

 

 

「そうね。2人とも自分たちの勝負はそっちのけで、きっとあんたになら勝てるって

 勝負を挑んでくると思うわ。お互いに勝つより、勇者に勝つ方が名誉なことだもの。

 だから、今はここで隠れて、このまま成り行きを見守りましょう。いくらなんでも、

 さすがにそろそろ2人の勝負が決まると思うのよ。あんたが大聖堂に入るのは、

 勝ち負けが確定して、2人がへとへとになってからにした方が良いわ」

 

 

ナナの意見はもっともだ。

おれは2人の戦況を見守ることにした。

 

 

「うりゃああ!」

 

「ぐおぉぉぉ!」

 

お互いに奇声を発しながらも、結局はレオンがオルムに勝った。

 

 

「力は互角だったけどよ、最後はスタミナ勝負だったな。スタミナ勝負になると断然、

 若いおれの方が有利だぜ!」

 

「くそっ! このおれが負けるなんてな。まぁ、いい勝負だったぜ。今日のところは

 素直に負けを認めてやるよ」

 

「ははっ。その歳でおれと互角に戦えるなんて、あんたはやっぱりすげえよ!」

 

オルムとレオンはガハハッと笑い合い、お互いの健闘を讃えて握手を交わした。

 

 

そんな2人の様子を、王子とミリアはニコニコしながら見つめていた。

 

 

やれやれ、ようやく終わったようだな。

まったく! 騒々しい奴らだぜ。

 

おれはひと息ついて大聖堂に入ろうとした。

 

 

「あれ? そう言えばカインは?」

 

「まだ戻らねえのか? ずいぶんと遅いな」

 

2人はきょろきょろとあたりを見まわした。

 

 

「帰ってきたぜ」とおれが言おうとしたところで、レオンが先に口を開いた。

 

 

「カインの奴。フラフラと森に行って、マンドリルに踏まれちまったんじゃねえか?」

 

「はははっ。ありそうだな」

 

レオンの言葉にオルムも笑った。

 

 

一瞬でカッと頭に血がのぼる。

 

別におれのことをからかうのは構わねえ。

でも、マンドリルに踏まれたことを笑うのは許せねえ!!

 

 

 マンドリルに踏みつけられたのはカインのトラウマよ ( ノД`)

 

 

「おいっ! 聞こえてるぞ。おれがいねえからって、好き勝手なこと言いやがってよ!

 言って良いことと悪いことがあるだろ」

 

おれが激高して大聖堂に飛び込んで叫ぶと、オルムとレオンは驚いた顔をした。

 

 

「おお、帰ってきたのか。良かった良かった。おいおい、今の話はほんの冗談だろ?

 何をそんなに怒ってんだよ?」

 

おれがレオンの胸ぐらをつかむ勢いで突進したので、レオンは慌てておれから逃げた。

オルムも驚いた顔でおれを見ていた。

 

 

王子が間に入り、レオンに耳打ちする。

 

レオンは王子の言葉にうなずくと、おれに向かって手を合わせてきた。

 

 

「いやいや、悪い悪い。許してくれよ、カイン。まさか、おまえが本当にマンドリル

 踏まれたことがあるだなんて、おれはまったく知らなかったんだよ~!」

 

レオンは謝りながらも、にやけていた。

 

 

「えっ、そうなのか?」

 

オルムはぷっと吹き出した。

 

 

「てめえら! これは笑い事じゃねえんだよ! 許さねえぞ、待ちやがれ!」

 

おれは腕まくりをして腕をブンブン振りながら、オルムとレオンを追いかけた。

 

 

「許してくれよ~! 冗談のつもりだったんだよ。今はこんなに元気なんだからさ~

 過去なんて笑い飛ばせば良いじゃねえか」

 

レオンは走りながら叫んでくる。

 

 

「今が元気かどうかなんて関係ねえんだよ! 許せねえものは許せねえ!」

 

おれは叫びながらレオンを追った。

 

 

「だってよ~。おれ、マンドリルに踏まれるような奴がこの世に本当にいるなんて

 思ってなかったんだよ~、ははは」

 

レオンは再び笑い出した。

 

 

「レオン! 笑わせるのはやめてくれ! カインから逃げなきゃいけねえっていうのに

 腹が痛てえじゃねえか。うへへ」

 

2人はへらへら笑いながら、大聖堂内を縦横無尽に走り回った。

 

 

「うるせえっ! 笑い事じゃね~って言ってるだろ!」

 

おれは大声で叫びながら2人を追いかけた。

 

 

ナナ、王子、ミリアがおれたち3人を呆れた顔で見ているのが目の端に映る。

 

こうしてナナの誕生日の夜は更けていった。

 

 

 

 

やっぱり、カインとナナをイチャイチャさせたい~!!

ってことで ( *´艸`)、カインの帰りを待つナナとカインのイチャイチャタイム♡

 

 

普通にしていても拗ねていても、とにかくナナが可愛くてたまらないカイン (*´ω`*)

 

「おれたちも結婚を意識する歳か~」と言われて「あたしたち結婚するの?!」

ドキドキしちゃうナナ (*´ω`*)

 

ナナの誤解がカインにも伝わって、2人でドキドキする時間が楽しい~ヾ(*´∀`*)ノ

 

 

2人のイチャイチャだけで大満足だけど、それだとオチが無くて話が終わらないので

オチ要員2人を召喚 ( *´艸`)

 

すっかり酔っぱらったオルムとレオンがまた余計な発言をして、怒ったカインと

へらへら笑う2人が追いかけっこする、いつもの展開になりました~ ( *´艸`)

 

 

ゲームブック下巻。

カインがサマルトリア攻防戦で離脱中、王子・ナナ・サイラスが満月の塔に向かうため

テパの村に寄ったとき、レオンが「口の悪い王子は魔物に食われちまったのか?」

王子に声をかけた場面がありました。

 

なので、レオンなら言いそうだとマンドリルに踏まれちまったんじゃねえか?」

ドタバタのきっかけに使いました ( *´艸`)

 

 

ワンコのナナを王子に託して、マンドリルに踏まれて死んじゃったカイン (´;ω;`)

そんな過去を持つカインにとってはマンドリルに踏まれた」は絶対の禁句 (T_T)

 

「今は元気なんだから、過去は笑えば良いやんか~」なんて言葉は通用しません!

 

 

でも、『ナナを命懸けで守った』という思い入れが強いのはカインだけなので ( *´艸`)

1人プンプンヽ(`Д´)ノ のカインと、冷めた目の他のメンバーの対比を書いてみました☆

 

長かったナナの誕生日も無事に終了☆

ようやく翌日を迎えますよ ( *´艸`)

 

 

 

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ