ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 115】模型

ナナに見つからずに大聖堂まで行って、誕生パーティーのための準備が出来るのか?

町の中に入るまでのおれたちの懸念は、アルファズルによって払拭された。

 

なんと、アルファズルが気を利かせて、朝からナナを連れ出して外出してくれたのだ。

アルファズルのおかげで、おれたちはじっくり時間をかけてパーティー準備が出来た。

 

 

夕方になり準備がすべて整ったおれたちは、外出から帰ってきたナナを大聖堂で待ち、

ナナを驚かせることに大成功! ナナを大聖堂に迎え入れ、パーティーが始まった。

 

王子の乾杯を合図にして、腹をすかせていたおれたちは大いに食べ、大いに飲んだ。

大量にあった料理も瞬く間に空になり、とうとうプレゼントを渡すときがやってきた。

 

 


「昨年と同じく、おれたちからいくか」

 

オルムとレオンは目配せをしてナナの前までやってくると、オルムはナナの前に

大きな白い包みをドンと置いた。

 

 

「オルムが持っていた包みって、おまえたち2人からのプレゼントなのか?」

 

おれの問いかけに2人は笑ってうなずいた。

 

 

レオンが手ぶらだったのは、こいつら2人でプレゼントを用意したからだったのか!

疑問の1つがようやく解けた。

 

 

「おれたちからのプレゼントについては、おれが最初に思いついたんだけどよ、1人で

 つくるのは大変だと思ってな、オルムに一緒につくらねえかと持ち掛けたんだよ」

 

   レオンの提案でつくられたプレゼント♪ 中身は何なんでしょうね (*´ω`*)

 

 

「レオンから話を聞いて、そりゃいいな!って即答でOKしたぜ。これは自信作だ。

 喜んでもらえるといいんだけど」

 

 

オルムが手に持っているときは、ただの四角い箱状のものに見えたが、机の上に置くと

上の方はとげとげしているというか、いくつかの山が連なったみたいな形だった。

 

 

ん? これは、いったいなんだ?!

 

レオンが「1人でつくるのは大変だから」とオルムに協力を持ち掛けたってことは

それなりの大作ってことだよな。

 

四角くて、先端が尖っているもの?

う~ん。布で包まれている状態では、まったく見当がつかねえぜ。

 

 

 

「開けてみてもいい?」

 

ナナがウキウキしながらオルムに尋ねると、オルムはニッと歯を見せて笑い

「もちろん!」と大きくうなずいた。

 

 

期待に目を輝かせながら、ナナは包みの結び目をゆっくりほどいていった。

ナナが包みを解いていくのを、住民たちもわくわくした様子で見守っている。

 

 

 

「あっ...!」

 

結び目がすべてほどかれ、姿を現したものを見て、ナナが絶句した。

 

興奮した様子でナナの動きを眺めていた住民たちも、ぴたりと動きを止めた。

あたりは一瞬にして静まり返り、シンとした静寂が大聖堂内に流れた。

 

 

しばらく模型を見たまま硬直していたナナは、ゆっくりと手を伸ばし、目の前にある

模型にそっとやさしく触れた。

 

指先は震え、目には涙が浮かんでいる。

 

 

ナナを絶句させて涙ぐませた、オルムとレオンからのプレゼント。

 

それはムーンブルク城のミニチュア復元模型」だ。

 

 

 FC版のとある城の画像です(さて、どこのお城でしょう ( *´艸`)?)

 

 

オルムは、雷神丸のミニチュアを1晩で彫りあげるほど彫刻の技術は優れているし、

レオンもなんでもこなせる器用な男だ。そんな2人が協力して作り上げた模型は

本物の城と見間違えるほどの、素晴らしく精巧なつくりだった。

 

 

おれは、ガキの頃からそれこそ数え切れないほどムーンブルク城を訪れているが、

城の造りがどうとか、城壁の色が何色かなんて、まったく記憶に残っていなかった。

 

ムーンブルク城があんなことになっちまって、がれきの山になった城を見ながら

当時の姿を思い出そうとしても、ぼんやりとした姿しか思い浮かばなかった。

 

 

そんなおれでさえも、目の前にある模型を見た瞬間、在りし日のムーンブルク城が

鮮明に脳裏によみがえってきた。

 

ナナの驚きはおれの比ではないだろう。

 

 

「カインから、今年も姫様の誕生日を祝おうって誘われたとき、おれたちはちょうど

 ムーンブルクにいたんだよ。それで、どうせならムーンブルク城のミニチュアを

 プレゼントしたら、姫様は喜ぶんじゃねえかと思ってさ。昨年の誕生日のときに

 オルムは木彫りの雷神丸を贈っていたからな、そんなオルムならムーンブルク城も

 彫ってくれるんじゃねえかと思ってよ、2人でつくることを持ち掛けてみたんだ」

 

 

「ちょうどムーンブルクには建築の専門家もいたからな。そいつらの意見を聞きつつ

 大まかな外観はおれが彫りあげて、細かい部分はレオンにやってもらったんだ。

 みんなで相談しながら協力して作ったからよ、それなりの完成度になっただろ?」

 

オルムは誇らしげにナナに尋ねた。

 

 

「... ええ。本物のムーンブルク城にそっくりよ。... とても素晴らしいわ!

 

ナナは瞳を潤ませて涙声になりながらも、オルムとレオンを見つめて強く言い切った。

 

 

大聖堂に集まっているムーンペタの住民の中には、ムーンブルクからの避難民もいる。

懐かしい城の姿を見て感動したのか、どこからかすすり泣く声が聞こえてきた。

 

ナナも瞳に涙をいっぱいためながら、愛おしそうに模型をなで続けていた。

 

 

大聖堂内はずっと静かなままだったが、あたたかな感動に包まれていた。

 

やさしく模型をなでているナナの様子と、どこからか聞こえるすすり泣きの声に

つられたのか、堂内にいる女たちは一様に瞳をうるうると潤ませている。

 

 

「模型が出来たとき、ムーンブルクにいた奴ら全員で歓喜したぜ! おれたちは今

 こんなに美しい城を造ろうとしているんだってな! 作業に当たっている奴らの

 やる気も一気に上がったんだよ!」

 

 

「模型みたいな美しい城を、このムーンブルクの地で『必ず完成させようぜ!』って

 おれたちみんなであらためて誓い合ったんだ。まだ作業は始まったばっかりで、

 完成するまでには長い時間がかかるけどよ、おれたちでこの模型みたいな美しい

 ムーンブルク城を必ず完成させて、いつか姫様の目の前に見せてやるからさ、

 城が完成するまで、この模型を見ながら楽しみに待っていてくれよ。な、姫様!」

 

レオンの言葉に、ナナは大粒の涙をこぼしながら何度も何度もうなずいた。

 

 

どこからともなく拍手が起こった。

拍手はどんどん大きくなり、瞬く間に拍手と大歓声が大聖堂をつつんだ。

 

 

「へへっ。拍手されるなんてな」

「なんか、照れるぜ…」

 

オルムとレオンは周りをきょろきょろ見まわし、照れくさそうに頭をかいている。

 

 

拍手と歓声はしばらく続いていたが、時間の経過とともにだんだん弱まっていった。

拍手が完全に止み、静かになったところで再びレオンが口を開いた。

 

 

「こうしてみんなに褒めてもらえるのは、もちろん嬉しいんだけどよ、おれたちは

 姫様が喜んでくれれば、それが1番嬉しいんだ。どうだい、姫様? おれたちからの

 このプレゼント、喜んでもらえたか?」

 

レオンがナナの顔をのぞき込む。

 

 

「ええ、もちろんよ。これは最高のプレゼントだわ!

 とっても嬉しい。ありがとう、本当にありがとう!」

 

ナナが泣き笑いの顔で言うと、さっきよりもさらに大きな拍手と大歓声が起こった。

 

 

 

…... 大聖堂があたたかい感動に包まれる中、おれの背中を冷たい汗が伝って落ちた。

 

 

まさか...。オルムとレオンが、こんなにすげえものを用意していたなんてな...

 

まったくの想定外だぜ…

この勝負、やべえかもしれねえ...

 

 

 

プレゼント贈呈が始まりました〜♪

 

トップを飾ったのはオルム&レオン☆

 

プレゼントをムーンブルク城のミニチュア模型』にするのは

結構すぐに思いつきました (*´ω`*)

 

 

昨年のオルムのプレゼントは「雷神丸のミニチュアモデル」、レオンのプレゼントは

「レオン様特製・泥棒生け捕りセット」でした☆(懐かしいですね~ ( *´艸`))

 

レオンはラゴスを捕まえたくてうずうずしていたので『泥棒生け捕りセット』。

このプレゼントから考えると、レオンって「そのときに強い関心のあるもの」

プレゼントに選ぶ傾向があるんじゃないかな~と考えたんです。

 

 

ムーンブルクにいて作業中の今、関心があるのは当然「ムーンブルクに関するもの」

つまりムーンブルク城』

 

オルムは木彫りの模型を彫りあげるのが得意なんだから、2人でムーンブルク城の

ミニチュアモデルを作ってプレゼントしたら良いやん♪ って思いつきました~ (≧∇≦)

 

 

オルムとレオンがプレゼントした、本物そっくりのムーンブルク城の模型に感激して

涙を流しながら喜ぶナナ (*´ω`*)

 

感動の名場面ですが、その傍らで1人青くなっているカインがいます ( *´艸`)

 

 

ナナの口からは『最高のプレゼント』という言葉が出ちゃいました!

 

カイン、大ピンチです☆

(「カイン大好き♡」を公言しつつ、カインの大ピンチを楽しむ奴がここに ( *´艸`))

 

 

完全ノーマークだったオルム&レオンが、とんでもないプレゼントを出してきましたが

カインは果たしてこの戦い(?)で、本当に優勝できるのでしょうか ( *´艸`)?

 

 

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ