※ ローレシアの王子の名前ですが、このブログではなじみ深い「王子」にしました。
それでは、ここから創作物語をお楽しみくださいヾ(*´∀`*)ノ
オーケストラの演奏も終盤にさしかかるころ、おれは自分の左隣を見て
さらにその隣を見て、ふぅ~と小さくため息をついた。
ったく、おまえら、いつまで泣いてんだよ。いい加減にしろよな。
今から10分ほど前、王子が親父から次期ローレシア国王に任命された。
「新国王誕生万歳!」の声が響く中、おれとナナも王様のもとに呼ばれた。
おれは、王子の隣まで歩いていくと、うつむき肩を震わせて泣いている
あいつの背中をぽんぽんと叩いてやった。
さっきまで泣いていたナナも落ち着いたのか、こちらに駆け寄ってくると
王子の腕をとって軽く揺すりながら、おれたちの顔を交互に見て微笑んだ。
おれたちの真ん中で王子は「ヒックヒック」とガキみてえにしゃくりあげていたが
しばらくして呼吸が落ち着くと、おれとナナを見てしっかりとうなずいた。
王子がうなずいたのを合図にして、おれたちがあらためて観衆に向き直ると
ひときわ大きな歓声があがり、オーケストラが登場して演奏を始めた。
この道~ わが旅~♪ 果てしなく続く~♪
出逢いと別れを 繰り返しながら~♪
オーケストラに合わせて観衆が歌う。
雄大なメロディーと人々の歌声が1つになってとても感動的だ。
演奏と共に今までの冒険がよみがえってきて、胸が熱くなる。
ふと隣を見ると、王子がまだ泣いている。ったく、しょうがねえなと思いながら
王子の隣にいるナナを見ると、素晴らしい演奏と歌声に感動したのか
それとも王子を見てもらい泣きしたのか、とうに泣きやんでいたはずのナナも
またポロポロと涙をこぼしていた。
おいおい、2人して泣くなよ。おれだけ泣いてないのがおかしいみてえじゃねえか。
かといって3人そろって泣いてたら、それはそれでどうかと思うしな。
まあ、そのうち泣き止むだろうとほったらかしておいたら
曲の終わりになってもまだ2人ともぐずぐずと泣き続けてやがる。
おれは半ば呆れ果て、2人から目を離し観衆を見た。
ミリアが王子をまっすぐに見つめながら瞳をウルウルさせて泣いている。
かーっ、やってらんねえな、ったく!
ミリアの隣にはルプガナ船団長とオルムがいて、おれを見てにやにやと笑っている。
ちくしょう! あいつら、おれのことおもしろがってやがるな。
このままだと「いつまでも泣いてるんじゃねえ!」と王子を蹴飛ばしそうなので
おれは違うことを考えて気を紛らわせることにした。
おれはさっきアルファズルとナナがムーンブルク再建の話をしてるのを聞きながら
ある計画を思いついていた。
実行に移すのは早い方が良い。
このあとはきっと宴が催されるだろう。
一応の名目はおれたち3人の凱旋祝いだが
国王に任命され、今日が誕生日という泣き虫のこいつが今日の主役だ。
乾杯が終われば、おれには抜け出すチャンスぐらいあるだろう。
ずっと泣き続ける2人を横目に見ながら、おれはウズウズする気持ちを抑えていた。
第1回はここまで。
ゲームブックでは、王位を譲られたローレシアの王子が涙を流しながら
「みなさん、本当にありがとう……」と声を振り絞り、歓声がすべてを包み込んで
感動のフィナーレを迎えます。
このフィナーレとゲームのエンディングを組み合わせて創作してみましたヾ(*´∀`*)ノ
ゲームのエンディング
その後どうなったかを想像したところ、普段はまったく泣かないローレシアの王子は
いったん泣き出したら、ずーっと泣いてそうな気がして (;´∀`)
王子が泣いたら、ナナはそれを見てもらい泣きしそうだし
離れたところで王子を見つめているミリアもやっぱり泣きそう (;´∀`)
カインは、最初は気持ちを理解して温かく見守っているんだけど
あまりにもみんながずーっと泣き続けるから、そのうちキレそう ( *´艸`)
そんな感じで、こんな内容になりました。
さて、カインがムーンブルク復興のために思いついた策とは??
次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ