ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 96】いつもの2人

当初の目的どおり、ミリアに会って「結婚おめでとう」と伝えることが出来たナナは

恐縮してぺこりと頭を下げたミリアに「あなたはこれから王妃様になるんだから、

あたしにかしこまる必要ないわよ。今後は遠慮なくナナと呼んで」と伝えた。

 

 

そんなナナに促されて、おれも「これからは、遠慮なくカインと呼んでくれ」

ミリアに伝えただけだ! それなのに、おれはナナに脇腹を思いっきりつねられた。

 

 

「いってえー!」

 

おれは叫んで飛び上がったが、ナナはまったく手を緩めるそぶりを見せなかった。

 

 

「ふんっ! ミリアは王子の婚約者なのに、なんであんたがヘラヘラしてんのよ!

 本当にいやらしいんだから!」

 

ナナは言いながらさらに強くつねってきた。

 

 

「いってえな! 別にヘラヘラなんてしてねえだろ! それに、ミリアにおれのことも

 遠慮なくカインと呼ぶように言えと仕向けてきたのはおまえじゃねえか!」

 

「ええ。確かにカインって呼んでもらうように促したのはあたしよ。でも、だからって

 名前を呼ばれてヘラヘラしろだなんて、あたしはひとことも言ってないわよ!」

 

「だから! ヘラヘラなんてしてねえって、さっきから言ってるだろうが!」

 

ナナは力まかせにつねり上げてくる。

 

 

「いてててて。もうやめてくれ~! 腹の肉がちぎれちまう~! あいたたたた〜!」

 

「なっさけないわね〜、男のくせに」

 

「王子! 頼む、助けてくれ!」

 

 

助けを求めて王子たちに目を向けると、おれたちにも結婚話が伝わっていると知って

ホッとしたのに加え、家の周りに人が居ないことにも安心したのだろう。

 

ミリアはいつものようにうっとりと王子を見つめ、ピッタリと王子に寄り添っていた。

 

王子はミリアを優しく抱きとめ、おれたちを見てあきれた顔をして笑っている。

 

 

「この2人、いっつもこうなんだよ」

 

王子が笑いながらミリアにささやき、王子の言葉を受けてミリアはコロコロと笑った。

 

「うふふ。本当に仲が良いのね」

 

 

「こらっ、ミリア! こんなザマを見て仲が良いだなんて、てめえの目は節穴か?

 それに、そもそも誰のせいで、おれがこんな目に遭ってると思ってんだ!?」

 

「ちょっと! 人のせいにすんじゃないわよ」

 

ナナはつまんだ指をさらにひねった。

 

 

「いててて! ナナ、いい加減にしろよ!」

 

「ふんっ! 自業自得でしょ」

 

 

王子とミリアは、おれが痛がって叫んでいてもいっこうに気にするそぶりも見せず、

おれたちが言い争う様子を見ながら2人でニコニコ笑って話を続けていた。

 

「旅しているときも、いつもこの調子でさ。間に挟まれたぼくは困ったもんだったよ」

 

「でも、喧嘩するほど仲が良いって言うわ。カインとナナは本当に仲良しなのよ」

 

王子とミリアはささやき合いながら、顔を見合わせてくすくす笑っている。

 

 

「王子! ミリア! てめえら、いつまで笑ってんだ、こらぁ! 見せもんじゃねえぞ!

 それに、2人ともイチャイチャすんじゃねえ! サイラスに言いつけるぞ!」

 

おれは王子とミリアを怒鳴りつけたが、2人は気にせず楽しそうに笑い続けている。

 

 

「あらあら。なんだか賑やかな声がすると思ったら、あんたたちだったの」

 

ふと、家の入口から声がした。

 

ミリアの母親が家の前に出てきて、おれたちを見てにっこりと微笑んだ。

 

 

ミリアのおふくろの登場で、おれの脇腹をつねっていたナナの手が一瞬だけ緩んだ。

おれはその隙をつき、ナナから逃げ出した。

 

 

「お母さん! どうしたの?」

 

ミリアは母親のもとにいくと、母親に寄りかかり甘えるような仕草を見せた。

 

 

ミリアのおふくろはミリアを見て優しく微笑むと、愛おしそうに娘の髪をなでた。

 

「ふふ。あんたに用があってね、呼びに来たんだよ。… でも... あの... えっと...」

 

ミリアのおふくろは、おれとナナを見ながら戸惑った表情になった。

 

 

おれとナナは目を合わせてうなずき合った。

 

「へへっ。おれたち、知ってるぜ」

 

「ええ。あたしたち、王子から話を聞きました。それで、ミリアに直接おめでとうを

 言いたくてルプガナに来たんです」

 

先ほど港でミリアの親父に言ったのと同じ言葉を、ミリアのおふくろにも伝えた。

 

 

ミリアのおふくろは親父と同じように、ホッとした安堵の表情を浮かべた。

 

 

「あらっ。だったらちょうどいいじゃない! あなたにも見てもらおうかしら?」

 

ミリアのおふくろは、嬉しそうに目を輝かせながらナナに話しかけた。

 

 

「えっ? あたし?」

 

 

「ええ。あたしね、1人娘の花嫁衣裳を自分で仕立てるのがずっと夢だったんだよ。

 それで、この子が結婚するってなったとき、ローレシアのみなさんにお願いしてね、

 あたしがこの子の花嫁衣装を仕立ててもいいっていう許可はもらったんだよ。

 だけどね、いざ手を付けてみたら、ちょっと困ったことが出てきちゃってね」

 

 

「困ったことって?」

 

 

「そのあたりにいる普通の男じゃなくて、お相手は王子様、いや、今は王様だよ。

 変なもの着せたら、娘の恥になるだけじゃなく、王様の顔も潰しちゃうだろう?

 そうかと言って、あたしは気品とは無縁の、海の男どもとばかり一緒にいるからね。

 いざ、気品のある服装をって言われても全然ピンとこないんだよ。だから、お姫様に

 あたしの試作品を見てもらって、意見をもらえたら安心できるわって思ってね」

 

 

「まあっ! ミリアの花嫁衣装を、あたしにも見せてくださるの? すごく嬉しいわ!

 あたしには大した意見は言えないけど、見たいわ! ぜひ見せてちょうだい」

 

 

「そう、良かった! それなら早速… あっ! えっと、こちらのお2人は…」

 

ミリアのおふくろは、おれと王子を見て困ったような表情を浮かべた。

 

 

「王子は見ちゃダメよ、当日のお楽しみだもの。… ってことで、あんたはどうする?」

 

ナナはおれに尋ねてきた。

 

 

「ああ、おれも遠慮しとくよ。花嫁衣装なんて、おれには見てもよくわかんねえし、

 王子を1人にするのも可哀想だからよ」

 

 

「そう? じゃあ、あたしが衣装を見せてもらっている間、散策でもしているといいわ。

 あっ! ちょっと待って! まさかあんたたち、あたしがいないのをいいことに、

 裏通りにある、あのいかがわしいお店 に行く気じゃないでしょうね!」

 

ナナはおれをギロリとにらみつけてきた。

 

 

「へっ、行くわけねえだろ」

 

 

「本当かしら? あやしいわね。どこにも行けないように、お金を預かろうかしら?

 でも、そうなるとお買い物もできなくなっちゃうから、それはちょっと可哀想よね。

 王子! あなたカインのことちゃんと見張っておきなさいよ! あんなお店に行ったら

 2人とも絶対に許さないんだから!」

 

 

「えっ? あ... うん。… わかったよ」

 

 

ナナは怖い顔で王子にきつく念を押し、おれの顔をもう1度ギロリとにらみつけてから

弾むような足取りで、ミリアたち親子と一緒に家の中に入っていった。

 

 

「ひゃっほ~い! おれってかなりツイてるぜ!」

 

女ども3人を見送ったおれは、ナナの姿が家の中へと完全に消えていったのを確認して

パチンと指を鳴らした。

 

 

王子が怪訝そうな顔でおれを見てくる。

 

 

「へへっ。実はナナがいない隙を狙って、ルプガナで行きてえところがあったんだよ。

 最初は、夜中にこっそり抜け出して行くしかねえだろうと思っていたんだけどよ

 まさかこんなタイミングで行けることになるとはな! おれって本当にツイてるぜ!」

 

上機嫌で話すおれに対して、王子の顔はみるみるうちに青ざめた。

 

 

「カ、カイン! 絶対にダメだよ。もし、本当にあんな店に行ったことがナナにバレたら

 ぼくたち、バギじゃ済まないかもしれないよ。今のナナを怒らせたら、ぼくたちは

 イオナズンを食らうかもしれない…」

 

 

「ははっ、おまえも馬鹿だな。ぱふぱふの店には行かねえってずっと言ってるだろ?

 おれだって、イオナズンで黒焦げの死体になるのはごめんだからな」

 

 

「えっ? 本当に違うのかい? じゃあ、きみがナナのいない間に行きたいところって

 いったい...?」

 

 

「へへっ、もっと重要なところさ。ついてくれば、おまえにもわかる。おおっと、

 こんなところで話してる時間がもったいねえ。さあ、早速行こうぜ!」

 

 

おれはきょとんとしている王子の肩に腕をまわし、颯爽と歩き始めた。

 

 

 

今回のタイトルは「いつもの2人」

 

王子があきれた顔で笑いながら「この2人、いっつもこうなんだよ」とミリアに言った

『カイン&ナナ』を指すのはもちろんだけど、すぐ『2人の世界』に入っていちゃつく

『王子&ミリア』も指します ( *´艸`)

 

「いつもの2人」なカップル2組の、それぞれの仲の良さを書いてみました~ (*´ω`*)

 

 

そして、後半でミリアのママを登場させたのは、次の話へとつなげるためです。

次の話に移るため、いったん「ナナに退場」してもらう必要があるんですよ ( *´艸`)

 

 

サマルトリア「ティアが『あたしも一緒に行きたい』と言い出したらどうするか?」

カインが1人でひそかに策を練っていた場面がありましたよね!

 

【創作 90】小競り合い - ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

 

カインはこう考えていました。

 

ティアが同行するなら、ルプガナ行きは断念しなきゃいけないかもしれない...。

だが、ルプガナ行きを断念すると、「ミリアに直接おめでとうを言いたい」という

ナナの願いも叶えてやれなくなるし、おれとしても、ルプガナに行けないのは困る。

 

 

そう。カインはずっと、ルプガナ「やりたいこと」があったんです (^_-)-☆

 

そして、その「やりたいこと」「ナナがいない隙を見計らってやること」なので

ナナと別行動できるタイミングはいつだろう? とずっと考えていたんですね。

 

ナナが夜寝てからじゃないと別行動は難しいだろうとカインは考えていましたが

ミリアのママが登場してくれて、思いがけず自由時間が出来ました~ヾ(*´∀`*)ノ

 

夜中にこっそり行くしかないと思っていたけど、昼間から堂々と行けますよ (≧∇≦)☆

 

 

ルプガナで、ナナのいない隙にやりたいことがある!

 

それだけでぱふぱふしに行く」としか思えなくなってくる不思議 ( *´艸`)

 

 

最初は、ナナが退場して「ラッキー! 行きたいところあったんだよ!」とカインが言い

王子を誘って一緒に向かうという話だけを書いていたところ、書いていくうちに

「カインがこっそりぱふぱふに行きたがっているように見えるな ( *´艸`)」と思って。

 

急きょ「あんた! まさか、いかがわしい店に行くつもりじゃないでしょうね!」という

ナナの言葉を追加しました ( *´艸`)

 

 

読めば読むほど「目的はぱふぱふに見えてきますが ( *´艸`)、カインが否定する通り

目的はぱふぱふではありません!

 

でも、結構な新展開に移っていくので、まずわからないだろうと思います ( *´艸`)

(もし、これを当てられたら、私の脳みそは筒抜けってことですわ... (◎_◎;))

 

 

ぱふぱふじゃないならどこに行くの?

これからの新展開って?

 

みなさまは続きをいろいろ想像しながら、楽しみにお待ちください (^_-)-☆

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ