ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 93】誓いの杯

以前、おれたちを「うすぎたないガキ!」と罵った門番たちと和解して、おれたちは

ラダトーム城に入った。

 

 

城ではおれたちの来訪を受け、さっそく歓迎の宴が催されることになった。

 

王に会って紋章の保管方法について話し、今後も平和のために協力し合う約束をして

ステッカーを渡して帰るだけだ。

 

ご大層な歓迎は必要ねえと思ったが、まぁいっか。ラダトームは歴史が古いだけあって

純正の醸造酒は美味いし、美しい舞姫たちの剣舞も見事だ。さらに地形にも恵まれて、

海産物も豊富で新鮮だからな。

 

腹も減ったことだし美味い酒も飲みてえし、たまにはこういうのもいいだろう。

 

 

酒を飲み、次から次へと出される新鮮な海産物をたらふく食いながら、おれたちは

ラダトーム王に『ロトの印のステッカー』を渡し、ステッカーに込めた想いを伝えた。

 

 

「予は、以前ハーゴンを恐れて雲隠れした情けない王だが、それでも予を『仲間』として

 認めてくれるのであれば、その想いには誠意をもって応えよう」

 

王はステッカーを受け取ると銀の杯を掲げ、誓いを込めて中の酒を一気に飲み干した。

 

 

サマルトリアハーゴン軍を撃退できたのは、ルプガナアレフガルド連合軍が

 援護してくれたおかげ。サマルトリアは今後も感謝の思いを忘れることはないし

 これからも連合軍とは、お互いに援護しあっていけたらいいと思っています」

 

おれの発言に、王は深くうなずいた。

 

 

「カインの分析によると、邪な考えを持つ者が現れたときは、再びロンダルキア

 拠点にする可能性が高いんです。だからロンダルキアから1番近いムーンブルク

 紋章を保管するのは止めて、紋章は今後、ロト3国で分散して持とうと思います」

 

ナナの言葉を聞きながら、ラダトーム王はそっと視線を自身の背後に向けた。

宴の席でも王のわきには書記官が控えていて、静かに羽ペンを走らせていた。

 

王は記録が取られていることを確認して満足そうに微笑むと、こちらに向き直った。

 

 

「3国で分散して保管するのは予も賛成だ。たとえ1国が襲われることがあっても、

 時間を稼ぐことが出来るからな。となると、我が国としてはロンダルキアの様子を

 警戒しながら、状況を見て必要に応じて援軍を出すということになるのかな」

 

へっ、平和ボケしちまってるのか、危機管理に関しては完全に素人のじいさんだな。

 

 

「もちろん、ロンダルキアへの警戒は大事ですが、アレフガルドとしては竜王の城に

 まず注意を払って欲しいところです」

 

王子が王に遠慮しつつ控えめに言った。

 

 

竜王の城に?」

 

「ええ。今の『竜王のひまご』は善良な王なので心配ありませんが、この先もずっと

 今のような平穏無事な状態が続くという保証はありません。これからの未来では

 先祖の敵討ちを考えて、報復攻撃に走る者が現れる可能性も充分にありますから」

 

「な、なんと...」

 

王子の言葉を聞いて初めて気づいたのか、ラダトーム王の顔がサッと青ざめた。

 

 

「その際はもちろん、ぼくたちロト3国が全力で加勢します! ただ、王様には是非

 そんな未来が来る可能性も考えて、竜王の城への警戒を怠らないで欲しいだけです」

 

王はおびえた表情を浮かべながら、王子の言葉に無言で何度もうなずいた。

 

 

へっ。こいつはハーゴンの噂を聞いただけで、怖がって逃げ出したじいさんだからな。

あまり恐怖を与えて刺激すると、ビビッて言葉を失うだろう。ただ、言うべきことは

ここできちんと言っておかねえとな。

 

 

「反乱が起きる可能性を考えて警戒すべきところは、他にもう1つあるんです」

 

「なにっ!? まだあるのか?」

 

王は、ナナの言葉にギョッと目を見開いた。

 

 

「はい。あと1つだけ。そしてもしも、その地で反乱が起きたときは、どこよりも

 ルプガナアレフガルド連合軍の力が1番重要になってくるんです!」

 

「い、1番重要だとっ!? そ、それは、い、いったいどこのことだ!?」

 

ラダトーム王は大きくのけぞり、震える手で玉座の縁をギュッとつかみながら叫んだ。

 

予想以上におびえ恐怖におののく王の姿に、ナナが困惑して言葉を詰まらせたので

代わりにおれが後を継いだ。

 

 

「それはデルコンダルです。あの国は強い奴が王になると決められている。次代の王が

 自国の強さを示すため、かつての敵国だったローレシアを襲う可能性があります」

 

「う、うむ。確かに。ただ、我が連合軍の力が1番必要になるというのは?」

 

 

ローレシアサマルトリアムーンブルクの3国には海軍がありません。それは

 我がロト3国の弱点とも言えます。対するデルコンダルは、陸の孤島の島国なので

 海軍が非常に強化されていて、それが脅威となっているんです。以前、ハーゴン軍が

 サマルトリアに攻め込んできたとき、デルコンダル海軍が援護してくれたんですが、

 強力な艦隊が海から進軍してくれたことがとても心強かった。デルコンダル海軍は

 味方としては最高の艦隊ですが、仮に敵対してあの海軍に全力で攻め込まれたら、

 たとえ軍事力が強固なローレシアであっても、厳しい戦いになるでしょう」

 

「な、なるほど。そこで、我が連合軍の海軍の力が必要になると...」

 

 

「はい。その場合は、おそらくルプガナ船団がこちらの主力になると思いますが、もし

 この先、デルコンダルで反乱が起きた際は、ルプガナアレフガルドの海軍の力で

 早急にデルコンダルを包囲して、ローレシアを守ってもらいたいんです」

 

 

「う、うん。そうだな。そ、そうなると、ルプガナ船団の力に大いに頼るところだな。

 予からも、ルプガナ船団長に強くお願いしておくことにしよう!」

 

主力がルプガナ船団になるとわかって、ラダトーム王は少し安堵の表情を浮かべた。

 

 

ちっ! このじいさんは自分で率先して何かしようという気がねえのかよ!

 

おれは舌打ちしたくなる気持ちをこらえた。

 

 

「我がローレシアは、長らくデルコンダルの蛮族からの侵略に悩まされてきました。

 今後、ルプガナアレフガルド連合軍に援護してもらえるとなれば、我が国としても

 非常に助かります。どうか、連合軍には恒久的な協力をお願いします」

 

王子はラダトーム王に丁重に頭を下げた。

 

 

「あ、あぁ。わかった。予から頼んで、ルプガナ船団長にも約束させることにしよう」

 

王は他人事のように言った。

 

 

正直なところ、おれはこのじいさんにはこれっぽっちも期待していない。

 

勇者ロトのお膝元でありながら、有事のときにおびえ、臣下や城下町の民たちを置いて

誰よりも先に逃げ出すような奴だからな。

 

ロト祭のときに戻ってきて、臣下と民を前に謝罪した勇気だけは認めるが、そもそも

国家の危機にすべてを放り出して逃げ出す時点で、1国の王としては失格だ。

 

 

ただ、ラダトームは歴史と伝統の国なだけあって、国家としての基盤は確立しており、

重要事を後世に伝える能力には期待できる。

 

この宴でのおれたちの会話も、ただの口約束で終わるのではなく、書記官によって

一語一句しっかりと記録されているからな。

 

 

この怖がりのじいさん王はこのまま放置しておいて、次代の王たちに期待しよう。

次代の勇敢な王たちに、今日のこの話がしっかりと伝えられればそれで充分だ。

 

おびえているじいさんがちょっと可哀想な気もするが、確かな記録として残すため

ここらでダメ押ししておくか。

 

 

ラダトーム王。本日は有意義な話し合いが出来ました。今後も、我らロト3国と

 ルプガナアレフガルド連合軍は、恒久的に互いを援護し合うことを今ここで

 約束しましょう! 王もご賛同いただけるのならば、我らと共に誓いの杯を!」

 

 

おれは銀の杯を手にして立ち上がった。

王子とナナに目配せすると、2人も同じように杯を手に持ちその場で立った。

 

おれたちが立ち上がるのに合わせて、ラダトーム王も慌てて玉座から立とうとしたが

急に自分が『誓いを交わす立場』になった恐怖で膝が震えているせいか、玉座から

ほんの少し腰を浮かせたところでバランスを崩し、フラフラと尻もちをついた。

 

近くにいた重臣がすぐに駆け寄って、王様に手を貸してその場に立たせた。

 

 

王は青ざめた顔のまま銀の杯を手に取り、おれたちに合わせて目の前に掲げた。

 

王の持つ杯は小刻みに揺れ続けていた。

 

 

 

ラダトームで書きたかったのは、前回の「門番との和解」なので、王様との面会は

正直どうでもいいんだけどな~と、書く気も起きずにいました (;´∀`)

 

最初は、ラダトーム王と話は済ませたことにして、先に行こうかとも思ったんですが

3人は王様と話をするためにラダトームに来たのに、当の王様と会って話すシーンを

丸々カットするのもね... (;´∀`)

 

ということで、(しょうがないから)適当に書いておくことにしました ( *´艸`)

 

 

でも、いざ書くぞ! となったら、ラダトーム王の印象がとにかく薄くて薄くて... (;'∀')

まずは、ゲームブックラダトームのシーンを読み直すことから始めましたよ (;´∀`)

 

 

最初は物陰からこっそり王子たちの様子をうかがい、ロト祭のときに帰ってきて

逃げたことの謝罪とハーゴンへの宣戦布告をするんだけど、その後もイマイチでね...

 

なんだかパッとしない王様だったので、今回もパッとしない感じになりました ( *´艸`)

 

 

まぁ、「わしはただのぶきやのいんきょじゃよ、かっかっかっ!」のゲームの王様と

比べたら、ゲームブックの王様は表に出てきただけかなりマシなんですけどね☆

 

 

ゲームよりはかなりマシだけど、頼りなくて気弱で、すべて他人まかせでビビりの

ラダトーム王との会話は、じいさんの気持ちはそっちのけで、カインの思惑どおりの

記録が後世に残されるよう、じいさんを誘導していく展開に ( *´艸`)

 

宴の最初は王様らしく堂々と杯を掲げていたのに、3人の話にどんどんビビりだし、

最後は、膝が震えてまともに立つことも出来ないほどのガクブルに ((((;゚Д゚)))) 

じいさんはぶるぶる震える手で、誓いの杯を交わしましたとさ(よくがんばったね☆)

 

やる気もなく適当に書いたにしては、それなりにおもしろくできたんじゃないかな~と

満足しています♪(恒例の自画自賛 ( *´艸`))

 

 

さて。たらふく飲んで食って、こちらの思い通りの記録も残せたので、ラダトーム

このへんで終わりにして、次の目的地・ルプガナに参りましょうか (*´ω`*)

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ