ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 42】 幻の剣

「殿下、殿下! 起きてくださいまし」

身体を揺り起こされて目を開けると、ティメラウスが立っていた。

 

昨日は忙しかった。

ザハンからテパの村へ行き、レオンと別れてサマルトリアに戻ってきたら

竜王のひまごがおれを待っていて、デルコンダルに無理やり連れて行かれた。

 

竜王のおっさんにきりきり舞いさせられて、フラフラになったおれは

デルコンダルに着いたとたんに、竜の背中から転げ落ちて頭を打った。

 

その後、目を覚ましてなんとかルーラでサマルトリアまで戻って来たが

帰ったときは自室まで歩くのがやっとなほど疲れ切っていた。

 

「朝っぱらからなんだよ、ティメラウス。もう少し寝かせてくれよ~」

 

「... 殿下。恐れながら、もう昼になろうかという時間ですぞ」

 

ティメラウスの言葉に驚いて起きあがると、確かに部屋の中は明るかった。

強い陽射しが部屋の中にまでさんさんと降り注いでいて、陽が高いことがわかる。

 

こんなにも長く寝ちまったのか。

 

ベッドの上に座ったまま、何も言わずただ呆然と窓の外を眺めているおれを見て

ティメラウスは少し心配そうな面持ちで声をかけてきた。

 

「お疲れのようですな、殿下。ローレシア王から『すぐに殿下に来て欲しい』

 連絡が入ったそうなのですが、今日はお断りした方が良さそうですな」

 

「あ? ローレシア王からおれに連絡? ローレシア王って王子のことか?」

 

「さようでございます。王子殿が国王に即位されて政務をこなしておられます。

 先ほど『もし、殿下がサマルトリア戻っているのなら、すぐに来て欲しい。

 急ぎの用件がある』という連絡が入ったようなのですが...」

 

ティメラウスの言葉が終わらないうちに、おれはベッドから飛び降りた。

 

王子がおれにすぐに会いに来いと言うなんて... いったい何があった?

きっと何か問題があったに違いねえ!

 

おれは素早く身支度を整えると、ルーラで急いでローレシアへと向かった。

 

 

わざわざおれを呼び付けるなんて、なにか一大事でも発生したのか? と

あわてて飛んできたにもかかわらず、ローレシアは普段どおりの様子だった。

 

あいかわらず、城の近くにある草原ではスライムが飛び跳ねていて

門番はあくびを噛み殺しながら、そんなスライムの様子を眺めている。

 

おれが城門に近づいていくと、門番は姿勢を正して一礼し、おれを出迎えた。

「これはこれは、サマルトリアのカイン殿下。ようこそお越しくださいました」

 

ローレシア王がおれを呼んでいると聞いて参上したんだが」

 

「はい。王様が謁見の間でお待ちでございます。ささっ、どうぞ中へ」

 

門番はおれを見てにこやかにうなずいた。特に困っている様子も見受けられない。

 

何か問題が起きたわけじゃねえのか?

 

門番に促されておれは城内へ入った。

 

 

「カイン殿下。お久しぶりでございます。ようこそおいでになられました」

おれが謁見の間に向かって歩いていると、前方からサイラスが現れた。

 

おれに向かって一礼するサイラスの様子を見ても、普段と変わったところはない。

 

王子はなぜおれを呼び出したんだ?

城の様子、門番とサイラスの態度を見る限りでは問題が起きたとは考えにくい。

 

となると、あいつのことだ。

どうせまた「『おたのしみ』について教えて欲しい」とかくだらない話に違いない。

 

おれは城に飛んで来たときとはまったく違う、気楽な気持ちで謁見室へ向かった。

 

 

今までは王子と並んで各国の王に謁見してたのに、王子が待っているなんてな。

謁見の間で王様の格好をした王子と向かい合うなんて、なんだか変な気分だぜ。

へっ、どうせならこれでもかっていうぐらい恭しく拝謁してやるか。


おれは門兵が謁見の間の扉を開けるのに合わせて、その場でひざまずいた。

 

サマルトリア皇太子カインが、ローレシア王に拝謁いたします!」

 

「カイン! どうしたんだよ。そんなにかしこまるのはやめてくれよ」

 

「はっはっは。いいじゃねえか! ぼうずに頭下げられるなんて名誉なことだぜ」

 

すぐそばから発せられた聞き慣れた声に、おれはハッとして顔をあげた。

目の前には屈強な戦士が、口の端をつり上げ笑みを浮かべながら立っていた。

 

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「ガ、ガルダーッ!?」

 

「おうっ! 久しぶりだな。元気そうじゃねえか、ぼうず」

 

なんと... 探し求めていたガルダーがまさかローレシアにいるとは...!

 

「カイン、ガルダーのこと探してただろ? なにか情報があれば知らせようと

 思ってたところにさ、本人が会いに来たんだよ。もうビックリしちゃって

『すぐに来て』って連絡したんだ。きみがサマルトリアにいて良かったよ」

 

「な、なんで... ここに?」

おれは立ち上がるのも忘れて、ひざまずいたままガルダーを見上げて尋ねた。

 

ガルダーはおれの驚きっぷりに少し怪訝な顔をしながら話してくれた。

ロンダルキアの洞窟前で戦い続けて、武器や防具が全部ダメになっちまってよ。

 もっと強い武器を求めて各地の店をまわったんだが、シケたものしかなくてな。

 ペルポイにあらゆる情報を持っている情報屋がいると聞いて会いに行ったんだ」

 

おれの前にペルポイの情報屋を訪ねた男というのはガルダーで間違いなかった。

やはり、おれの読みは正しかった。

 

ロンダルキアの洞窟内に稲妻の剣があると聞いたけどよ、あそこに通じる道は

 アルファズルが魔法で封印してたからな。他になにかねえのかって尋ねたんだ。

 そしたらよ、ハーゴン城でローレシアの王子ハーゴンが操る幻覚を利用して

 世界に1つしかない幻の最強剣をつくりあげたっていう話を聞いたのさ。

 王子も国王になるからよ、あいさつも兼ねてその剣を拝みに来たってわけだ」

 

ガルダーの手には、王子がハーゴン城の幻覚から覚めたときに手にしていた

はやぶさの破壊の剣』が握られていた。

 

「ぼくにはもう必要のない剣だからさ、ガルダーが欲しいならあげようと思う。

 でも、元々はカインが持っていた『はやぶさの剣』を借りてつくった剣だろ?

 ガルダーにあげる前に、きみにも許可をもらっておいた方が良いと思うんだ。

 どうだい、カイン? ガルダーに、この剣をあげてもいいかい?」

 

 

...... ちくしょう! あのとき、情報屋に追加で金を払って情報をもらっていたら

ガルダーがローレシアに来ることはすぐにわかったってことか! わかってたら

ザハンで婆さんの誘いに乗るか悩むこともなかったし、サマルトリアに戻って

竜王のおっさんに無理やり付き合わされることもなかったのに...!

 

怒りがふつふつと湧いてくる。

 

「カイン? どうしたんだい? ぼんやりしちゃって。疲れてるのかい?」

 

「なんだ? ぼうず。おれにこの剣を渡すのが惜しくなったのか?」

 

王子とガルダーが心配そうにおれの顔を覗き込んできた。

 

おれは勢いよく立ち上がり、ガルダーの胸元に拳を突き出した。

「てめえ、探したんだぞ! この野郎!」

 

ガルダーはすばやく大きな手でおれの突き出した拳をガシッとつかんだ。

「なんだ? ぼうず、なに怒ってるんだよ」

 

「うっせえ! どれだけ探し回ったと思ってんだー!」

おれは反対の拳を突き出すが、またしてもガルダーにつかまれてしまった。

 

ちくしょう! ちくしょう! ちくしょう!

 

両手をつかまれたおれは、ガルダーに向けて蹴りをくり出した。

ガルダーは拳をつかんだまま、器用に蹴りをよけて「ガッハッハ」と笑っている。

 

ちくしょおおおーー!

 

おれたちのやりとりを新ローレシア王はきょとんとした顔で見つめていた。

 

 

おまたせしました~ヾ(*´∀`*)ノ

ようやくカインはガルダーと会うことが出来ましたよ~ (≧▽≦)

 

ガルダーがローレシアに行くことは早い段階(テパあたり)で決めていました。

ドラクエⅡで「ロトの装備」を除く最強の防具は「みずのはごろも」だろうし

最強の武器といえば「はやぶさの破壊の剣(はかぶさの剣)」ですからね (^_-)-☆

ガルダーが「はかぶさの剣」を求めて、ローレシアに来るのは必然ですよね!

 

当初はレオンと一緒にザハンへ行って、帰ってきたところで王子に呼び出され

ローレシアに行ってガルダーと再会」というシナリオを考えていたんですが

竜王のひまご】 をどうしても登場させたくなって、寄り道... ( *´艸`)

 

結果、カインは竜王のひまごにデルコンダルまで連れて行かれてフラフラ... (´;ω;`)

デルコンダルに着いたら着いたで、竜の背中から転げ落ちて昏睡状態... (´;ω;`)

起きたら、デルコンダル王と竜王のひまごに好き勝手なこと言われてるし (´;ω;`)

ずいぶんと可哀想な目に遭わせちゃいました(ちょっとだけ 反省しよう...)


「いや~、さがしましたよ」(By.サマルトリアの王子)のカインバージョンは

「てめえ、探したんだぞ! この野郎!」になりました~ ( *´艸`)

 

怒りのままにガルダーに殴りかかるも、あっさりガルダーに両手をつかまれて

新喜劇のめだか師匠状態になっちゃうカイン... ( *´艸`)(めだか師匠は大好き!)

なぜかどうしてもカインにいじわるしちゃう私...(もうちょっとだけ反省しよう)

 


ようやくガルダーとの再会を果たし、次のステップに進めそうなカイン。

ムーンブルク復興が、いよいよ現実味を帯びてきましたよ~ (≧▽≦)

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ