ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 36】 最強の防具

ルーラの呪文でおれはテパの村へ来た。

 

ここはいつも暑い。前に来たときよりもジャングルがさらに鬱蒼とした気がするぜ。

 

村に入り、おれは額の汗をぬぐった。 

おれの姿を見つけると、派手で奇怪な入れ墨をした奴らがわらわらと集まって来た。

 

テパの村人たちは、わけのわからない言葉で話しながらおれのそばに寄って来て

服をめくり、顔をベタベタ触り、レイピアを鞘から抜き、やりたい放題してきた。

 

うっとおしかったが、ここで下手に動いてまた鼻の頭をなめられたらかなわねえ。

おれは黙ってじっとしていた。

 

連中はしばらくの間、おれを取り囲んで、もみくちゃにしながら遊んでいたが

そのうち、おれを中心に二重の円をつくって全員が大声で歌いながら踊り始めた。

 

満面の笑みで陽気に歌いながら踊ってるところをみると、歓迎してくれてるらしいが

いったいこの踊りはいつまで続くんだ?

 

「おおっ! ヒーローが来たぞって騒ぎを聞いて来てみたら、あんただったのか!

 久しぶりだな~、元気だったか? てっきり魔物に食われたもんだと思ってたぜ」

 

f:id:john0910:20171215030610j:plain このブログでレオンといえば棚橋選手。ワイルドなイメージがピッタリです (*´ω`*)

 

踊る人々の輪の外からレオンが現れておれの肩を叩いた。ったく、遅せえんだよ。

 

「おれ様が魔物に食われるわけねえだろ。それより、こいつらなんとかしろよ」

 

レオンがテパの言葉で踊ってる奴らに声をかけると、連中は踊りを止め両手をあげ

ひょーーーー!と叫んでぐるぐる回りながらおれから離れていった。

 

ようやく村人から解放され自由になったおれは、レオンと並んで村の中を歩きながら

レオンに会いに来た目的について話した。

 

 

「へえ、姫様の城を再建する手伝いか。いいじゃねえか。もちろん、協力するぜ」

レオンは快く承諾してくれた。

 

おれはガルダーについて尋ねてみた。

レオンもガルダーもおれたちと一緒に旅をした仲間だが、ガルダーが加わったのは

ラゴスを見つけてレオンと別れた後だったため、2人は顔を合わせたことがない。

 

「えっ?! ガルダーって奴なのかわからねえが、防具屋で男が店主ともめてるぜ。

 さっき『通訳が欲しい』って声がかかってよ、おれが行こうかと思ったんだけど

 別の奴が代わりに行ってくれたから、おれはあんたの様子を見に来たんだよ」

 

「なんだって?!」 レオンの言葉を聞くやいなや、おれは防具屋へ走った。

防具屋には客はおらず、店主らしい入れ墨の男が1人でぼんやりと座っている。

 

「おいっ! ガルダーはどこ行った?」

おれは店主につかみかかるようにして聞いたが、言葉が通じないようだ。

 

ただならぬ雰囲気におれの後を追って走って来たレオンが店主に聞いてくれた。 

「その男は通訳と一緒にドン・モハメの家に行ったらしいぞ!」

 

おれたちはドン・モハメの家へ向かった。

遠目ではっきりと見えないが、家の前には筋肉隆々の男が立っていて、道具袋から

なにかを取り出している!

 

ガルダーーッ!」

 

おれは走りながら大声で叫んだが、そいつには聞こえなかったようだ。

その男・ガルダーはおれの目の前で、虹色の光と共にどこかへ消えてしまった......。

 

 

ガルダーがいた場所でガックリ肩を落としていると、ドン・モハメの家の戸が開き

見覚えのある男が出てきた。

 

「おお、あなた懐かしいね。あなた、わたしと一緒にこの村来た。そのとき、あなた

 仲直りのあいさつ嫌がって、わたしやらなきゃ死刑ねって言ったら嫌々なめてた。

 あれ、おもしろかった。あれ以来、この村のみんな、あなたのこと大好きね」

 

「なんだ? あんたら知り合いか?」

おれを追いかけて家の前まで走って来たレオンが、驚いた顔で通訳に聞いている。

 

通訳はレオンにおれたちとの出会い、共にテパの村へ来たときのことを話した。

おれがリーダーの鼻の頭をなめたときの話をして、2人は腹を抱えて大爆笑した。

 

おれは言い返す気力もなく、隣で笑い転げている2人をそのまま放置した。

 

あと1歩のところで、しかも姿が見えていたというのにガルダーを取り逃がした...

おれのショックは相当なものだった。

 

おれがこんなに落ち込んでるというのに、レオンと通訳は陽気に笑い続けている。

こちらの気持ちはお構いなしでゲラゲラ笑う2人に、おれの堪忍袋の緒は切れた。 

 

「うっせえ! てめえら、いつまで笑ってんだ。いったいここで何があったんだ?

 なんでガルダーは去っていったんだよ! おれの納得いくように説明しろ!」

 

「ノーノー。わたし、話すから、怒るのノーね。さっき防具屋がわたし呼びに来た。

 店に来た男が売り物がないって怒ってるって言う。わたし、防具屋で男に聞いた。

 最強の防具あるって聞いたのに、どこにも売ってない言う。だからわたし、男を

 ドン・モハメの家に連れてった。ドン・モハメの織る羽衣、軽い、熱いの平気、

 ほのお平気、最強ね! でも、その男、羽衣見て『探してるの、これと違う』言う。

『これ、姫着てた。女の服。これ違う』言うね。それで、モハメじいさんが怒る。

『おまえみたいな男に織らない』言ってモハメじいさん怒る。男も怒る。2人怒る。

 仲直りのあいさつやってくれない。わたし、なだめる。大変だったね」

 

水の羽衣を「姫が着てた」と言ったってことは、やはり間違いなくガルダーだ。

くそっ! こんなに近くにいたのに!

 

「その男は、その後どうしたんだ?」

 

「男、怒りながら『こんな村、もう来ない』って、ドン・モハメの家出て行った。

 これで全部。わたし、全部話した」

 

おれはひざに手をつき上体を倒すと、ふうぅ~と大きく息を吐き出した。

 

「残念だったな。こんなことになるなら、もっと早く教えてやれば良かったな。

 事情を知らなかったとはいえ、悪かったよ。なんだか、おれまで心苦しいぜ」

レオンがそばに来て、おれの背中をポンポンと叩いて慰めてくれる。

 

言いようのないイラ立ちはあるが、しかたのないことだ。レオンも通訳も悪くない。

誰かに八つ当たりしてもしょうがねえ。

 

おれはひと息ついて上体を起こすと、気持ちを切り替えて言った。

「しょうがねえ、また他を探すさ。それよりあんた、これからしばらく時間あるか?

 ちょっと付き合って欲しいところがあるんだよ。あんたにも関係あるところだ」

 

「ああ、時間ならいくらでもあるぜ。でも、おれにも関係がある場所ってどこだ?

 まったく見当がつかねえんだが。なあ、どこに連れて行こうって言うんだ?」

 

「それは着いてのお楽しみってね! OKなら早速、明日の朝には出発しようぜ。

 おう、おっさん。さっきは怒鳴って悪かったな。ガルダーの情報ありがとよ!」

おれはレオンの肩に腕をまわしてウインクすると、通訳のおっさんに声をかけた。

 

「またこの村来るといい。あなたなら、この村のみんないつでも大歓迎」

 

おれは明日のレオンとの約束をとりつけて、その場でレオンたちと別れた。

 

またしてもガルダーと話すことはできなかったが、落ち込んでる暇はねえ。

 

やるべきことはまだまだたくさんある。テパの村で他にやるべきことは...

そうだ! ちょうどここにも用事があったんだ。来たついでに話しておくか。

 

おれはドン・モハメの家の戸を叩いた。

 

 

 

同じパターンの連続で、読者のみなさまもうすうす感づいていると思いますが

ゲームブックでは「行く先々で王子たちの前に現れるガルダー」でしたが

ここでは「カインの行く先々に現れるけど、対面できないガルダー」 (´;ω;`) 

 

カインがテパの村人の歓迎の舞(?)を受けてる間にすれ違いです... (´;ω;`)

 

テパの村と言えば、派手な入れ墨の陽気な村人たちとカタコトの通訳 ( *´艸`)

みんなイイ人なんだけど、風習が違う・言葉が通じない・空気を読んでくれない

そんなちょっともどかしいモヤモヤした感じを楽しんでもらえたらと思います。

 

(私が勝手に)棚橋選手をイメージしているレオン。棚橋選手のあの雰囲気のまま

明るく、強く、賢く、行動力もあって、かなり好きなキャラクターです (*´ω`*)

(ゲラゲラ笑ってても、落ち込んでるのを見てサッと慰めるのとか素敵 (≧▽≦))

 

 

またガルダーと会いそびれたカインはレオンを誘ってどこかへ行こうとしています。

レオンにも関係がある場所とのことですが、どこへ行こうとしているんでしょう?

 

そして最後にいった「ドン・モハメの家での用事」とは?!

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ