ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 ⑪】 緑色の店

城下町に入ると【魔法を売る店】の近くに見たことのない小さな店が出来ていた。

 

屋根は濃い緑色をしていて、壁もまた淡い緑色のペンキで塗られていた。

入口にはバブルスライムのイラストが描かれた小さな看板が掲げられている。

もしや...ここは......。

 

オーウェンのおじちゃん!」

先に店内に入ったティアが声をあげて店の中にいた人物に飛びついた。

 

そこには懐かしい緑色の顔があった。

 

「やあ、おじょうちゃん。久しぶりだね。

 おお、そちらにおられるのはカイン殿下ではないですか!」

 

オーウェンはティアを肩車しながら、にこやかに店の前まで出てきた。

おれの顔を見て会釈すると、横にいた王子に目をとめた。

 

「おや? こちらの方には以前にもお会いしたことがありますな」

 

「お久しぶりです。ぼくはローレシアの王子です。以前はお世話になりました」

 

「おお、あなたがローレシアの王子様でしたか。以前にお会いした際も

 カイン様とご一緒だったので、高貴な方だとお見受けしておりましたが。

 この度は国王様になられるそうで、おめでとうございます」

 

「ありがとうございます」

王子とオーウェンは笑顔で固い握手を交わした。

 

「さらに今日は美しい女性がお2人もいらっしゃるのですね!

 大勢でのご来店、誠にありがとうございます。狭い店ですが、ささ、どうぞ中へ」

オーウェンは白い歯を見せて、ナナとリーナにニッコリ笑いかけた。

 

ナナは微笑んで会釈を交わしたが、リーナは初めて見る緑色の顔が怖かったのか

さっとナナの背後に隠れてしまった。

 

おれたちは店に入ると、オーウェンが用意してくれた椅子に座った。

ティアはよっぽど奴のことが気に入ってるのか、用意された椅子ではなく

オーウェンのひざの上に座った。

 

店はおれたち5人が入っただけでいっぱいになるぐらい狭い店だったが

清潔であたたかく居心地の良い店で、泡粘膏が仰々しく飾られていた。

 

初対面のやつらもいるので、おれがそれぞれを紹介した。

 

「こちらのお美しい方がムーンブルクの王女様! 噂どおりお綺麗な方ですなあ。

 そして、こちらの可愛いおじょうちゃんはナナ様の妹分なのですね」

オーウェンはナナの背中に隠れたリーナを覗き込み、ニッコリと微笑んだ。

 

おれは、勇者の泉からサマルトリアへ帰る途中で初めてオーウェンに出会ったこと

その縁で、サマルトリアハーゴン軍が侵攻した際、共に戦ったことを話した。

 

あのとき、おれは敗走する悪魔神官を追いかけることに夢中で

オーウェンを戦場に残したまま、いにしえのローラの門へと向かった。

おれは、自分が誘っておきながら戦場に置き去りにした非礼を詫びた。

 

「いえいえ。とんでもこざいません!

 殿下たちが追走に出られた後、私は戦場で負傷した兵士たちに泡粘膏を渡し

 治療のお手伝いをしておりました。

 しばらくすると、ティメラウス卿がお1人で戻って来られました。

 カイン殿下はムーンペタの賢者様とあらたな旅に出られ、同行していたリオス殿は

『あっしは生粋の風来坊ですから。縁があったら、またお会いしましょう』

 どこかに走り去って行ってしまったとのことでした」

 

そうだ、おれはリオスとティメラウスもほったらかしにしてたな。

リオスは無理だとしても、ティメラウスにはあとで謝っておくか。

 

「ティメラウス様は私がメタルハンターの攻撃から殿下をお守りしたのをご覧になり

 戦功に報い褒美を授けたいとおっしゃってくださいました。

 そこで、カイン様からサマルトリアで泡粘膏を販売する許可を受けたことを話し

 おかげさまで、この地に店を出せることになりました」

 

ひざの上に座っているティアが気になるのか、悪い奴じゃなさそうだと思ったのか

ナナの後ろに隠れたリーナが、顔を出してオーウェンの様子をうかがっている。

オーウェンはそんなリーナの様子を面白がりながら話を続けた。

 

「ティメラウス卿の手引きで、サマルトリア王にも謁見させていただきました。

 王様は『そなたの緑色の肌は我が国にピッタリだな』とお笑いになり

 店舗建設の後援と、緑の騎士団への宣伝もおこなってくださいました。

 緑の騎士団のみなさまにも『良い万能薬だ』とご好評いただいてます。

 ただ、団長のモルディウス卿だけはお気に召さないようですが...」

 

「モルディウス? あいつ、今度はなにをいちゃもんつけてんだ?」

 

「モルディウス様は『戦士は受けた傷の数だけ強くなるものだ』とおっしゃられて

『すぐに回復薬に頼るようでは、軟弱な者しか育たん!』とお怒りのようで...」

 

痛い目に遭って少しは懲りたかと思ったのに、あいつも相変わらずだな。

おれは、王子とナナと顔を見合わせると肩をすくめて苦笑した。

 

 

また懐かしい人物が登場~ (*´ω`*)

バブルスライムハンターのオーウェン

 

【銀のさかづき亭】(リリザの町の宿屋)の前で泡粘膏を売っていたところ

カインにスカウトされてサマルトリア攻防戦に参加しましたよね。

 

サマルトリアを守りぬいたあと、カインは敗走する悪魔神官デヌスを追いかけて

いにしえのローラの門を通り、さらに合流したアルファズルに誘われるまま

海底洞窟へ行ってしまったので、戦地に残されたメンバーがどうしていたかを

オーウェンに語ってもらいました。 

他に語れる人がいないので、長ゼリフになっちゃってすみません... (;´∀`)

 

カインや王子の知り合いということで、ナナはオトナの対応をしましたが

顔が緑色のおじちゃんは怖いよね...(@_@;)

ということで、リーナちゃんは人見知り全開で固まっています (;´∀`)

 

オーウェンは重要な人物。

5人は、もうしばらくこのままオーウェンの店に滞在しますよ~ (*´ω`*)

 

では、次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ