ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 ⑧】 いざ、サマルトリアへ

「ちょっと! なんでこんなところで寝てんのよ。ねえ、起きなさいよ」

身体を揺すられて目を開けると、ナナとティア、リーナがおれを見ていた。

 

起き上がろうとすると背中が痛い。いつの間にか、床で寝てしまったようだ。

同じようにナナに起こされた王子が隣で「んーっ」と身体を伸ばしている。

 

昨夜、ムーンブルク再興の話し合いからローラの門の修繕の話になった。

おれと王子はお互いに自国が修繕を請け負うと言い張り、口論になった。

 

話の論点がずれて、あくびをしだしたおっさんどもを部屋へ帰し

おれと王子は口論を続けていた。いつしかそのまま寝てしまったようだ。

 

「2人ともシャキッとしてよ。今日はサマルトリアへ行くんでしょ」

寝起きでぼんやりしているおれと王子をナナが急き立てる。

 

結局、おれと王子でさんざん話し合ったが結論は出なかった。

ローラの門については、おれたちだけで簡単に決められる話ではない。

ムーンブルクほど大規模ではないが、たくさんの人が動くことだ。

進めるには事前の緻密な計画と、各所への入念な根回しが必要になる。

どうせ今日はサマルトリアに行くんだから、親父に話してみればいいだろう。

 

昨日サマルトリア王にも挨拶しに行こう」と言い出したのは王子だった。

親父の顔を見てくるだけだ。ルーラで行ってぱぱっと終わらせちまえばいいだろう。

寝不足の頭でそんな算段をしていたところ、ナナがおかしなことを言いだした。

 

「ねえ、せっかく平和になったんだから、ティアちゃんとリーナちゃんも一緒に

 みんなで歩いて行きましょうよ。

 急ぐ旅でもないんだし、景色を見てのんびり散策しながら行くのもいいじゃない。

 王子は今後は自由に出歩くのも難しくなってくるし、いい機会だと思うわ。

 カインもどうせ暇でしょ、いいわよね」

 

「あぁ? バカ言うなよ。サマルトリアまで大人の足でも1週間はかかるぜ。

 旅に慣れているおれたちは何とかなっても、こいつらどうすんだよ」

おれはナナの隣にいる少女2人をあごでしゃくった。

 

「あら、あたしだったら平気よ。前にも王子と一緒にサマルトリアから勇者の泉まで

 歩いて行ったことあるもの。あの時より、身長は3センチも大きくなったわ。

 それに勇者の泉よりローレシアの方がサマルトリアにずっと近いんだもの。

 どうってことないわよ。ね、王子」

 

「え? ああ、うん。...そうだね......」

ティアにガッチリ腕を掴まれて、王子は情けない声を出した。

 

「おい、おまえ! 簡単に同意すんじゃねえよ! ったく、なっさけねえなあ。

 ティアと勇者の泉に行ったとき、どれだけ大変な思いしたか覚えてんだろ?」

 

「ああ、うん...。確かにカインの言うとおりだよね。う~ん、そうだよなあ......」

王子はティアとおれを交互に見て、困った顔をした。

ティアはそんな王子の腕をがっちりとつかんで離さない。

 

「大丈夫よ。今回はあたしだっているんだから。全然問題ないわよ、ねっ、王子!」

王子の困り果てた顔を見て、ナナが追い討ちをかけてきた。

王子が断れないと踏んで、ティアと一緒になって一気に押し切ろうって魂胆だ。

 

「えっ......う、う~ん......」

くそっ! こんなとき、こいつはホントに役に立たない。

 

気持ちはわからなくもない。なんせナナとティアがジロリとにらんでいる状況だ。

以前はティア1人にさえ押し切られた奴だ。こいつに勝ち目はない。

 

「とにかく、ぜってえダメ!

 どうしても歩きたいって言うなら、おれも王子もいっさい何一つ助けねえぞ。

 なにもかも全部、おまえたちだけでやるって言うなら行ってやってもいいぜ。

 それが嫌なら、サマルトリアまではルーラで行く!これは決定事項だからな!」

 

「ひっどーい! あんたそれでも男なの?」

「えーっ! おにいちゃんのいじわる!」

ナナとティアがギャアギャアわめく。

 

おれは腕を組み「ふんっ!」とそっぽを向いてやった。

 

実際、女と子供だけでは野営の準備ですらままならないだろう。

おれと王子が協力しなければ、歩いて行くのは不可能だ。今回はおれ様の勝ちだ。

 

「なあ、カイン。それはちょっと可哀想なんじゃないかな」

 

「うっせえ。こいつらが歩けないってなったら、ルーラするのはおまえじゃなくて

 このおれ様なんだぜ。おれはそんなのごめんだからな。

 おまえも可哀想だなんて簡単に言うなら、野営の準備も荷物運びも火おこしも

 何もかも全部おまえが1人でやれよ。そして、歩けなくなったこいつら2人を

 おまえが両脇に抱えてサマルトリアまで運んでやるこったな」

 

おれの言葉に王子は黙り込んだ。

いくら王子が体力に自信があるとはいえ、おれの協力がいっさいなく

さまざまなゴタゴタを自分1人だけでまかなえというのはキツイだろう。

それに、10歳を超えた女の子2人を両脇に抱えてずっと歩き続けるなんて

無理に決まってる。

 

背後でナナが鋭い視線でおれをにらみつけているのを感じた。

だが、おれは自分を曲げる気はなかった。 

 

 

3人は、ハーゴン城の跡地からすぐにローレシアまで飛んで来てしまったので

サマルトリアにも顔出した方が良いよねという流れになりました。

 

実は、私自身が『サマルトリアまでどうやって行くか』をまだ決めかねていて

「カイン VS ナナ&ティア」にケンカさせてみました~ (;´∀`)

 

王女2人をねじ伏せ同情する王子も黙らせて、現段階ではかなり優勢なカイン。

このままカインの希望どおり「ルーラで行く」ことになるのでしょうか?

 

 

ここまで読んでくださったみなさまに、おまけネタをプレゼント ↓↓

マンドリル戦で王子とカインが倒された時、王子に忖度しているアルファズルは

真っ先に王子にザオリクして、カインはだいぶ後に生き返らせましたよね。

 

今回、王子とカインが一緒に雑魚寝しているのを見たナナは

真っ先にカインを起こしました~ ( *´艸`)

ちょっとしたことですが、ナナの気持ちが表れています (*´ω`*)

 

相変わらず話がまったく進みませんが、くだらないとか言わずについて来て~ (;´∀`)

 

 

では、次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ