ゲームブック ドラゴンクエストⅡを熱く語る!

不朽の名作「ゲームブック ドラゴンクエストⅡ」(エニックス版)                                        完成度の高い作品をゲームと比較しながら熱く語ります。 Twitter もあります→ https://twitter.com/john_dq2_book

【創作 ③】 タヌキ親父

ルーラの呪文はおれをある城の城門前へと運んだ。

この城に来るのはこれで3回目、いや4回目になるのか。

 

初めて来たときは

敵国ローレシアの王子が城内に入り込んだとバレて捕えられそうになった。

 

ザハンに行った帰りに寄った2回目は

城はバピラスの大群に襲われていて、おれ様のベギラマで見事に撃退してやった。

 

3回目はまだ記憶に新しい。

破壊神シドーの牙に貫かれて、おれの意識は一瞬にして燃え尽きた。

暗闇が視界を覆っていく中、王子もナナも同じように倒れるのが眼の端に映った。

 

次の瞬間、ナナが持っていた青い宝石が砕け、おれたちはこの城に飛ばされた。

砕けた宝石から、やわらかなあたたかい光があふれておれたちを包み込んだ。

傷も痛みも息苦しさもすべて癒え、身体には力がみなぎっていた。

 

おれたちはシドーによってまたすぐに異空間へ引きずり込まれたが

一瞬でも異空間を抜け出し、この城で傷を癒し活力を取り戻せたことで

おれたちはシドーを撃破できたのだ。

 

 

おれは城門前にいた衛兵に身分を明かして王様への謁見を求めた。

さあ、果たしてあのおっさんはおれに会ってくれるだろうか。

 

今は国同士で争うときではない、力を合わせてハーゴンを倒そうと訴えた王子。

ムーンブルクの惨状を伝えて、王子の言葉が嘘でないことを証明したナナ。

2人の後ろでおれはただ突っ立ってただけだからな。

そんなおれがたった1人で会いに来たと聞いたら、あのおっさんは警戒するだろう。

 

だが、おれの予想に反して、デルコンダル王は人懐っこい笑みを浮かべながら

国王みずからおれを出迎えに城門前まで悠々と歩いてきた。

 

予想外の対応にいささか面食らいながらも、おれはその場にひざまずいた。

 

「国王閣下。閣下が同盟を守る約束として我々に御下賜されました

『不思議な宝石』のおかげでハーゴンと破壊神シドーを討伐することができました。

 3人を代表してサマルトリア皇太子カインが御礼を申し上げに参りました」

 

「はっはっは。さあさあ、立つが良い。堅苦しい挨拶は抜きにしようではないか。

 こんなところで立ち話もなんじゃから、中に入るが良い。歓迎するぞ」

 

デルコンダル王は高らかに笑いながら、来た道を戻っていく。

おれは立ち上がり、マントについたほこりを払うと王様のあとを追った。

 

謁見の間に入ると、王様は人払いをしておれたちは2人きりになった。

 

「おぬしは頭のキレる奴と見た。ここでは飾らずに本音で話し合おうではないか。

 そうじゃ、これから記されるであろうおぬしたちの旅の記録にはちゃんと

 わしの名前も載せるのじゃぞ」

 

「もちろん。『偉大なるデルコンダル国王閣下の【不思議な宝石】があったからこそ

 我々はシドーに勝つことができたのである』とちゃんと記録に残しますよ」

 

おれが朗らかに返答すると、うはははは。そりゃあ、いいぞ!デルコンダル王は

手を叩きながら喜んだ。王様は笑いながらおれの胸元にグッと身体を寄せると

「で、おぬしがここに来た本当の目的はなんじゃ?」 とおれの顔を覗き込んだ。

髭を蓄えた野性味あふれる顔が、おれの目の前に迫っていた。

獣のような彫りの深い大きな茶色の目が、威圧するようにおれを見据えている。

 

けっ、このタヌキ親父め!

表面上は歓待してるふりをしながら、きっちり踏み込んできやがった。

 

ここで怯んでは負けだ。

おれは 笑顔を崩さないまま、デルコンダル王から目を離さずにひと息で言った。

 

「さすが国王閣下! 話が早い。じゃあ、遠慮なく言わせてもらおう」

 

 

カインが行った先は「デルコンダル城」でした~ヾ(*´∀`*)ノ

 

「おっさん」と言うカインの親しげな呼び方から、ナナと仲良しの

竜王のひまご』さんを想像した人も多かったですね (;´∀`)

想像の裏をかいて、意外な人物を登場させることが出来て嬉しいです ( *´艸`)

 

「疑い深くてずる賢いけど、1度信頼したら敵国の王子でもとことん味方!」

そんな男気があり情の厚さが魅力的なデルコンダル王 (*´ω`*)

相手の出自に関わらず、人柄で判断するあたりはカインと似ている気もします。

 

ゲームブックデルコンダル城は王子とナナが主役で、カインは影が薄かったですが

頭のキレる戦略家同士が腹を探り合いながら会話するのが面白いかなと思って

カイン VS  デルコンダル王の構図を考えてみました。

 

先に断っておきますが、話自体はたいしたひねりはありません (;´∀`)

(凝った話を考えられるほどの頭はありませんので...... (´;ω;`))

普通に話せば単純な話を、探り探り話す2人を楽しんでもらえたらと思います。

 

 

次回もお楽しみに~ヾ(*´∀`*)ノ